加藤寛の発言 (日本国有鉄道清算事業団の債務処理及び国有林野事業の改革等に関する特別委員会)

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○参考人(加藤寛君) それでは、時間が限られておりますので、簡単に私の考えていることを申し上げます。
 第一に、国鉄の長期債務問題は、日本経済の安定化のためにこれは早期に解決しなければならない問題であるというふうに認識しております。
 これを解決するに当たりまして、私はかねてから債務のさらなる増加をもたらすようなそういう、新雪と私は呼んでいるんですが、雪に例えまして、根雪と新雪とございますけれども、その新雪がどんどんふえることをまずとめなきゃいけない。これをとめることによって次には、今度は長期的な問題として根雪について元本などの借りかえを進めながら処理を考えていくべきである、こういうふうに私は考えております。このような考え方でいるのでございますけれども、その点、今回の法案がそういうふうに新雪と根雪とを区別して順々に解決しようとしている点について、私は同感でございます。
 さらに、しかしその場合、もう少し財源としては、単に国鉄の財源だけを考えるのではなくて、例えば道路財源といったものを見直すとか、あるいは新幹線の凍結なども考えるとか、こういうことも私の主張の中にあったのでございますけれども、しかし議論がいろいろ進む中でもって、私の主張はかなり現実的には無理なものがいろいろあるということがわかってまいりました。したがって、今回このような形でもってまとめられたということは、これは異論がいろいろある中で、とにかく解決しなきゃならないというやむを得ない状況を考えた中でセカンドベストの案であろうと私は考えております。
 そこで、論争点が幾つか出てまいりました。
 その論争点の一つは年金の追加負担の問題でございます。これはJRが民間企業であるから追加負担の押しつけはおかしいということがよく言われますが、JRが完全なる民間企業であれば年金の負担は当然であると考えられます。しかし、私はJRはまだ本格的に完全な意味で民営化しているとは考えておりません。依然として株式の放出は残されておりますし、また特殊会社としての制約もございます。したがって、JRは年金負担を引き受けるから、そのかわり完全な民営化を早くしてくれというふうにむしろ要求すべきであろうと私は考えています。
 しかし、さらにそこから出てくる問題は、今度は九六年の閣議決定でございますが、ここでもって決着済みということがよく言われます。私の理解するところでは、国において処理するという、非常にはっきりしないというかあいまいというか誤解を招くような表現があったことがまずかったかというふうに思っております。
 しかし、最初にまず国鉄改革のときに私どもが考えました国において処理するというのは、いろいろな土地を売るあるいは株を売る、いろいろやりまして、それでもなお残るものについては国において処理するという表現になっておりますので、これは国が負担するという意味ではなくて、国がその処理をどのようにするかということを考えてほしいということを私どもは考えたのであります。その意味で、国が負担するというような表現では、私は九六年の閣議決定についても考えていないのでございます。
 そこで、今度は移換金というものを処理するには、JRが負担するのか、それとも一般国民が負担するか、どちらかになります。そこで、JR社員のための年金の原資を全く社員でない国民にすべて負担させるには無理があると考えられます。しかし、今後のJR運営の負担を思いますと、完全民営化を目指すのでございますから、JRにそれができるような配慮をしていかなければなりません。
 その意味で、今回、この負担金、移換金につきましてJR負担を二分の一にするという案が出たわけでございますが、これは一つの問題を早期に解決するということになりますと、どちらにもそれぞれの理屈があります。したがって、その理屈をいろいろと調整しておりますと早期解決にはだんだん遠ざかりますので、この場合は私は一つの妥協点としての二分の一ということがあり得ると思います。
 しかし、その二分の一ということは決して意味のないことではありませんで、それは事業主負担というものが常に二分の一ということを一つの原則としておりますので、その意味からもこういう考え方が出てくるかと思います。同時に、二分の一にすることによって国鉄が負担する部分は、国鉄の範囲内において十分にやっていくことのできる、あるいはJRが民営化を目指すという意味においてこれは可能な負担であろうと私は考えています。
 こういう意味で、私はこの今回の法案につきまして、原則的にこの方向は早期解決のためにやむを得ざる方向として認めることが望ましい、こういうふうに考えております。
 以上でございます。

発言情報

speech_id: 114314973X00419981013_002

発言者: 加藤寛

speaker_id: 9274

日付: 1998-10-13

院: 参議院

会議名: 日本国有鉄道清算事業団の債務処理及び国有林野事業の改革等に関する特別委員会