行政改革に関する特別委員会公聴会
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会
会議録情報#0
平成十一年六月七日(月曜日)
午前九時三十一分開議
出席委員
委員長 高鳥 修君
理事 伊吹 文明君 理事 岩永 峯一君
理事 杉山 憲夫君 理事 虎島 和夫君
理事 山口 俊一君 理事 小林 守君
理事 田中 慶秋君 理事 若松 謙維君
理事 中井 洽君
岩下 栄一君 衛藤 晟一君
小野寺五典君 大石 秀政君
大野 松茂君 木村 勉君
熊谷 市雄君 河本 三郎君
砂田 圭佑君 田中 和徳君
戸井田 徹君 中野 正志君
萩山 教嚴君 細田 博之君
松本 和那君 水野 賢一君
宮島 大典君 森 英介君
山本 幸三君 渡辺 博道君
石毛えい子君 岩國 哲人君
末松 義規君 中桐 伸五君
平野 博文君 藤田 幸久君
山本 譲司君 石垣 一夫君
佐藤 茂樹君 並木 正芳君
桝屋 敬悟君 小池百合子君
西川太一郎君 三沢 淳君
春名 直章君 平賀 高成君
松本 善明君 畠山健治郎君
深田 肇君
出席公述人
国際基督教大学
教授 西尾 勝君
元獨協大学長 恒松 制治君
姫路獨協大学教
授 井下田 猛君
自治体問題研究
所常務理事 池上 洋通君
社団法人経済団
体連合会事務総
長 内田 公三君
社団法人行革国
民会議事務局長 並河 信乃君
KPMG フィ
ナンシャル・
サービス・コン
サルティング株
式会社理事長 西崎 哲郎君
日本国家公務員
労働組合連合会
中央執行委員長 藤田 忠弘君
出席政府委員
内閣審議官
兼中央省庁等改
革推進本部事務
局長 河野 昭君
内閣審議官
兼中央省庁等改
革推進本部事務
局次長 松田 隆利君
委員外の出席者
衆議院調査局第
三特別調査室長 鈴木 明夫君
—————————————
委員の異動
六月七日
辞任 補欠選任
金田 英行君 大石 秀政君
倉成 正和君 木村 勉君
実川 幸夫君 渡辺 博道君
中川 正春君 石毛えい子君
畠山健治郎君 濱田 健一君
同日
辞任 補欠選任
大石 秀政君 金田 英行君
木村 勉君 田中 和徳君
渡辺 博道君 実川 幸夫君
石毛えい子君 中川 正春君
同日
辞任 補欠選任
田中 和徳君 倉成 正和君
—————————————
本日の公聴会で意見を聞いた案件
地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第九一号)
内閣法の一部を改正する法律案(内閣提出第九六号)
内閣府設置法案(内閣提出第九七号)
国家行政組織法の一部を改正する法律案(内閣提出第九八号)
総務省設置法案(内閣提出第九九号)
郵政事業庁設置法案(内閣提出第一〇〇号)
法務省設置法案(内閣提出第一〇一号)
外務省設置法案(内閣提出第一〇二号)
財務省設置法案(内閣提出第一〇三号)
文部科学省設置法案(内閣提出第一〇四号)
厚生労働省設置法案(内閣提出第一〇五号)
農林水産省設置法案(内閣提出第一〇六号)
経済産業省設置法案(内閣提出第一〇七号)
国土交通省設置法案(内閣提出第一〇八号)
環境省設置法案(内閣提出第一〇九号)
中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第一一〇号)
独立行政法人通則法案(内閣提出第一一一号)
独立行政法人通則法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第一一二号)
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この発言だけを見る →午前九時三十一分開議
出席委員
委員長 高鳥 修君
理事 伊吹 文明君 理事 岩永 峯一君
理事 杉山 憲夫君 理事 虎島 和夫君
理事 山口 俊一君 理事 小林 守君
理事 田中 慶秋君 理事 若松 謙維君
理事 中井 洽君
岩下 栄一君 衛藤 晟一君
小野寺五典君 大石 秀政君
大野 松茂君 木村 勉君
熊谷 市雄君 河本 三郎君
砂田 圭佑君 田中 和徳君
戸井田 徹君 中野 正志君
萩山 教嚴君 細田 博之君
松本 和那君 水野 賢一君
宮島 大典君 森 英介君
山本 幸三君 渡辺 博道君
石毛えい子君 岩國 哲人君
末松 義規君 中桐 伸五君
平野 博文君 藤田 幸久君
山本 譲司君 石垣 一夫君
佐藤 茂樹君 並木 正芳君
桝屋 敬悟君 小池百合子君
西川太一郎君 三沢 淳君
春名 直章君 平賀 高成君
松本 善明君 畠山健治郎君
深田 肇君
出席公述人
国際基督教大学
教授 西尾 勝君
元獨協大学長 恒松 制治君
姫路獨協大学教
授 井下田 猛君
自治体問題研究
所常務理事 池上 洋通君
社団法人経済団
体連合会事務総
長 内田 公三君
社団法人行革国
民会議事務局長 並河 信乃君
KPMG フィ
ナンシャル・
サービス・コン
サルティング株
式会社理事長 西崎 哲郎君
日本国家公務員
労働組合連合会
中央執行委員長 藤田 忠弘君
出席政府委員
内閣審議官
兼中央省庁等改
革推進本部事務
局長 河野 昭君
内閣審議官
兼中央省庁等改
革推進本部事務
局次長 松田 隆利君
委員外の出席者
衆議院調査局第
三特別調査室長 鈴木 明夫君
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委員の異動
六月七日
辞任 補欠選任
金田 英行君 大石 秀政君
倉成 正和君 木村 勉君
実川 幸夫君 渡辺 博道君
中川 正春君 石毛えい子君
畠山健治郎君 濱田 健一君
同日
辞任 補欠選任
大石 秀政君 金田 英行君
木村 勉君 田中 和徳君
渡辺 博道君 実川 幸夫君
石毛えい子君 中川 正春君
同日
辞任 補欠選任
田中 和徳君 倉成 正和君
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本日の公聴会で意見を聞いた案件
地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第九一号)
内閣法の一部を改正する法律案(内閣提出第九六号)
内閣府設置法案(内閣提出第九七号)
国家行政組織法の一部を改正する法律案(内閣提出第九八号)
総務省設置法案(内閣提出第九九号)
郵政事業庁設置法案(内閣提出第一〇〇号)
法務省設置法案(内閣提出第一〇一号)
外務省設置法案(内閣提出第一〇二号)
財務省設置法案(内閣提出第一〇三号)
文部科学省設置法案(内閣提出第一〇四号)
厚生労働省設置法案(内閣提出第一〇五号)
農林水産省設置法案(内閣提出第一〇六号)
経済産業省設置法案(内閣提出第一〇七号)
国土交通省設置法案(内閣提出第一〇八号)
環境省設置法案(内閣提出第一〇九号)
中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第一一〇号)
独立行政法人通則法案(内閣提出第一一一号)
独立行政法人通則法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第一一二号)
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高
高鳥修#1
○高鳥委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案並びに内閣法の一部を改正する法律案等中央省庁等改革関連十七法律案の各案について公聴会を行います。
午前は、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案について審査を行います。
この際、公述人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用の中御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。公述人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
次に、議事の順序について申し上げます。
西尾公述人、恒松公述人、井下田公述人、池上公述人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。
なお、念のために申し上げますが、御発言の際は委員長の許可を得ることになっております。
それでは、西尾公述人にお願いいたします。
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午前は、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案について審査を行います。
この際、公述人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用の中御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。公述人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
次に、議事の順序について申し上げます。
西尾公述人、恒松公述人、井下田公述人、池上公述人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。
なお、念のために申し上げますが、御発言の際は委員長の許可を得ることになっております。
それでは、西尾公述人にお願いいたします。
西
西尾勝#2
○西尾公述人 地方分権推進委員会の委員を務めております西尾勝でございます。
本年三月末日をもちまして、三十八年間奉職してまいりました東京大学を定年退職いたしまして、この四月より国際基督教大学に移籍をいたしました。
議員各位には、常日ごろから、地方分権の推進につきまして格別の御支援を賜り、まことにありがとうございます。また、本日は、現在、貴委員会において御審議中の地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案につきまして、私に意見陳述の機会をお与えくださいましたことに深く感謝申し上げます。
本日、私は、内閣提出の地方分権推進一括法案の内容に賛成し、その一日も早い可決成立を切望する立場から、意見を申し述べさせていただきます。
去る五月二十八日の参考人質疑の場で、私どもの委員会の諸井委員長が既に同趣旨の陳述をしておられますが、その後の国会審議の状況を拝見しておりますと、審議は格段に深められ、かなり細目にわたる御論議が種々展開され、中には、原案を批判し、これに修正を求める御意見も出てきているようにお見受けいたします。
そして、そうした御批判と修正意見の中には、地方分権推進委員会の行政関係検討グループの座長として、勧告原案の取りまとめに従事してまいりました私といたしましては、懸念を覚える点もございますので、地方分権推進委員会関係者として、改めて意見陳述の機会をお与えいただき、私どもの勧告がどのような調査審議方針のもとに作成されたのか、また、私どもの勧告と、政府の地方分権推進計画と、そして今回の地方分権推進一括法案の間の関係を私たちがどのように認識しているのかを御説明し、議員各位の御理解を得たいと念願している次第でございます。
地方分権推進委員会は、地方分権推進法に基づいて設置され、私ども委員会の委員は、衆参両院の同意を得て任命されております。いわば国会の御意思に基づいて設置された審議機関でございます。したがって、私ども委員会は、国会の超党派の御賛同を得られるような勧告を作成するように努める責務を負っているというふうに考えてまいりました。
しかし、それには、差し当たりまず、時の政府・与党の御理解が得られる勧告でなければなりませんが、委員会発足時から第四次勧告に至る時期は、自民、社民、さきがけの連立政権時代でございましたから、少なくとも、これら与党三党の御理解を得られる勧告でなければならないと考えてまいりました。
ところで、今回の分権改革の柱の一つになっております機関委任事務制度につきましては、地方分権推進法の第五条には、機関委任事務の整理合理化その他所要の措置とあるのみでありまして、機関委任事務制度の全面廃止の勧告まで許容されているのか否かは、法文上に明記されておりませんでした。
そこで、当初の段階では、私ども委員会が、この制度の全面廃止を目指して調査審議を進め、勧告を提出した場合、これが政府・与党によって、さらには国会によって受け入れられるのかどうかという点に大きな不安を抱いておりました。この点は、第一次勧告で同制度の廃止を提言しましたところ、その直後に、行政改革プログラムの中に書き込むという形で最大限尊重の閣議決定をしていただき、初めて安堵したというのが正直なところでございまして、今国会における審議では、機関委任事務制度の全面廃止を大前提にしてすべての論議がなされている状況を拝見いたしますにつけ、隔世の感を覚えます。
第一次勧告提出直後の閣議決定で、機関委任事務制度の全面廃止を含む、勧告の最大限尊重の閣議決定をしていただいて以降は、関係法令を所管しておられる関係省庁の御理解を得ながら、従前の機関委任事務のすべてを今後どのように処理するかを一つ一つ確定させ、この制度の全面廃止を確実なものにするために膨大な時間とエネルギーが消費されることになりました。
この作業には、大きく分けて二種類のものがございました。
一つは、従来の機関委任事務制度にかわる新しい制度を設計する作業でありまして、自治事務と法定受託事務の区分、それぞれの事務に係る関与の基本類型の設定、関与の手続ルールの創設、関与をめぐる係争を処理する仕組みの創設など、各省庁横断的な共通制度の設計でございます。
この種の制度設計事項につきましては、委員会側がまずたたき台を提示して関係省庁の御意見を伺い、次には第一次試案を提示して関係省庁の御意見を伺う、そして第二次試案を提示して再度関係省庁の御意見を伺うといった手続を繰り返し、これで大方の省庁のおおむねの御理解を得られたという心証を抱きました段階で、これを勧告事項に盛り込むという調査審議方針を採用いたしました。
そこで、この種の事項につきましては、私ども委員会が勧告した段階では、大方の省庁のおおむねの御理解を得ていたにとどまるのでございまして、私どもの提案した新制度の細部に至る隅々まで、全省庁の全面的な賛成を得ていたのでは決してございません。また、私どもによる新制度の設計は、相当に詳細なものではありましたけれども、そのまま直ちに法律上の文章に採用できるほど十分に厳密な検討を加えたものではありませんでした。
そこで、第一次勧告のとき以来、勧告のたびごとに、その末尾の「おわりに」の部分で、政府はこの勧告を受けて、法制的な検討を深めてほしい旨を付記してまいりました。そこで、この種の事項につきましては、その後の政府の地方分権推進計画上の表現が、勧告の表現とは若干異なるものになりましたり、さらに、今回の地方分権推進一括法案上の表現が、地方分権推進計画の表現とも若干違うものに変わっていたりするところがございますが、これは、事柄の性質上やむを得ないところであり、委員会としては初めから覚悟していたことであります。
しかし、政府によるより厳密な検討の結果なるものが、私ども委員会の勧告の趣旨をゆがめるものであれば、これを許容するわけにはまいりませんので、その後の監視活動の一環といたしまして、地方分権推進計画の作成段階でも、また今回の地方分権推進一括法案の立案段階でも、その都度、政府側から御説明を求め、点検に努め、時には修正を求めてきたところでございます。
そこで、法定受託事務の定義の変遷を初めといたしまして、国会審議で御論議の対象になっている数々の点につきましては、最終的な法文上の表現は、それぞれしかるべき正当な理由があって修正されてきたのでありまして、私どもの勧告の趣旨をゆがめるものでは決してないと理解しているところでございます。
ところで、機関委任事務制度の全面廃止に伴うもう一つの作業は、各省庁所管の個別の機関委任事務を、関係各省庁との合意に基づき、一つ一つ、自治事務、法定受託事務、あるいは国の直接執行事務などに振り分けていくとともに、自治事務にどの程度まで基本類型以外の関与を許容するかを確定していく作業でございました。この種の作業の方は、俗にグループヒアリングと呼ばれていた方式で、関係省庁の担当部局との間で個別に進められました。
このグループヒアリングでは、委員会は、国政選挙の選挙管理事務など、ごく少数の例外的な事務につきましては当初から法定受託事務にふさわしいものであると認定しておりましたけれども、それ以外の機関委任事務はすべて自治事務に変更可能なはずであるという推定で折衝に臨み、これは法定受託事務または国の直接執行事務でなければならないというのであれば、関係省庁の側がそのことを説得力のある論法で論証してみせるべきであるという方針を採用いたしました。
こうして論議を何回も重ね、そのうちに、委員会側、私どもの側も、相手省庁の言い分をもっともだと認めるに至ったときに、それではこれは、そちらの御主張のように、法定受託事務なり国の直接執行事務なりに振り分けることにいたしましょうという合意をしていったのでございます。
そこで、外部の方々がこの折衝の経過を外からごらんになりますと、初めは自治事務にすべきだと言っていた委員会側がだんだんに、関係省庁側の頑強な抵抗に直面し、あるいは関係省庁側からの強烈な反撃に論破され、次々に敗北し、譲歩を強いられ、法定受託事務または国の直接執行事務にせざるを得なくなったというように見えるのかもしれません。
しかし、そのような見方は正しい見方ではございません。私どもは、すべて自治事務になり得るはずだという推定に立って議論を始めることによりまして、相手の論理にどれだけ確かな論拠があるのかを確認することができる、そして、この方法によることが最終的に最も妥当な結論に落ちつくことができると考えて、このような折衝方法を採用していたのでございまして、作業の結果は、まさにそのような妥当な結論に落ちついていると確信しております。
第四次勧告までのグループヒアリングは、委員会側と関係省庁側の間の基本的な信頼関係のもとに進められたのでありまして、途中経過にはいろいろと厳しい論議のやりとりもございましたけれども、最後には、双方が完全に納得して、実に気持ちのよい雰囲気の中で合意に到達しているのでございます。この点をぜひとも御理解いただきたく存じます。
法定受託事務に振り分けられたものの割合が多過ぎるという御批判がございますが、新しく創設した法定受託事務の性質に該当するものしか法定受託事務に振り分けてはいないはずであります。
ただ、今回、法定受託事務に振り分けられた事務の中には、メルクマールの七に該当するもの、すなわち、都道府県、市町村が国の手足として事務のごく一部分のみを担わされているにすぎない事務、また都道府県、市町村が国への経由機関として使われているにすぎない事務が、私どもが当初予想していた以上に数多くございまして、これらが法定受託事務全体の三割方を占めているのでございますが、これらは、将来、事務事業の執行体制の仕組みそのものを改め、徐々に整理し、廃止していくべきものではないかと思われます。
