日本国有鉄道清算事業団の債務処理及び国有林野事業の改革等に関する特別委員会
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会
会議録情報#0
平成十年十月十三日(火曜日)
午前九時開会
―――――――――――――
委員の異動
十月十三日
辞任 補欠選任
藤井 俊男君 小川 勝也君
―――――――――――――
出席者は左のとおり。
委員長 中曽根弘文君
理 事
加藤 紀文君
鈴木 正孝君
成瀬 守重君
川橋 幸子君
寺崎 昭久君
魚住裕一郎君
宮本 岳志君
委 員
市川 一朗君
岸 宏一君
国井 正幸君
佐藤 昭郎君
斉藤 滋宣君
清水嘉与子君
常田 享詳君
仲道 俊哉君
馳 浩君
依田 智治君
若林 正俊君
小川 勝也君
郡司 彰君
佐藤 雄平君
谷林 正昭君
藤井 俊男君
山下八洲夫君
和田 洋子君
荒木 清寛君
日笠 勝之君
弘友 和夫君
須藤美也子君
富樫 練三君
渕上 貞雄君
村沢 牧君
戸田 邦司君
渡辺 秀央君
西川きよし君
衆議院議員
修正案提出者 衛藤 晟一君
国務大臣
大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君
農林水産大臣 中川 昭一君
運 輸 大 臣 川崎 二郎君
郵 政 大 臣 野田 聖子君
政府委員
大蔵大臣官房審
議官 福田 進君
大蔵省主計局次
長 寺澤 辰麿君
大蔵省理財局長 中川 雅治君
林野庁長官 山本 徹君
運輸大臣官房長 梅崎 壽君
運輸省鉄道局長 小幡 政人君
郵政省貯金局長 松井 浩君
事務局側
常任委員会専門
員 小林 正二君
常任委員会専門
員 鈴木 威男君
常任委員会専門
員 舘野 忠男君
説明員
会計検査院事務
総局第五局長 小川 光吉君
参考人
千葉商科大学学
長 加藤 寛君
日本学士院会員
東京大学名誉教
授 大内 力君
毎日新聞社編集
局特別委員兼論
説委員 玉置 和宏君
日本大学商学部
教授 桜井 徹君
全林野労働組合
中央執行委員長 吾妻 實君
名古屋大学法学
部教授 加藤 雅信君
日本国有鉄道清
算事業団理事長 西村 康雄君
日本国有鉄道清
算事業団理事 西川 由朗君
日本国有鉄道清
算事業団理事 桑原 彌介君
日本国有鉄道清
算事業団理事 佐野 實君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
○日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関す
る法律案(第百四十二回国会内閣提出、第百四
十三回国会衆議院送付)
○国有林野事業の改革のための特別措置法案(第
百四十二回国会内閣提出、第百四十三回国会衆
議院送付)
○国有林野事業の改革のための関係法律の整備に
関する法律案(第百四十二回国会内閣提出、第
百四十三回国会衆議院送付)
○森林法等の一部を改正する法律案(第百四十二
回国会内閣提出、第百四十三回国会衆議院送
付)
○地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ
き、東北森林管理局及び関東森林管理局の設置
に関し承認を求めるの件(第百四十二回国会内
閣提出、第百四十三回国会衆議院送付)
○一般会計における債務の承継等に伴い必要な財
源の確保に係る特別措置に関する法律案(第百
四十二回国会内閣提出、第百四十三回国会衆議
院送付)
○参考人の出席要求に関する件
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この発言だけを見る →午前九時開会
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委員の異動
十月十三日
辞任 補欠選任
藤井 俊男君 小川 勝也君
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出席者は左のとおり。
委員長 中曽根弘文君
理 事
加藤 紀文君
鈴木 正孝君
成瀬 守重君
川橋 幸子君
寺崎 昭久君
魚住裕一郎君
宮本 岳志君
委 員
市川 一朗君
岸 宏一君
国井 正幸君
佐藤 昭郎君
斉藤 滋宣君
清水嘉与子君
常田 享詳君
仲道 俊哉君
馳 浩君
依田 智治君
若林 正俊君
小川 勝也君
郡司 彰君
佐藤 雄平君
谷林 正昭君
藤井 俊男君
山下八洲夫君
和田 洋子君
荒木 清寛君
日笠 勝之君
弘友 和夫君
須藤美也子君
富樫 練三君
渕上 貞雄君
村沢 牧君
戸田 邦司君
渡辺 秀央君
西川きよし君
衆議院議員
修正案提出者 衛藤 晟一君
国務大臣
大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君
農林水産大臣 中川 昭一君
運 輸 大 臣 川崎 二郎君
郵 政 大 臣 野田 聖子君
政府委員
大蔵大臣官房審
議官 福田 進君
大蔵省主計局次
長 寺澤 辰麿君
大蔵省理財局長 中川 雅治君
林野庁長官 山本 徹君
運輸大臣官房長 梅崎 壽君
運輸省鉄道局長 小幡 政人君
郵政省貯金局長 松井 浩君
事務局側
常任委員会専門
員 小林 正二君
常任委員会専門
員 鈴木 威男君
常任委員会専門
員 舘野 忠男君
説明員
会計検査院事務
総局第五局長 小川 光吉君
参考人
千葉商科大学学
長 加藤 寛君
日本学士院会員
東京大学名誉教
授 大内 力君
毎日新聞社編集
局特別委員兼論
説委員 玉置 和宏君
日本大学商学部
教授 桜井 徹君
全林野労働組合
中央執行委員長 吾妻 實君
名古屋大学法学
部教授 加藤 雅信君
日本国有鉄道清
算事業団理事長 西村 康雄君
日本国有鉄道清
算事業団理事 西川 由朗君
日本国有鉄道清
算事業団理事 桑原 彌介君
日本国有鉄道清
算事業団理事 佐野 實君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
○日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関す
る法律案(第百四十二回国会内閣提出、第百四
十三回国会衆議院送付)
○国有林野事業の改革のための特別措置法案(第
百四十二回国会内閣提出、第百四十三回国会衆
議院送付)
○国有林野事業の改革のための関係法律の整備に
関する法律案(第百四十二回国会内閣提出、第
百四十三回国会衆議院送付)
○森林法等の一部を改正する法律案(第百四十二
回国会内閣提出、第百四十三回国会衆議院送
付)
○地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ
き、東北森林管理局及び関東森林管理局の設置
に関し承認を求めるの件(第百四十二回国会内
閣提出、第百四十三回国会衆議院送付)
○一般会計における債務の承継等に伴い必要な財
源の確保に係る特別措置に関する法律案(第百
四十二回国会内閣提出、第百四十三回国会衆議
院送付)
○参考人の出席要求に関する件
―――――――――――――
中
中曽根弘文#1
○委員長(中曽根弘文君) ただいまから日本国有鉄道清算事業団の債務処理及び国有林野事業の改革等に関する特別委員会を開会いたします。
日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律案、国有林野事業の改革のための特別措置法案、国有林野事業の改革のための関係法律の整備に関する法律案、森林法等の一部を改正する法律案、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、東北森林管理局及び関東森林管理局の設置に関し承認を求めるの件及び一般会計における債務の承継等に伴い必要な財源の確保に係る特別措置に関する法律案の六案件を一括して議題といたします。
本日は、日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律案外五案件の審査のため、千葉商科大学学長加藤寛君、日本学士院会員・東京大学名誉教授大内力君、毎日新聞社編集局特別委員兼論説委員玉置和宏君、日本大学商学部教授桜井徹君、全林野労働組合中央執行委員長吾妻實君及び名古屋大学法学部教授加藤雅信君の六名の参考人の出席をいただき、御意見を聴取し、質疑を行います。
この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。参考人の方々から忌憚のない御意見を承りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
本日の議事の進め方でございますが、まず加藤寛参考人、大内力参考人、玉置和宏参考人、桜井徹参考人、吾妻實参考人、加藤雅信参考人の順序でお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えを願いたいと存じます。
なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきいただきたいと思います。
それでは、まず加藤寛参考人からお願いいたします。加藤寛参考人。
この発言だけを見る →日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律案、国有林野事業の改革のための特別措置法案、国有林野事業の改革のための関係法律の整備に関する法律案、森林法等の一部を改正する法律案、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、東北森林管理局及び関東森林管理局の設置に関し承認を求めるの件及び一般会計における債務の承継等に伴い必要な財源の確保に係る特別措置に関する法律案の六案件を一括して議題といたします。
本日は、日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律案外五案件の審査のため、千葉商科大学学長加藤寛君、日本学士院会員・東京大学名誉教授大内力君、毎日新聞社編集局特別委員兼論説委員玉置和宏君、日本大学商学部教授桜井徹君、全林野労働組合中央執行委員長吾妻實君及び名古屋大学法学部教授加藤雅信君の六名の参考人の出席をいただき、御意見を聴取し、質疑を行います。
この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。参考人の方々から忌憚のない御意見を承りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
本日の議事の進め方でございますが、まず加藤寛参考人、大内力参考人、玉置和宏参考人、桜井徹参考人、吾妻實参考人、加藤雅信参考人の順序でお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えを願いたいと存じます。
なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきいただきたいと思います。
それでは、まず加藤寛参考人からお願いいたします。加藤寛参考人。
加
加藤寛#2
○参考人(加藤寛君) それでは、時間が限られておりますので、簡単に私の考えていることを申し上げます。
第一に、国鉄の長期債務問題は、日本経済の安定化のためにこれは早期に解決しなければならない問題であるというふうに認識しております。
これを解決するに当たりまして、私はかねてから債務のさらなる増加をもたらすようなそういう、新雪と私は呼んでいるんですが、雪に例えまして、根雪と新雪とございますけれども、その新雪がどんどんふえることをまずとめなきゃいけない。これをとめることによって次には、今度は長期的な問題として根雪について元本などの借りかえを進めながら処理を考えていくべきである、こういうふうに私は考えております。このような考え方でいるのでございますけれども、その点、今回の法案がそういうふうに新雪と根雪とを区別して順々に解決しようとしている点について、私は同感でございます。
さらに、しかしその場合、もう少し財源としては、単に国鉄の財源だけを考えるのではなくて、例えば道路財源といったものを見直すとか、あるいは新幹線の凍結なども考えるとか、こういうことも私の主張の中にあったのでございますけれども、しかし議論がいろいろ進む中でもって、私の主張はかなり現実的には無理なものがいろいろあるということがわかってまいりました。したがって、今回このような形でもってまとめられたということは、これは異論がいろいろある中で、とにかく解決しなきゃならないというやむを得ない状況を考えた中でセカンドベストの案であろうと私は考えております。
そこで、論争点が幾つか出てまいりました。
その論争点の一つは年金の追加負担の問題でございます。これはJRが民間企業であるから追加負担の押しつけはおかしいということがよく言われますが、JRが完全なる民間企業であれば年金の負担は当然であると考えられます。しかし、私はJRはまだ本格的に完全な意味で民営化しているとは考えておりません。依然として株式の放出は残されておりますし、また特殊会社としての制約もございます。したがって、JRは年金負担を引き受けるから、そのかわり完全な民営化を早くしてくれというふうにむしろ要求すべきであろうと私は考えています。
しかし、さらにそこから出てくる問題は、今度は九六年の閣議決定でございますが、ここでもって決着済みということがよく言われます。私の理解するところでは、国において処理するという、非常にはっきりしないというかあいまいというか誤解を招くような表現があったことがまずかったかというふうに思っております。
しかし、最初にまず国鉄改革のときに私どもが考えました国において処理するというのは、いろいろな土地を売るあるいは株を売る、いろいろやりまして、それでもなお残るものについては国において処理するという表現になっておりますので、これは国が負担するという意味ではなくて、国がその処理をどのようにするかということを考えてほしいということを私どもは考えたのであります。その意味で、国が負担するというような表現では、私は九六年の閣議決定についても考えていないのでございます。
そこで、今度は移換金というものを処理するには、JRが負担するのか、それとも一般国民が負担するか、どちらかになります。そこで、JR社員のための年金の原資を全く社員でない国民にすべて負担させるには無理があると考えられます。しかし、今後のJR運営の負担を思いますと、完全民営化を目指すのでございますから、JRにそれができるような配慮をしていかなければなりません。
その意味で、今回、この負担金、移換金につきましてJR負担を二分の一にするという案が出たわけでございますが、これは一つの問題を早期に解決するということになりますと、どちらにもそれぞれの理屈があります。したがって、その理屈をいろいろと調整しておりますと早期解決にはだんだん遠ざかりますので、この場合は私は一つの妥協点としての二分の一ということがあり得ると思います。
しかし、その二分の一ということは決して意味のないことではありませんで、それは事業主負担というものが常に二分の一ということを一つの原則としておりますので、その意味からもこういう考え方が出てくるかと思います。同時に、二分の一にすることによって国鉄が負担する部分は、国鉄の範囲内において十分にやっていくことのできる、あるいはJRが民営化を目指すという意味においてこれは可能な負担であろうと私は考えています。
