西尾勝の発言 (行政改革に関する特別委員会公聴会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○西尾公述人 お答え申し上げます。
 私も、先生と全く同意見でございまして、国の役割を極力限定し、できるだけ地域の事務は地方公共団体の事務に広くゆだねていくというのが、基本的な私の考え方であります。ただ、それを非常に具体的に実行していく、具体化していくとなりますと、なかなか難しい問題があるということでございます。
 地方分権推進法にも国が担うべき役割を三項目に分けて列挙しておりますし、私どもの勧告でもほぼ同様な考え方を述べましたし、今回の一括法案の中の地方自治法の改正の中で、第一条の二の中に同様のことが書かれているわけであります。
 問題は、そこからだんだん演繹的に具体化をし、そうであれば、その下をさらに具体化するとこういうことになるんじゃないかというふうにだんだんおろしていきまして、現在国が担当しておられるもののうちの、これは国がみずから担当する必要がないのではないかというふうに処理していくことは、これは非常に難しいことだと私は思います、実際問題といたしまして。
 例えば、外交は国の役割だということをどなたも否定はなさいません。しかし、地方公共団体も、自治体外交等々の名前で、さまざまな国際交流事業を展開しておられます。地方公共団体が展開する国際交流と国が担当する外交の境目というのはどこであるかというのを、これを厳密に決めようとすることは非常に難しいことだと思います。
 あるいは、どなたがお考えになっても、防衛は国の役割というふうにお考えになると思います。しかし、防衛の中で、基地等、駐屯地等をどこに置くかという問題は、地域社会にとっては極めて大きな影響を持つ問題でありまして、地方公共団体が無関心でいられる問題では到底ありません。基地があれば、さまざまな施策を地元市町村、都道府県は担当しなければなりません。したがって、防衛に関係することは何から何まで国というわけでもないわけでありまして、そこで、どこまでが国、どこからは地方公共団体もかかわる話かというような線引きをしていく仕事というのは、議論だけやっていたのでは収拾がつかない難しさがあると思います。
 したがって、私どもは、まず、むしろ下から積み上げの方法で、地方六団体等が、ここだけは変えていただきたい、ここは都道府県、市町村に任せてほしいと言ってこられたようなことを、順次関係省庁と交渉して解決していくという方法をとったわけですけれども、これではなかなか抜本的な事務権限の移譲にはならないというのは事実であります。より大がかりなことをしようと思ったら、どういう方法が、賢い、有効な方法があるか、これは、だれにもいい知恵がないのではないかというふうに私は思っております。
 その上で、極力地方公共団体に役割を担わせた上で、一体どういう社会をつくろうとしておるのかということでありますが、分権委員会が使ってまいりました言葉で言えば、地域住民による自己決定、自己責任の地域社会をつくり上げるということに尽きます。地域的な問題は極力地域住民の選択と決定によって決められる、その代表機関である地方議会あるいは地方公共団体の首長の決断によって、自分たちの地域社会に最も合った自治体政策を選択し、決定することができるという権限をおろしていくということが重要であります。
 今回のものでも、一つ一つ例を挙げていたら切りがありませんが、例えば学校教育行政で申しますと、小中学校の学期を決定する権限は、都道府県教育委員会から市町村教育委員会におります。また、就学校の指定の弾力化ということがうたわれております。さらに言えば、学校管理規則というものの制定を柔軟化するということも言っております。これは、教育委員会と学校の関係を規定するものであります。
 そしてさらに、カリキュラムの弾力化という話が出てくるわけでありますが、いずれにしても、市町村、都道府県に、これまでは自分たちで決められなかったところに、決められる余地が出てくるわけであります。つまり、都道府県、市町村ごとに違う政策が行われ得るということがいろいろ出てくるわけであります。
 そうなりましたならば、地域の住民は、それぞれの市町村、県に対して、これまでは国の法令、通達でできないというから仕方がなかったけれども、今度は県や市町村で決められるというのならば、ぜひこうしてほしいという声が、今まで以上に住民から地方公共団体に寄せられるでしょう。そして、そうした多様な住民の声をどのように地方公共団体がおまとめになって、我が自治体はこうしていくんだという決断をしていかれるかどうかというのが、これからの地方公共団体にとっての課題であります。
 私は、今回の改革、一連の改革が行われましたとき、市民の発言は一層活発になると確信しております。
 以上です。
    〔委員長退席、杉山委員長代理着席〕

発言情報

speech_id: 114504279X00119990607_020

発言者: 西尾勝

speaker_id: 27858

日付: 1999-06-07

院: 衆議院

会議名: 行政改革に関する特別委員会公聴会