以上、機関委任事務制度の全面廃止に関連した作業を、各省庁横断的な共通制度の設計作業と、各省庁所管の個別の事務の振り分け作業とに分けて、それぞれの事項をどのような調査審議方法で処理してきたかを御説明してまいりましたが、いずれにも共通することとして、この一連の作業に初めから終わりまで終始一貫してかかわってまいりました当事者として、ぜひともこの機会に申し上げておきたいことが三点ございます。
第一点は、地方分権推進委員会は、地方六団体から寄せられました改善要望事項を出発点にし、これらを極力実現することを目標にしながらも、勧告を実行可能なものにすることに最大限の配慮をし、関係省庁側の御理解を取りつけることに粘り強く努め、その結果として、関係省庁側が実行を確約してくださった事項のみを勧告したということであります。そこで、勧告事項はほぼ一〇〇%そのまま地方分権推進計画に盛り込まれ、さらに、それがほぼ一〇〇%忠実に今回の地方分権推進一括法案の法形式にまでまとめられているということでございます。勧告と、地方分権推進計画と、地方分権推進一括法案の間に見られる表現上のずれは、ごくわずかな範囲内にとどまっています。しかも、それらはいずれも、政府において慎重に法制的な検討を深めた結果でありまして、それぞれに正当な理由があってのことでございます。
第二点は、機関委任事務制度を全面廃止することに伴い、これにかわるさまざまな新制度を設計し、これらの新制度を前提にして、従前の機関委任事務を新しい事務類型に振り分けているわけでありますが、これらは相互に密接に関連し合っております。それらは、一貫した思想と方針に基づいて設計され、振り分けられているのでありまして、それゆえにこそ関係省庁の御理解を得ているところでありまして、そのうちの一部分だけを取り出して、これに不用意な修正を加えますと、全体の体系が不調和なものになってしまうおそれが強いのであります。
例えば、自治事務に対する是正の要求について、これを受けた地方公共団体は是正または改善のために必要な措置を講じなければならないとする義務がある旨を規定している点につきまして、種々疑問が提起されているとのことでございますが、この点は、新たに国地方係争処理制度を創設していることと密接に関連しているところでございまして、その相互関係を正確に御理解になった上で御判断いただきたいと存じます。
第三点は、これまで地方事務官の方々が処理してこられた事務を初めとして、幾つかの事務をこの機会に国の直接執行事務に切りかえているという点につきましても、種々の疑問が提起されているとのことですが、委員会は、地方分権推進法第四条に定められておりますように、国と地方公共団体の役割分担を明確にするという観点に立ってこれらを御提案申し上げているのでありまして、これは、地方分権の推進と矛盾するものでもなく、また国と地方公共団体を通ずる行政のスリム化に反するものでもないと確信しております。
最後に、以上に述べましたことを総括して私の結論を申し上げれば、今回の地方分権推進法案を、できるだけ原案どおりに、一日も早く可決成立させていただきたいということでございます。
今回提案されている一連の分権改革は、現時点において、現在のさまざまな状況のもとで望み得る、直ちに実行可能な最善の改革案になっていると信じています。もちろん、今回の分権改革は、地方分権の推進方策として決して万全、完璧なものではありません。今後さらに検討を深め、改革を進めていくべき事項が多々残されていることは申すまでもないところでありますが、改革は一日にして成らずであります。制度改革にはさまざまな摩擦とあつれきを伴います。すべての課題を一挙に解決することには無理を伴います。課題を一つ一つ着実に解決し、その制度改革の定着状況を見ながら、次の課題の解決に向かうのが賢明な方策ではなかろうかと考えます。
議員各位の御理解と御支援を切にお願いする次第であります。
以上でございます。拍手
この発言だけを見る →本年三月末日をもちまして、三十八年間奉職してまいりました東京大学を定年退職いたしまして、この四月より国際基督教大学に移籍をいたしました。
議員各位には、常日ごろから、地方分権の推進につきまして格別の御支援を賜り、まことにありがとうございます。また、本日は、現在、貴委員会において御審議中の地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案につきまして、私に意見陳述の機会をお与えくださいましたことに深く感謝申し上げます。
本日、私は、内閣提出の地方分権推進一括法案の内容に賛成し、その一日も早い可決成立を切望する立場から、意見を申し述べさせていただきます。
去る五月二十八日の参考人質疑の場で、私どもの委員会の諸井委員長が既に同趣旨の陳述をしておられますが、その後の国会審議の状況を拝見しておりますと、審議は格段に深められ、かなり細目にわたる御論議が種々展開され、中には、原案を批判し、これに修正を求める御意見も出てきているようにお見受けいたします。
そして、そうした御批判と修正意見の中には、地方分権推進委員会の行政関係検討グループの座長として、勧告原案の取りまとめに従事してまいりました私といたしましては、懸念を覚える点もございますので、地方分権推進委員会関係者として、改めて意見陳述の機会をお与えいただき、私どもの勧告がどのような調査審議方針のもとに作成されたのか、また、私どもの勧告と、政府の地方分権推進計画と、そして今回の地方分権推進一括法案の間の関係を私たちがどのように認識しているのかを御説明し、議員各位の御理解を得たいと念願している次第でございます。
地方分権推進委員会は、地方分権推進法に基づいて設置され、私ども委員会の委員は、衆参両院の同意を得て任命されております。いわば国会の御意思に基づいて設置された審議機関でございます。したがって、私ども委員会は、国会の超党派の御賛同を得られるような勧告を作成するように努める責務を負っているというふうに考えてまいりました。
しかし、それには、差し当たりまず、時の政府・与党の御理解が得られる勧告でなければなりませんが、委員会発足時から第四次勧告に至る時期は、自民、社民、さきがけの連立政権時代でございましたから、少なくとも、これら与党三党の御理解を得られる勧告でなければならないと考えてまいりました。
ところで、今回の分権改革の柱の一つになっております機関委任事務制度につきましては、地方分権推進法の第五条には、機関委任事務の整理合理化その他所要の措置とあるのみでありまして、機関委任事務制度の全面廃止の勧告まで許容されているのか否かは、法文上に明記されておりませんでした。
そこで、当初の段階では、私ども委員会が、この制度の全面廃止を目指して調査審議を進め、勧告を提出した場合、これが政府・与党によって、さらには国会によって受け入れられるのかどうかという点に大きな不安を抱いておりました。この点は、第一次勧告で同制度の廃止を提言しましたところ、その直後に、行政改革プログラムの中に書き込むという形で最大限尊重の閣議決定をしていただき、初めて安堵したというのが正直なところでございまして、今国会における審議では、機関委任事務制度の全面廃止を大前提にしてすべての論議がなされている状況を拝見いたしますにつけ、隔世の感を覚えます。
第一次勧告提出直後の閣議決定で、機関委任事務制度の全面廃止を含む、勧告の最大限尊重の閣議決定をしていただいて以降は、関係法令を所管しておられる関係省庁の御理解を得ながら、従前の機関委任事務のすべてを今後どのように処理するかを一つ一つ確定させ、この制度の全面廃止を確実なものにするために膨大な時間とエネルギーが消費されることになりました。
この作業には、大きく分けて二種類のものがございました。
一つは、従来の機関委任事務制度にかわる新しい制度を設計する作業でありまして、自治事務と法定受託事務の区分、それぞれの事務に係る関与の基本類型の設定、関与の手続ルールの創設、関与をめぐる係争を処理する仕組みの創設など、各省庁横断的な共通制度の設計でございます。
この種の制度設計事項につきましては、委員会側がまずたたき台を提示して関係省庁の御意見を伺い、次には第一次試案を提示して関係省庁の御意見を伺う、そして第二次試案を提示して再度関係省庁の御意見を伺うといった手続を繰り返し、これで大方の省庁のおおむねの御理解を得られたという心証を抱きました段階で、これを勧告事項に盛り込むという調査審議方針を採用いたしました。
そこで、この種の事項につきましては、私ども委員会が勧告した段階では、大方の省庁のおおむねの御理解を得ていたにとどまるのでございまして、私どもの提案した新制度の細部に至る隅々まで、全省庁の全面的な賛成を得ていたのでは決してございません。また、私どもによる新制度の設計は、相当に詳細なものではありましたけれども、そのまま直ちに法律上の文章に採用できるほど十分に厳密な検討を加えたものではありませんでした。
そこで、第一次勧告のとき以来、勧告のたびごとに、その末尾の「おわりに」の部分で、政府はこの勧告を受けて、法制的な検討を深めてほしい旨を付記してまいりました。そこで、この種の事項につきましては、その後の政府の地方分権推進計画上の表現が、勧告の表現とは若干異なるものになりましたり、さらに、今回の地方分権推進一括法案上の表現が、地方分権推進計画の表現とも若干違うものに変わっていたりするところがございますが、これは、事柄の性質上やむを得ないところであり、委員会としては初めから覚悟していたことであります。
しかし、政府によるより厳密な検討の結果なるものが、私ども委員会の勧告の趣旨をゆがめるものであれば、これを許容するわけにはまいりませんので、その後の監視活動の一環といたしまして、地方分権推進計画の作成段階でも、また今回の地方分権推進一括法案の立案段階でも、その都度、政府側から御説明を求め、点検に努め、時には修正を求めてきたところでございます。
そこで、法定受託事務の定義の変遷を初めといたしまして、国会審議で御論議の対象になっている数々の点につきましては、最終的な法文上の表現は、それぞれしかるべき正当な理由があって修正されてきたのでありまして、私どもの勧告の趣旨をゆがめるものでは決してないと理解しているところでございます。
ところで、機関委任事務制度の全面廃止に伴うもう一つの作業は、各省庁所管の個別の機関委任事務を、関係各省庁との合意に基づき、一つ一つ、自治事務、法定受託事務、あるいは国の直接執行事務などに振り分けていくとともに、自治事務にどの程度まで基本類型以外の関与を許容するかを確定していく作業でございました。この種の作業の方は、俗にグループヒアリングと呼ばれていた方式で、関係省庁の担当部局との間で個別に進められました。
このグループヒアリングでは、委員会は、国政選挙の選挙管理事務など、ごく少数の例外的な事務につきましては当初から法定受託事務にふさわしいものであると認定しておりましたけれども、それ以外の機関委任事務はすべて自治事務に変更可能なはずであるという推定で折衝に臨み、これは法定受託事務または国の直接執行事務でなければならないというのであれば、関係省庁の側がそのことを説得力のある論法で論証してみせるべきであるという方針を採用いたしました。
こうして論議を何回も重ね、そのうちに、委員会側、私どもの側も、相手省庁の言い分をもっともだと認めるに至ったときに、それではこれは、そちらの御主張のように、法定受託事務なり国の直接執行事務なりに振り分けることにいたしましょうという合意をしていったのでございます。
そこで、外部の方々がこの折衝の経過を外からごらんになりますと、初めは自治事務にすべきだと言っていた委員会側がだんだんに、関係省庁側の頑強な抵抗に直面し、あるいは関係省庁側からの強烈な反撃に論破され、次々に敗北し、譲歩を強いられ、法定受託事務または国の直接執行事務にせざるを得なくなったというように見えるのかもしれません。
しかし、そのような見方は正しい見方ではございません。私どもは、すべて自治事務になり得るはずだという推定に立って議論を始めることによりまして、相手の論理にどれだけ確かな論拠があるのかを確認することができる、そして、この方法によることが最終的に最も妥当な結論に落ちつくことができると考えて、このような折衝方法を採用していたのでございまして、作業の結果は、まさにそのような妥当な結論に落ちついていると確信しております。
第四次勧告までのグループヒアリングは、委員会側と関係省庁側の間の基本的な信頼関係のもとに進められたのでありまして、途中経過にはいろいろと厳しい論議のやりとりもございましたけれども、最後には、双方が完全に納得して、実に気持ちのよい雰囲気の中で合意に到達しているのでございます。この点をぜひとも御理解いただきたく存じます。
法定受託事務に振り分けられたものの割合が多過ぎるという御批判がございますが、新しく創設した法定受託事務の性質に該当するものしか法定受託事務に振り分けてはいないはずであります。
ただ、今回、法定受託事務に振り分けられた事務の中には、メルクマールの七に該当するもの、すなわち、都道府県、市町村が国の手足として事務のごく一部分のみを担わされているにすぎない事務、また都道府県、市町村が国への経由機関として使われているにすぎない事務が、私どもが当初予想していた以上に数多くございまして、これらが法定受託事務全体の三割方を占めているのでございますが、これらは、将来、事務事業の執行体制の仕組みそのものを改め、徐々に整理し、廃止していくべきものではないかと思われます。
以上、機関委任事務制度の全面廃止に関連した作業を、各省庁横断的な共通制度の設計作業と、各省庁所管の個別の事務の振り分け作業とに分けて、それぞれの事項をどのような調査審議方法で処理してきたかを御説明してまいりましたが、いずれにも共通することとして、この一連の作業に初めから終わりまで終始一貫してかかわってまいりました当事者として、ぜひともこの機会に申し上げておきたいことが三点ございます。
第一点は、地方分権推進委員会は、地方六団体から寄せられました改善要望事項を出発点にし、これらを極力実現することを目標にしながらも、勧告を実行可能なものにすることに最大限の配慮をし、関係省庁側の御理解を取りつけることに粘り強く努め、その結果として、関係省庁側が実行を確約してくださった事項のみを勧告したということであります。そこで、勧告事項はほぼ一〇〇%そのまま地方分権推進計画に盛り込まれ、さらに、それがほぼ一〇〇%忠実に今回の地方分権推進一括法案の法形式にまでまとめられているということでございます。勧告と、地方分権推進計画と、地方分権推進一括法案の間に見られる表現上のずれは、ごくわずかな範囲内にとどまっています。しかも、それらはいずれも、政府において慎重に法制的な検討を深めた結果でありまして、それぞれに正当な理由があってのことでございます。
第二点は、機関委任事務制度を全面廃止することに伴い、これにかわるさまざまな新制度を設計し、これらの新制度を前提にして、従前の機関委任事務を新しい事務類型に振り分けているわけでありますが、これらは相互に密接に関連し合っております。それらは、一貫した思想と方針に基づいて設計され、振り分けられているのでありまして、それゆえにこそ関係省庁の御理解を得ているところでありまして、そのうちの一部分だけを取り出して、これに不用意な修正を加えますと、全体の体系が不調和なものになってしまうおそれが強いのであります。
例えば、自治事務に対する是正の要求について、これを受けた地方公共団体は是正または改善のために必要な措置を講じなければならないとする義務がある旨を規定している点につきまして、種々疑問が提起されているとのことでございますが、この点は、新たに国地方係争処理制度を創設していることと密接に関連しているところでございまして、その相互関係を正確に御理解になった上で御判断いただきたいと存じます。
第三点は、これまで地方事務官の方々が処理してこられた事務を初めとして、幾つかの事務をこの機会に国の直接執行事務に切りかえているという点につきましても、種々の疑問が提起されているとのことですが、委員会は、地方分権推進法第四条に定められておりますように、国と地方公共団体の役割分担を明確にするという観点に立ってこれらを御提案申し上げているのでありまして、これは、地方分権の推進と矛盾するものでもなく、また国と地方公共団体を通ずる行政のスリム化に反するものでもないと確信しております。
最後に、以上に述べましたことを総括して私の結論を申し上げれば、今回の地方分権推進法案を、できるだけ原案どおりに、一日も早く可決成立させていただきたいということでございます。
今回提案されている一連の分権改革は、現時点において、現在のさまざまな状況のもとで望み得る、直ちに実行可能な最善の改革案になっていると信じています。もちろん、今回の分権改革は、地方分権の推進方策として決して万全、完璧なものではありません。今後さらに検討を深め、改革を進めていくべき事項が多々残されていることは申すまでもないところでありますが、改革は一日にして成らずであります。制度改革にはさまざまな摩擦とあつれきを伴います。すべての課題を一挙に解決することには無理を伴います。課題を一つ一つ着実に解決し、その制度改革の定着状況を見ながら、次の課題の解決に向かうのが賢明な方策ではなかろうかと考えます。
議員各位の御理解と御支援を切にお願いする次第であります。
以上でございます。拍手
高
恒
恒松制治#4
○恒松公述人 恒松でございます。
ただいま西尾公述人のお話を聞いておりまして、大変なこれまでの御苦労があったということを痛切に感じました。しかし、私は、一財政学を勉強している者の立場から、今度の一括法案に対して若干意見を申し上げたいと思っております。
最初に、昭和二十四年、ここで申し上げるまでもないことでございますが、いわゆるシャウプ勧告なるものが出ました。これは、日本の国の財政及び税制の将来に関する大きな指針を示したものであると評価されておりますが、しかし、一方では、地方自治というものがいかに大切であるかということをも十分に示したものとして、私は受けとめております。
このシャウプ勧告が出ましてから五十年、財政学を通じて、現実の行政の仕組みがいかに地方自治にとって形ばかりのものであるかということに大きな関心を抱いて、分析をしてまいりました。ついには、現実の地方行政に携わりもいたしました。そうした経験の中から、今回の地方分権関係法案について意見を申し上げます。何とぞ御理解をいただきたいと存じます。
まず最初に、このたびの分権法案の中で大きな問題は、機関委任事務の廃止ということでございます。これはもう、私は、もとより長年の念願であり、大賛成でございます。
もちろん、これは、政党政派を超えて推進すべき地方の問題でございます。分権推進委員会が最初の勧告で勇断を持って指摘されました。それは、国と地方、あるいは中央政府と地方政府と呼んでもいいと思いますけれども、上下、主従の関係であってはならないということであります。それを、行政制度として長く続いた機関委任事務制度というものを全廃することによって実現しようとしたことは、私は、大変大きな功績であり、すばらしい勧告であったと思っております。ただ単に、行政の事務を中央と地方とでどう分け合うかということではなくて、地方自治の確立とか、あるいは地方自治の成熟への道としてあるということを、十分に審議の過程できわめていただきたいと念願するわけでございます。
こちらに参るに当たりまして、膨大な参考資料をいただきました。よく広辞苑二冊分という表現がされておりますけれども、いやいや、もっとたくさんの資料を送っていただきました。見ただけで勉強する意欲を失いました。申しわけございませんけれども、今やそういう気力もございませんでしたので、幾つかの点に絞って、感じていることを申し上げたいと存じます。