こういう意味で、私はこの今回の法案につきまして、原則的にこの方向は早期解決のためにやむを得ざる方向として認めることが望ましい、こういうふうに考えております。
以上でございます。
この発言だけを見る →第一に、国鉄の長期債務問題は、日本経済の安定化のためにこれは早期に解決しなければならない問題であるというふうに認識しております。
これを解決するに当たりまして、私はかねてから債務のさらなる増加をもたらすようなそういう、新雪と私は呼んでいるんですが、雪に例えまして、根雪と新雪とございますけれども、その新雪がどんどんふえることをまずとめなきゃいけない。これをとめることによって次には、今度は長期的な問題として根雪について元本などの借りかえを進めながら処理を考えていくべきである、こういうふうに私は考えております。このような考え方でいるのでございますけれども、その点、今回の法案がそういうふうに新雪と根雪とを区別して順々に解決しようとしている点について、私は同感でございます。
さらに、しかしその場合、もう少し財源としては、単に国鉄の財源だけを考えるのではなくて、例えば道路財源といったものを見直すとか、あるいは新幹線の凍結なども考えるとか、こういうことも私の主張の中にあったのでございますけれども、しかし議論がいろいろ進む中でもって、私の主張はかなり現実的には無理なものがいろいろあるということがわかってまいりました。したがって、今回このような形でもってまとめられたということは、これは異論がいろいろある中で、とにかく解決しなきゃならないというやむを得ない状況を考えた中でセカンドベストの案であろうと私は考えております。
そこで、論争点が幾つか出てまいりました。
その論争点の一つは年金の追加負担の問題でございます。これはJRが民間企業であるから追加負担の押しつけはおかしいということがよく言われますが、JRが完全なる民間企業であれば年金の負担は当然であると考えられます。しかし、私はJRはまだ本格的に完全な意味で民営化しているとは考えておりません。依然として株式の放出は残されておりますし、また特殊会社としての制約もございます。したがって、JRは年金負担を引き受けるから、そのかわり完全な民営化を早くしてくれというふうにむしろ要求すべきであろうと私は考えています。
しかし、さらにそこから出てくる問題は、今度は九六年の閣議決定でございますが、ここでもって決着済みということがよく言われます。私の理解するところでは、国において処理するという、非常にはっきりしないというかあいまいというか誤解を招くような表現があったことがまずかったかというふうに思っております。
しかし、最初にまず国鉄改革のときに私どもが考えました国において処理するというのは、いろいろな土地を売るあるいは株を売る、いろいろやりまして、それでもなお残るものについては国において処理するという表現になっておりますので、これは国が負担するという意味ではなくて、国がその処理をどのようにするかということを考えてほしいということを私どもは考えたのであります。その意味で、国が負担するというような表現では、私は九六年の閣議決定についても考えていないのでございます。
そこで、今度は移換金というものを処理するには、JRが負担するのか、それとも一般国民が負担するか、どちらかになります。そこで、JR社員のための年金の原資を全く社員でない国民にすべて負担させるには無理があると考えられます。しかし、今後のJR運営の負担を思いますと、完全民営化を目指すのでございますから、JRにそれができるような配慮をしていかなければなりません。
その意味で、今回、この負担金、移換金につきましてJR負担を二分の一にするという案が出たわけでございますが、これは一つの問題を早期に解決するということになりますと、どちらにもそれぞれの理屈があります。したがって、その理屈をいろいろと調整しておりますと早期解決にはだんだん遠ざかりますので、この場合は私は一つの妥協点としての二分の一ということがあり得ると思います。
しかし、その二分の一ということは決して意味のないことではありませんで、それは事業主負担というものが常に二分の一ということを一つの原則としておりますので、その意味からもこういう考え方が出てくるかと思います。同時に、二分の一にすることによって国鉄が負担する部分は、国鉄の範囲内において十分にやっていくことのできる、あるいはJRが民営化を目指すという意味においてこれは可能な負担であろうと私は考えています。
こういう意味で、私はこの今回の法案につきまして、原則的にこの方向は早期解決のためにやむを得ざる方向として認めることが望ましい、こういうふうに考えております。
以上でございます。
中
大
大内力#4
○参考人(大内力君) 大内でございます。
十分間という大変短い時間でございまして、申し上げたいことはたくさんございますが、とても尽くせませんので、ごく簡単に重要と考えることだけを申し上げて、あと御質問がございましたら補わさせていただきたいと思います。
今回主として申し上げますのは国有林野事業改革のための特別措置法に関してでございますが、この改革案を拝見いたしまして、特に二つの点で大変前進があった、国有林の改革の一歩を踏み出したという感じがいたします。
その一つの点は、国有林の経営管理の方針を林産物の供給に重点を置いたものから公益的機能の維持増進を旨とするものへ転換させるという点でございます。これは御承知のとおり、特に財政上の理由があったわけでございますが、近年、奥山の乱伐、過伐が非常に進んでおりまして、それが国有林の荒廃を招くだけではなくて、環境に大変悪影響を及ぼしているということが言われていたわけでございますので、今回それを改めて森林の持つ公益的な機能を重視して施業を行う、こういうふうに基本的な方針を変更なさったことは大いに評価できることかと思います。
それからもう一つの点は、御承知の累積債務の処理でございますが、三兆八千億という累積債務のうち二兆八千億を一般会計で負担するという形にする。この点は後で申し上げますが、残りの一兆円は問題を残したと思いますけれども、今まで国有林野の運営が累積債務のために足をとられておりまして、いわば借金の利払いをするために木を切っている、それでも追いつかないからまた借金をする、こういう状態であったのを、ともかく解決に一歩近づいたという意味で評価したいと思うわけでございます。
しかし、その他の点につきましてはいろいろ疑問がございまして、たくさん申し上げたい点はございますが、特に重要と思われます四つのことだけを御指摘申し上げまして御考慮を煩わせたいわけでございます。
その一つは、どうも今回の改革の方向を見ておりますと、国有林全体としてだんだんと施業を薄くする、放棄とまでは申しませんけれども、森林の手入れその他を薄くするという方向が選ばれているのではないかという感じがいたします。
これは後で申し上げます人員削減一つを考えましてもそうでございますが、しかしそこに基本的な問題があるわけでございます。もちろん、例えば秋田、青森の県界の白神山地のように貴重な原生林が残されていると言われているところはできるだけ手を加えないで自然状態を維持して生物の多様性等を図る、こういうことは賛成でございます。しかし、そういう限られたところを除きますと、日本の山林というのはもう何千年来人手が加わっておりまして、人工的に整備されてきたものでございまして、本来の意味における原始林とかいうものは日本にはないと言われております。
この人工林はもちろんでございますが、いわゆる天然林と言われるところにおきましてもやはり人が手を加えまして、除伐、間伐、下刈り、枝打ち、あるいは伐採、植栽というような手入れをきちんとやってまいりませんと山が荒れるわけでございまして、今日、日本の山が荒れ果てているというのは、要するにそういうきちんとした手入れが行われていないですべての森林が活力を失ってしまっている、こういう状態になっていることに由来しているわけでございます。
したがって、林産物を採取することを主としないということはそれとして、しかしだから手入れをしないでいいということではございませんで、まずますきちんと手入れをして森林を整備いたしませんと、日本の森林を維持することができないだろうと思います。
これは御承知のとおり、特に今、世界的に大問題になっております温暖化ガスの問題一つを考えましても、空気を浄化いたしまして炭酸ガスの固定を図るという森林の機能は比較的壮年期の活力ある森林だからできることでございまして、森林が高齢化いたしまして古木がふえますとそういう能力は非常に減ってくるわけでございますから、ぜひきちんとした施業を遂行することによって森林の活力を維持していくというふうに考える必要があるのではないかと思います。
それから二番目には、主な事業を民間に委託する、こういうことがうたわれておりますが、これはやや言葉が過ぎるかもしれませんが、我々実情を知っている者から言わせますと、ほとんどナンセンスと言うしかないわけでございます。
と申しますのは、御承知のとおり、民間と申しますと主として言えば森林組合を中心とした作業班でございましょうが、ここはもう高齢化が進み、人口も減りまして、ほとんど機能麻痺に陥っているところが大部分でございます。そのために民有林がほとんど施業放棄の状態になっておりまして、ある意味では国有林以上に荒廃をしている、こういう状態になっております。
ですから、受け皿のないところに民営化を進めるというようなことを言ってみましてもこれは全く空疎でございまして、結果におきましては国有林も施業をしないでますます山を荒らしてしまう、こういう結果になるのではないかということを恐れるわけでございます。
それから三番目に、このことに関連いたしまして、国有林の職員を大幅に削減することによって経営の合理化を図る、こういう思想が、これはもうここ二十年ぐらい国有林改革のところでずっとやってこられたことでございます。
その結果として、かつて九万人近くおりました国有林の職員が今一万五千足らずになっておりまして、しかも伝えられるところによりますと、近く五千人にそれを削るということを林野庁は計画されていると聞いております。五千人なんという人数では、要するに机の前で事務的な処理をする人だけが残りまして、現場で山の世話をする人はほとんどゼロに近くなるということでございまして、ここには決定的な問題があって、国有林を荒らしてしまう以外にはないだろうと思います。今でさえ国有林はもう手不足でほとんど施業ができないというような状態になっているところがたくさんございます。
しかも、これは大変大きな問題を持っておりまして、国有林はただ山の手入れをするだけではなくて、日本の森林経営についての技術、技能を長年にわたって蓄積してきております大きな技能集団でございます。この職員が持っております技能というものを伝承して将来に残していくということなしには将来の林業は成り立たないわけでございまして、そういう意味でも国有林が人減らしをするということは大変大きな問題があると思います。
我々は、むしろ逆に国有林の職員をできるだけ充実して技能を高くすると同時に、先ほど申し上げましたように、民有林の人手不足が非常に著しいわけでございますから、むしろ国有、民有というような垣根を取り外しまして、地域の民有林も含めまして、国有林が相当の責任を持って日本の森林全体の活性化を図る、こういう基本方針を立てるべきではないだろうかというふうに思うわけでございます。
それから最後には、先ほど触れました財務の問題でございます。一般会計で相当の部分を負担されるということは大変結構でございますが、残る一兆円ぐらいをまだ国有林に残しましてそれをだんだんと返していく、こういう形で解決するという案でございます。将来、経済情勢が非常に変わればわかりませんが、少なくとも現状で申します限りは、国有林だけでなく民有林も森林経営というのは今全然赤字でございまして、利益が上がるなんということは望めない状態でございます。
国有林といえども、いかに合理化をしましても、将来とも赤字経営にならざるを得ないということは覚悟しておく必要があると思います。そこへまたその借金の負担を負わせまして、それを年賦で償還していくというようなことになりますと、結局今までと同じことが繰り返される。つまり、その債務の負担に足をとられまして国有林の機能を十分に発揮させることができなくなり、山を荒らしてしまい、しかもまた累積債務が先ほどの加藤さんのお話のような新雪として降り積もっていく、こういう形になって、結局同じことが繰り返されることになるのではないか。
以上の四つの点を大変基本的な疑問と思いましたので、率直に申し上げまして、御参考にしていただきたいと思います。
以上でございます。
この発言だけを見る →十分間という大変短い時間でございまして、申し上げたいことはたくさんございますが、とても尽くせませんので、ごく簡単に重要と考えることだけを申し上げて、あと御質問がございましたら補わさせていただきたいと思います。
今回主として申し上げますのは国有林野事業改革のための特別措置法に関してでございますが、この改革案を拝見いたしまして、特に二つの点で大変前進があった、国有林の改革の一歩を踏み出したという感じがいたします。
その一つの点は、国有林の経営管理の方針を林産物の供給に重点を置いたものから公益的機能の維持増進を旨とするものへ転換させるという点でございます。これは御承知のとおり、特に財政上の理由があったわけでございますが、近年、奥山の乱伐、過伐が非常に進んでおりまして、それが国有林の荒廃を招くだけではなくて、環境に大変悪影響を及ぼしているということが言われていたわけでございますので、今回それを改めて森林の持つ公益的な機能を重視して施業を行う、こういうふうに基本的な方針を変更なさったことは大いに評価できることかと思います。
それからもう一つの点は、御承知の累積債務の処理でございますが、三兆八千億という累積債務のうち二兆八千億を一般会計で負担するという形にする。この点は後で申し上げますが、残りの一兆円は問題を残したと思いますけれども、今まで国有林野の運営が累積債務のために足をとられておりまして、いわば借金の利払いをするために木を切っている、それでも追いつかないからまた借金をする、こういう状態であったのを、ともかく解決に一歩近づいたという意味で評価したいと思うわけでございます。
しかし、その他の点につきましてはいろいろ疑問がございまして、たくさん申し上げたい点はございますが、特に重要と思われます四つのことだけを御指摘申し上げまして御考慮を煩わせたいわけでございます。
その一つは、どうも今回の改革の方向を見ておりますと、国有林全体としてだんだんと施業を薄くする、放棄とまでは申しませんけれども、森林の手入れその他を薄くするという方向が選ばれているのではないかという感じがいたします。
これは後で申し上げます人員削減一つを考えましてもそうでございますが、しかしそこに基本的な問題があるわけでございます。もちろん、例えば秋田、青森の県界の白神山地のように貴重な原生林が残されていると言われているところはできるだけ手を加えないで自然状態を維持して生物の多様性等を図る、こういうことは賛成でございます。しかし、そういう限られたところを除きますと、日本の山林というのはもう何千年来人手が加わっておりまして、人工的に整備されてきたものでございまして、本来の意味における原始林とかいうものは日本にはないと言われております。
