岩永峯一の発言 (行政改革に関する特別委員会)

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○岩永委員 岩永です。
 約二週間以上、受け身でこの審議をしてまいりました。きょうは、ひとつ思う存分敬愛する田中筆頭理事初め皆さん方に御質問を申し上げたい、このように思っております。
 二十一世紀を間近に控えた今日、かつては社会に活力を持たせていた国家社会システムの肥大化、硬直化、制度疲労はまさにおびただしく、今やこのシステムが逆に社会の閉塞感を強め、国民の創造意欲を阻害する要因となっていることは御存じだろうと思います。この解決のために、国政全般を見渡していかなる価値を優先するかを総合的に判断し、かつ機動的な意思決定を行うことは、何よりも重要でございます。このため、行政のかなめとしてのかじ取りを行う内閣の機能強化は極めて重要であると私も考えるわけでございます。
 今般、民主党から、内閣法の一部を改正する法律案、そして首相府設置法案、内閣府設置法案の三つの法案が提出されました。これらの法案については、ごく短い時間ではありましたが、私も勉強させていただきました。その結果、民主党においても、現在の我が国の危機的状況を乗り越えようと真剣に模索をされていることはひしひしと感じた次第でございます。
 しかし、残念ながら、提出された法案は幾つかの点で重大な問題を抱えていると言わざるを得ません。そこで、何点か確認をさせていただきたいと思います。
 実は、答弁者がなかなか多弁で、この部分については相当な御見識のある先生でございますので、私の方から七点にわたって質問を先にさせていただきます。そして、それをメモっていただいて、また一括御答弁をいただければ、このように思っております。
 実は、甚だ失礼ながら、私がちょっと勉強させていただいただけでも、民主党の提案は、今回の政府案を土台に焼き直しをされているような部分が多うございました。さらに重大なことは、今回の省庁改革においては、中央省庁全体がどのような姿となるかを示すことが求められているという点でございます。政府案は、一府十二省庁の姿を包括的、網羅的に示しております。一方の民主党案は、現在の内閣官房と総理府等の再編のみを論じており、ほかの省庁はどうなるのか、何らその姿を示しておりません。これでは今回の改革の趣旨にほど遠く、政府案に対する対案として体をなしていないではないかと私は考えるわけでございますが、第一点、この点の御見解をお願いしたいと思います。
 第二点でございますが、私の理解では、最高の行政機関である内閣においては、総理だけでなく、ほかの国務大臣の皆さんも、自分が、これは重要であるから内閣として論議すべきだと考えた問題は、総理にその案件を提出して閣議で議論するよう求めることができるようになっていたと思っております。
 ところが、今回の民主党案では、驚いたことに、閣議での各大臣の自由な議論を保障している内閣法の条文である「各大臣は、案件の如何を問わず、内閣総理大臣に提出して、閣議を求めることができる。」が削除されております。そればかりか、新たに「閣議における案件の発議は、内閣総理大臣がこれを行う。」との条文が追加されており、総理だけしか自分の思っていることを議題として閣議に提出できない仕組みとなったように見受けられます。この民主党案では、本来閣議において行われるべき濶達な議論を法律上否定し、内閣としての機能を逆に弱めてしまうのではないかと思われるわけでございますが、いかがでございましょうか。これが第二点でございます。
 第三点でございます。
 我々国会議員、国務大臣や公務員は、憲法第九十九条で、「この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」こととされており、憲法上問題があるような法案は認めてはならないのは当然のことだと考えるわけでございます。
 そこで、今回の民主党提案の内閣法改正案を見てみますと、まず、総理が内閣を統括するという趣旨の規定を新たに置くことといたしております。これは、いわば大統領制を強く志向するものとの印象を受けます。また、総理は、内閣の意見にかかわりなく、総理単独の判断で各省大臣に対して指揮監督という非常に強い権限を持てることとされています。しかしながら、内閣は総理とほかの大臣の合議体であることは憲法上明らかなことであります。これは、内閣として何かを決めるときに、総理一人がこれがよいと思ったことが内閣の意思になるのではなく、内閣のメンバーすべてがこれがよいと合議して初めて内閣の意思が形成されるということであります。