一つは、機関委任事務というものが廃止されまして、それにかわるものとして、法定受託事務という制度が導入されました。
これは、行政制度上、あるいは法律的にも、どういう問題があるか私はよくわかりませんけれども、確かに、制度的には大きな変化でありましょう。しかし、私ども一般の外側から見ておる者にとりましては、この制度が変わることによって、実質的に何がどう変わるかという点は必ずしも明らかでないというふうに思っております。
もとより、地方団体を国の機関として考えるということの誤りを是正した点は評価すべきではございますが、この法律の中にもありますように、国が本来果たすべき役割を地方団体に行わせるシステムというものは、機関委任事務の場合と変わってはおりません。自治体の行うサービスは自治体が主体的に実施するという、自治の理念に必ずしも沿ったものだとは言えないと私は思っております。国の果たすべき役割は国自身がやった方が責任の所在がはっきりしていいというのが、私は、年来の主張でございます。
それから第二番目に、これに関連いたしまして、自治事務に対する国の関与がこの法律の中でも色濃く残っているということであります。
今までスムーズに行われてきた行政を、全部根底からひっくり返すということは現実的には難しいことではありますけれども、自治事務に対する是正の要求措置というものが余りにも多いということに気がつきます。言いかえれば、自治事務は自治事務として地方自治体がやるんだけれども、それに対して、国の立場から、間違っていることがあれば是正の要求ができるということであります。これをやっていけば、地方自治というものは一体いかになるだろうということを心配するわけでございます。
もちろん、この問題は、ただ法律上の字句の問題ではなくて、具体的にどう運用されるかということにかかっている問題であります。しかし、そうではありますけれども、地域住民の責任で実施されるべきことに国が関与するということは、決して望ましいことではございません。こういう制度が残りますと、明治以来続いたいわば中央集権的な仕組みというものを根本から直していく、そして地方自治の確立に資するということには、どうもほど遠いような感じがいたします。
それから第三番目に、これは地方自治体の議会に関する問題でございますけれども、地方自治体の議会の機能は、地方自治にとって極めて重要でございます。したがって、議員の定数とか議会運営の仕方については、地方議会の条例で定めるのが本来のあり方だと思っております。
ところが、これを法律で統一的に定めるべきだというのが今回の法律でございますけれども、それはやはり本当ではないと私は思っております。それは、多分に地方自治体に対する不信感のあらわれと言えるかもしれませんけれども、自分たちの自治体を信ずるか信じないかは、住民自身が決めることであって、中央政府が決めることではないというのが私の基本的な考え方でございます。
最後に、都道府県の性格についてであります。
資料がたくさんございましたけれども、法律案の提案理由説明の第二番目のところに、こういうくだりがございます。「法定主義の原則、一般法主義の原則、公正、透明の原則に基づき、地方公共団体に対する国または都道府県の関与の見直し、整備を行うこととしております。」こういうふうに提案理由の説明に書いてあります。
ここでは、これをそのまますんなりと読めば、地方公共団体は市町村であり、この市町村に対する国または都道府県の関与ということの表現は、国と、いわば中央政府と、都道府県が一体のものとして位置づけられているように私は受けとめたわけでございます。言いかえれば、都道府県というのは国と一体のものだ、都道府県の自治ということは一体どこにあるのかということが私には疑問に思えました。
現実に、皆様方も御存じのように、都道府県は市町村にとってはお上的な存在であり、お上意識が色濃く残っております。自治体としての意識が必ずしも十分に練れているとは思えません。地方自治の上で、都道府県をもし自治体と定義づけるならば、一体それをどういうふうな姿に位置づけるかということをやはり明確にすべきだというふうに私は思っております。
以上、若干気のついた点をかなり漠然と申し上げましたけれども、最後につけ加えさせていただきます。
地方分権というのは、中央の権限をできるだけ地方自治体に移すということに重点が置かれているようでありますけれども、私はそうだとは思いません。地方自治体が住民とともに行政サービスを行う場合に、大切なことは、権限の量の大小ではないということであります。権限が大きいからそれだけ地方分権が進んだということではなくて、たとえ権限の量は少なくても、その行政に自主性が尊重されることの方がより大切だと思っております。
言いかえれば、地方自治体の権限がたとえ小さくても、それを自分たちの、地域住民の主体性、自主性によって行っていくということの方が地方自治にとっては非常に大切だ、こういうふうに私は感じております。そういう点も含めて、皆様方の慎重な御論議をお願い申し上げたいと思います。
なお、つけ加えて申し上げます。
長い間の中央集権体制を根本的に改めようとする大事な法律案であります。そして、このたびの法律の改正は、将来の地方自治に対する一つの出発点だということであります。したがって、それほど重要な出発点になる法律案でございますので、ちょっと申し上げにくいことではございますけれども、今国会で成立させるというふうな意気込みも大事ではございますけれども、そういうことではなくて、ゆっくり時間をかけて、そして国民の納得が得られるように御審議をいただきたい、これが私の最後のお願いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
以上で終わります。拍手
この発言だけを見る →ただいま西尾公述人のお話を聞いておりまして、大変なこれまでの御苦労があったということを痛切に感じました。しかし、私は、一財政学を勉強している者の立場から、今度の一括法案に対して若干意見を申し上げたいと思っております。
最初に、昭和二十四年、ここで申し上げるまでもないことでございますが、いわゆるシャウプ勧告なるものが出ました。これは、日本の国の財政及び税制の将来に関する大きな指針を示したものであると評価されておりますが、しかし、一方では、地方自治というものがいかに大切であるかということをも十分に示したものとして、私は受けとめております。
このシャウプ勧告が出ましてから五十年、財政学を通じて、現実の行政の仕組みがいかに地方自治にとって形ばかりのものであるかということに大きな関心を抱いて、分析をしてまいりました。ついには、現実の地方行政に携わりもいたしました。そうした経験の中から、今回の地方分権関係法案について意見を申し上げます。何とぞ御理解をいただきたいと存じます。
まず最初に、このたびの分権法案の中で大きな問題は、機関委任事務の廃止ということでございます。これはもう、私は、もとより長年の念願であり、大賛成でございます。
もちろん、これは、政党政派を超えて推進すべき地方の問題でございます。分権推進委員会が最初の勧告で勇断を持って指摘されました。それは、国と地方、あるいは中央政府と地方政府と呼んでもいいと思いますけれども、上下、主従の関係であってはならないということであります。それを、行政制度として長く続いた機関委任事務制度というものを全廃することによって実現しようとしたことは、私は、大変大きな功績であり、すばらしい勧告であったと思っております。ただ単に、行政の事務を中央と地方とでどう分け合うかということではなくて、地方自治の確立とか、あるいは地方自治の成熟への道としてあるということを、十分に審議の過程できわめていただきたいと念願するわけでございます。
こちらに参るに当たりまして、膨大な参考資料をいただきました。よく広辞苑二冊分という表現がされておりますけれども、いやいや、もっとたくさんの資料を送っていただきました。見ただけで勉強する意欲を失いました。申しわけございませんけれども、今やそういう気力もございませんでしたので、幾つかの点に絞って、感じていることを申し上げたいと存じます。
一つは、機関委任事務というものが廃止されまして、それにかわるものとして、法定受託事務という制度が導入されました。
これは、行政制度上、あるいは法律的にも、どういう問題があるか私はよくわかりませんけれども、確かに、制度的には大きな変化でありましょう。しかし、私ども一般の外側から見ておる者にとりましては、この制度が変わることによって、実質的に何がどう変わるかという点は必ずしも明らかでないというふうに思っております。
もとより、地方団体を国の機関として考えるということの誤りを是正した点は評価すべきではございますが、この法律の中にもありますように、国が本来果たすべき役割を地方団体に行わせるシステムというものは、機関委任事務の場合と変わってはおりません。自治体の行うサービスは自治体が主体的に実施するという、自治の理念に必ずしも沿ったものだとは言えないと私は思っております。国の果たすべき役割は国自身がやった方が責任の所在がはっきりしていいというのが、私は、年来の主張でございます。
それから第二番目に、これに関連いたしまして、自治事務に対する国の関与がこの法律の中でも色濃く残っているということであります。
今までスムーズに行われてきた行政を、全部根底からひっくり返すということは現実的には難しいことではありますけれども、自治事務に対する是正の要求措置というものが余りにも多いということに気がつきます。言いかえれば、自治事務は自治事務として地方自治体がやるんだけれども、それに対して、国の立場から、間違っていることがあれば是正の要求ができるということであります。これをやっていけば、地方自治というものは一体いかになるだろうということを心配するわけでございます。
もちろん、この問題は、ただ法律上の字句の問題ではなくて、具体的にどう運用されるかということにかかっている問題であります。しかし、そうではありますけれども、地域住民の責任で実施されるべきことに国が関与するということは、決して望ましいことではございません。こういう制度が残りますと、明治以来続いたいわば中央集権的な仕組みというものを根本から直していく、そして地方自治の確立に資するということには、どうもほど遠いような感じがいたします。
それから第三番目に、これは地方自治体の議会に関する問題でございますけれども、地方自治体の議会の機能は、地方自治にとって極めて重要でございます。したがって、議員の定数とか議会運営の仕方については、地方議会の条例で定めるのが本来のあり方だと思っております。
ところが、これを法律で統一的に定めるべきだというのが今回の法律でございますけれども、それはやはり本当ではないと私は思っております。それは、多分に地方自治体に対する不信感のあらわれと言えるかもしれませんけれども、自分たちの自治体を信ずるか信じないかは、住民自身が決めることであって、中央政府が決めることではないというのが私の基本的な考え方でございます。
最後に、都道府県の性格についてであります。
資料がたくさんございましたけれども、法律案の提案理由説明の第二番目のところに、こういうくだりがございます。「法定主義の原則、一般法主義の原則、公正、透明の原則に基づき、地方公共団体に対する国または都道府県の関与の見直し、整備を行うこととしております。」こういうふうに提案理由の説明に書いてあります。
ここでは、これをそのまますんなりと読めば、地方公共団体は市町村であり、この市町村に対する国または都道府県の関与ということの表現は、国と、いわば中央政府と、都道府県が一体のものとして位置づけられているように私は受けとめたわけでございます。言いかえれば、都道府県というのは国と一体のものだ、都道府県の自治ということは一体どこにあるのかということが私には疑問に思えました。
現実に、皆様方も御存じのように、都道府県は市町村にとってはお上的な存在であり、お上意識が色濃く残っております。自治体としての意識が必ずしも十分に練れているとは思えません。地方自治の上で、都道府県をもし自治体と定義づけるならば、一体それをどういうふうな姿に位置づけるかということをやはり明確にすべきだというふうに私は思っております。
以上、若干気のついた点をかなり漠然と申し上げましたけれども、最後につけ加えさせていただきます。
地方分権というのは、中央の権限をできるだけ地方自治体に移すということに重点が置かれているようでありますけれども、私はそうだとは思いません。地方自治体が住民とともに行政サービスを行う場合に、大切なことは、権限の量の大小ではないということであります。権限が大きいからそれだけ地方分権が進んだということではなくて、たとえ権限の量は少なくても、その行政に自主性が尊重されることの方がより大切だと思っております。
言いかえれば、地方自治体の権限がたとえ小さくても、それを自分たちの、地域住民の主体性、自主性によって行っていくということの方が地方自治にとっては非常に大切だ、こういうふうに私は感じております。そういう点も含めて、皆様方の慎重な御論議をお願い申し上げたいと思います。
なお、つけ加えて申し上げます。
長い間の中央集権体制を根本的に改めようとする大事な法律案であります。そして、このたびの法律の改正は、将来の地方自治に対する一つの出発点だということであります。したがって、それほど重要な出発点になる法律案でございますので、ちょっと申し上げにくいことではございますけれども、今国会で成立させるというふうな意気込みも大事ではございますけれども、そういうことではなくて、ゆっくり時間をかけて、そして国民の納得が得られるように御審議をいただきたい、これが私の最後のお願いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
以上で終わります。拍手
高
井
井下田猛#6
○井下田公述人 地方の姫路からやってまいりました井下田でございます。
今回、お集まりの皆さん方の前で公述人をさせていただきますけれども、少しく長い間地方自治絡みの勉強を地方でしてきた者にとっても、とても感慨の深いものがございます。
御承知のように、今回の分権改革は、場合によっては、明治維新の動きあるいは戦後改革に並ぶ第三の改革と一般的に言われていますように、改めて、そのような重い意味を今回の分権改革は持っているように思われてなりません。とりわけ、お集まりの皆さん方は、既に九三年の六月の段階で、衆参両院で地方分権の推進に関する決議を採択されて、以来六年を今迎えているわけですけれども、それだけに、地方分権改革が全体としてより具体的に動き始めていますことを、私は先ほど来から、感慨を持ってと申し上げましたけれども、感慨を持ちながら、改めて、時の流れの大きなことを確認したいと思います。
さて、私は、全体としては、以上のような経緯から、今回の分権改革の一括法について基本的には賛成したいと思います。しかし、冒頭の部分であえて地方の姫路からと申し上げましたように、地域や地方で生活していますと、少々ながら、注文やらあるいは疑義の部分がないわけではありません。したがって、ないものねだりの部分もあろうかなと思いますけれども、以下数点にわたって、考えておりますことを申し上げてみたいと思います。できましたら、お集まりの委員の皆さん方、よく聞いてくださって、考えていただければ、考え直しをしていただければ、とてもありがたいと思います。
第一点は、今回の一括法の問題点と一般的に言われていますように、拙速主義とかかわる部分について申し上げてみたいと思います。
御承知のように、一九八〇年代に、行政改革の推進から、一括法の立法形式がとられてきました。そしてまた、今回も、会期内の成立を目指して、改正作業の効率化のために今回の分権改革の一括法が上程されているわけですけれども、先ほどの恒松公述人ではありませんけれども、やはり量が余りにも多過ぎますね。法案だけでも千二百ページに及びますし、新旧の対照表の部分だけでも千八百ページですし、参照の条文の部分だけでも千五百ページというわけですから、これは幾ら何でも、量的に余りにも多いものを含んでいます。
そして、今回の機関委任事務の廃止の部分だけでも三百五十一本に及ぶわけですね。そして、法律改正が、この三百五十一本を含んで一挙に四百七十五本に及ぶというわけですから、これは、お集まりの委員の皆さん方が幾ら力量的にすぐれたものをお持ちであっても、まず物理的に無理な話だろうと思います。それだけに、今回の一括法は、個別根拠法の中身にわたる審議の部分については、まあ、改めて、ほぼ絶望的だと言うのは言い過ぎでしょうか。
多くの国民にとってみれば、せっかくの機会です、審議してよかったという確認を国民の多くは期待しているかなと思いますけれども、この部分がやはり拙速主義だろうと思われてなりません。精査がなされない一括法であっては、逆に、国会の存在意義があるいは疑われるのかもわかりません。
とりわけ、政治の行政化が問われていて、その抜本的改革が課題視されています今日です。改めてお集まりの皆さん方に、先ほどの恒松公述人のお話ではありませんけれども、できるならば、もう少々時間をかけて、市民レベルで、国民的レベルに立って御検討していただくような、そのような時間の問題をもう少々確保していただければありがたいと思います。
以上が第一点の、一括法の問題点と拙速主義に対するいわば歯どめにかかわるお話です。
第二点に移りたいと思います。
第二点は、地方自治の原則と今回の一括法の現実と関連して、もう少々申し上げてみたいと思います。
私は、分権改革というのは、とりわけ、集権と画一を排して分権と多様性を保障して、国民、市民レベルによる自主裁量権と自己決定の原則が保障できるシステムをつくって、結果的には、国民の人としての尊厳や、国民の人としての自立を保障する営みを分権改革と名づけてみたいと思います。
この観点に立って、今回の一括法案のすべてを読んできたわけではありませんけれども、今回の一括法案について少々ながら検討してみますると、中央省庁の機能純化の点でも不十分ですし、そしてまた、随所に分権ぼかしが顕著であり過ぎるかなと思います。とりわけ、省庁の主張にすり寄って、地方に厳しく国の役割を強化し、結果として、地方分権改革はかなり形骸化して、中央集権は依然として健在であると指摘せざるを得ない部分を多々持っているように思われてなりません。
現に、機関委任事務は、原則として自治事務とされたものの、実際には五割ちょっとのレベルに後退していますし、事前協議による合意が必要とされて国の強い関与が残る法定受託事務は、当初二割の予定が大幅にふえて、四割ないしは五割に近くなっているわけでしょう。この法定受託事務に係る関与の類型に、技術的助言や勧告などに加えて、特に必要な場合は許可、認可、承認と指示、それに特定の場合には一定の手続のもとに代執行がとられることにもなっているわけですが、しかし、措置要求や事前協議制もまた、国レベルからの歯どめ的な縛りや、それに恣意的判断やコントロールの余地が多々残っていて、問題が伏在していると言わなければなるまいと思います。
加えて、国と地方を通ずる税制や財政に踏み込んだものが乏しくて、特に地方財政レベルでいえば、依然として歳入の自治と歳出の自治はほぼ手つかずのままに推移しているところに、最大の問題点が残っているというふうに指摘できるのじゃないでしょうか。