この人工林はもちろんでございますが、いわゆる天然林と言われるところにおきましてもやはり人が手を加えまして、除伐、間伐、下刈り、枝打ち、あるいは伐採、植栽というような手入れをきちんとやってまいりませんと山が荒れるわけでございまして、今日、日本の山が荒れ果てているというのは、要するにそういうきちんとした手入れが行われていないですべての森林が活力を失ってしまっている、こういう状態になっていることに由来しているわけでございます。
したがって、林産物を採取することを主としないということはそれとして、しかしだから手入れをしないでいいということではございませんで、まずますきちんと手入れをして森林を整備いたしませんと、日本の森林を維持することができないだろうと思います。
これは御承知のとおり、特に今、世界的に大問題になっております温暖化ガスの問題一つを考えましても、空気を浄化いたしまして炭酸ガスの固定を図るという森林の機能は比較的壮年期の活力ある森林だからできることでございまして、森林が高齢化いたしまして古木がふえますとそういう能力は非常に減ってくるわけでございますから、ぜひきちんとした施業を遂行することによって森林の活力を維持していくというふうに考える必要があるのではないかと思います。
それから二番目には、主な事業を民間に委託する、こういうことがうたわれておりますが、これはやや言葉が過ぎるかもしれませんが、我々実情を知っている者から言わせますと、ほとんどナンセンスと言うしかないわけでございます。
と申しますのは、御承知のとおり、民間と申しますと主として言えば森林組合を中心とした作業班でございましょうが、ここはもう高齢化が進み、人口も減りまして、ほとんど機能麻痺に陥っているところが大部分でございます。そのために民有林がほとんど施業放棄の状態になっておりまして、ある意味では国有林以上に荒廃をしている、こういう状態になっております。
ですから、受け皿のないところに民営化を進めるというようなことを言ってみましてもこれは全く空疎でございまして、結果におきましては国有林も施業をしないでますます山を荒らしてしまう、こういう結果になるのではないかということを恐れるわけでございます。
それから三番目に、このことに関連いたしまして、国有林の職員を大幅に削減することによって経営の合理化を図る、こういう思想が、これはもうここ二十年ぐらい国有林改革のところでずっとやってこられたことでございます。
その結果として、かつて九万人近くおりました国有林の職員が今一万五千足らずになっておりまして、しかも伝えられるところによりますと、近く五千人にそれを削るということを林野庁は計画されていると聞いております。五千人なんという人数では、要するに机の前で事務的な処理をする人だけが残りまして、現場で山の世話をする人はほとんどゼロに近くなるということでございまして、ここには決定的な問題があって、国有林を荒らしてしまう以外にはないだろうと思います。今でさえ国有林はもう手不足でほとんど施業ができないというような状態になっているところがたくさんございます。
しかも、これは大変大きな問題を持っておりまして、国有林はただ山の手入れをするだけではなくて、日本の森林経営についての技術、技能を長年にわたって蓄積してきております大きな技能集団でございます。この職員が持っております技能というものを伝承して将来に残していくということなしには将来の林業は成り立たないわけでございまして、そういう意味でも国有林が人減らしをするということは大変大きな問題があると思います。
我々は、むしろ逆に国有林の職員をできるだけ充実して技能を高くすると同時に、先ほど申し上げましたように、民有林の人手不足が非常に著しいわけでございますから、むしろ国有、民有というような垣根を取り外しまして、地域の民有林も含めまして、国有林が相当の責任を持って日本の森林全体の活性化を図る、こういう基本方針を立てるべきではないだろうかというふうに思うわけでございます。
それから最後には、先ほど触れました財務の問題でございます。一般会計で相当の部分を負担されるということは大変結構でございますが、残る一兆円ぐらいをまだ国有林に残しましてそれをだんだんと返していく、こういう形で解決するという案でございます。将来、経済情勢が非常に変わればわかりませんが、少なくとも現状で申します限りは、国有林だけでなく民有林も森林経営というのは今全然赤字でございまして、利益が上がるなんということは望めない状態でございます。
国有林といえども、いかに合理化をしましても、将来とも赤字経営にならざるを得ないということは覚悟しておく必要があると思います。そこへまたその借金の負担を負わせまして、それを年賦で償還していくというようなことになりますと、結局今までと同じことが繰り返される。つまり、その債務の負担に足をとられまして国有林の機能を十分に発揮させることができなくなり、山を荒らしてしまい、しかもまた累積債務が先ほどの加藤さんのお話のような新雪として降り積もっていく、こういう形になって、結局同じことが繰り返されることになるのではないか。
以上の四つの点を大変基本的な疑問と思いましたので、率直に申し上げまして、御参考にしていただきたいと思います。
以上でございます。
中
玉
玉置和宏#6
○参考人(玉置和宏君) 御紹介いただきました毎日新聞の玉置和宏でございます。
私は一新聞記者でありますから、本来はメディアを通じて自己の主張をするのが筋でありますが、本日こうした機会を与えていただきましたので、率直に忌憚のない意見を述べさせていただきたいと存じます。
〔委員長退席、理事成瀬守重君着席〕
私は、国鉄分割・民営化よりも十年ほど前になりますか、国鉄六分割・民営化へという記事を書いて各方面に大変話題を振りまいたのであります。以来二十年余り、この国鉄の問題あるいはJRの問題にかかわってまいりまして、ずっとこれを見てまいりました。今率直に私は、銀行の不良債権と同じように、銀行の経営者が銀行の不良債権を処理しない、それと同じように、国鉄の債務の問題について政府がずっと目をつぶってきて先送りしてきたなという感じを強くいたします。
しかし、今般、この委員会で真剣にこの問題を何とか今世紀のうちに解決しなければいけないのだという議員の皆様の真剣な議論、これを伺っておりまして、そういう意味で私も心から敬意を表したいと思っております。
私は、財政制度審議会という審議会の末席に連なって日本の財政に関心を払っている一人として、国鉄の債務問題というのは実は日本の財政に大変大きな影響を与える重大な問題である、こういうふうに考えております。単に国鉄の民営化問題にとどまらないことだと考えております。その点からも、この一連の審議は極めて重要な意味を持っている、多くの点で私は先生方と考えを同じゅうしているというふうに考えております。
しかし、今回の清算事業団債務処理法案、これについては私は納得のできない部分がある。これまで衆参両議院の特別委員会で議論されてまいりましたJRの追加負担は私は全く納得できない、こういうふうに考えておるわけであります。この点につきましては、私は新聞のコラム等で私の意見を署名入りで書いてございますが、本日はここで改めてこの点に絞って私の考えを述べさせていただきたい、こういうふうに思います。
私は日本の経済社会にとって今最も重要なことは自己責任、世界に通用するルールにのっとった企業経営であると考えておりますし、その世界の基準というのは何かというと、それは自己責任の原則であろうかというふうに感ずるわけでございます。
先週の末にNHK教育テレビの「金曜フォーラム」で、本格化した日本のビッグバンというシンポジウムがございましたが、私はそこでコーディネーターを務めました。このビッグバンのシンポジウムのキーワードは実は自己責任の原則をいかに貫徹していくか、これから生活者も消費者も、もちろん政府も企業もすべて自己責任の原則を貫かなければいけないんだということが結論でございました。私もそのとおりだと思います。
しかし、この自己責任というのは、どうも海外では原則以前の言葉であるというのが常識でありますが、私はこういう話を聞いたことがあるんです。政府の皆さん、国会の皆さんがここ数年、ワシントンに出かけていってスピーチをなさる、そのときにやたら自己責任という言葉を連発される、こう言うんです。これは向こうの通訳の方がそういうふうにおっしゃっている。ところが、実は英語には自己責任という言葉がない、非常に通訳は困惑しているという半分笑い話のようなことなんですが、どうもこれは事実のようであります。
つまり、頭の中では自己責任という言葉はそれこそ本当に刻み込まれているわけでありますが、ところがそれが実際の行動に伴っていないのじゃないか、私はどうもそういう気がしてしようがないわけであります。日本ではまだ言葉の上っ面だけが横行しているのではないか、本当に身についているのだろうか。政府みずからが経済の基本的なルールである自己責任の原則を無視し、筋の通らないことをもしやっているとしたら、これは本当に国際社会の笑い話になってしまうのではないかというふうに思うわけでございます。
かつて、今は亡き金丸信自民党副総裁が、足して二で割るのが政治だという名文句を残されました。その時代から政治は少しも動いていない、少しも変わっていないではないか、自分の責任を他人に押しつけるのではないか。私はこのJR負担の本質的問題はここにあるように考えざるを得ません。
さて、このJRの追加負担については、昭和六十二年四月で政府から離れ、独立した民間会社になったというふうに、これはもう私が認識するまでもなく周知の事実であります。JR本州三社は株式をワールドワイドに上場しているわけであります。世界の投資家が十数%この株を持っているわけであります。世界のマーケットで売買されているわけであります。
かつて、このJRの負担について後藤田正晴元副総理がこういうふうに新聞のインタビューでお答えになっておるわけです。政府の負担強制は株主に対する財産権侵害として憲法問題になりはしないか、こういうふうにおっしゃっておりますが、私も全く同感でございます。
また、今回のJR負担につきましては、JR社員の年金だという理由によると言われておるわけでありますが、これもそもそも昭和六十二年四月に清算事業団とJRで明確に仕分けしておるわけでありますから、これをこの十一年間、政府は問題を先送り先送りして一向に処理しようとしなかった。私は、この問題をいろんなところで書き、いろんなところで申し上げてきたにもかかわらず、今日まで一向にこの処理がなされていない。十一年間処理を先送りして、今またJRとの一種の契約をみずから破棄して、政府の責任が十分に問われない。これは金融問題と同じように私はモラルハザードに陥っているとさえ感じるわけでございます。
政府あるいはこの法案を提案された皆様方は、玉置は何か誤解しておるのではないか、そういう見方はごく一部ではないかというふうにおっしゃる方があるいはおられるかもしれません。しかし、これは私だけではございませんで、一つの証拠として、私どもの新聞、私の知る限りすべての新聞の社説は、会社の意見を社論として主張している社説を見る限り、このJR負担についてすべてこれはおかしいという主張をしているところであります。もし私だけの主張であれば、そういうことはあり得ないでありましょう。
日本の新聞だけではございません。御承知のウォール・ストリート・ジャーナルあるいはニューヨーク・タイムズ等、世界でも著名な新聞において、このJR負担は非常におかしい、日本の政府がこういうことを提案しているのはおかしいということを明確に主張しているわけであります。
私は、こういう世論といいますか主張を全く無視されて、しかも足して二で割って、それで修正案としてもしこれが国会を通るのであれば、恐らく国際的な経済社会から非常な非難を受けるのではないか、日本は本当に法治国家なのかということが改めて問われるのではないかと、こういうふうに考えております。これが本格的処理である、あるいはこれがやむを得ない処理である、こういうふうに主張されるのは筋が違う。これこそ日本が国際社会にも通用するような法律をきちっとつくってもらいたい、それが私の希望でありますので、JRへの追加負担を撤回するという勇断をこの席でお願いしたいわけでございます。
私は、戦後最大の行政改革、これは国鉄改革だということで、この二十年間ずっと見てまいりました。今はその最後の段階であります。最後の段階でこういう処理をするというのは本当に国際社会からの信用の失墜になる、そういうふうに考えておりますので、ひとつ先生の皆様方にはよろしくお願いをしたいと思います。
いろいろ僭越なことを申し上げたかもしれませんが、失礼をおわびして、私の意見にかえさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
この発言だけを見る →私は一新聞記者でありますから、本来はメディアを通じて自己の主張をするのが筋でありますが、本日こうした機会を与えていただきましたので、率直に忌憚のない意見を述べさせていただきたいと存じます。
〔委員長退席、理事成瀬守重君着席〕
私は、国鉄分割・民営化よりも十年ほど前になりますか、国鉄六分割・民営化へという記事を書いて各方面に大変話題を振りまいたのであります。以来二十年余り、この国鉄の問題あるいはJRの問題にかかわってまいりまして、ずっとこれを見てまいりました。今率直に私は、銀行の不良債権と同じように、銀行の経営者が銀行の不良債権を処理しない、それと同じように、国鉄の債務の問題について政府がずっと目をつぶってきて先送りしてきたなという感じを強くいたします。
しかし、今般、この委員会で真剣にこの問題を何とか今世紀のうちに解決しなければいけないのだという議員の皆様の真剣な議論、これを伺っておりまして、そういう意味で私も心から敬意を表したいと思っております。
私は、財政制度審議会という審議会の末席に連なって日本の財政に関心を払っている一人として、国鉄の債務問題というのは実は日本の財政に大変大きな影響を与える重大な問題である、こういうふうに考えております。単に国鉄の民営化問題にとどまらないことだと考えております。その点からも、この一連の審議は極めて重要な意味を持っている、多くの点で私は先生方と考えを同じゅうしているというふうに考えております。
しかし、今回の清算事業団債務処理法案、これについては私は納得のできない部分がある。これまで衆参両議院の特別委員会で議論されてまいりましたJRの追加負担は私は全く納得できない、こういうふうに考えておるわけであります。この点につきましては、私は新聞のコラム等で私の意見を署名入りで書いてございますが、本日はここで改めてこの点に絞って私の考えを述べさせていただきたい、こういうふうに思います。
私は日本の経済社会にとって今最も重要なことは自己責任、世界に通用するルールにのっとった企業経営であると考えておりますし、その世界の基準というのは何かというと、それは自己責任の原則であろうかというふうに感ずるわけでございます。