 そうすると、民主党案のように、総理単独の意思で各省大臣に対して指揮監督という強い権限を発動することは、憲法上問題ではないかという疑いが私にはぬぐえないわけでございます。これについて、民主党はどのように私の懸念を晴らしていただけるのか、お伺いするものでございます。
 次に第四点、首相府設置法案と内閣府設置法案について質問させていただきます。
 今回は、民主党案によると、首相府と内閣府という二つの新しい組織をつくることとしております。そして、首相府は総理を直接補佐する組織、内閣府は首相府のもとの組織として位置づけておられるようでございます。ところが、よくよく法案を読ませていただくと、内閣府は、合議体たる内閣を助けるとされております。そこで私は急にわからなくなったわけでございます。
 内閣が最高の行政機関であることは、憲法もそう言っております。だから、内閣を助ける内閣府も偉い組織だ。ところが、総理自身をお助けする首相府がなぜ偉い内閣府の上にあるのだろうか、どうも私の頭の整理がつかないわけでございます。
 とすれば、内閣府の上に首相府を置くという民主党のそもそもの考え方が私はおかしいのではないか、このように思いますので、この点について、第四点目として見解をお伺いするものでございます。
 第五点目として、せんだって民主党の方から、新しくつくる首相府は、補佐室、政策室、政務室と、部屋を五部屋つくるという紙が配られていたようでございます。この紙、お配りをいただきましたね。これは一見体制を強化したように見えますが、私はそうではない、このように思っております。組織をつくれば必ずそこに縄張り意識が芽生える、いわゆる縦割りの弊害が生まれるものであります。今回の中央省庁改革も、まさにその弊害を打破するために行われるものではなかったでしょうか。
 その点、政府案では、現在の内閣官房に設けられている内政審議室、外政審議室、安全保障・危機管理室の三室を廃止して、そして柔軟な対応が可能となるよう、ヘッドとして新たに内閣官房副長官補を三人設けるだけで、それぞれの部屋もつくらず、時々の情勢に応じ機動的に事務分担を変更できる、こういうことになっておるわけでございます。特に、内閣の機関が行政の司令塔としてまさに迅速、機動的な対応が求められる組織であり、その点で政府案の方が一歩も二歩も私はぬきんでているように思われてなりません。
 そこで民主党にお伺いいたしますが、このような部屋をいっぱいつくることで果たして機動的、弾力的な対応は可能なのかどうか、この点をお伺いするものでございます。
 次に第六点目、二十一世紀に向けて、特に経済財政政策、総合科学技術政策等の特定の分野については、内閣として必ず力を入れなければならないわけでございます。多くの国民が認める事実だと私は思っております。そして、これらの分野について我が国が向かっていくべき方向性を定めるに当たって、各界の英知を集約する必要がございます。
 政府案においては、このため、経済財政諮問会議、総合科学技術会議、中央防災会議、男女共同参画会議の四つの合議制機関を設けることを法律の中できっちり位置づけておるわけでございます。
 しかるに民主党案では、首相府に合議制機関を設けることができるとしているだけで、どのような分野に特に重点を置いて各界の英知を結集すべきかがあいまいなままになっておるわけでございます。これでは、我が国の将来を託するに当たって極めて不十分ではないでしょうか。民主党の皆さんのお考えをお聞きするものでございます。
 最後になりましたけれども、ここで内閣府に話を移したい、このように思っております。
 民主党案では、内閣府は予算編成、行政管理、監察、公務員制度等の事務を所掌することになっているわけです。しかし、予算編成に現在大蔵省がどのくらいの人とエネルギーを割いているかを想像いただくだけでも、これらの事務量を内閣府でこなそうとした場合、相当ずうたいの大きな組織になるのではないかと私は思うわけでございます。
 内閣府が、国家の基本に関する政策等について内閣を機動的に補佐するために、このようにずうたいが大きく、反応の悪い組織になってしまっていいものでしょうか。私は決してそうは思っておりません。このような内閣府の設計は、内閣機能強化を図る上で致命傷となるのではないでしょうか。見解をお伺いするものでございます。
 以上、七点御質問を申し上げましたので、ひとつ順次お答えをいただければありがたいと思います。

発言情報

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発言者: 岩永峯一

speaker_id: 16715

日付: 1999-06-09

院: 衆議院

会議名: 行政改革に関する特別委員会