以上が第二点の、地方自治の原則と一括法の現実絡みの部分です。
第三点に移りたいと思います。
第三点は、自治事務に対する国の関与絡みの部分について、指摘させていただきたいと思います。
自治事務に対する是正の要求に改善義務が付されていることは、地域における自己決定よりも国の省庁の判断を優越させていて、やはり疑問符が残ると言わざるを得ません。
今回の地方自治法の改正案では、自治事務の処理が法令に違反していると認めるとき、または著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、各大臣は、知事に対し是正を求めることができ、知事に指示して市町村長に対し是正を求めさせることができると規定されています。そして、是正の要求があった場合には、自治体にその改善義務が課せられることになっています。
なるほど現行法にも是正措置要求の制度はありますけれども、ここには改善義務が課されているわけではありません。それに、内閣総理大臣のみに認められている権限であります。これを各大臣にまで拡大し、さらに改善義務を課しているというのは、従来と比べてみても、この部分はかなりの後退だと言えるかなと思います。
これが第三点の、自治事務とかかわる国の関与の部分です。
第四点に移りたいと思います。
第四点は、法定受託事務の問題と地方事務官制度の問題について、少しく申し上げてみたいと思います。
なるほど地方分権は、国と地方の上下、主従関係から対等、協力なものへと変え、地方に自己決定権と自己責任の原則を確立するものであり、ローカルイニシアチブによる実効ある分権化が問われています。この観点から見ても、できることならば、法定受託事務量を可能な限り削減するということが、今日及び今後の時代の要請として、抜かすわけにはいかない大事な視点の一つかなと思います。それだけに、国行政やお上の都合に合わせることではなくて、国民や市民と直結する部分で、個性的で多様な地域づくりを可能にする分権の内実の拡充が図られることを、大いに期待したいと思います。
この観点に立って考えてみますると、改めて、地方事務官制度の問題あたりも、今回の一括法で指摘されている部分については疑問符を持ちたくなります。といいますのは、都道府県知事のもとで社会保険や職業安定の仕事をしている国家公務員の地方事務官制度を廃止して、通常の国家公務員とするということは、改めて、国民や市民の利便性や効率性の観点から見て、大いに問題が残るかなと思われてならないからです。
なお、私の持ち時間は二十分ぐらいで、十五分が終わりますので、もう少々急がさせてください。
第五点に移ります。
第五点は、都道府県による市町村への関与の部分についても疑問があります。といいますのは、都道府県が国と並んで市町村に対する関与機関となっている部分が、これまたどうかなと思われる部分を含んでいるからです。
地方自治法の改正案は、都道府県を国と並ぶ市町村への関与機関としています。例示すれば、新設される第十一章第一節のタイトルは「普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与等」であり、条文にも同様な表現が幾つか示されています。現に普通地方公共団体は市町村のみを指しているようにうかがわれてなりませんけれども、実際にも、市町村は都道府県の機関から広く関与を受ける規定になっているところに問題が残っているかなと思います。この点でも改めて御検討いただければありがたいと思います。
そして、用意してきましたのは実はたくさんありますけれども、もう一点だけ申し上げて、私の方の公述を終わらせていただきたいと思います。
といいますのは、この分権改革一括法案は、同時に国レベルの省庁再編の問題と大きなかかわりを持っているわけですから、その観点に立って、今私は、六点目の問題提起をさせていただきたいと思います。
御承知のように、政府、各省庁は、その政策を通じて、その行政分野のあり方を決定づける面と、政府、各省庁、それ自体が事業体であるという二つの側面を持っているわけです。
先月、五月のおしまいに、九八年度の新しい環境白書が公表されました。そこでは、環境の負荷を減らすグリーン化を進めて、環境立国の道を歩むべきだと提言されています。私もまた、この部分については大いに賛成したいと思います。
この部分を補強する観点で、今私は、せっかく明後二〇〇一年から環境省が発足するように伺っておりますけれども、ひとり環境省だけではなくて、政府の一府十二省に期待したいのは、行政の仕事の質とその内容を問うエコ政府をぜひともつくり上げてほしいと思います。繰り返し申し上げますけれども、行政の仕事の質と内容を問うエコ政府の形成と、当該行政分野で最も大きな事業体であることから事業活動のあり方が問われているわけですから、言うならば、政府活動は、他方ではエコオフィスの形成が問われているかなと思います。
一方では、今申しましたように、せっかくの省庁再編の動きが示されているわけですから、このような観点を下敷きにして、できることならば政府、省庁の再編の部分について、いずれ午後のお時間で、これまたこの場などでも御論議が繰り返されるかなと思いますけれども、それだけに改めて、政府活動のすべての領域で環境主義を取り入れて、政府自体と政府活動をエコロジカルに変革してもらえないでしょうか。
国民の政治や行政不信が厳しい今日のことです。省利省益を優先して、時によっては行政のうまみを温存し、さらに焼け太りの巨大官庁づくりを目指すものでは決してあってほしくないと思います。二十一世紀のキーワードの一つは、やはり環境の時代だろうと思います。せっかく始まるであろう省庁再編のその下敷きに、政府みずからがエコロジカルに変わっていってほしいと願いたいところです。
もしもこのような部分が実現できるならば、市民や国民、地域社会で生活しておりまする私ども多くの国民にとって、今は政府、官庁がとても遠いところに位置づけられていますが、遠い政府、官庁を、国民にとって近くの政府機関へ変身させることができるに違いありません。お集まりの委員の先生方、どうぞ熟考を心から期待したいと思います。
私の方の公述は、以上でお開きにさせていただきます。ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →今回、お集まりの皆さん方の前で公述人をさせていただきますけれども、少しく長い間地方自治絡みの勉強を地方でしてきた者にとっても、とても感慨の深いものがございます。
御承知のように、今回の分権改革は、場合によっては、明治維新の動きあるいは戦後改革に並ぶ第三の改革と一般的に言われていますように、改めて、そのような重い意味を今回の分権改革は持っているように思われてなりません。とりわけ、お集まりの皆さん方は、既に九三年の六月の段階で、衆参両院で地方分権の推進に関する決議を採択されて、以来六年を今迎えているわけですけれども、それだけに、地方分権改革が全体としてより具体的に動き始めていますことを、私は先ほど来から、感慨を持ってと申し上げましたけれども、感慨を持ちながら、改めて、時の流れの大きなことを確認したいと思います。
さて、私は、全体としては、以上のような経緯から、今回の分権改革の一括法について基本的には賛成したいと思います。しかし、冒頭の部分であえて地方の姫路からと申し上げましたように、地域や地方で生活していますと、少々ながら、注文やらあるいは疑義の部分がないわけではありません。したがって、ないものねだりの部分もあろうかなと思いますけれども、以下数点にわたって、考えておりますことを申し上げてみたいと思います。できましたら、お集まりの委員の皆さん方、よく聞いてくださって、考えていただければ、考え直しをしていただければ、とてもありがたいと思います。
第一点は、今回の一括法の問題点と一般的に言われていますように、拙速主義とかかわる部分について申し上げてみたいと思います。
御承知のように、一九八〇年代に、行政改革の推進から、一括法の立法形式がとられてきました。そしてまた、今回も、会期内の成立を目指して、改正作業の効率化のために今回の分権改革の一括法が上程されているわけですけれども、先ほどの恒松公述人ではありませんけれども、やはり量が余りにも多過ぎますね。法案だけでも千二百ページに及びますし、新旧の対照表の部分だけでも千八百ページですし、参照の条文の部分だけでも千五百ページというわけですから、これは幾ら何でも、量的に余りにも多いものを含んでいます。
そして、今回の機関委任事務の廃止の部分だけでも三百五十一本に及ぶわけですね。そして、法律改正が、この三百五十一本を含んで一挙に四百七十五本に及ぶというわけですから、これは、お集まりの委員の皆さん方が幾ら力量的にすぐれたものをお持ちであっても、まず物理的に無理な話だろうと思います。それだけに、今回の一括法は、個別根拠法の中身にわたる審議の部分については、まあ、改めて、ほぼ絶望的だと言うのは言い過ぎでしょうか。
多くの国民にとってみれば、せっかくの機会です、審議してよかったという確認を国民の多くは期待しているかなと思いますけれども、この部分がやはり拙速主義だろうと思われてなりません。精査がなされない一括法であっては、逆に、国会の存在意義があるいは疑われるのかもわかりません。
とりわけ、政治の行政化が問われていて、その抜本的改革が課題視されています今日です。改めてお集まりの皆さん方に、先ほどの恒松公述人のお話ではありませんけれども、できるならば、もう少々時間をかけて、市民レベルで、国民的レベルに立って御検討していただくような、そのような時間の問題をもう少々確保していただければありがたいと思います。
以上が第一点の、一括法の問題点と拙速主義に対するいわば歯どめにかかわるお話です。
第二点に移りたいと思います。
第二点は、地方自治の原則と今回の一括法の現実と関連して、もう少々申し上げてみたいと思います。
私は、分権改革というのは、とりわけ、集権と画一を排して分権と多様性を保障して、国民、市民レベルによる自主裁量権と自己決定の原則が保障できるシステムをつくって、結果的には、国民の人としての尊厳や、国民の人としての自立を保障する営みを分権改革と名づけてみたいと思います。
この観点に立って、今回の一括法案のすべてを読んできたわけではありませんけれども、今回の一括法案について少々ながら検討してみますると、中央省庁の機能純化の点でも不十分ですし、そしてまた、随所に分権ぼかしが顕著であり過ぎるかなと思います。とりわけ、省庁の主張にすり寄って、地方に厳しく国の役割を強化し、結果として、地方分権改革はかなり形骸化して、中央集権は依然として健在であると指摘せざるを得ない部分を多々持っているように思われてなりません。
現に、機関委任事務は、原則として自治事務とされたものの、実際には五割ちょっとのレベルに後退していますし、事前協議による合意が必要とされて国の強い関与が残る法定受託事務は、当初二割の予定が大幅にふえて、四割ないしは五割に近くなっているわけでしょう。この法定受託事務に係る関与の類型に、技術的助言や勧告などに加えて、特に必要な場合は許可、認可、承認と指示、それに特定の場合には一定の手続のもとに代執行がとられることにもなっているわけですが、しかし、措置要求や事前協議制もまた、国レベルからの歯どめ的な縛りや、それに恣意的判断やコントロールの余地が多々残っていて、問題が伏在していると言わなければなるまいと思います。
加えて、国と地方を通ずる税制や財政に踏み込んだものが乏しくて、特に地方財政レベルでいえば、依然として歳入の自治と歳出の自治はほぼ手つかずのままに推移しているところに、最大の問題点が残っているというふうに指摘できるのじゃないでしょうか。
以上が第二点の、地方自治の原則と一括法の現実絡みの部分です。
第三点に移りたいと思います。
第三点は、自治事務に対する国の関与絡みの部分について、指摘させていただきたいと思います。
自治事務に対する是正の要求に改善義務が付されていることは、地域における自己決定よりも国の省庁の判断を優越させていて、やはり疑問符が残ると言わざるを得ません。
今回の地方自治法の改正案では、自治事務の処理が法令に違反していると認めるとき、または著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、各大臣は、知事に対し是正を求めることができ、知事に指示して市町村長に対し是正を求めさせることができると規定されています。そして、是正の要求があった場合には、自治体にその改善義務が課せられることになっています。
なるほど現行法にも是正措置要求の制度はありますけれども、ここには改善義務が課されているわけではありません。それに、内閣総理大臣のみに認められている権限であります。これを各大臣にまで拡大し、さらに改善義務を課しているというのは、従来と比べてみても、この部分はかなりの後退だと言えるかなと思います。
これが第三点の、自治事務とかかわる国の関与の部分です。
第四点に移りたいと思います。
第四点は、法定受託事務の問題と地方事務官制度の問題について、少しく申し上げてみたいと思います。
なるほど地方分権は、国と地方の上下、主従関係から対等、協力なものへと変え、地方に自己決定権と自己責任の原則を確立するものであり、ローカルイニシアチブによる実効ある分権化が問われています。この観点から見ても、できることならば、法定受託事務量を可能な限り削減するということが、今日及び今後の時代の要請として、抜かすわけにはいかない大事な視点の一つかなと思います。それだけに、国行政やお上の都合に合わせることではなくて、国民や市民と直結する部分で、個性的で多様な地域づくりを可能にする分権の内実の拡充が図られることを、大いに期待したいと思います。
この観点に立って考えてみますると、改めて、地方事務官制度の問題あたりも、今回の一括法で指摘されている部分については疑問符を持ちたくなります。といいますのは、都道府県知事のもとで社会保険や職業安定の仕事をしている国家公務員の地方事務官制度を廃止して、通常の国家公務員とするということは、改めて、国民や市民の利便性や効率性の観点から見て、大いに問題が残るかなと思われてならないからです。
なお、私の持ち時間は二十分ぐらいで、十五分が終わりますので、もう少々急がさせてください。
第五点に移ります。
第五点は、都道府県による市町村への関与の部分についても疑問があります。といいますのは、都道府県が国と並んで市町村に対する関与機関となっている部分が、これまたどうかなと思われる部分を含んでいるからです。
地方自治法の改正案は、都道府県を国と並ぶ市町村への関与機関としています。例示すれば、新設される第十一章第一節のタイトルは「普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与等」であり、条文にも同様な表現が幾つか示されています。現に普通地方公共団体は市町村のみを指しているようにうかがわれてなりませんけれども、実際にも、市町村は都道府県の機関から広く関与を受ける規定になっているところに問題が残っているかなと思います。この点でも改めて御検討いただければありがたいと思います。
そして、用意してきましたのは実はたくさんありますけれども、もう一点だけ申し上げて、私の方の公述を終わらせていただきたいと思います。
といいますのは、この分権改革一括法案は、同時に国レベルの省庁再編の問題と大きなかかわりを持っているわけですから、その観点に立って、今私は、六点目の問題提起をさせていただきたいと思います。
御承知のように、政府、各省庁は、その政策を通じて、その行政分野のあり方を決定づける面と、政府、各省庁、それ自体が事業体であるという二つの側面を持っているわけです。
先月、五月のおしまいに、九八年度の新しい環境白書が公表されました。そこでは、環境の負荷を減らすグリーン化を進めて、環境立国の道を歩むべきだと提言されています。私もまた、この部分については大いに賛成したいと思います。
この部分を補強する観点で、今私は、せっかく明後二〇〇一年から環境省が発足するように伺っておりますけれども、ひとり環境省だけではなくて、政府の一府十二省に期待したいのは、行政の仕事の質とその内容を問うエコ政府をぜひともつくり上げてほしいと思います。繰り返し申し上げますけれども、行政の仕事の質と内容を問うエコ政府の形成と、当該行政分野で最も大きな事業体であることから事業活動のあり方が問われているわけですから、言うならば、政府活動は、他方ではエコオフィスの形成が問われているかなと思います。
一方では、今申しましたように、せっかくの省庁再編の動きが示されているわけですから、このような観点を下敷きにして、できることならば政府、省庁の再編の部分について、いずれ午後のお時間で、これまたこの場などでも御論議が繰り返されるかなと思いますけれども、それだけに改めて、政府活動のすべての領域で環境主義を取り入れて、政府自体と政府活動をエコロジカルに変革してもらえないでしょうか。
国民の政治や行政不信が厳しい今日のことです。省利省益を優先して、時によっては行政のうまみを温存し、さらに焼け太りの巨大官庁づくりを目指すものでは決してあってほしくないと思います。二十一世紀のキーワードの一つは、やはり環境の時代だろうと思います。せっかく始まるであろう省庁再編のその下敷きに、政府みずからがエコロジカルに変わっていってほしいと願いたいところです。
もしもこのような部分が実現できるならば、市民や国民、地域社会で生活しておりまする私ども多くの国民にとって、今は政府、官庁がとても遠いところに位置づけられていますが、遠い政府、官庁を、国民にとって近くの政府機関へ変身させることができるに違いありません。お集まりの委員の先生方、どうぞ熟考を心から期待したいと思います。
私の方の公述は、以上でお開きにさせていただきます。ありがとうございました。拍手
高
池
池上洋通#8
○池上公述人 こうした公述の機会を与えていただきまして、大変感謝申し上げたいと思います。
私が所属しておりますのは、自治体問題研究所という組織でございますが、一九六三年に、日本の民主的な発展は地方自治の発展なくしてあり得ないという考え方のもとに設立されました、自主的な研究団体でございます。現在、全国各地の自治体職員、住民、研究者、約一万人の会員を持っておりまして、一万七千部ほどの月刊雑誌を発行しておる団体であります。私は、そこで常勤役員として、研究プログラムを担当する常務理事をいたしております。
実は、地方分権に当たりましては、地方分権推進法がつくられました、一九九五年五月に行われました参議院の特別委員会での審議の過程で、参考人として招かれまして、地方分権推進法に賛成する立場から発言をさせていただいております。
それは、これまでの地方自治の現実、特に、国と地方自治体の関係が、先ほど来御指摘されております機関委任事務に象徴されますように、明らかに国が地方自治体を支配する、そういう形になっていたことに強い懸念を持っていたからであります。憲法第九十二条の地方自治の本旨という観点から考えますと、当然あってはならない機関委任事務制度であったわけでございますが、そうしたものを含めて、全面的な検討を加えて、本来憲法が求めている地方自治をつくらなければならないという思いがございまして、地方分権推進に期待をかけたわけであります。