先週の末にNHK教育テレビの「金曜フォーラム」で、本格化した日本のビッグバンというシンポジウムがございましたが、私はそこでコーディネーターを務めました。このビッグバンのシンポジウムのキーワードは実は自己責任の原則をいかに貫徹していくか、これから生活者も消費者も、もちろん政府も企業もすべて自己責任の原則を貫かなければいけないんだということが結論でございました。私もそのとおりだと思います。
しかし、この自己責任というのは、どうも海外では原則以前の言葉であるというのが常識でありますが、私はこういう話を聞いたことがあるんです。政府の皆さん、国会の皆さんがここ数年、ワシントンに出かけていってスピーチをなさる、そのときにやたら自己責任という言葉を連発される、こう言うんです。これは向こうの通訳の方がそういうふうにおっしゃっている。ところが、実は英語には自己責任という言葉がない、非常に通訳は困惑しているという半分笑い話のようなことなんですが、どうもこれは事実のようであります。
つまり、頭の中では自己責任という言葉はそれこそ本当に刻み込まれているわけでありますが、ところがそれが実際の行動に伴っていないのじゃないか、私はどうもそういう気がしてしようがないわけであります。日本ではまだ言葉の上っ面だけが横行しているのではないか、本当に身についているのだろうか。政府みずからが経済の基本的なルールである自己責任の原則を無視し、筋の通らないことをもしやっているとしたら、これは本当に国際社会の笑い話になってしまうのではないかというふうに思うわけでございます。
かつて、今は亡き金丸信自民党副総裁が、足して二で割るのが政治だという名文句を残されました。その時代から政治は少しも動いていない、少しも変わっていないではないか、自分の責任を他人に押しつけるのではないか。私はこのJR負担の本質的問題はここにあるように考えざるを得ません。
さて、このJRの追加負担については、昭和六十二年四月で政府から離れ、独立した民間会社になったというふうに、これはもう私が認識するまでもなく周知の事実であります。JR本州三社は株式をワールドワイドに上場しているわけであります。世界の投資家が十数%この株を持っているわけであります。世界のマーケットで売買されているわけであります。
かつて、このJRの負担について後藤田正晴元副総理がこういうふうに新聞のインタビューでお答えになっておるわけです。政府の負担強制は株主に対する財産権侵害として憲法問題になりはしないか、こういうふうにおっしゃっておりますが、私も全く同感でございます。
また、今回のJR負担につきましては、JR社員の年金だという理由によると言われておるわけでありますが、これもそもそも昭和六十二年四月に清算事業団とJRで明確に仕分けしておるわけでありますから、これをこの十一年間、政府は問題を先送り先送りして一向に処理しようとしなかった。私は、この問題をいろんなところで書き、いろんなところで申し上げてきたにもかかわらず、今日まで一向にこの処理がなされていない。十一年間処理を先送りして、今またJRとの一種の契約をみずから破棄して、政府の責任が十分に問われない。これは金融問題と同じように私はモラルハザードに陥っているとさえ感じるわけでございます。
政府あるいはこの法案を提案された皆様方は、玉置は何か誤解しておるのではないか、そういう見方はごく一部ではないかというふうにおっしゃる方があるいはおられるかもしれません。しかし、これは私だけではございませんで、一つの証拠として、私どもの新聞、私の知る限りすべての新聞の社説は、会社の意見を社論として主張している社説を見る限り、このJR負担についてすべてこれはおかしいという主張をしているところであります。もし私だけの主張であれば、そういうことはあり得ないでありましょう。
日本の新聞だけではございません。御承知のウォール・ストリート・ジャーナルあるいはニューヨーク・タイムズ等、世界でも著名な新聞において、このJR負担は非常におかしい、日本の政府がこういうことを提案しているのはおかしいということを明確に主張しているわけであります。
私は、こういう世論といいますか主張を全く無視されて、しかも足して二で割って、それで修正案としてもしこれが国会を通るのであれば、恐らく国際的な経済社会から非常な非難を受けるのではないか、日本は本当に法治国家なのかということが改めて問われるのではないかと、こういうふうに考えております。これが本格的処理である、あるいはこれがやむを得ない処理である、こういうふうに主張されるのは筋が違う。これこそ日本が国際社会にも通用するような法律をきちっとつくってもらいたい、それが私の希望でありますので、JRへの追加負担を撤回するという勇断をこの席でお願いしたいわけでございます。
私は、戦後最大の行政改革、これは国鉄改革だということで、この二十年間ずっと見てまいりました。今はその最後の段階であります。最後の段階でこういう処理をするというのは本当に国際社会からの信用の失墜になる、そういうふうに考えておりますので、ひとつ先生の皆様方にはよろしくお願いをしたいと思います。
いろいろ僭越なことを申し上げたかもしれませんが、失礼をおわびして、私の意見にかえさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
成
桜
桜井徹#8
○参考人(桜井徹君) 日本大学商学部の桜井です。
私の専門分野は安企業論という学問でありまして、ここ数年は日本とドイツにおける国鉄改革の比較研究に従事してきました。その立場から、今回提出されました法案のうち、日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律案と一般会計における債務の承継等に伴い必要な財源の確保に係る特別措置に関する法律案を中心に意見を述べさせていただきます。.まず、今回の法案で国鉄清算事業団の債務を国の一般会計に承継するということが提案されておりますが、これまでの土地売却と株式売却の動向を待って清算事業団のいわゆる国民負担分の処理を決定するという、国鉄改革当時から一昨年ころまでの考え方からすれば前進である。清算事業団の債務は国の債務であるということを明確にされたという意味で、私は大いに評価したいと思っております。
しかしながら、債務が承継されたことによって生ずる一般会計の負担増を郵便貯金特別会計からの特別繰り入れやたばこ特別税の創設を財源として対処されようとしていることに関しては、次の二点において疑問を持っております。
まず第一は、国鉄清算事業団の債務を郵便貯金特別会計やたばこ特別税で処理するということについては、私にはその二つの間には論理的な関連性あるいは必然性があるとは思われません。
第二に、仮にそういう枠組みを認めたとしましても、郵便貯金特別会計特別繰り入れというのは、法案によりますと五年間ということになっておりまして、限定的であります。しかも、それはいずれも主に利子支払いに充当されるにすぎないということでありますので、元本の償還財源についてはほとんど手当てされていないのではないかということで限定的であります。それでは、約二十七・八兆円に膨張いたしました国鉄清算事業団の累積債務の処理財源についてはどう考えるべきだろうかということで、私は三点について述べていきたいと思います。
第一に、国鉄改革前における国鉄の長期債務発生の責任の所在、第二に国鉄改革、すなわち国鉄分割・民営化時における国鉄長期債務等の配分方法の問題、第三に国鉄清算事業団債務が累積した過程に即して考えていく必要があると思っております。
時間の関係上、非常にはしょりますが、まず国鉄の長期債務発生の原因については多様でありますが、いわゆる経営欠損の原因の一つが道路整備への重点投資によりモータリゼーションが進んだことを考慮すれば、総合交通行政を前提として、ドイツの国鉄改革で実施されたように揮発油税を引き上げて債務償還の財源にするか、もしくは加藤先生が言われましたように道路財源を圧縮してそれを転用するということが考えられます。
第二に、国鉄分割・民営化時における国鉄長期債務等の配分方法についてでありますが、今日のJR本州三社の経営成績から見まして、JRが承継した長期債務等が過小ではなかったかという点であります。過小でなかったかどうかについての詳細は省略いたしますが、国鉄長期債務等の配分にかかわって、次の二点はぜひとも述べておいた方がよいと思います。
一つは、国鉄清算事業団が継承いたしました長期債務等は資金運用部が主に引き受ける、あるいは資金運用部からの借入金がほとんどでありまして、それに対してJR各社が承継いたしました長期債務等は民間借入金がほとんどでありました。バブル経済下における金利低下等でJR各社は低利借りかえが行われた、それに対して国鉄清算事業団は低利借りかえを行えなかった、あるいは行うことができなかったということであります。
二つ目は、国鉄清算事業団が継承いたしました鉄道債券には、論争があるところでありますが、JR各社による債務保証が設定されていたように思われます。もちろん、今日その多くは借りかえによって国鉄清算事業団債券に置きかえられておりますけれども、そうした債務保証がかつて設定されていたということも考えなければいけません。
なお、JR各社が、特に本州三社は一部株式上場をしたとはいえ、依然として特別の法律によって設立されている特殊会社であるということもJRへの追加負担を考える際の論拠となるということもつけ加えておきたいと思います。
最後に、国鉄清算事業団における債務が累積した過程との関連でありますが、累積した最大の要因は、国鉄再建監理委員会の試算では、国民負担分とされた十四・七兆円を三十年で返済するには毎年約一・三兆円の政府助成金が必要とされたのでありますが、その政府助成金が極めて低水準であった、そして財投資金による債務の借りかえが行われたということにあるわけです。
同時に、額としては少しなのでありますけれども、ぜひとも指摘したいことは、一九九〇年に既設新幹線が九・二兆円で本州三社に譲渡されたわけでありますが、その際生じた譲渡収入が整備新幹線整備費などに充当されて国鉄清算事業団の債務償還には充当されなかった、この点を今日も見直すべきではないだろうかと思っております。
以上で私の意見を終わりますけれども、最後に、債務処理に直接は関連いたしませんが、先ほど述べました道路財源との関連で述べておきたいことがあります。特に、揮発油税などの自動車関係税を鉄道投資等の公共交通の整備に充当することは、アメリカ、フランス、ドイツあるいはスウェーデンなど多くの国々で実施されております。特にヨーロッパ諸国では、社会的費用の負担の適正化という観点からも、自動車交通を抑制するためにもそういうことが正当化されているということを申し添えて、私の意見を終わります。
この発言だけを見る →私の専門分野は安企業論という学問でありまして、ここ数年は日本とドイツにおける国鉄改革の比較研究に従事してきました。その立場から、今回提出されました法案のうち、日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律案と一般会計における債務の承継等に伴い必要な財源の確保に係る特別措置に関する法律案を中心に意見を述べさせていただきます。.まず、今回の法案で国鉄清算事業団の債務を国の一般会計に承継するということが提案されておりますが、これまでの土地売却と株式売却の動向を待って清算事業団のいわゆる国民負担分の処理を決定するという、国鉄改革当時から一昨年ころまでの考え方からすれば前進である。清算事業団の債務は国の債務であるということを明確にされたという意味で、私は大いに評価したいと思っております。
しかしながら、債務が承継されたことによって生ずる一般会計の負担増を郵便貯金特別会計からの特別繰り入れやたばこ特別税の創設を財源として対処されようとしていることに関しては、次の二点において疑問を持っております。
まず第一は、国鉄清算事業団の債務を郵便貯金特別会計やたばこ特別税で処理するということについては、私にはその二つの間には論理的な関連性あるいは必然性があるとは思われません。
第二に、仮にそういう枠組みを認めたとしましても、郵便貯金特別会計特別繰り入れというのは、法案によりますと五年間ということになっておりまして、限定的であります。しかも、それはいずれも主に利子支払いに充当されるにすぎないということでありますので、元本の償還財源についてはほとんど手当てされていないのではないかということで限定的であります。それでは、約二十七・八兆円に膨張いたしました国鉄清算事業団の累積債務の処理財源についてはどう考えるべきだろうかということで、私は三点について述べていきたいと思います。
第一に、国鉄改革前における国鉄の長期債務発生の責任の所在、第二に国鉄改革、すなわち国鉄分割・民営化時における国鉄長期債務等の配分方法の問題、第三に国鉄清算事業団債務が累積した過程に即して考えていく必要があると思っております。
時間の関係上、非常にはしょりますが、まず国鉄の長期債務発生の原因については多様でありますが、いわゆる経営欠損の原因の一つが道路整備への重点投資によりモータリゼーションが進んだことを考慮すれば、総合交通行政を前提として、ドイツの国鉄改革で実施されたように揮発油税を引き上げて債務償還の財源にするか、もしくは加藤先生が言われましたように道路財源を圧縮してそれを転用するということが考えられます。
第二に、国鉄分割・民営化時における国鉄長期債務等の配分方法についてでありますが、今日のJR本州三社の経営成績から見まして、JRが承継した長期債務等が過小ではなかったかという点であります。過小でなかったかどうかについての詳細は省略いたしますが、国鉄長期債務等の配分にかかわって、次の二点はぜひとも述べておいた方がよいと思います。
一つは、国鉄清算事業団が継承いたしました長期債務等は資金運用部が主に引き受ける、あるいは資金運用部からの借入金がほとんどでありまして、それに対してJR各社が承継いたしました長期債務等は民間借入金がほとんどでありました。バブル経済下における金利低下等でJR各社は低利借りかえが行われた、それに対して国鉄清算事業団は低利借りかえを行えなかった、あるいは行うことができなかったということであります。
二つ目は、国鉄清算事業団が継承いたしました鉄道債券には、論争があるところでありますが、JR各社による債務保証が設定されていたように思われます。もちろん、今日その多くは借りかえによって国鉄清算事業団債券に置きかえられておりますけれども、そうした債務保証がかつて設定されていたということも考えなければいけません。
なお、JR各社が、特に本州三社は一部株式上場をしたとはいえ、依然として特別の法律によって設立されている特殊会社であるということもJRへの追加負担を考える際の論拠となるということもつけ加えておきたいと思います。
最後に、国鉄清算事業団における債務が累積した過程との関連でありますが、累積した最大の要因は、国鉄再建監理委員会の試算では、国民負担分とされた十四・七兆円を三十年で返済するには毎年約一・三兆円の政府助成金が必要とされたのでありますが、その政府助成金が極めて低水準であった、そして財投資金による債務の借りかえが行われたということにあるわけです。