また同時に、東京一極集中現象に見られます、ゆがんだ今日の社会経済の姿がございまして、私どもは、それに対しても大変強い危惧を抱いてまいりました。
私は、年間、毎年ほぼそうですが、全国各地で百二十カ所から百三十カ所ぐらいで講演、研究会に招かれておりますけれども、各地の町や村にまで伺いますと、大変な御苦労をなさって、首長の皆さんがあえいでいるような形で財政のやりくりをするというような姿に、しばしば出会っております。何とか、こうした東京一極集中現象のようなものを転換して、本来の地方自治の姿が実現できないかということも、年来の強い願望でございました。
そこで、地方分権推進をぜひ実現しまして、新しい、私たちが納得をする、そして、日本の地方自治がこうした姿で、つまり憲法に基づく姿で発展していくという希望を私たちは持ちたい、こう願っていたわけであります。
今国会に提出されました地方分権一括法案の中で、地方自治法の部分を見ますと、私、やはり最も強い印象を受けましたのは、機関委任事務の全廃ということでございまして、この点は、年来の願望でございましたから、心から賛成をしたいというふうに思っておりますし、先ほど西尾公述人のお話がございましたが、このために御苦労をなさった推進委員会の関係者の皆さんの労を本当に多としたいというふうに思っております。
しかしながら、同時に、私たちは懸念も幾つも持っておるわけでございまして、きょうは、その中から幾つかのことを率直に申し上げたいというふうに思っております。
その前に、一言申し上げておきたいのでありますが、私の前にお話をされた公述人の皆さんがこもごも指摘をなさいましたけれども、私も、今度のこの一括法案の形はちょっとぎょっとしたわけであります。四百七十五本の法律を一括法案でまとめる。その手法が正しいかどうかということはさておきまして、それを一回の国会で、一つの委員会で審議をしてしまうということが本当に妥当なのかどうなのか。これについては、国民の一人として大変深い疑問を持っているということを、率直に申し上げておきたいというふうに思います。
そこで、改正法案の内容でございますけれども、まず私は、ぜひ皆さん方に一つお願いを申し上げたいなと思いましたのは、現行法の第二条の第三項を全部削除して、いわゆる事務の例示をなくすということになっておるようでありますが、あの部分をなくしますと、国民の目から見て、一体地方自治体は何をするところなのか、自分の生活という現実に引き比べて、何が自分たちの権利であり何が義務なのかということがわからなくなってしまうのではないかという強い懸念を持っております。ぜひ、皆さん方で審議をしていただくときに、この点を御理解いただきたいというふうに思っております。
とりわけ、今後の地方自治体の運営には住民の参加が欠かせません。財政困難が広がっている中で、住民の力をかりずに地方自治体の運営はできないわけでありますから、一体地方自治とは何か、自治体は何をするところなのかということがわかるということは大変重要だと私は考えておりますので、そのことを申し上げているわけであります。
それから、これも先ほどからお話が出てございますが、機関委任事務を廃止した後の事務配分の中で、やはり私も、法定受託事務の範囲が広過ぎるということを、率直に指摘しておきたいと思います。
それともう一つ、これは西尾公述人がおっしゃっておられましたが、法定受託事務の定義にちょっと私はひっかかるものがございまして、今度の改正案ではこうなっています。国が本来果たすべき役割に係るものであって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律またはこれに基づく政令に定めるものというふうになっております。推進委員会の提言でも、また、政府が昨年の五月に策定しました推進計画におきましても、国が本来果たすべき責務に係るものであって、国民の利便性または事務処理の効率性の観点から都道府県または市町村が処理するものとして法律またはこれに基づく政令に定めるものというふうになっていたはずであります。
私がこのことにひっかかっておりますのは二つございまして、一つは、国が本来果たすべき責務ということを、責務という言葉で明確にすることが事務のあり方からして必要なのじゃないかという気がするわけであります。今度のそれですと、一体、最終的に国に責任があるのか、地方自治体にあるのかがあいまいだと言われても仕方ない側面があるように思いますので、このことを申し上げているわけであります。
これは、将来にわたって、法定受託事務の財源配分、財源負担をだれがするのかという問題にもかかわるのではないかという危惧を実は持っておりまして、そのこともあわせて申し上げておきたいわけであります。
それからもう一点は、推進委員会でおつくりになった、あるいはまた、政府の推進計画の中で語られていたこの文言の方が、国民の側からして本来の姿ではないか、国民の利便性または事務処理の効率性の観点から法定受託事務が必要なんだという説明の方が、本来の姿ではないかということを思うわけであります。この二点を御指摘申し上げたいと思います。
それから、議員定数の問題につきまして、私も意見がございまして、先ほど恒松公述人がおっしゃっておられましたが、私も、本来は自治体が自由に決めるべきテーマであるというふうに思っております。ただ、仮に憲法第十四条の言う法のもとでの平等を著しく欠くということが心配されるということがあるとするならば、それは、法の規定は最低限数を決めるべきであって、上限数を決めるべきではないというふうに思うわけであります。つまり、最低限の数字を決めて、何人にするかを自治体が決定するというのが本来の姿ではなかろうかというふうに思います。
もともと、現在の定数は、御承知のように、明治二十一年、市制、町村制がしかれたときの定数がベースになりまして、何回かの改正を加えて、今日の地方自治法がつくられるときに、数の上乗せをして今日の定数になったという歴史的いきさつがあります。実は、百年を超えて国民の間に定着したと見るべき定数の仕組みなのでありまして、私は、こういう形で簡単にいじることそのものが少しおかしいのではないかという思いも持っているところであります。
それから、国の自治体に関する関与の問題でございますが、この点も、既に幾つもの御指摘がなされておりますが、それらについては、私、ほぼ同じ意見でございますので、なるべくダブらないように申し上げたいというふうに思います。
まず第一番目に、私が大変強い印象を持ちましたのは、国が地方自治体に関与する構えの中に、国が基本的に正しい、国を物差しにして、そして自治体の事務をはかるということに終始一貫しているのではないかという、大変強い危惧を持ちました。この点は、どんなふうに皆さんはお感じなのでしょうか。
そうしたことを配慮なさって、多分、関与の法定主義であるとか国の配慮とかということを繰り返し条文の中に盛り込まれたことと思いますけれども、そうした配慮にもかかわらず、先ほどから御指摘がございます自治事務に対する是正の要求、それから自治事務に事実上すべての関与ができる、そういう形になっているわけであります。それから、基本類型が八種類定められておりますけれども、それ以外の関与も自治事務に対してもできる。法文でいいますと、個別具体的な云々ということで、できるようになっておるわけであります。それからさらに、各大臣が所管事務について自由に関与できると言ってよい、そうした法文の流れになっております。
いずれも、私は、国と地方自治体の関係で見ますと、場合によっては、現行法よりも強い国の支配が生まれかねないという思いを隠すことができません。
それから、これも先ほどお話ございましたが、都道府県が市町村に対して行う関与のお話がございました。私も、都道府県が監督機関になるのではないかという危惧を持っていることを、率直に申し上げておきたいと思います。
それと、通達行政を廃止するということでございました。これは全くそのとおり、そうでなければならないわけでありますが、どうも、いろいろ調べてみますと、法定受託事務についての処理基準をつくるというふうにおっしゃっている。処理基準をつくることは、やはり法定受託事務だから、全国一律でなきゃいかぬから必要だというふうになるかもしれませんけれども、しかし、今度の法改正では、法定受託事務も条例制定権を認めているんです。そうすると、国のつくる処理基準というものと、地方自治体が条例制定権を持つということの間にあるものはどうなるのかということを、率直に指摘しておきたいと思います。
それからもう一つ、基本類型以外の関与にわたる場合、個別具体的という場合に、形の変わった通達行政が広がるのではないかというおそれを抱いていることも申し上げておきたいと思います。
それから、係争処理の制度が新しくできるわけでございますが、私は、係争処理の制度そのものの意義については軽々に論ずるつもりはございません。ただ、気になっております点が二点ございます。
一つは、この係争処理の委員会を通じて係争処理の手続を踏まないと、自治体が訴訟を起こすことができない、裁判に訴えることができないというふうになっている点であります。この前置主義は、自治体の訴訟権との関係でどうなるのかという疑問を表明しておきたいと思います。
それからもう一点、この処理委員会の委員の任命が、自治大臣が行うというんですけれども、これも少しおかしいと思います。政府と地方自治体が争う、そうしたことを処理する委員会の委員を自治大臣が決めるというのはいかがなものかということでございます。
それから次に、いわゆる並行権限の規定がございます。国が自治事務と同様の事務を直接執行できるという規定がございまして、これまでも実は事実上あったわけでございますが、私は、今度の法改正の考え方からいうと、この並行権限、つまり、国が自治事務と同様の事務を直接執行できるんだというこの部分は、関与の一種ではないかというふうに思いまして、関与の類型に含めるべきではないかという意見を持っております。
それから次に、市町村合併を推進するための法改正と思われる部分がございます。中核市の要件緩和、特例市制度の新設等がそれに当たるわけでありますが、この市町村合併についても一言申し上げておきたいと思います。
実は、私どもが地方自治の専門家として地方自治のこれからを考えるときに、忘れることができませんのは、高齢社会の到来でございます。高齢社会の現実を、介護保険その他、非常に皆さん頭を悩めていらっしゃいますけれども、実際には、高齢社会の中で地域社会が活性化する一つの基本は、足弱になった高齢者が外出できる範囲で行政の力が働けるかどうかということがあるわけであります。そういう意味からいいますと、どんどん行政の単位を広域化していきますと、そもそも高齢者は行政へ参加することはできなくなります。
そうしたことも含めて、私たちは、子供の成長過程、成長の課題もそうでありますが、子供もやはり、子どもの権利条約などで確認されておりますように、子供の意見表明権というのがあるわけでありますから、そうした参加のことを考えますと、これからのいわば行政の単位というものを、もう少し生活のレベルで考えていただけないものかというふうに思っておるわけであります。
それ以外にも幾つかございますが、最後に、今後の討論の中で、住民投票の制度についてぜひ改めて議論していただきたいということが一つ、それから、地方自治の発展の立場に立った税財政制度をどうするのかということについて、全面的な議論をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
私は、実はかつて、東京のある市役所の職員をいたしておった時期がございます。そうした現場の経験から見ましても、今日のこの国会に出されておりますこの一括法案は、拙速なというお話がさっきございましたが、拙速という言葉は大変失礼だと思いますけれども、来年四月実施を金科玉条になさらないで、本気になって現場の声を改めて聞いていただきたい。そして、国民各層、すべての自治体の参加ということ、特に自治体の参加については、すべての自治体の参加を思い切ってやるぐらいのことをして、この法案の審議に当たっていただきたいと思います。
その点では、地方分権推進法をつくったときの基本理念にもう一回立ち返っていただいて、日本国憲法の地方自治の本旨に基づく、私たちの地方自治の発展というものに私たちは期待をかけたいわけでありますから、そうした観点によるところの一括法案につくりかえていただきたい。
特に、今国会において何としてもこれを全部通そうということについては、特に強い懸念を表明して、私の意見陳述といたします。どうもありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →私が所属しておりますのは、自治体問題研究所という組織でございますが、一九六三年に、日本の民主的な発展は地方自治の発展なくしてあり得ないという考え方のもとに設立されました、自主的な研究団体でございます。現在、全国各地の自治体職員、住民、研究者、約一万人の会員を持っておりまして、一万七千部ほどの月刊雑誌を発行しておる団体であります。私は、そこで常勤役員として、研究プログラムを担当する常務理事をいたしております。
実は、地方分権に当たりましては、地方分権推進法がつくられました、一九九五年五月に行われました参議院の特別委員会での審議の過程で、参考人として招かれまして、地方分権推進法に賛成する立場から発言をさせていただいております。
それは、これまでの地方自治の現実、特に、国と地方自治体の関係が、先ほど来御指摘されております機関委任事務に象徴されますように、明らかに国が地方自治体を支配する、そういう形になっていたことに強い懸念を持っていたからであります。憲法第九十二条の地方自治の本旨という観点から考えますと、当然あってはならない機関委任事務制度であったわけでございますが、そうしたものを含めて、全面的な検討を加えて、本来憲法が求めている地方自治をつくらなければならないという思いがございまして、地方分権推進に期待をかけたわけであります。
また同時に、東京一極集中現象に見られます、ゆがんだ今日の社会経済の姿がございまして、私どもは、それに対しても大変強い危惧を抱いてまいりました。
私は、年間、毎年ほぼそうですが、全国各地で百二十カ所から百三十カ所ぐらいで講演、研究会に招かれておりますけれども、各地の町や村にまで伺いますと、大変な御苦労をなさって、首長の皆さんがあえいでいるような形で財政のやりくりをするというような姿に、しばしば出会っております。何とか、こうした東京一極集中現象のようなものを転換して、本来の地方自治の姿が実現できないかということも、年来の強い願望でございました。
そこで、地方分権推進をぜひ実現しまして、新しい、私たちが納得をする、そして、日本の地方自治がこうした姿で、つまり憲法に基づく姿で発展していくという希望を私たちは持ちたい、こう願っていたわけであります。
今国会に提出されました地方分権一括法案の中で、地方自治法の部分を見ますと、私、やはり最も強い印象を受けましたのは、機関委任事務の全廃ということでございまして、この点は、年来の願望でございましたから、心から賛成をしたいというふうに思っておりますし、先ほど西尾公述人のお話がございましたが、このために御苦労をなさった推進委員会の関係者の皆さんの労を本当に多としたいというふうに思っております。
しかしながら、同時に、私たちは懸念も幾つも持っておるわけでございまして、きょうは、その中から幾つかのことを率直に申し上げたいというふうに思っております。
その前に、一言申し上げておきたいのでありますが、私の前にお話をされた公述人の皆さんがこもごも指摘をなさいましたけれども、私も、今度のこの一括法案の形はちょっとぎょっとしたわけであります。四百七十五本の法律を一括法案でまとめる。その手法が正しいかどうかということはさておきまして、それを一回の国会で、一つの委員会で審議をしてしまうということが本当に妥当なのかどうなのか。これについては、国民の一人として大変深い疑問を持っているということを、率直に申し上げておきたいというふうに思います。
そこで、改正法案の内容でございますけれども、まず私は、ぜひ皆さん方に一つお願いを申し上げたいなと思いましたのは、現行法の第二条の第三項を全部削除して、いわゆる事務の例示をなくすということになっておるようでありますが、あの部分をなくしますと、国民の目から見て、一体地方自治体は何をするところなのか、自分の生活という現実に引き比べて、何が自分たちの権利であり何が義務なのかということがわからなくなってしまうのではないかという強い懸念を持っております。ぜひ、皆さん方で審議をしていただくときに、この点を御理解いただきたいというふうに思っております。
とりわけ、今後の地方自治体の運営には住民の参加が欠かせません。財政困難が広がっている中で、住民の力をかりずに地方自治体の運営はできないわけでありますから、一体地方自治とは何か、自治体は何をするところなのかということがわかるということは大変重要だと私は考えておりますので、そのことを申し上げているわけであります。
それから、これも先ほどからお話が出てございますが、機関委任事務を廃止した後の事務配分の中で、やはり私も、法定受託事務の範囲が広過ぎるということを、率直に指摘しておきたいと思います。
それともう一つ、これは西尾公述人がおっしゃっておられましたが、法定受託事務の定義にちょっと私はひっかかるものがございまして、今度の改正案ではこうなっています。国が本来果たすべき役割に係るものであって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律またはこれに基づく政令に定めるものというふうになっております。推進委員会の提言でも、また、政府が昨年の五月に策定しました推進計画におきましても、国が本来果たすべき責務に係るものであって、国民の利便性または事務処理の効率性の観点から都道府県または市町村が処理するものとして法律またはこれに基づく政令に定めるものというふうになっていたはずであります。
私がこのことにひっかかっておりますのは二つございまして、一つは、国が本来果たすべき責務ということを、責務という言葉で明確にすることが事務のあり方からして必要なのじゃないかという気がするわけであります。今度のそれですと、一体、最終的に国に責任があるのか、地方自治体にあるのかがあいまいだと言われても仕方ない側面があるように思いますので、このことを申し上げているわけであります。
これは、将来にわたって、法定受託事務の財源配分、財源負担をだれがするのかという問題にもかかわるのではないかという危惧を実は持っておりまして、そのこともあわせて申し上げておきたいわけであります。
それからもう一点は、推進委員会でおつくりになった、あるいはまた、政府の推進計画の中で語られていたこの文言の方が、国民の側からして本来の姿ではないか、国民の利便性または事務処理の効率性の観点から法定受託事務が必要なんだという説明の方が、本来の姿ではないかということを思うわけであります。この二点を御指摘申し上げたいと思います。
それから、議員定数の問題につきまして、私も意見がございまして、先ほど恒松公述人がおっしゃっておられましたが、私も、本来は自治体が自由に決めるべきテーマであるというふうに思っております。ただ、仮に憲法第十四条の言う法のもとでの平等を著しく欠くということが心配されるということがあるとするならば、それは、法の規定は最低限数を決めるべきであって、上限数を決めるべきではないというふうに思うわけであります。つまり、最低限の数字を決めて、何人にするかを自治体が決定するというのが本来の姿ではなかろうかというふうに思います。
もともと、現在の定数は、御承知のように、明治二十一年、市制、町村制がしかれたときの定数がベースになりまして、何回かの改正を加えて、今日の地方自治法がつくられるときに、数の上乗せをして今日の定数になったという歴史的いきさつがあります。実は、百年を超えて国民の間に定着したと見るべき定数の仕組みなのでありまして、私は、こういう形で簡単にいじることそのものが少しおかしいのではないかという思いも持っているところであります。
それから、国の自治体に関する関与の問題でございますが、この点も、既に幾つもの御指摘がなされておりますが、それらについては、私、ほぼ同じ意見でございますので、なるべくダブらないように申し上げたいというふうに思います。
まず第一番目に、私が大変強い印象を持ちましたのは、国が地方自治体に関与する構えの中に、国が基本的に正しい、国を物差しにして、そして自治体の事務をはかるということに終始一貫しているのではないかという、大変強い危惧を持ちました。この点は、どんなふうに皆さんはお感じなのでしょうか。
そうしたことを配慮なさって、多分、関与の法定主義であるとか国の配慮とかということを繰り返し条文の中に盛り込まれたことと思いますけれども、そうした配慮にもかかわらず、先ほどから御指摘がございます自治事務に対する是正の要求、それから自治事務に事実上すべての関与ができる、そういう形になっているわけであります。それから、基本類型が八種類定められておりますけれども、それ以外の関与も自治事務に対してもできる。法文でいいますと、個別具体的な云々ということで、できるようになっておるわけであります。それからさらに、各大臣が所管事務について自由に関与できると言ってよい、そうした法文の流れになっております。
いずれも、私は、国と地方自治体の関係で見ますと、場合によっては、現行法よりも強い国の支配が生まれかねないという思いを隠すことができません。
それから、これも先ほどお話ございましたが、都道府県が市町村に対して行う関与のお話がございました。私も、都道府県が監督機関になるのではないかという危惧を持っていることを、率直に申し上げておきたいと思います。
それと、通達行政を廃止するということでございました。これは全くそのとおり、そうでなければならないわけでありますが、どうも、いろいろ調べてみますと、法定受託事務についての処理基準をつくるというふうにおっしゃっている。処理基準をつくることは、やはり法定受託事務だから、全国一律でなきゃいかぬから必要だというふうになるかもしれませんけれども、しかし、今度の法改正では、法定受託事務も条例制定権を認めているんです。そうすると、国のつくる処理基準というものと、地方自治体が条例制定権を持つということの間にあるものはどうなるのかということを、率直に指摘しておきたいと思います。
それからもう一つ、基本類型以外の関与にわたる場合、個別具体的という場合に、形の変わった通達行政が広がるのではないかというおそれを抱いていることも申し上げておきたいと思います。
それから、係争処理の制度が新しくできるわけでございますが、私は、係争処理の制度そのものの意義については軽々に論ずるつもりはございません。ただ、気になっております点が二点ございます。
一つは、この係争処理の委員会を通じて係争処理の手続を踏まないと、自治体が訴訟を起こすことができない、裁判に訴えることができないというふうになっている点であります。この前置主義は、自治体の訴訟権との関係でどうなるのかという疑問を表明しておきたいと思います。
それからもう一点、この処理委員会の委員の任命が、自治大臣が行うというんですけれども、これも少しおかしいと思います。政府と地方自治体が争う、そうしたことを処理する委員会の委員を自治大臣が決めるというのはいかがなものかということでございます。
それから次に、いわゆる並行権限の規定がございます。国が自治事務と同様の事務を直接執行できるという規定がございまして、これまでも実は事実上あったわけでございますが、私は、今度の法改正の考え方からいうと、この並行権限、つまり、国が自治事務と同様の事務を直接執行できるんだというこの部分は、関与の一種ではないかというふうに思いまして、関与の類型に含めるべきではないかという意見を持っております。
それから次に、市町村合併を推進するための法改正と思われる部分がございます。中核市の要件緩和、特例市制度の新設等がそれに当たるわけでありますが、この市町村合併についても一言申し上げておきたいと思います。
実は、私どもが地方自治の専門家として地方自治のこれからを考えるときに、忘れることができませんのは、高齢社会の到来でございます。高齢社会の現実を、介護保険その他、非常に皆さん頭を悩めていらっしゃいますけれども、実際には、高齢社会の中で地域社会が活性化する一つの基本は、足弱になった高齢者が外出できる範囲で行政の力が働けるかどうかということがあるわけであります。そういう意味からいいますと、どんどん行政の単位を広域化していきますと、そもそも高齢者は行政へ参加することはできなくなります。
そうしたことも含めて、私たちは、子供の成長過程、成長の課題もそうでありますが、子供もやはり、子どもの権利条約などで確認されておりますように、子供の意見表明権というのがあるわけでありますから、そうした参加のことを考えますと、これからのいわば行政の単位というものを、もう少し生活のレベルで考えていただけないものかというふうに思っておるわけであります。
それ以外にも幾つかございますが、最後に、今後の討論の中で、住民投票の制度についてぜひ改めて議論していただきたいということが一つ、それから、地方自治の発展の立場に立った税財政制度をどうするのかということについて、全面的な議論をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
私は、実はかつて、東京のある市役所の職員をいたしておった時期がございます。そうした現場の経験から見ましても、今日のこの国会に出されておりますこの一括法案は、拙速なというお話がさっきございましたが、拙速という言葉は大変失礼だと思いますけれども、来年四月実施を金科玉条になさらないで、本気になって現場の声を改めて聞いていただきたい。そして、国民各層、すべての自治体の参加ということ、特に自治体の参加については、すべての自治体の参加を思い切ってやるぐらいのことをして、この法案の審議に当たっていただきたいと思います。
その点では、地方分権推進法をつくったときの基本理念にもう一回立ち返っていただいて、日本国憲法の地方自治の本旨に基づく、私たちの地方自治の発展というものに私たちは期待をかけたいわけでありますから、そうした観点によるところの一括法案につくりかえていただきたい。
特に、今国会において何としてもこれを全部通そうということについては、特に強い懸念を表明して、私の意見陳述といたします。どうもありがとうございました。拍手
高
高
小
小野寺五典#11
○小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。きょうは、地方分権一括法案につきまして、公述人の皆様にいろいろお伺いしたいと思います。
まず、初めまして、きょうはお忙しいところ、大変ありがとうございます。
今までのお話を伺いまして、まず感じますこと、それは、今回の地方分権という流れに関しては、公述人の皆様すべて前に進んでいると、それから、中にはやはり、井下田先生のように、感慨を持ってというような御感想もあると思います。
その中で、ちょっと皆様の論点を整理しますと、まず、西尾勝先生は、今回のこの法案策定に当たりますその前段階の、地方分権推進委員会の委員、そしてまた、その中の行政関係検討グループの座長ということで、文字どおり、例えば機関委任事務の問題に関しましては、一つ一つ心血を注がれて検討されたということをつぶさに伺っております。そういう中から、今回はこの法案、国とのいろいろなことを協議した結果、なるほど、法文の精緻の中で、このような形になるのは最善の改善策ではないかということで、これを通していただきたいというような御趣旨だったと思います。
また、恒松先生は、知事の御経験あるいは研究者の御経験という中から、今回の分権に関しては、いろいろな形で、例えば機関委任事務の廃止については勇断である、ただ、その中で中央との対等な関係を考える上でまだまだ議論すべきところは多いのではないか、もう少し納得すべき形でまとめるべきではないかという御意見だったと思います。
また、井下田公述人に関しましては、地域に住まわれる、またその研究者として、私も御著書を読んでおります。その中で、今回の改革、拙速なものではないか、特に、四百七十五本という改正は、これは大き過ぎるのではないかというような御趣旨だと思います。
また、池上公述人は、自治問研の雑誌、私も購読者でございます。非常にすばらしい研究をされていると思うのですが、その中で同じく、この膨大な法案というのは本当に一括してできるものなのかというような御懸念があったと思います。全体としましては、まず、この全体の流れについてはよし、ただ、この短い国会の間でこれだけの膨大なことを一気に決めるのはどうなのかというような御意見だったと思います。
その中で、ちょっと個別についてお伺いをしたいことがあります。
まず第一点。今回の議論になっておりますのが機関委任事務の全廃ということです。この全廃に当たりましては、今回いろいろな御意見があると思います。特に、当初の見込みに比べまして、法定受託事務がふえてしまったということ。
それからもう一点。自治体に、自治事務の中に是正要求が出た場合の改善義務が生じてしまったということ。これは、公述人の皆さんのお話を伺う中では、どうも逆に中央の関与が強まるのではないかというような御懸念があったと思うのですが、ただ、これに関しては、恐らくかなりの議論が今回この法案策定の中で行われたと思います。
そこで、まず、この法案策定を含めまして、全体の主査も行いました西尾公述人から、この機関委任事務の全廃ということの検討の中で、特に、法定受託事務がふえたということ、あるいは実際に精緻する中で、この是正義務が必要だということ、改善義務が生じることの必要性ということについて、少し具体例がありましたら、教えていただければと思うんです。
この発言だけを見る →まず、初めまして、きょうはお忙しいところ、大変ありがとうございます。
今までのお話を伺いまして、まず感じますこと、それは、今回の地方分権という流れに関しては、公述人の皆様すべて前に進んでいると、それから、中にはやはり、井下田先生のように、感慨を持ってというような御感想もあると思います。
その中で、ちょっと皆様の論点を整理しますと、まず、西尾勝先生は、今回のこの法案策定に当たりますその前段階の、地方分権推進委員会の委員、そしてまた、その中の行政関係検討グループの座長ということで、文字どおり、例えば機関委任事務の問題に関しましては、一つ一つ心血を注がれて検討されたということをつぶさに伺っております。そういう中から、今回はこの法案、国とのいろいろなことを協議した結果、なるほど、法文の精緻の中で、このような形になるのは最善の改善策ではないかということで、これを通していただきたいというような御趣旨だったと思います。
また、恒松先生は、知事の御経験あるいは研究者の御経験という中から、今回の分権に関しては、いろいろな形で、例えば機関委任事務の廃止については勇断である、ただ、その中で中央との対等な関係を考える上でまだまだ議論すべきところは多いのではないか、もう少し納得すべき形でまとめるべきではないかという御意見だったと思います。
また、井下田公述人に関しましては、地域に住まわれる、またその研究者として、私も御著書を読んでおります。その中で、今回の改革、拙速なものではないか、特に、四百七十五本という改正は、これは大き過ぎるのではないかというような御趣旨だと思います。
また、池上公述人は、自治問研の雑誌、私も購読者でございます。非常にすばらしい研究をされていると思うのですが、その中で同じく、この膨大な法案というのは本当に一括してできるものなのかというような御懸念があったと思います。全体としましては、まず、この全体の流れについてはよし、ただ、この短い国会の間でこれだけの膨大なことを一気に決めるのはどうなのかというような御意見だったと思います。
その中で、ちょっと個別についてお伺いをしたいことがあります。
まず第一点。今回の議論になっておりますのが機関委任事務の全廃ということです。この全廃に当たりましては、今回いろいろな御意見があると思います。特に、当初の見込みに比べまして、法定受託事務がふえてしまったということ。
それからもう一点。自治体に、自治事務の中に是正要求が出た場合の改善義務が生じてしまったということ。これは、公述人の皆さんのお話を伺う中では、どうも逆に中央の関与が強まるのではないかというような御懸念があったと思うのですが、ただ、これに関しては、恐らくかなりの議論が今回この法案策定の中で行われたと思います。
そこで、まず、この法案策定を含めまして、全体の主査も行いました西尾公述人から、この機関委任事務の全廃ということの検討の中で、特に、法定受託事務がふえたということ、あるいは実際に精緻する中で、この是正義務が必要だということ、改善義務が生じることの必要性ということについて、少し具体例がありましたら、教えていただければと思うんです。
西
西尾勝#12
○西尾公述人 まず第一点でございますが、法定受託事務が見込み以上にふえたのではないかと言われますのは、第一次勧告を提出しました後の記者レクなどで問われました委員会側が、最終的には自治事務が八割、法定受託事務が二割ぐらいにおさまるのではないだろうか、私を初めそう申し上げたことが、その後ずっと伝わって、こういうことになっているわけであります。
端的に申し上げますと、我が委員会の見込み違いということに尽きます。もっと正直に言えば、当時、機関委任事務制度の全貌について、私どもが正確な把握をしていなかったということでございます。
御承知のように、地方自治法の別表には一覧表が出ていることになっておりますけれども、あそこの書き方はかなり概括的でありまして、細かく全部列挙されているわけではありませんし、あの別表に載っていない機関委任事務というのが多数続々と出てまいりまして、それがどんどん最終的に整理されていったということになるわけでありますが、正直に申し上げますと、私どもが全体像を正確に把握していなくて、あの時点で、その辺でおさまるのではないかと見込みを述べたことが、大変軽率であったというふうに思います。
しかし、もう一つ、それだけふえた大きな要因になっておりますのは、先ほども冒頭陳述の中で申し上げましたように、メルクマールの七に当たっているというような、経由事務的な実に細々としたものが、件数としては非常に膨大にあるということでございます。これがなかなか、一つ一つ、どれだけ数があるかということを私どもが確認できていなかった、把握していなかったというところに最大原因があるかと思っております。
結論として、でき上がってきたものについて、法定受託事務が多過ぎるというふうに私は思っておりません。事務の性質に従った分類があれできちんとなされている、理屈は立っているというふうに考えております。
第二点目でございますが、ここは先ほど来公述人からもいろいろ御意見がございましたけれども、現行の地方自治法における内閣総理大臣による是正措置要求というものの法的効果について、私とは解釈が違います。
私は、現行の地方自治法の内閣総理大臣による是正措置要求がなされたならば、地方公共団体はこれに従う義務があるというふうに解釈されてきたと考えております。その意味では、その点は変わるわけではありません。
ただ、私どもが考えましたときに、第一次勧告の時点ではそのことをはっきりと書いておりませんけれども、第二次勧告になりましたときに、国が市町村に対して行う、あるいは都道府県が国からの法定受託事務として市町村に対して是正改善を求めるというときの是正の要求、当時は私どもは是正措置要求と言っておりましたが、今度の法案では是正の要求という言葉に変わっておりますが、この是正の要求とは区別いたしまして、都道府県が自治事務として市町村に対して改善を求める場合には、これは是正の勧告という言葉を使っているわけであります。あえて是正の要求と是正の勧告を分けているわけであります。ということは、勧告には尊重義務が生じるのみでありますけれども、是正の要求の方については、一段と尊重義務以上に強い義務が生じるということを当然の前提に考えておりました。
さらに戻って申しますと、関与の基本類型の中に、技術的助言、次に勧告とありまして、それから特定の場合の指示があって、是正の要求というような話になるわけですけれども、一般的な勧告と是正の要求とどこが違うのかという問題が起こります。これが単に尊重義務であれば、勧告と何ら違わないものということになるわけであります。
したがって、是正の要求は、勧告よりは一段と強い求めである、それに従う一段と強い義務が地方公共団体に生ずるということを当然の前提として、私どもは設計しておりました。したがって、是正の要求については、国地方係争処理委員会の係争の対象になる、司法審査にまで行き得る話である、こういうふうに考えていたわけであります。
ただ、現在の地方自治法も、あえて、是正または改善の措置を講ずる、必要な措置を講ずる、講じなければならないというような書きぶりにはしていないわけですね。したがって、そういう解釈だといたしましても、そこまではっきりと法文に書くか書かないかは一つの選択肢だと思っておりました。したがって、私どもはその点を勧告ではっきり書いておりませんでしたけれども、政府の方におかれましては、法制的な検討をした結果、最終的にああいう表現をとるという決断をなさったわけであります。
それは、こういうことを明確にしておきませんと、今度は、訴訟に行くときには、その取り消しを求めるのだということに組み立てないとなかなか理屈が立たないので、そこを明確に書くことにしたんだ、こう理解しております。その趣旨は、私にはよく理解できると思います。
以上です。
この発言だけを見る →端的に申し上げますと、我が委員会の見込み違いということに尽きます。もっと正直に言えば、当時、機関委任事務制度の全貌について、私どもが正確な把握をしていなかったということでございます。
御承知のように、地方自治法の別表には一覧表が出ていることになっておりますけれども、あそこの書き方はかなり概括的でありまして、細かく全部列挙されているわけではありませんし、あの別表に載っていない機関委任事務というのが多数続々と出てまいりまして、それがどんどん最終的に整理されていったということになるわけでありますが、正直に申し上げますと、私どもが全体像を正確に把握していなくて、あの時点で、その辺でおさまるのではないかと見込みを述べたことが、大変軽率であったというふうに思います。