同時に、額としては少しなのでありますけれども、ぜひとも指摘したいことは、一九九〇年に既設新幹線が九・二兆円で本州三社に譲渡されたわけでありますが、その際生じた譲渡収入が整備新幹線整備費などに充当されて国鉄清算事業団の債務償還には充当されなかった、この点を今日も見直すべきではないだろうかと思っております。
以上で私の意見を終わりますけれども、最後に、債務処理に直接は関連いたしませんが、先ほど述べました道路財源との関連で述べておきたいことがあります。特に、揮発油税などの自動車関係税を鉄道投資等の公共交通の整備に充当することは、アメリカ、フランス、ドイツあるいはスウェーデンなど多くの国々で実施されております。特にヨーロッパ諸国では、社会的費用の負担の適正化という観点からも、自動車交通を抑制するためにもそういうことが正当化されているということを申し添えて、私の意見を終わります。
成
吾
吾妻實#10
○参考人(吾妻實君) 日ごろ国有林問題について御高配を賜っていることに対しまして、心から御礼を申し上げたいと思います。
私のきょうの発言は、現場に勤務している方々を代表しまして意見を申し上げたいと思っております。
私たちは、一九七八年以来、二十年後のバラ色の国有林ということを夢見ながら、よりよい直営、厳格かつ効率的な民間実行の推進に向け、当時は労使対決の時代でありましたけれども、その後、労使協調、労使一体の路線でこの改革の推進に全力を挙げてまいりました。この間、私たちにとっては大変厳しく、また苦しい体験の連続でございましたけれども、その中から私はこの改革案に、一律全面民間実行という問題に対しまして意見を申し上げさせていただきたいと思います。
先生方には資料として御配付をいただいているものと思いますが、別紙一のとおり、五十三年の出発当時に林業事業体の育成・整備方針が抜粋で提示をされてありますので、この内容は省略をいたします。
しかし、その結果、林業、林産業全般の不況あるいは不振が続くと同時に、林業事業体における労働力や処遇改善問題は遅々として進みませんでした。そのことは、資料二の数値でおわかりのとおり、毎年毎年定型的に就労者が減少し、昭和三十年代の数値から見ますと既に四分の一に削減をされ、五十歳以上が七一%にまで達しているという実情にあります。事業体側も機械化や近代化など高性能機械の導入を進められてきまして、その結果、事業は計画的に資料三のとおりの実績を示しております。
しかし、この中で私は二つの問題について申し述べたいと思っております。
その第一の問題は何かといいますと、事業体の事業規模は他の産業の事業規模に比較しまして非常に零細であり、中小レベルの企業が非常に多うございまして、災害の発生は群を抜いております。国有林と比較しましても二ないし三倍、あるいは民間の中小レベルの企業と比較した場合には度数率では五倍から七倍という実績を示し、資料四のとおり、賃金に至っては、建設産業から昭和五十九年に逆転をされて以降、今日までその幅は縮小されておらないというのが第一の問題意識でございます。
二つ目の問題点は何かというと、いわゆる民間実行による森林施業管理がとかく効率性あるいは能率性優先で行われるがためにたまたま森林の荒廃がついて回るという事例が、地元住民から幾つかそういう問題を提起されていることでありまして、いわゆるその責任施行、責任のある山づくりに対して私どもは心を痛めざるを得ないというのが実情であります。
このように、二十年経過してみても、別紙一のいわゆる改善方針にはまだほど遠いという現状からしますと、このままの状態で、この反省もないまますべてを一括全面民間実行だというのは余りにも度がひどいのではないかということであり、国民の理解は得られにくいのではないかというのが私の率直な気持ちであります。
まして今日、公益性や自然環境保全が重要視される時代からしますと、自然条件を無視し、他の産業同様な考え方の効率性の尺度で論ずるのには無理があります。経営の長期性に即し、技術に裏づけされた事業実行、官と民の役割分担は避けることはできないものであろうというふうに考えております。
したがいまして、私は今さら現場の作業をすべて直営でやれなどということを申し上げるつもりもありませんし、そうした考えは持っておりませんが、民間実行く移すということであれば少なくとも流域管理システムに留意をされて、地域の労務事情、事業体の育成・整備状況、年度ごとの責任ある実行のあり方、問題などをその都度検証し、実態に即して経営の柔軟性、判断の余地をぜひ残していただくようにお願いをしておきたいと考えております。
二つ目の問題は何かといいますと、いわゆる大規模な要員削減を中心とした一大リストラ計画が行われたにもかかわらず、債務はそれに反比例をして拡大してきていること、そしてまた森林の荒廃が進んでいることに対しまして、率直に私はやるせない思い、あるいは職場の中には糸車の中のハツカネズミ同然ではないかという批判やあきらめ感が蔓延化しつつあります。
赤字だから、債務処理のためのリストラだからといって、過去四度にわたって見直しを行い、その中心はすべて要員削減でありました。
〔理事成瀬守重君退席、委員長着席〕
この結果、森林の不備とあわせて、先ほど申し上げたように債務は逆に反比例をし、今や国有林の経営は破綻状態、解体直前に追い込まれているという反省を持たないまま現行を改めて、改革案でさらにリストラをやるということには大きな疑念を持っております。
経営の長期性あるいは自然環境条件、そして今なお公益性を重視すべきだという産業の特異性からして、独立採算制のもとで経済・景気動向を無視し、林産物などの自己収入を確保するためにさらに過伐を強いたり、林野・土地売りに明け暮れてみたり、そしてまた要員を一層削減するために他省庁に追いやり、新規採用は他企業より大幅に抑制するなど、資料五に示したとおりであります。
資料六の職場の係にいる責任者も併任せざるを得ないというのが恒常的に拡大しているごときは、私は森林の責任ある管理はとうに及ばないものだというふうに考えておりますし、地元自治体や流域管理システムの中での責任ある行為は行い切れなくなっているというのが今の実情だろうというふうに考えております。
したがいまして、私が最後にお願いしたいことは、森林の適正な保全管理のためには長期の視点に立って林業技術に裏打ちをされた一元、一体的責任のもとで経営を行うことが不可欠であり、これ以上の新規採用の抑制を中心とする職員減らしは限界であるということを訴えておきたいと思います。また、職員の不足に加えまして、予算不足に合わせた山づくりなどは、地域はもちろんのこと、国民の理解は得られないというふうに私は考えております。
したがいまして、債務処理のための新規採用の抑制や併任を拡大させることのないように、要員の一定規模の安定確保は避けられないし、今のままでいった場合には分収育林の適正な管理自身までもできなくなり、職場の士気、やる気を失わせしめてしまいかねない問題を持っているものだと考えます。
したがいまして、現場を預かる代表としましてこの際明確にしておきたいことは何かといいますと、私たち自身、国民から預かったこの共有財産である国有林を名実ともに国民に信頼される国有林として育成管理していくことでありまして、そのための熱意は私はいささかなりとも失ってはおりません。
しかしながら、現場の森林の実態を把握するためには、職員一人にしますと約二十年前後かかります。しかも、その森林管理のためには定員内職員だけではどうしようもなく、少なくとも現場を熟知した技術労働者、いわゆる定員外職員の応援、協力がなければ山は管理できないというのが実態であります。
しかも、その際に、私が改めてお願いしておきたいのは、森林の場合には、一人作業によってクマの被害に遭ったりハチ刺されに遭って被害をこうむっている事例が全国的にございます。したがいまして、現場の山守的な業務には、森林事務所に定員外職員の複数配置をぜひともお願いして、安心して責任のある山づくりができるようにしていただきたいということであります。現在、それに向けて労使問で真剣に精力的に交渉を行っております。したがって、このでき上がった労使合意については、この実現を政治的に裏打ちし、森林づくりの魂を入れていただくようにお願いをしておきたいと思います。
時間が参りましたが、最後に一言だけお願いしておきたいのです。それは営林署問題です。営林署というのは、皆さん御案内のとおり、山づくりの拠点であり、新流域管理システムの拠点でもあると思います。そして、国有林というのは、地元自治体や地域の住民の理解や協力があって初めて国有林が形成され、適正な管理が行われるものだと思います。今のように突然九十八が一方的に示され、けんか別れの状態でこれでなければならないということになってしまった場合に、私はこの先の国有林の経営に大きな支障をもたらすものだと懸念をしております。
したがいまして、この営林署問題も、全国に今、国有林が所在をする営林署は百十三ございますが、こういうところや都市の営林署あるいは山村で複数ある営林署などについては恒久的な代替組織などを置かれるように、柔軟な対応で地元自治体と真剣に話し合う機会を保証していただくことを切にお願いして、参考人の意見陳述にかえさせていただきます。
ありがとうございました。
この発言だけを見る →私のきょうの発言は、現場に勤務している方々を代表しまして意見を申し上げたいと思っております。
私たちは、一九七八年以来、二十年後のバラ色の国有林ということを夢見ながら、よりよい直営、厳格かつ効率的な民間実行の推進に向け、当時は労使対決の時代でありましたけれども、その後、労使協調、労使一体の路線でこの改革の推進に全力を挙げてまいりました。この間、私たちにとっては大変厳しく、また苦しい体験の連続でございましたけれども、その中から私はこの改革案に、一律全面民間実行という問題に対しまして意見を申し上げさせていただきたいと思います。
先生方には資料として御配付をいただいているものと思いますが、別紙一のとおり、五十三年の出発当時に林業事業体の育成・整備方針が抜粋で提示をされてありますので、この内容は省略をいたします。
しかし、その結果、林業、林産業全般の不況あるいは不振が続くと同時に、林業事業体における労働力や処遇改善問題は遅々として進みませんでした。そのことは、資料二の数値でおわかりのとおり、毎年毎年定型的に就労者が減少し、昭和三十年代の数値から見ますと既に四分の一に削減をされ、五十歳以上が七一%にまで達しているという実情にあります。事業体側も機械化や近代化など高性能機械の導入を進められてきまして、その結果、事業は計画的に資料三のとおりの実績を示しております。
しかし、この中で私は二つの問題について申し述べたいと思っております。
その第一の問題は何かといいますと、事業体の事業規模は他の産業の事業規模に比較しまして非常に零細であり、中小レベルの企業が非常に多うございまして、災害の発生は群を抜いております。国有林と比較しましても二ないし三倍、あるいは民間の中小レベルの企業と比較した場合には度数率では五倍から七倍という実績を示し、資料四のとおり、賃金に至っては、建設産業から昭和五十九年に逆転をされて以降、今日までその幅は縮小されておらないというのが第一の問題意識でございます。
二つ目の問題点は何かというと、いわゆる民間実行による森林施業管理がとかく効率性あるいは能率性優先で行われるがためにたまたま森林の荒廃がついて回るという事例が、地元住民から幾つかそういう問題を提起されていることでありまして、いわゆるその責任施行、責任のある山づくりに対して私どもは心を痛めざるを得ないというのが実情であります。
このように、二十年経過してみても、別紙一のいわゆる改善方針にはまだほど遠いという現状からしますと、このままの状態で、この反省もないまますべてを一括全面民間実行だというのは余りにも度がひどいのではないかということであり、国民の理解は得られにくいのではないかというのが私の率直な気持ちであります。
まして今日、公益性や自然環境保全が重要視される時代からしますと、自然条件を無視し、他の産業同様な考え方の効率性の尺度で論ずるのには無理があります。経営の長期性に即し、技術に裏づけされた事業実行、官と民の役割分担は避けることはできないものであろうというふうに考えております。
したがいまして、私は今さら現場の作業をすべて直営でやれなどということを申し上げるつもりもありませんし、そうした考えは持っておりませんが、民間実行く移すということであれば少なくとも流域管理システムに留意をされて、地域の労務事情、事業体の育成・整備状況、年度ごとの責任ある実行のあり方、問題などをその都度検証し、実態に即して経営の柔軟性、判断の余地をぜひ残していただくようにお願いをしておきたいと考えております。
二つ目の問題は何かといいますと、いわゆる大規模な要員削減を中心とした一大リストラ計画が行われたにもかかわらず、債務はそれに反比例をして拡大してきていること、そしてまた森林の荒廃が進んでいることに対しまして、率直に私はやるせない思い、あるいは職場の中には糸車の中のハツカネズミ同然ではないかという批判やあきらめ感が蔓延化しつつあります。
赤字だから、債務処理のためのリストラだからといって、過去四度にわたって見直しを行い、その中心はすべて要員削減でありました。
〔理事成瀬守重君退席、委員長着席〕
この結果、森林の不備とあわせて、先ほど申し上げたように債務は逆に反比例をし、今や国有林の経営は破綻状態、解体直前に追い込まれているという反省を持たないまま現行を改めて、改革案でさらにリストラをやるということには大きな疑念を持っております。
経営の長期性あるいは自然環境条件、そして今なお公益性を重視すべきだという産業の特異性からして、独立採算制のもとで経済・景気動向を無視し、林産物などの自己収入を確保するためにさらに過伐を強いたり、林野・土地売りに明け暮れてみたり、そしてまた要員を一層削減するために他省庁に追いやり、新規採用は他企業より大幅に抑制するなど、資料五に示したとおりであります。
資料六の職場の係にいる責任者も併任せざるを得ないというのが恒常的に拡大しているごときは、私は森林の責任ある管理はとうに及ばないものだというふうに考えておりますし、地元自治体や流域管理システムの中での責任ある行為は行い切れなくなっているというのが今の実情だろうというふうに考えております。
したがいまして、私が最後にお願いしたいことは、森林の適正な保全管理のためには長期の視点に立って林業技術に裏打ちをされた一元、一体的責任のもとで経営を行うことが不可欠であり、これ以上の新規採用の抑制を中心とする職員減らしは限界であるということを訴えておきたいと思います。また、職員の不足に加えまして、予算不足に合わせた山づくりなどは、地域はもちろんのこと、国民の理解は得られないというふうに私は考えております。
したがいまして、債務処理のための新規採用の抑制や併任を拡大させることのないように、要員の一定規模の安定確保は避けられないし、今のままでいった場合には分収育林の適正な管理自身までもできなくなり、職場の士気、やる気を失わせしめてしまいかねない問題を持っているものだと考えます。
したがいまして、現場を預かる代表としましてこの際明確にしておきたいことは何かといいますと、私たち自身、国民から預かったこの共有財産である国有林を名実ともに国民に信頼される国有林として育成管理していくことでありまして、そのための熱意は私はいささかなりとも失ってはおりません。
しかしながら、現場の森林の実態を把握するためには、職員一人にしますと約二十年前後かかります。しかも、その森林管理のためには定員内職員だけではどうしようもなく、少なくとも現場を熟知した技術労働者、いわゆる定員外職員の応援、協力がなければ山は管理できないというのが実態であります。
しかも、その際に、私が改めてお願いしておきたいのは、森林の場合には、一人作業によってクマの被害に遭ったりハチ刺されに遭って被害をこうむっている事例が全国的にございます。したがいまして、現場の山守的な業務には、森林事務所に定員外職員の複数配置をぜひともお願いして、安心して責任のある山づくりができるようにしていただきたいということであります。現在、それに向けて労使問で真剣に精力的に交渉を行っております。したがって、このでき上がった労使合意については、この実現を政治的に裏打ちし、森林づくりの魂を入れていただくようにお願いをしておきたいと思います。
時間が参りましたが、最後に一言だけお願いしておきたいのです。それは営林署問題です。営林署というのは、皆さん御案内のとおり、山づくりの拠点であり、新流域管理システムの拠点でもあると思います。そして、国有林というのは、地元自治体や地域の住民の理解や協力があって初めて国有林が形成され、適正な管理が行われるものだと思います。今のように突然九十八が一方的に示され、けんか別れの状態でこれでなければならないということになってしまった場合に、私はこの先の国有林の経営に大きな支障をもたらすものだと懸念をしております。
したがいまして、この営林署問題も、全国に今、国有林が所在をする営林署は百十三ございますが、こういうところや都市の営林署あるいは山村で複数ある営林署などについては恒久的な代替組織などを置かれるように、柔軟な対応で地元自治体と真剣に話し合う機会を保証していただくことを切にお願いして、参考人の意見陳述にかえさせていただきます。
ありがとうございました。
中
加
加藤雅信#12
○参考人(加藤雅信君) 御紹介いただきました加藤でございます。
今回問題となっております国鉄清算事業団の債務処理の問題は、深刻となっている経済不況の問題とも財政再建の問題とも関連する広がりの大きい問題で、波及的に関係するところは極めて広範囲にわたりますが、時間も限られておりますので、ここではJR共済が厚生年金に統合することに伴ってJR各社が厚生年金移換金の一部を負担するのが正当かどうかという点に限定してお話をさせていただきたいと思っております。この問題に詳しい先生方を前にしてこんなことを申し上げるのも恐縮ですが、私はこれは余り複雑な問題ではないと思っております。
国鉄は昭和六十二年に事実上破産いたしまして、JR各社と国鉄清算事業団とがその事業を引き継ぎました。それに伴って、年金を扱う国鉄共済もJR共済となったわけですが、これも平成九年には破綻を来し、厚生年金に引き取っていただくことになったわけです。
例え話で恐縮ですが、民間会社に例えて言いますと、国鉄は財政状況が悪化して更生会社になったようなものです。会社更生に伴って旧会社をやめなければいけない者もいたが、新会社に移れた者もいた。今国会に提出されている法案の内容を一言で言えば、新会社に移った者については、JRさん、ちゃんと新会社で年金の面倒を見てくださいね、費用は新会社持ちですよというものです。ところが、JRさんはそれは嫌だとおっしゃる。新会社に来てからの分は自分たちで持つけれども、旧会社時代の分は持たないとおっしゃるわけです。それでは、旧会社時代の分だけこの人たちが年金は少なくなっても仕方がないとおっしゃるならば話は別ですが、そうはおっしゃらないわけですので、その人たちがちゃんとした年金を受け取るためには結局税金で国民が負担するなりなんなりしなければならないということになります。
しかし、この世の中で会社更生等があったときに、旧会社から新会社へと続いて働いている人たちの昔の年金分を新会社は払わない、よそが払ってくれと言ったら、理屈を考えてもそれはちょっと通らないと思います。年金の拠出を更生会社が怠っていたような場合を考えますと、更生手続開始以後の拠出分は共益債権、その前のは更生債権となると思いますが、いずれにしても更生会社が負担を免れるようなシステムは採用されておりません。それを考えますと、今回の議論についても、JRさん、今の主張はちょっと行き過ぎではないでしょうかと思われてならないのです。
今回の法案は国鉄清算事業団債務処理法案と呼ばれております。題が一般的な債務処理となっているものですから、国鉄清算事業団の負っている債務をこのごろもうかっているらしいJRに少しは負担させてもよいのではないかという議論ではないかと一部に思われているところがあるようです。もちろん、民間会社がもうかっているからといって、そこに関係ない債務を負担させるなどということは、江戸時代の冥加金でもあるまいし、許されるはずもありません。この部屋にいらっしゃるような専門家の方にはこのような誤解の心配はないと思いますが、大学等で学生等々と話しておりますと、一部にこのような誤解があるようです。
ですから、今回の法案はJR各社に一般的な債務負担を求めるものではなく、自分たちが雇い続けている従業員の年金負担を求めるものにすぎないことを世の中の人にわかっていただいた上で、世論の動向を見きわめる必要があると思います。現在の案でも、国鉄に勤めていてJRに来なかった人たちの年金分は公的資金による負担、具体的に言いますと、国庫補助金を含む形での鉄建公団負担となっているわけですから。
次に、今回のJR共済の厚生年金への統合に関しての厚生年金、国家公務員共済、地方公務員共済、私学共済等の他の機関の負担とJR負担とのバランス論を考えてみたいと思います。
初歩的な話で申しわけありませんが、年金制度には二つの側面があります。一人の人に即して長い年月を見れば、若いころから掛金の形でせっせと積み立てをし、いわば貯金をしておいて、年をとってからそれを取り崩すという側面があります。また、一定時点で横断的に見れば、若い世代が年をとった世代を支えるという世代間扶養の側面もあります。
JR共済が立ち行かなくなったので厚生年金に統合するということは、厚生年金に入っている人たちから見れば、自分たちが営々と貯金をしてきて、さあこれから次の世代に扶養してもらおうと思っていたところにJR共済の人たちが割り込んできたという側面があります。言葉は悪いですが、自分たちの預金に基づく年金制度を一部横取りされる側面があることは否定できません。
今回支援を予定されている幾つもの共済制度にしても、本来なら自分たちの年金に回る部分を削って、関係ないはずのJR共済の人たちを救っていくのです。厚生年金の加入者や他の共済組合の構成員たちは、今回六兆円分自分たちの年金を削って、本来は無関係のJR共済の構成員を救おうとしているのです。国鉄の財政破綻にしても、JR共済の崩壊にしても、赤字路線の建設を押しつけられたり、人員構成の世代間の比率がバランスを崩したことの要因が大きく、国鉄やJRの人々には気の毒な側面が強いのですが、旧国鉄の経営が万全なものだったとも思えません。
再度比喩となりますが、イソップのアリとキリギリスの話で言えば、厚生年金の加入者や他の共済組合の構成員たちはアリのように働いてためてきたものをJR共済の構成員のために譲って、気の毒な状況にあるキリギリスを救おうと乗り出し始めたわけです。昭和六十二年に国鉄がだめになった段階でJR共済も早晩だめになるであろうことは明らかだったとは思いますが、破産に瀕した人たちを前にして自己責任の原則を正面から言うことを皆は遠慮しました。その段階では、JRがどうなるかも、JR共済の先々の破綻をどのように救済するのかの具体案もだれにもわかりませんでしたから。
しかし、JR各社のうち、少なくとも三社は黒字になっています。ところが、関係ない他の年金に六兆円の負担を求めながら、JRさんたちは自分たちの社員についての千八百億円の負担を嫌だとおっしゃろうとしているのです。十年前の国鉄崩壊のときには、国民たちは公的負担も我慢しました。国鉄が息も絶え絶えだったからです。
しかし、新生JR、少なくとも一部の会社が息を吹き返し、満腹になりながら、無関係の他の年金には身を削った負担を求め、自分たちは社員の面倒も見ないというのであれば、他の年金の関係者たちは、JRさん、それはないよ、それじゃキリギリスの居直りだと思うのではないでしょうか。
私は名古屋に住んでおります。きょうの会にも新幹線で来ました。しょっちゅう新幹線を使います。アメリカやヨーロッパにもよく行きますが、そちらで鉄道に乗るたびに日本のJRの優秀さをとても誇りに思い、JRをこよなく愛している人間の一人のつもりです。また、国家公務員共済の加入者として身を削ってJR共済を助けることになる者の一人ですが、別段それに異を唱えるつもりもありません。それだけに、今回のようなJRの主張を聞くととてもがっかりし、他人に物を頼む前に自分でやるべきことはやってくださいよとお願いしたくなります。もちろん、お願いという穏やかな形で申してはおりますが、心の中ではそれは本来当然のことではないでしょうかとも思っているのです。
勝手なことばかり申し上げました。失礼の段をお許しいただければ幸いです。
ありがとうございました。
この発言だけを見る →今回問題となっております国鉄清算事業団の債務処理の問題は、深刻となっている経済不況の問題とも財政再建の問題とも関連する広がりの大きい問題で、波及的に関係するところは極めて広範囲にわたりますが、時間も限られておりますので、ここではJR共済が厚生年金に統合することに伴ってJR各社が厚生年金移換金の一部を負担するのが正当かどうかという点に限定してお話をさせていただきたいと思っております。この問題に詳しい先生方を前にしてこんなことを申し上げるのも恐縮ですが、私はこれは余り複雑な問題ではないと思っております。
国鉄は昭和六十二年に事実上破産いたしまして、JR各社と国鉄清算事業団とがその事業を引き継ぎました。それに伴って、年金を扱う国鉄共済もJR共済となったわけですが、これも平成九年には破綻を来し、厚生年金に引き取っていただくことになったわけです。
例え話で恐縮ですが、民間会社に例えて言いますと、国鉄は財政状況が悪化して更生会社になったようなものです。会社更生に伴って旧会社をやめなければいけない者もいたが、新会社に移れた者もいた。今国会に提出されている法案の内容を一言で言えば、新会社に移った者については、JRさん、ちゃんと新会社で年金の面倒を見てくださいね、費用は新会社持ちですよというものです。ところが、JRさんはそれは嫌だとおっしゃる。新会社に来てからの分は自分たちで持つけれども、旧会社時代の分は持たないとおっしゃるわけです。それでは、旧会社時代の分だけこの人たちが年金は少なくなっても仕方がないとおっしゃるならば話は別ですが、そうはおっしゃらないわけですので、その人たちがちゃんとした年金を受け取るためには結局税金で国民が負担するなりなんなりしなければならないということになります。
しかし、この世の中で会社更生等があったときに、旧会社から新会社へと続いて働いている人たちの昔の年金分を新会社は払わない、よそが払ってくれと言ったら、理屈を考えてもそれはちょっと通らないと思います。年金の拠出を更生会社が怠っていたような場合を考えますと、更生手続開始以後の拠出分は共益債権、その前のは更生債権となると思いますが、いずれにしても更生会社が負担を免れるようなシステムは採用されておりません。それを考えますと、今回の議論についても、JRさん、今の主張はちょっと行き過ぎではないでしょうかと思われてならないのです。
今回の法案は国鉄清算事業団債務処理法案と呼ばれております。題が一般的な債務処理となっているものですから、国鉄清算事業団の負っている債務をこのごろもうかっているらしいJRに少しは負担させてもよいのではないかという議論ではないかと一部に思われているところがあるようです。もちろん、民間会社がもうかっているからといって、そこに関係ない債務を負担させるなどということは、江戸時代の冥加金でもあるまいし、許されるはずもありません。この部屋にいらっしゃるような専門家の方にはこのような誤解の心配はないと思いますが、大学等で学生等々と話しておりますと、一部にこのような誤解があるようです。
ですから、今回の法案はJR各社に一般的な債務負担を求めるものではなく、自分たちが雇い続けている従業員の年金負担を求めるものにすぎないことを世の中の人にわかっていただいた上で、世論の動向を見きわめる必要があると思います。現在の案でも、国鉄に勤めていてJRに来なかった人たちの年金分は公的資金による負担、具体的に言いますと、国庫補助金を含む形での鉄建公団負担となっているわけですから。
次に、今回のJR共済の厚生年金への統合に関しての厚生年金、国家公務員共済、地方公務員共済、私学共済等の他の機関の負担とJR負担とのバランス論を考えてみたいと思います。
初歩的な話で申しわけありませんが、年金制度には二つの側面があります。一人の人に即して長い年月を見れば、若いころから掛金の形でせっせと積み立てをし、いわば貯金をしておいて、年をとってからそれを取り崩すという側面があります。また、一定時点で横断的に見れば、若い世代が年をとった世代を支えるという世代間扶養の側面もあります。
JR共済が立ち行かなくなったので厚生年金に統合するということは、厚生年金に入っている人たちから見れば、自分たちが営々と貯金をしてきて、さあこれから次の世代に扶養してもらおうと思っていたところにJR共済の人たちが割り込んできたという側面があります。言葉は悪いですが、自分たちの預金に基づく年金制度を一部横取りされる側面があることは否定できません。
今回支援を予定されている幾つもの共済制度にしても、本来なら自分たちの年金に回る部分を削って、関係ないはずのJR共済の人たちを救っていくのです。厚生年金の加入者や他の共済組合の構成員たちは、今回六兆円分自分たちの年金を削って、本来は無関係のJR共済の構成員を救おうとしているのです。国鉄の財政破綻にしても、JR共済の崩壊にしても、赤字路線の建設を押しつけられたり、人員構成の世代間の比率がバランスを崩したことの要因が大きく、国鉄やJRの人々には気の毒な側面が強いのですが、旧国鉄の経営が万全なものだったとも思えません。
再度比喩となりますが、イソップのアリとキリギリスの話で言えば、厚生年金の加入者や他の共済組合の構成員たちはアリのように働いてためてきたものをJR共済の構成員のために譲って、気の毒な状況にあるキリギリスを救おうと乗り出し始めたわけです。昭和六十二年に国鉄がだめになった段階でJR共済も早晩だめになるであろうことは明らかだったとは思いますが、破産に瀕した人たちを前にして自己責任の原則を正面から言うことを皆は遠慮しました。その段階では、JRがどうなるかも、JR共済の先々の破綻をどのように救済するのかの具体案もだれにもわかりませんでしたから。
しかし、JR各社のうち、少なくとも三社は黒字になっています。ところが、関係ない他の年金に六兆円の負担を求めながら、JRさんたちは自分たちの社員についての千八百億円の負担を嫌だとおっしゃろうとしているのです。十年前の国鉄崩壊のときには、国民たちは公的負担も我慢しました。国鉄が息も絶え絶えだったからです。