しかし、もう一つ、それだけふえた大きな要因になっておりますのは、先ほども冒頭陳述の中で申し上げましたように、メルクマールの七に当たっているというような、経由事務的な実に細々としたものが、件数としては非常に膨大にあるということでございます。これがなかなか、一つ一つ、どれだけ数があるかということを私どもが確認できていなかった、把握していなかったというところに最大原因があるかと思っております。
結論として、でき上がってきたものについて、法定受託事務が多過ぎるというふうに私は思っておりません。事務の性質に従った分類があれできちんとなされている、理屈は立っているというふうに考えております。
第二点目でございますが、ここは先ほど来公述人からもいろいろ御意見がございましたけれども、現行の地方自治法における内閣総理大臣による是正措置要求というものの法的効果について、私とは解釈が違います。
私は、現行の地方自治法の内閣総理大臣による是正措置要求がなされたならば、地方公共団体はこれに従う義務があるというふうに解釈されてきたと考えております。その意味では、その点は変わるわけではありません。
ただ、私どもが考えましたときに、第一次勧告の時点ではそのことをはっきりと書いておりませんけれども、第二次勧告になりましたときに、国が市町村に対して行う、あるいは都道府県が国からの法定受託事務として市町村に対して是正改善を求めるというときの是正の要求、当時は私どもは是正措置要求と言っておりましたが、今度の法案では是正の要求という言葉に変わっておりますが、この是正の要求とは区別いたしまして、都道府県が自治事務として市町村に対して改善を求める場合には、これは是正の勧告という言葉を使っているわけであります。あえて是正の要求と是正の勧告を分けているわけであります。ということは、勧告には尊重義務が生じるのみでありますけれども、是正の要求の方については、一段と尊重義務以上に強い義務が生じるということを当然の前提に考えておりました。
さらに戻って申しますと、関与の基本類型の中に、技術的助言、次に勧告とありまして、それから特定の場合の指示があって、是正の要求というような話になるわけですけれども、一般的な勧告と是正の要求とどこが違うのかという問題が起こります。これが単に尊重義務であれば、勧告と何ら違わないものということになるわけであります。
したがって、是正の要求は、勧告よりは一段と強い求めである、それに従う一段と強い義務が地方公共団体に生ずるということを当然の前提として、私どもは設計しておりました。したがって、是正の要求については、国地方係争処理委員会の係争の対象になる、司法審査にまで行き得る話である、こういうふうに考えていたわけであります。
ただ、現在の地方自治法も、あえて、是正または改善の措置を講ずる、必要な措置を講ずる、講じなければならないというような書きぶりにはしていないわけですね。したがって、そういう解釈だといたしましても、そこまではっきりと法文に書くか書かないかは一つの選択肢だと思っておりました。したがって、私どもはその点を勧告ではっきり書いておりませんでしたけれども、政府の方におかれましては、法制的な検討をした結果、最終的にああいう表現をとるという決断をなさったわけであります。
それは、こういうことを明確にしておきませんと、今度は、訴訟に行くときには、その取り消しを求めるのだということに組み立てないとなかなか理屈が立たないので、そこを明確に書くことにしたんだ、こう理解しております。その趣旨は、私にはよく理解できると思います。
以上です。
小
小野寺五典#13
○小野寺委員 大変よくわかりました。どちらかといいますと、今の係争処理の問題に関しては、国が今回の法案を成立させる中で最終的な選択をしたというような方向だと思います。
私も、元県職員の経験がございます。その中で、現実的には、このような改善ということが、ある程度国の関与があってもしかるべきなのではないかという経験も持っております。ですから、余り今回の要求というのが強くならないように、運用上で地方主権、地方分権が担保されることを期待している一人でもあります。
次の質問に移らせていただきたいと思います。
議論の中で幾らか出てきたと思うのですが、分権後の財源の確保ということがいろいろ課題になっていると思います。ちょっとこのことについて西尾先生と恒松先生にお伺いしたいのですが、まず西尾先生、いろいろなところで、今回の分権後の財源の確保、特に国の関与の問題に関して、国庫補助負担金の整理合理化ということが今後いろいろな形で検討が必要じゃないかということをおっしゃっていると思うのですが、その辺について少しお話を伺わせていただければと思います。
この発言だけを見る →私も、元県職員の経験がございます。その中で、現実的には、このような改善ということが、ある程度国の関与があってもしかるべきなのではないかという経験も持っております。ですから、余り今回の要求というのが強くならないように、運用上で地方主権、地方分権が担保されることを期待している一人でもあります。
次の質問に移らせていただきたいと思います。
議論の中で幾らか出てきたと思うのですが、分権後の財源の確保ということがいろいろ課題になっていると思います。ちょっとこのことについて西尾先生と恒松先生にお伺いしたいのですが、まず西尾先生、いろいろなところで、今回の分権後の財源の確保、特に国の関与の問題に関して、国庫補助負担金の整理合理化ということが今後いろいろな形で検討が必要じゃないかということをおっしゃっていると思うのですが、その辺について少しお話を伺わせていただければと思います。
西
西尾勝#14
○西尾公述人 今後の地方税財源の充実確保に関しましては、基本的に二つの方策があると思います。
第一番目は、私ども自身が努力をしながら十分な成果を上げられなかった話でありますけれども、国庫補助負担金を整理いたしまして、その場合に、負担金的なものと奨励的補助金的なものを明確に区分していくことが非常に重要でありますが、いずれにしろ、全体の整理合理化を図りまして、そこから浮き上がってくる国の財源を地方一般財源に切りかえるということによって地方税財源を充実していくというのが、第一の方策であろうと思われます。
しかしながら、第二の方策は、現在の制度を前提にしながらも、国と地方公共団体の間の財源の配分が現在の配分比率で最も妥当なものであろうか、地方公共団体により一層の財源が必要なのではないだろうかという点は、私どもの分権委員会で十分に審議した点ではないわけであります。
したがって、ここは今後非常に大きな問題でありますけれども、特に、予定どおりいけば、明年度以降介護保険行政というものが始まることになっております。このことで市町村にかかってくる財政的な負担というものがどのくらいのものになるかというのは、正確なところ、だれにもよくわかっていないのではないだろうかと思われますけれども、政府で現在推定されている以上の費用が市町村にかかることになるのではないかと、私は個人的に思っております。
そうしますと、地方公共団体が現在の財源でやっていけるだろうかというのは、早晩かなり大きな、大問題として起こってくるのではないだろうか。そのときには、地方にかかっている財政需要をきちんと精査し直して、税財源の配分を考え直すべきではないかというふうに思っております。
この発言だけを見る →第一番目は、私ども自身が努力をしながら十分な成果を上げられなかった話でありますけれども、国庫補助負担金を整理いたしまして、その場合に、負担金的なものと奨励的補助金的なものを明確に区分していくことが非常に重要でありますが、いずれにしろ、全体の整理合理化を図りまして、そこから浮き上がってくる国の財源を地方一般財源に切りかえるということによって地方税財源を充実していくというのが、第一の方策であろうと思われます。
しかしながら、第二の方策は、現在の制度を前提にしながらも、国と地方公共団体の間の財源の配分が現在の配分比率で最も妥当なものであろうか、地方公共団体により一層の財源が必要なのではないだろうかという点は、私どもの分権委員会で十分に審議した点ではないわけであります。
したがって、ここは今後非常に大きな問題でありますけれども、特に、予定どおりいけば、明年度以降介護保険行政というものが始まることになっております。このことで市町村にかかってくる財政的な負担というものがどのくらいのものになるかというのは、正確なところ、だれにもよくわかっていないのではないだろうかと思われますけれども、政府で現在推定されている以上の費用が市町村にかかることになるのではないかと、私は個人的に思っております。
そうしますと、地方公共団体が現在の財源でやっていけるだろうかというのは、早晩かなり大きな、大問題として起こってくるのではないだろうか。そのときには、地方にかかっている財政需要をきちんと精査し直して、税財源の配分を考え直すべきではないかというふうに思っております。
小
恒
恒松制治#16
○恒松公述人 大変難しい問題でございまして、今西尾公述人も言われましたように、分権推進委員会でもまだこれからの取り組みの問題になっているようでございます。
私は、確かに、地方団体がいろいろな行政事務をやる場合に、自主財源を強化するということは非常に必要なことだと思いますけれども、一つは、今国税で取っておりますところの税の一部を地方団体に移すという、言いかえれば、税源の配分の問題が一つあります。それからもう一つは、その税を自主的に徴収することができるかどうかという自主性の問題がございます。
この点は、便宜上から申しますと、国が税金、例えば所得税なら所得税を取りまして、それの何%という形でやった方が一番簡単であります。しかし、それで自主性というのが保たれるのかという議論になりますと、これは大変、もっと議論を詰めなきゃならない問題だと思います。
それから、よくいろいろ批判されますのに、地方団体は、中央、地方の総行政事務量の六五%を分担しているにもかかわらず、税の方は三五%しかない、これはおかしいじゃないかと言われますけれども、それは確かにおかしいんです。その場合に、私は、先ほどもちょっと申しましたけれども、それは、地方団体のやる分野といいますか、分担する分野は少し大き過ぎるという判断も考えてもいいのであって、税金の配分が三五%だったら三五%の行政事務量をやればいいではないかという考え方も、一方にはあるわけでございます。
言いかえれば、どれだけの権限を持つかということより、その権限をどれだけ自主性を持って運営することができるか、そういう点で財源の問題はもう一遍考え直してみる必要があるのではないかというふうに思っております。
この発言だけを見る →私は、確かに、地方団体がいろいろな行政事務をやる場合に、自主財源を強化するということは非常に必要なことだと思いますけれども、一つは、今国税で取っておりますところの税の一部を地方団体に移すという、言いかえれば、税源の配分の問題が一つあります。それからもう一つは、その税を自主的に徴収することができるかどうかという自主性の問題がございます。
この点は、便宜上から申しますと、国が税金、例えば所得税なら所得税を取りまして、それの何%という形でやった方が一番簡単であります。しかし、それで自主性というのが保たれるのかという議論になりますと、これは大変、もっと議論を詰めなきゃならない問題だと思います。
それから、よくいろいろ批判されますのに、地方団体は、中央、地方の総行政事務量の六五%を分担しているにもかかわらず、税の方は三五%しかない、これはおかしいじゃないかと言われますけれども、それは確かにおかしいんです。その場合に、私は、先ほどもちょっと申しましたけれども、それは、地方団体のやる分野といいますか、分担する分野は少し大き過ぎるという判断も考えてもいいのであって、税金の配分が三五%だったら三五%の行政事務量をやればいいではないかという考え方も、一方にはあるわけでございます。
言いかえれば、どれだけの権限を持つかということより、その権限をどれだけ自主性を持って運営することができるか、そういう点で財源の問題はもう一遍考え直してみる必要があるのではないかというふうに思っております。
小
小野寺五典#17
○小野寺委員 ありがとうございます。
時間となりましたので、大変残念でありますが、井下田先生あるいは池上先生には、ちょっときょうはお伺いすることができませんでした。
私は、今回の地方分権、本当に期待している者の一人であります。また、ぜひこの法律を実効ある形で成立させたいと思っている一人であります。公述人各位には、実効ある形で、今後もこれを見守っていただきまして、もし不足であれば、ぜひ第二次地方分権改革などについても御提案いただき、また御示唆いただければと思います。
なお、最後に、西尾先生には、本当に私の恩師であります。これからも一生懸命頑張っていきたいと思います。
きょうはどうもありがとうございました。
この発言だけを見る →時間となりましたので、大変残念でありますが、井下田先生あるいは池上先生には、ちょっときょうはお伺いすることができませんでした。
私は、今回の地方分権、本当に期待している者の一人であります。また、ぜひこの法律を実効ある形で成立させたいと思っている一人であります。公述人各位には、実効ある形で、今後もこれを見守っていただきまして、もし不足であれば、ぜひ第二次地方分権改革などについても御提案いただき、また御示唆いただければと思います。
なお、最後に、西尾先生には、本当に私の恩師であります。これからも一生懸命頑張っていきたいと思います。
きょうはどうもありがとうございました。
高
三
三沢淳#19
○三沢委員 自由党の三沢淳です。
本日は、四人の公述人の先生方、大変お忙しいところをどうも御苦労さまです。新しい世界へ入りまして、いろいろ毎日勉強している最中でございますので、またいろいろと御意見を、よろしくお願いいたします。
私ども自由党は、「日本再興へのシナリオ」と題しまして、政策集を昨年出しましたが、これはかなり急激な案が盛り込まれています。それは、背景には、ゆっくりしては間に合わないという時間的な制約に迫られたものですが、その中で、例えば衆議院定数削減であるとか政府委員の廃止、また副大臣制度の導入などが、御承知のとおり自自党首間で合意され、実行に移されようとしています。
そして我が党は、地方分権についても、基本的に、国の仕事を限定し、その他のことは地方で自主的に行うとしています。いわば、事前介入型から事後チェック型へ、国と地方は対等の関係を目指すというものであります。まさにこれは、西尾先生が、地方分権推進委員会行政関係検討グループの座長として、長年にわたって御尽力なされた点と同じ方向性を目指しているものであります。
そこで、西尾先生にお伺いしますが、先生御自身がお考えになる国と地方のあり方というものについて、国が果たすべき役割を明確にし、住民に身近な行政はできる限り地方団体にゆだねるということは、どのような社会を目指すことになるのか、お教え願いたいと思います。
この発言だけを見る →本日は、四人の公述人の先生方、大変お忙しいところをどうも御苦労さまです。新しい世界へ入りまして、いろいろ毎日勉強している最中でございますので、またいろいろと御意見を、よろしくお願いいたします。
私ども自由党は、「日本再興へのシナリオ」と題しまして、政策集を昨年出しましたが、これはかなり急激な案が盛り込まれています。それは、背景には、ゆっくりしては間に合わないという時間的な制約に迫られたものですが、その中で、例えば衆議院定数削減であるとか政府委員の廃止、また副大臣制度の導入などが、御承知のとおり自自党首間で合意され、実行に移されようとしています。
そして我が党は、地方分権についても、基本的に、国の仕事を限定し、その他のことは地方で自主的に行うとしています。いわば、事前介入型から事後チェック型へ、国と地方は対等の関係を目指すというものであります。まさにこれは、西尾先生が、地方分権推進委員会行政関係検討グループの座長として、長年にわたって御尽力なされた点と同じ方向性を目指しているものであります。
そこで、西尾先生にお伺いしますが、先生御自身がお考えになる国と地方のあり方というものについて、国が果たすべき役割を明確にし、住民に身近な行政はできる限り地方団体にゆだねるということは、どのような社会を目指すことになるのか、お教え願いたいと思います。
西
西尾勝#20
○西尾公述人 お答え申し上げます。
私も、先生と全く同意見でございまして、国の役割を極力限定し、できるだけ地域の事務は地方公共団体の事務に広くゆだねていくというのが、基本的な私の考え方であります。ただ、それを非常に具体的に実行していく、具体化していくとなりますと、なかなか難しい問題があるということでございます。
地方分権推進法にも国が担うべき役割を三項目に分けて列挙しておりますし、私どもの勧告でもほぼ同様な考え方を述べましたし、今回の一括法案の中の地方自治法の改正の中で、第一条の二の中に同様のことが書かれているわけであります。
問題は、そこからだんだん演繹的に具体化をし、そうであれば、その下をさらに具体化するとこういうことになるんじゃないかというふうにだんだんおろしていきまして、現在国が担当しておられるもののうちの、これは国がみずから担当する必要がないのではないかというふうに処理していくことは、これは非常に難しいことだと私は思います、実際問題といたしまして。
例えば、外交は国の役割だということをどなたも否定はなさいません。しかし、地方公共団体も、自治体外交等々の名前で、さまざまな国際交流事業を展開しておられます。地方公共団体が展開する国際交流と国が担当する外交の境目というのはどこであるかというのを、これを厳密に決めようとすることは非常に難しいことだと思います。
あるいは、どなたがお考えになっても、防衛は国の役割というふうにお考えになると思います。しかし、防衛の中で、基地等、駐屯地等をどこに置くかという問題は、地域社会にとっては極めて大きな影響を持つ問題でありまして、地方公共団体が無関心でいられる問題では到底ありません。基地があれば、さまざまな施策を地元市町村、都道府県は担当しなければなりません。したがって、防衛に関係することは何から何まで国というわけでもないわけでありまして、そこで、どこまでが国、どこからは地方公共団体もかかわる話かというような線引きをしていく仕事というのは、議論だけやっていたのでは収拾がつかない難しさがあると思います。
したがって、私どもは、まず、むしろ下から積み上げの方法で、地方六団体等が、ここだけは変えていただきたい、ここは都道府県、市町村に任せてほしいと言ってこられたようなことを、順次関係省庁と交渉して解決していくという方法をとったわけですけれども、これではなかなか抜本的な事務権限の移譲にはならないというのは事実であります。より大がかりなことをしようと思ったら、どういう方法が、賢い、有効な方法があるか、これは、だれにもいい知恵がないのではないかというふうに私は思っております。
その上で、極力地方公共団体に役割を担わせた上で、一体どういう社会をつくろうとしておるのかということでありますが、分権委員会が使ってまいりました言葉で言えば、地域住民による自己決定、自己責任の地域社会をつくり上げるということに尽きます。地域的な問題は極力地域住民の選択と決定によって決められる、その代表機関である地方議会あるいは地方公共団体の首長の決断によって、自分たちの地域社会に最も合った自治体政策を選択し、決定することができるという権限をおろしていくということが重要であります。