しかし、新生JR、少なくとも一部の会社が息を吹き返し、満腹になりながら、無関係の他の年金には身を削った負担を求め、自分たちは社員の面倒も見ないというのであれば、他の年金の関係者たちは、JRさん、それはないよ、それじゃキリギリスの居直りだと思うのではないでしょうか。
私は名古屋に住んでおります。きょうの会にも新幹線で来ました。しょっちゅう新幹線を使います。アメリカやヨーロッパにもよく行きますが、そちらで鉄道に乗るたびに日本のJRの優秀さをとても誇りに思い、JRをこよなく愛している人間の一人のつもりです。また、国家公務員共済の加入者として身を削ってJR共済を助けることになる者の一人ですが、別段それに異を唱えるつもりもありません。それだけに、今回のようなJRの主張を聞くととてもがっかりし、他人に物を頼む前に自分でやるべきことはやってくださいよとお願いしたくなります。もちろん、お願いという穏やかな形で申してはおりますが、心の中ではそれは本来当然のことではないでしょうかとも思っているのです。
勝手なことばかり申し上げました。失礼の段をお許しいただければ幸いです。
ありがとうございました。
中
中曽根弘文#13
○委員長(中曽根弘文君) ありがとうございました。
以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
これより参考人に対する質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。
この発言だけを見る →以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
これより参考人に対する質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。
国
国井正幸#14
○国井正幸君 自由民主党の国井正幸でございます。
きょうは先生方、大変にお忙しいところを御出席いただきましてありがとうございます。限られた時間でございますけれども、参考人の皆さんに御意見をお伺いしたいというふうに思います。
まず最初に、加藤寛先生にお伺いをしたいと思います。
先生は土光臨調の時代からいわゆる三公社の民営化の問題に参画してこられまして、特に国鉄再建監理委員会においては委員長代理、こういう重責を担っていただいたわけでございまして、いわば今の新生JRでは生みの親のような存在であるというふうに私は考えております。そういう意味で、今般のこの国鉄清算事業団の債務処理についてお伺いをしたい、このように思います。
国鉄改革時の閣議決定では、土地などの自主財源を充ててもなお残る債務等については「最終的には国において処理するものとするが、」というふうなことで、先ほどもお話がありました。「その本格的な処理のために必要な新たな財源・措置」については、雇用対策、土地の処分等の見通しのおおよそつくと考えられる段階で、歳入・歳出の全般的見直しとあわせて検討、決定する。しと、こういうふうなくだりがあるわけです。
そこで、今いろいろ議論になっているのが「国において処理する」、この文章、先ほど先生もおっしゃいましたが、極めて包括的な表現であった。ここに来て、いわゆる年金移換金の一部JR負担、こういう部分もありまして、ただいま加藤雅信先生の方からも御主張があったわけでありますが、議論がたくさん出ているのは事実でございます。
当時からしてこの国鉄年金の厚生年金への移換というのが想定されていたかいなかったかもいろいろあると思いますが、当時の状況から考えて今日的なこの状況をどのようにお思いになるか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
この発言だけを見る →きょうは先生方、大変にお忙しいところを御出席いただきましてありがとうございます。限られた時間でございますけれども、参考人の皆さんに御意見をお伺いしたいというふうに思います。
まず最初に、加藤寛先生にお伺いをしたいと思います。
先生は土光臨調の時代からいわゆる三公社の民営化の問題に参画してこられまして、特に国鉄再建監理委員会においては委員長代理、こういう重責を担っていただいたわけでございまして、いわば今の新生JRでは生みの親のような存在であるというふうに私は考えております。そういう意味で、今般のこの国鉄清算事業団の債務処理についてお伺いをしたい、このように思います。
国鉄改革時の閣議決定では、土地などの自主財源を充ててもなお残る債務等については「最終的には国において処理するものとするが、」というふうなことで、先ほどもお話がありました。「その本格的な処理のために必要な新たな財源・措置」については、雇用対策、土地の処分等の見通しのおおよそつくと考えられる段階で、歳入・歳出の全般的見直しとあわせて検討、決定する。しと、こういうふうなくだりがあるわけです。
そこで、今いろいろ議論になっているのが「国において処理する」、この文章、先ほど先生もおっしゃいましたが、極めて包括的な表現であった。ここに来て、いわゆる年金移換金の一部JR負担、こういう部分もありまして、ただいま加藤雅信先生の方からも御主張があったわけでありますが、議論がたくさん出ているのは事実でございます。
当時からしてこの国鉄年金の厚生年金への移換というのが想定されていたかいなかったかもいろいろあると思いますが、当時の状況から考えて今日的なこの状況をどのようにお思いになるか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
加
加藤寛#15
○参考人(加藤寛君) 今御質問のありました点でございますが、最初の国鉄再建監理委員会で答申を出しましたときに、国鉄の債務は非常に大きいから、これを処理するといたしましても、例えば株を売る、土地を売る、そういうことを通じていろいろな工夫をしてみてなお残るものがどうしてもあるだろう、これは私たちとしてはそれはある程度予想されたことでございますから、そういうふうに考えました。
そのときに年金問題が入っていたかどうかと申しますと、実は年金について議論はしておりました。しておりましたけれども、この年金を共済年金に移換することができるかどうか、つまりそれは共済年金の方が認めてくれなきゃだめでありますから、それをやってくれるかどうか。それからまた、後には厚年と当然一致させなきゃならぬだろう、統合しなきゃならぬだろうということは思っておりましたけれども、しかしそれをその段階でもって断言することはできないというふうに私どもは考えまして、そのことは国の処理に任せるという表現になったわけでございます。
したがって、今日そのことが表に出てきたわけでございまして、その意味ではまさに追加負担は私どもからすれば当然残った新たなる負担である、こういうふうに考えているところでございます。
この発言だけを見る →そのときに年金問題が入っていたかどうかと申しますと、実は年金について議論はしておりました。しておりましたけれども、この年金を共済年金に移換することができるかどうか、つまりそれは共済年金の方が認めてくれなきゃだめでありますから、それをやってくれるかどうか。それからまた、後には厚年と当然一致させなきゃならぬだろう、統合しなきゃならぬだろうということは思っておりましたけれども、しかしそれをその段階でもって断言することはできないというふうに私どもは考えまして、そのことは国の処理に任せるという表現になったわけでございます。
したがって、今日そのことが表に出てきたわけでございまして、その意味ではまさに追加負担は私どもからすれば当然残った新たなる負担である、こういうふうに考えているところでございます。
国
国井正幸#16
○国井正幸君 続いて、やはり加藤先生にお伺いをしたいと思います。
この国鉄清算事業団の処理というのは、いわゆる国鉄改革で残された最後の最も大きな重要な課題だというふうに私どもも認識をさせていただいております。
先生が九月三日に朝日新聞に投稿された「論壇」を私も読ませていただきました。認識は極めて私どもと同じでありまして、一刻の猶予も許されない、早急に解決すべき課題だということでございます。
おかげさまで分割・民営化後のJRにつきましては、関係者の皆さんの大変な御努力もありましておおむね順調に経営も推移しているわけでありまして、私どもも心から敬意を表したい、このように思っているわけであります。しかしその一方で、JRの方はよくなった、しかし残された清算事業団の方の債務については、当初の二十五兆五千億と言われたものが今や二十七兆八千億と大変に膨らんで、先生のお話じゃありませんが、根雪の上に新雪がどんどんたまって雪だるま式にふえている、早急にこれは解決をしなければならぬ、そういうわけで今回の処理策というものが出たわけでございます。
ただ、この債務処理の中身を検討していきますと、国鉄については、これは林野にも相通ずるんですが、六十年という非常に長きにわたる期間を要するということが一つ。林野においても五十年ということですね。非常に長い。そして、郵貯特会からの利子補給の二千億というのが、五年間という一つ期限が切られているという問題があります。それ以降の財源は一体どうするんだというのは、これは六十年もの中で五年間は少なくとも見える。しかし、そこから先はどうするんだという問題が一つあります。
それから、いわゆる元本償還を一般会計の歳出を抑制する中でトータルとして見ていこうと。一部はたばこの税による部分を入れていくということでありますが、これは微々たるものなんです。そういう意味で見ていきますと、この六十年あるいは五十年という非常に長い中で先を見通すというのは非常に困難な様相もあるというふうに思うんです。
これらについて総じて言うと、今回の処理策、これはやらなくちゃならないということで緊急にやったという点については、私はもうこれしかないというふうに思っておりますが、そういう長期にわたる部分と将来の見通し等について、この処理策に対しての評価と、この処理策を実行していく上で留意すべき点等について御示唆をいただければありがたい、このように思います。
この発言だけを見る →この国鉄清算事業団の処理というのは、いわゆる国鉄改革で残された最後の最も大きな重要な課題だというふうに私どもも認識をさせていただいております。
先生が九月三日に朝日新聞に投稿された「論壇」を私も読ませていただきました。認識は極めて私どもと同じでありまして、一刻の猶予も許されない、早急に解決すべき課題だということでございます。
おかげさまで分割・民営化後のJRにつきましては、関係者の皆さんの大変な御努力もありましておおむね順調に経営も推移しているわけでありまして、私どもも心から敬意を表したい、このように思っているわけであります。しかしその一方で、JRの方はよくなった、しかし残された清算事業団の方の債務については、当初の二十五兆五千億と言われたものが今や二十七兆八千億と大変に膨らんで、先生のお話じゃありませんが、根雪の上に新雪がどんどんたまって雪だるま式にふえている、早急にこれは解決をしなければならぬ、そういうわけで今回の処理策というものが出たわけでございます。
ただ、この債務処理の中身を検討していきますと、国鉄については、これは林野にも相通ずるんですが、六十年という非常に長きにわたる期間を要するということが一つ。林野においても五十年ということですね。非常に長い。そして、郵貯特会からの利子補給の二千億というのが、五年間という一つ期限が切られているという問題があります。それ以降の財源は一体どうするんだというのは、これは六十年もの中で五年間は少なくとも見える。しかし、そこから先はどうするんだという問題が一つあります。
それから、いわゆる元本償還を一般会計の歳出を抑制する中でトータルとして見ていこうと。一部はたばこの税による部分を入れていくということでありますが、これは微々たるものなんです。そういう意味で見ていきますと、この六十年あるいは五十年という非常に長い中で先を見通すというのは非常に困難な様相もあるというふうに思うんです。
これらについて総じて言うと、今回の処理策、これはやらなくちゃならないということで緊急にやったという点については、私はもうこれしかないというふうに思っておりますが、そういう長期にわたる部分と将来の見通し等について、この処理策に対しての評価と、この処理策を実行していく上で留意すべき点等について御示唆をいただければありがたい、このように思います。
加
加藤寛#17
○参考人(加藤寛君) ただいまの御質問の点でございますが、私はかねてから、新雪はとにかくとめなければいけない、そして長期にわたって残るものがあるのでそれは漸次解決していかなければならないという立場をとってまいりましたが、そのときの方策として私の頭の中にありましたのは、当然のことでありますけれども、総合交通的な発想を持たなければなりません。つまり、国鉄だけの問題として処理するのではなくて、道路、航空、そういったものを含めて論ずる必要がある、こういうふうに私は思っております。
したがって、六十年という長きにわたってやるときに、最初の五年間は何とか財政的にバランスがとれますけれども、それ以後についてはとれないということでございます。根雪の問題についてはまさにそこから議論が始まることである、こういうふうに私は思っております。
したがって、この議論につきましては、もう一度交通体系を見直すということが当然出てくるわけでございまして、それをやることによりまして、恐らく日本全体の大きな債務と一緒にこの問題も処理することができるというふうに私は考えております。
その場合、財政の改革が重要でございまして、財政の見直し、特に現在私が思っておりますのは、いろいろな国有財産などがございますけれども、こういうものについても当然民営化することを頭の中に入れておかなければならない。そういうことを詰めていきますと、当然それが解決策の道につながっていく。つまり、小さな政府がそこで実現されてくるということで解決されていくんだというふうに考えております。
この発言だけを見る →したがって、六十年という長きにわたってやるときに、最初の五年間は何とか財政的にバランスがとれますけれども、それ以後についてはとれないということでございます。根雪の問題についてはまさにそこから議論が始まることである、こういうふうに私は思っております。
したがって、この議論につきましては、もう一度交通体系を見直すということが当然出てくるわけでございまして、それをやることによりまして、恐らく日本全体の大きな債務と一緒にこの問題も処理することができるというふうに私は考えております。
その場合、財政の改革が重要でございまして、財政の見直し、特に現在私が思っておりますのは、いろいろな国有財産などがございますけれども、こういうものについても当然民営化することを頭の中に入れておかなければならない。そういうことを詰めていきますと、当然それが解決策の道につながっていく。つまり、小さな政府がそこで実現されてくるということで解決されていくんだというふうに考えております。
国
国井正幸#18
○国井正幸君 ありがとうございました。
続いて、林野問題について吾妻参考人にお伺いをしたいと思います。
このたび国有林野事業の改革案が示されたわけでありまして、これまでは独立採算制という名のもとに債務が新たな債務を生む。さっきの話じゃないですが、借金地獄というのでしょうか、大変な状況であったわけでございます。これらの原因は、木材の輸入自由化あるいは価格の低迷とか、いろんな事情があったわけでありますけれども、先ほどの吾妻参考人のお話じゃありませんが糸車の中の白ネズミだと、こういうふうに例えられるように大変な状況であったことは私どもも理解できるわけであります。
今回は、少なくとも森林の持つ公益的機能というものが非常に重視をされて、営林局・署も森林管理局あるいは署というふうなことになってきて、ネーミングも含めて変わってきている。あわせて、この累積債務の三兆八千億についても、二兆八千億円は一般会計、一兆円については一般会計からの繰り入れを前提とした林野特会にしていく、こういうふうなことになったわけでありまして、私としては画期的な改革なのではないか、このように基本的な認識をいたしております。
ただしかし、こういう新しい再建計画ができても、実際にこれを実行していくのは林野庁の職員の皆さんなんですね。何といったってやっぱり現場できちっとやってもらわなくちゃだめなんですね。仏をつくって魂入れずという言葉がありますけれども、枠組みはここでできます。しかし、現実に実行していただくのは皆さん方なんですね。
そこで、要員の問題というのも当然出てくるわけでありまして、ピーク時の八万九千人から今一万三千五百人ですか、これは大変な御努力をされてきたというのはよくわかります。私は当局の皆さんにも申し上げておるんですが、労使でよく話し合って、いい労使関係の中でこの改革案をぜひ実行してもらいたい、このように思っておるんです。
参考人は全林野の中央執行委員長でもあられますので、その辺のお考えについて、もう時間も余りないんですが三分程度でお考えをお聞かせをいただきたい、このように思います。
この発言だけを見る →続いて、林野問題について吾妻参考人にお伺いをしたいと思います。
このたび国有林野事業の改革案が示されたわけでありまして、これまでは独立採算制という名のもとに債務が新たな債務を生む。さっきの話じゃないですが、借金地獄というのでしょうか、大変な状況であったわけでございます。これらの原因は、木材の輸入自由化あるいは価格の低迷とか、いろんな事情があったわけでありますけれども、先ほどの吾妻参考人のお話じゃありませんが糸車の中の白ネズミだと、こういうふうに例えられるように大変な状況であったことは私どもも理解できるわけであります。
今回は、少なくとも森林の持つ公益的機能というものが非常に重視をされて、営林局・署も森林管理局あるいは署というふうなことになってきて、ネーミングも含めて変わってきている。あわせて、この累積債務の三兆八千億についても、二兆八千億円は一般会計、一兆円については一般会計からの繰り入れを前提とした林野特会にしていく、こういうふうなことになったわけでありまして、私としては画期的な改革なのではないか、このように基本的な認識をいたしております。
ただしかし、こういう新しい再建計画ができても、実際にこれを実行していくのは林野庁の職員の皆さんなんですね。何といったってやっぱり現場できちっとやってもらわなくちゃだめなんですね。仏をつくって魂入れずという言葉がありますけれども、枠組みはここでできます。しかし、現実に実行していただくのは皆さん方なんですね。
そこで、要員の問題というのも当然出てくるわけでありまして、ピーク時の八万九千人から今一万三千五百人ですか、これは大変な御努力をされてきたというのはよくわかります。私は当局の皆さんにも申し上げておるんですが、労使でよく話し合って、いい労使関係の中でこの改革案をぜひ実行してもらいたい、このように思っておるんです。
参考人は全林野の中央執行委員長でもあられますので、その辺のお考えについて、もう時間も余りないんですが三分程度でお考えをお聞かせをいただきたい、このように思います。
吾
吾妻實#19
○参考人(吾妻實君) ただいま先生から御指摘があったとおりだと考えております。まさにこれが最後のチャンスだ、最後の改革だという根性で労使で真剣になって論議をして、早期にまとめて、そして国民の負託にこたえられるようにしたいというふうに考えております。
この発言だけを見る →国
藤
藤井俊男#21
○藤井俊男君 民主党・新緑風会の藤井俊男でございます。参考人の先生方、早朝から大変御苦労さまでございます。御礼を申し上げます。
それでは、順に質問をさせていただきたいと思います。
まず、林野事業の関係で大内参考人にお聞かせを賜りたいと思っております。
今回の林野事業三法案につきましては、林政審議会答申等を踏まえまして提案されておるところでありますけれども、国有林野事業が危機的な財政状況であるという中で経営改善が求められているところであります。一方で、私は国有林野事業の実態を踏まえた論議が求められていると思います。すなわち、国有林野の有する公益的機能の維持増進に支障が生ずるのではないかという心配、あるいは森林育成に不可欠な間伐の実施のおくれ、要員問題等の課題を抱えながら国有林野事業の将来にわたってどう適切に管理していくのかという我が国の林野事業におけるビジョンが求められております。
先ほど大内参考人さんから国有林、民有林の垣根を外してやる必要があるという御意見、基本方針もまた必要だという点が述べられておりますけれども、先生のビジョン、考え方についてお聞かせを賜れればと思います。よろしくお願いします。
この発言だけを見る →それでは、順に質問をさせていただきたいと思います。
まず、林野事業の関係で大内参考人にお聞かせを賜りたいと思っております。
今回の林野事業三法案につきましては、林政審議会答申等を踏まえまして提案されておるところでありますけれども、国有林野事業が危機的な財政状況であるという中で経営改善が求められているところであります。一方で、私は国有林野事業の実態を踏まえた論議が求められていると思います。すなわち、国有林野の有する公益的機能の維持増進に支障が生ずるのではないかという心配、あるいは森林育成に不可欠な間伐の実施のおくれ、要員問題等の課題を抱えながら国有林野事業の将来にわたってどう適切に管理していくのかという我が国の林野事業におけるビジョンが求められております。
先ほど大内参考人さんから国有林、民有林の垣根を外してやる必要があるという御意見、基本方針もまた必要だという点が述べられておりますけれども、先生のビジョン、考え方についてお聞かせを賜れればと思います。よろしくお願いします。
大
大内力#22
○参考人(大内力君) ただいまの御質問でございますが、非常に細かいことは私も十分知っておりませんけれども、御案内のように森林法の改正によりまして地域ごとの森林計画がつくられるということになっております。この森林計画をつくるときに、国有林は一員としては参加しておりませんが、これを変えまして、やはり地域の要求を酌み取りながら、流域ごとといいますか地域ごとにきちんとした森林計画をつくる、その森林計画をつくるときにはできる限り公益的な機能を尊重するという立場をとってつくる。
その計画に従って施業をしてまいります場合に、先ほど申し上げましたように、民間では労力不足あるいは採算が全然とれないということから、ほとんど実行できないというところが多数生じているわけでございますから、それを国が何らかの形で援助をする必要がある。これは単なる資金的な援助だけではもう問に合いませんで、技術なり技能なり人員なりというものまで援助しなければ、民有林は到底回復することができないだろうというふうに考えております。
そこで、国有林の持っております人材と技能等を動員いたしまして地域の民有林まで施業の手伝いをする、その費用は森林所有者から何らかの形で年賦なりなんなりで回収する必要があると思いますけれども、そういうことを考えるべきであって、むしろ国有林の事業を縮小するというのでは日本全体の森林が維持できなくなるだろうということを申し上げたわけでございます。
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そこで、国有林の持っております人材と技能等を動員いたしまして地域の民有林まで施業の手伝いをする、その費用は森林所有者から何らかの形で年賦なりなんなりで回収する必要があると思いますけれども、そういうことを考えるべきであって、むしろ国有林の事業を縮小するというのでは日本全体の森林が維持できなくなるだろうということを申し上げたわけでございます。
藤
藤井俊男#23
○藤井俊男君 ありがとうございました。
次に、JRの関係で玉置参考人にお聞かせを賜りたいと思います。
今回の債務処理に当たりまして、その負担が問題になっているところであります。つまり、JRの三千六百億円の追加負担についてであります。この問題につきましては平成八年に閣議で決定をされております。つまり、この時点でJRと国の負担は決着済みと思っております。そこで、閣議決定に違反しているとか、民営化されたJRに追加負担を課すのは国鉄改革に反するという意見があるわけであります。JRは負担すべきものは全額支払い済みと言っておりますが、参考人の御意見を承りたいと思います。
この発言だけを見る →次に、JRの関係で玉置参考人にお聞かせを賜りたいと思います。
今回の債務処理に当たりまして、その負担が問題になっているところであります。つまり、JRの三千六百億円の追加負担についてであります。この問題につきましては平成八年に閣議で決定をされております。つまり、この時点でJRと国の負担は決着済みと思っております。そこで、閣議決定に違反しているとか、民営化されたJRに追加負担を課すのは国鉄改革に反するという意見があるわけであります。JRは負担すべきものは全額支払い済みと言っておりますが、参考人の御意見を承りたいと思います。
玉
玉置和宏#24
○参考人(玉置和宏君) 年金の問題については、ただいま先生がお話しなさいましたように、一九九五年の公的年金制度の一元化に関する懇談会で報告書をつくっております。翌年、政府はその報告書に基づいて、JRの負担を二、清算事業団の負担、つまり政府の負担を八というふうに明確に区分して、これを閣議決定したわけであります。私はこれ以上の明確な区分はないと。また、国民も、これがそうではないんだ、実は何かの事情でもし変更があれば別に追加すべきなんだというようなことがあるとすれば、それはそのときの懇談会なり閣議決定の場でそういう議論をすべきでありまして、していないということは国民を今ミスリードしている、こういうふうに私は考えておるんです。
この発言だけを見る →藤
藤井俊男#25
○藤井俊男君 続いて玉置参考人にさらにお聞かせを賜りたいと思います。
この件につきまして、法律的に強制することは憲法第二十九条の財産権を侵害する疑いがあるとも言われておりますが、この件について御意見をお聞かせ賜りたいと思います。
この発言だけを見る →この件につきまして、法律的に強制することは憲法第二十九条の財産権を侵害する疑いがあるとも言われておりますが、この件について御意見をお聞かせ賜りたいと思います。
玉
玉置和宏#26
○参考人(玉置和宏君) 私は法律の専門家ではございませんが、もし一般の企業がこういう形で一つの法律で政府から一定の支出を強制されるということであれば、これは先生が今御指摘のようなことになる疑いがあろうかと思います。もしこの法律が通った場合に、JRがどういう対応をするのか私は存じませんが、あるいは訴訟に踏み切らざるを得ないかもしれません。そうした場合に、これは国際的な大変大きな話に発展する可能性がある、そういうふうに私は考えております。
この発言だけを見る →藤
藤井俊男#27
○藤井俊男君 さらに玉置参考人にお尋ねしたいと思います。
今回の処理スキームは、肝心の元本処理のための財源については明確にされておらず、その意味で抜本的な処理方法とは言えない代物ではないかと考えるんですが、参考人の御意見を承りたいと思います。
この発言だけを見る →今回の処理スキームは、肝心の元本処理のための財源については明確にされておらず、その意味で抜本的な処理方法とは言えない代物ではないかと考えるんですが、参考人の御意見を承りたいと思います。
玉
玉置和宏#28
○参考人(玉置和宏君) おっしゃるように、非常に肝心な部分をあいまいにしている点では、全く先送りだとは申しませんが、肝心な部分はやはり具体性に欠ける、そういう法案だと私は思います。
では、どういうふうにすべきなのかということでありますが、私は既に数年前から、一つの財源対策として、ガソリン税あるいは自動車重量税等自動車関係諸税の一部をもって充てるのが適当ではないかという発言を繰り返してまいりました。
と申しますのは、これも私は実際に現地に行って取材したわけでありますが、例えばドイツの国鉄の民営化は、やはり旧国鉄は大きな負債を抱えて民営化したわけであります。その負債をどうしたのか。ガソリン税を二〇%上げて、たしか五年間だったと思いますが、これをもって旧債務を処理する、そういうふうに明確に民営化した時点できちっと決めている。
私は、昭和六十二年の民営化に当たって、先ほど来お話にありましたように、その余については国において処理をするというふうに大変大きな問題を実は先送りしているんではないかな、こういうふうに思います。
したがいまして、そういう自動車財源の問題、あるいは行財政改革を徹底的に行う、あるいは新幹線財源となっている買い取り代金の七百二十億円の充当等、いろいろ集めていけば私は相当な額になるというふうに考えております。
この発言だけを見る →では、どういうふうにすべきなのかということでありますが、私は既に数年前から、一つの財源対策として、ガソリン税あるいは自動車重量税等自動車関係諸税の一部をもって充てるのが適当ではないかという発言を繰り返してまいりました。
と申しますのは、これも私は実際に現地に行って取材したわけでありますが、例えばドイツの国鉄の民営化は、やはり旧国鉄は大きな負債を抱えて民営化したわけであります。その負債をどうしたのか。ガソリン税を二〇%上げて、たしか五年間だったと思いますが、これをもって旧債務を処理する、そういうふうに明確に民営化した時点できちっと決めている。
私は、昭和六十二年の民営化に当たって、先ほど来お話にありましたように、その余については国において処理をするというふうに大変大きな問題を実は先送りしているんではないかな、こういうふうに思います。
したがいまして、そういう自動車財源の問題、あるいは行財政改革を徹底的に行う、あるいは新幹線財源となっている買い取り代金の七百二十億円の充当等、いろいろ集めていけば私は相当な額になるというふうに考えております。
藤
藤井俊男#29
○藤井俊男君 加藤参考人と玉置参考人にさらにお尋ねをしたいと思います。
ただいまも玉置参考人から財源の関係でお話ありましたけれども、国鉄長期債務や国有林野累積債務処理のために郵便貯金特別会計やたばこ特別税といった全く無関係のところから、いわば取りやすいところから財源を捻出するということ、この辺について御意見を承りたいと思います。よろしくお願いします。
この発言だけを見る →ただいまも玉置参考人から財源の関係でお話ありましたけれども、国鉄長期債務や国有林野累積債務処理のために郵便貯金特別会計やたばこ特別税といった全く無関係のところから、いわば取りやすいところから財源を捻出するということ、この辺について御意見を承りたいと思います。よろしくお願いします。