今回のものでも、一つ一つ例を挙げていたら切りがありませんが、例えば学校教育行政で申しますと、小中学校の学期を決定する権限は、都道府県教育委員会から市町村教育委員会におります。また、就学校の指定の弾力化ということがうたわれております。さらに言えば、学校管理規則というものの制定を柔軟化するということも言っております。これは、教育委員会と学校の関係を規定するものであります。
そしてさらに、カリキュラムの弾力化という話が出てくるわけでありますが、いずれにしても、市町村、都道府県に、これまでは自分たちで決められなかったところに、決められる余地が出てくるわけであります。つまり、都道府県、市町村ごとに違う政策が行われ得るということがいろいろ出てくるわけであります。
そうなりましたならば、地域の住民は、それぞれの市町村、県に対して、これまでは国の法令、通達でできないというから仕方がなかったけれども、今度は県や市町村で決められるというのならば、ぜひこうしてほしいという声が、今まで以上に住民から地方公共団体に寄せられるでしょう。そして、そうした多様な住民の声をどのように地方公共団体がおまとめになって、我が自治体はこうしていくんだという決断をしていかれるかどうかというのが、これからの地方公共団体にとっての課題であります。
私は、今回の改革、一連の改革が行われましたとき、市民の発言は一層活発になると確信しております。
以上です。
〔委員長退席、杉山委員長代理着席〕
この発言だけを見る →私も、先生と全く同意見でございまして、国の役割を極力限定し、できるだけ地域の事務は地方公共団体の事務に広くゆだねていくというのが、基本的な私の考え方であります。ただ、それを非常に具体的に実行していく、具体化していくとなりますと、なかなか難しい問題があるということでございます。
地方分権推進法にも国が担うべき役割を三項目に分けて列挙しておりますし、私どもの勧告でもほぼ同様な考え方を述べましたし、今回の一括法案の中の地方自治法の改正の中で、第一条の二の中に同様のことが書かれているわけであります。
問題は、そこからだんだん演繹的に具体化をし、そうであれば、その下をさらに具体化するとこういうことになるんじゃないかというふうにだんだんおろしていきまして、現在国が担当しておられるもののうちの、これは国がみずから担当する必要がないのではないかというふうに処理していくことは、これは非常に難しいことだと私は思います、実際問題といたしまして。
例えば、外交は国の役割だということをどなたも否定はなさいません。しかし、地方公共団体も、自治体外交等々の名前で、さまざまな国際交流事業を展開しておられます。地方公共団体が展開する国際交流と国が担当する外交の境目というのはどこであるかというのを、これを厳密に決めようとすることは非常に難しいことだと思います。
あるいは、どなたがお考えになっても、防衛は国の役割というふうにお考えになると思います。しかし、防衛の中で、基地等、駐屯地等をどこに置くかという問題は、地域社会にとっては極めて大きな影響を持つ問題でありまして、地方公共団体が無関心でいられる問題では到底ありません。基地があれば、さまざまな施策を地元市町村、都道府県は担当しなければなりません。したがって、防衛に関係することは何から何まで国というわけでもないわけでありまして、そこで、どこまでが国、どこからは地方公共団体もかかわる話かというような線引きをしていく仕事というのは、議論だけやっていたのでは収拾がつかない難しさがあると思います。
したがって、私どもは、まず、むしろ下から積み上げの方法で、地方六団体等が、ここだけは変えていただきたい、ここは都道府県、市町村に任せてほしいと言ってこられたようなことを、順次関係省庁と交渉して解決していくという方法をとったわけですけれども、これではなかなか抜本的な事務権限の移譲にはならないというのは事実であります。より大がかりなことをしようと思ったら、どういう方法が、賢い、有効な方法があるか、これは、だれにもいい知恵がないのではないかというふうに私は思っております。
その上で、極力地方公共団体に役割を担わせた上で、一体どういう社会をつくろうとしておるのかということでありますが、分権委員会が使ってまいりました言葉で言えば、地域住民による自己決定、自己責任の地域社会をつくり上げるということに尽きます。地域的な問題は極力地域住民の選択と決定によって決められる、その代表機関である地方議会あるいは地方公共団体の首長の決断によって、自分たちの地域社会に最も合った自治体政策を選択し、決定することができるという権限をおろしていくということが重要であります。
今回のものでも、一つ一つ例を挙げていたら切りがありませんが、例えば学校教育行政で申しますと、小中学校の学期を決定する権限は、都道府県教育委員会から市町村教育委員会におります。また、就学校の指定の弾力化ということがうたわれております。さらに言えば、学校管理規則というものの制定を柔軟化するということも言っております。これは、教育委員会と学校の関係を規定するものであります。
そしてさらに、カリキュラムの弾力化という話が出てくるわけでありますが、いずれにしても、市町村、都道府県に、これまでは自分たちで決められなかったところに、決められる余地が出てくるわけであります。つまり、都道府県、市町村ごとに違う政策が行われ得るということがいろいろ出てくるわけであります。
そうなりましたならば、地域の住民は、それぞれの市町村、県に対して、これまでは国の法令、通達でできないというから仕方がなかったけれども、今度は県や市町村で決められるというのならば、ぜひこうしてほしいという声が、今まで以上に住民から地方公共団体に寄せられるでしょう。そして、そうした多様な住民の声をどのように地方公共団体がおまとめになって、我が自治体はこうしていくんだという決断をしていかれるかどうかというのが、これからの地方公共団体にとっての課題であります。
私は、今回の改革、一連の改革が行われましたとき、市民の発言は一層活発になると確信しております。
以上です。
〔委員長退席、杉山委員長代理着席〕
三
三沢淳#21
○三沢委員 ありがとうございます。
我が党は、防衛庁を省にしようとうたっておりますが、先生の御意見では、その辺のところの、地方の自治体と国との外交、防衛に関しての線引きはなかなか難しいところがあると言われました。教育の問題もそうです。人づくりは国づくりだといいまして、今の教育問題は、これから取り組まなければいけない大変な問題だと思っております。今の子供たちが、果たして二十一世紀、本当にこの日本を背負ってくれるのかどうか、私自身も不安に思っておりますので、先生の御意見を聞きながら、外交、防衛、そして教育と、また改めましていろいろ御助言をいただければ、そういうふうに思います。
続きまして、西尾先生に次の質問をお伺いします。
地方分権、地方と国とのかかわりを述べる前に、まず官と民のかかわりを先に決めるべきだとの御意見がいろいろあるんですが、その議論はむしろ中央省庁改革の方に譲るとしまして、この地方分権法案、物すごく分厚い法律でありまして、私も目が、頭がくらむような感じだったんですけれども、熱心な議論も相当されてきたわけであります。
中でも、機関委任事務の廃止及びそれに伴う事務区分の再構成が、明治以来の大改革と位置づけられているわけでありますが、この改革によって、実に大きな影響が国民の中に生じてくるというわけであります。
その意味がなかなか専門的で、国民の皆さんにわかりにくい面もあると思うんですが、この地方分権が徹底されてくることによって、地方自治体に自己決定、自己責任の原則が浸透し、また、住民の皆さんもその影響を必然的に受けるのですが、西尾先生、短期的には今回の改正で、また長期的には二〇〇一年の省庁再編、その後の諸改革を行った結果、一体この地方分権というものが国民の皆さんに与える影響、意味、そして国民の皆さんの意識というものはどういうふうに向いていったらいいのか、ちょっと重複するかもしれませんけれども、お願いいたします。
この発言だけを見る →我が党は、防衛庁を省にしようとうたっておりますが、先生の御意見では、その辺のところの、地方の自治体と国との外交、防衛に関しての線引きはなかなか難しいところがあると言われました。教育の問題もそうです。人づくりは国づくりだといいまして、今の教育問題は、これから取り組まなければいけない大変な問題だと思っております。今の子供たちが、果たして二十一世紀、本当にこの日本を背負ってくれるのかどうか、私自身も不安に思っておりますので、先生の御意見を聞きながら、外交、防衛、そして教育と、また改めましていろいろ御助言をいただければ、そういうふうに思います。
続きまして、西尾先生に次の質問をお伺いします。
地方分権、地方と国とのかかわりを述べる前に、まず官と民のかかわりを先に決めるべきだとの御意見がいろいろあるんですが、その議論はむしろ中央省庁改革の方に譲るとしまして、この地方分権法案、物すごく分厚い法律でありまして、私も目が、頭がくらむような感じだったんですけれども、熱心な議論も相当されてきたわけであります。
中でも、機関委任事務の廃止及びそれに伴う事務区分の再構成が、明治以来の大改革と位置づけられているわけでありますが、この改革によって、実に大きな影響が国民の中に生じてくるというわけであります。
その意味がなかなか専門的で、国民の皆さんにわかりにくい面もあると思うんですが、この地方分権が徹底されてくることによって、地方自治体に自己決定、自己責任の原則が浸透し、また、住民の皆さんもその影響を必然的に受けるのですが、西尾先生、短期的には今回の改正で、また長期的には二〇〇一年の省庁再編、その後の諸改革を行った結果、一体この地方分権というものが国民の皆さんに与える影響、意味、そして国民の皆さんの意識というものはどういうふうに向いていったらいいのか、ちょっと重複するかもしれませんけれども、お願いいたします。
西
西尾勝#22
○西尾公述人 今回の改革で、国民、住民に少しわかりにくかった点というのは、改革の焦点が、機関委任事務制度の廃止を初めといたしまして、国による関与を縮小、廃止するという点に重点が置かれていたということが、一つのわかりにくくしている原因ではないかと思います。
これが、事務権限の移譲という形が中心になっていて、例えば、これまで国の役所が、出先機関が担当しておりました仕事が、これからは県庁が担当する、あるいは、県がこれまで担当しておりましたものが、市役所、町役場が担当するように変わるということであれば、役所あるいは企業の方々は、どことこれから接触するのか、どこの窓口に行くべきなのかということが変わるわけですから、仕事の変化というものを痛感するわけですね。これから変わったんだということがよくわかるわけです。
ところが、今回の改革の焦点は、関与の縮小、廃止でありますから、都道府県が今までも担当しておられた、市町村が今までも担当しておられたままなので、住民には、何が変わったのかがよくわからないというわけであります。
市町村の仕事、都道府県の仕事と申しましても、市町村は国や都道府県からさまざまな拘束を受けています。いろいろな指針、ガイドラインを示されて、このとおりしなさいと言われています。都道府県も国からそういうものを受けているわけです。自由がないわけであります。ところが、そこを拘束を緩めて、都道府県、市町村の自由をふやそうとしているわけですから、まずは都道府県の議会、知事さんたち、理事者たち、そして職員たちが、今度の改革の意味をよく理解いたしまして、この与えられた自由をこれからどのように行使するかということを、真剣に考えていただかなきゃならないわけであります。
この与えられた自由をそれぞれが使い出したときに、住民の方には初めてわかる、今度の分権改革が何であったのかということがよくわかるようになると思っております。少しこの関係が間接的ですので、国民、住民の方にはわかりにくいということになっているのかと思います。
したがいまして、改革が行われましてから、この改革の意味を正確に読み取って、積極的にこれを使って自治をやっていこうという自治体、先進的な自治体が、まずこれと取り組み始めるであろうと思いますが、それが三千二百有余の全市町村にまで及び、すべてが今度の改革の意味を理解し、それを活用するようになるのには、私の予想では、恐らく十年ぐらいかかるのではないだろうかというふうに思っております。
この発言だけを見る →これが、事務権限の移譲という形が中心になっていて、例えば、これまで国の役所が、出先機関が担当しておりました仕事が、これからは県庁が担当する、あるいは、県がこれまで担当しておりましたものが、市役所、町役場が担当するように変わるということであれば、役所あるいは企業の方々は、どことこれから接触するのか、どこの窓口に行くべきなのかということが変わるわけですから、仕事の変化というものを痛感するわけですね。これから変わったんだということがよくわかるわけです。
ところが、今回の改革の焦点は、関与の縮小、廃止でありますから、都道府県が今までも担当しておられた、市町村が今までも担当しておられたままなので、住民には、何が変わったのかがよくわからないというわけであります。
市町村の仕事、都道府県の仕事と申しましても、市町村は国や都道府県からさまざまな拘束を受けています。いろいろな指針、ガイドラインを示されて、このとおりしなさいと言われています。都道府県も国からそういうものを受けているわけです。自由がないわけであります。ところが、そこを拘束を緩めて、都道府県、市町村の自由をふやそうとしているわけですから、まずは都道府県の議会、知事さんたち、理事者たち、そして職員たちが、今度の改革の意味をよく理解いたしまして、この与えられた自由をこれからどのように行使するかということを、真剣に考えていただかなきゃならないわけであります。
この与えられた自由をそれぞれが使い出したときに、住民の方には初めてわかる、今度の分権改革が何であったのかということがよくわかるようになると思っております。少しこの関係が間接的ですので、国民、住民の方にはわかりにくいということになっているのかと思います。
したがいまして、改革が行われましてから、この改革の意味を正確に読み取って、積極的にこれを使って自治をやっていこうという自治体、先進的な自治体が、まずこれと取り組み始めるであろうと思いますが、それが三千二百有余の全市町村にまで及び、すべてが今度の改革の意味を理解し、それを活用するようになるのには、私の予想では、恐らく十年ぐらいかかるのではないだろうかというふうに思っております。
三
三沢淳#23
○三沢委員 国も地方も、今本当に第一歩目を踏み出したところでありますので、みんなでいい意見を出して改革していかなきゃいけないんじゃないか、そういう意識が一日でも早く国民の皆さんにも伝われば、この地方分権はうまくいくんじゃないかと思います。我々もしっかり努力をしてまいりたいと思います。先生の御助言もまた、よろしくお願いしたいと思います。
時間が残り少なくなりましたけれども、恒松先生は前に島根県知事をやっておられたということでして、私は島根県の出身でして、同郷で、昭和四十六年まで島根にいまして、その後はちょっと町へ出てきたんですけれども、大変御苦労さまでございました。
恒松先生にお聞きしますが、これからの地方分権で、権限、財源、人間、三ゲンと言われておって、この三つがよく議論になるんですが、中でも財源の問題だと思います。
そこで、現行の交付税制度ですが、例えば群馬県の清水・太田市長さんなどは、経営改善してもしなくても交付税は入ってくる、それどころか、努力して歳入をふやせば交付税を減らされる、こういうふうに言っておられます。この交付税が自治体の経営努力の障害となっており、また、今各自治体とも財政危機ですが、交付税によって財政危機の深刻さがわからなくなり、合理化努力が進まない等の欠点も指摘されております。補助金についても、全国一律の仕組みが地方の個性を失わせていると言われているのは御承知のとおりであります。
我が党は、三百に再編された市には独自の税収システムを認め、国の個別事業補助金を廃止し、地方に一括交付する制度に改める案を出しておりますが、これらの地方財源のあり方について、簡単でもいいですから、御意見をお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →時間が残り少なくなりましたけれども、恒松先生は前に島根県知事をやっておられたということでして、私は島根県の出身でして、同郷で、昭和四十六年まで島根にいまして、その後はちょっと町へ出てきたんですけれども、大変御苦労さまでございました。
恒松先生にお聞きしますが、これからの地方分権で、権限、財源、人間、三ゲンと言われておって、この三つがよく議論になるんですが、中でも財源の問題だと思います。
そこで、現行の交付税制度ですが、例えば群馬県の清水・太田市長さんなどは、経営改善してもしなくても交付税は入ってくる、それどころか、努力して歳入をふやせば交付税を減らされる、こういうふうに言っておられます。この交付税が自治体の経営努力の障害となっており、また、今各自治体とも財政危機ですが、交付税によって財政危機の深刻さがわからなくなり、合理化努力が進まない等の欠点も指摘されております。補助金についても、全国一律の仕組みが地方の個性を失わせていると言われているのは御承知のとおりであります。
我が党は、三百に再編された市には独自の税収システムを認め、国の個別事業補助金を廃止し、地方に一括交付する制度に改める案を出しておりますが、これらの地方財源のあり方について、簡単でもいいですから、御意見をお伺いしたいと思います。
杉
恒
恒松制治#25
○恒松公述人 先ほども申しましたが、大変難しい問題であります。
ただ、交付税があるばかりにむだがふえているというのは、それは極めて特異な例でございまして、交付税は、地方団体の自主的な行政サービスを実施する場合に、極めて有用なものだと私は思っております。したがって、この交付税制度を変えるというような形にはなかなかならないだろうというふうに思っております。
交付税という名前からもおわかりになるように、交付税制度ができます前は、平衡交付金と言っておりました。これは、国税の何%かを国が管理して、それを地方団体に交付する、いわば平衡的な交付をするということであったんですけれども、これが昭和二十九年に交付税という名前になりました。その交付税というのは、国税の三税、所得税、法人税、酒税の現在では三二%ですけれども、三二%は、これは国が便宜的に徴収はするけれども、本質的には地方団体の税金なんですよということでございまして、これが正しく運用されておれば、私は、それほど大きな問題にはならなかっただろうと思います。
問題は、交付税制度という立派な制度がありながら、その運用の面で、必ずしも地方団体にとって十分な意識を植えつけるような運用がされてこなかった、こういうふうに私自身は理解をいたしております。
以上です。
この発言だけを見る →ただ、交付税があるばかりにむだがふえているというのは、それは極めて特異な例でございまして、交付税は、地方団体の自主的な行政サービスを実施する場合に、極めて有用なものだと私は思っております。したがって、この交付税制度を変えるというような形にはなかなかならないだろうというふうに思っております。
交付税という名前からもおわかりになるように、交付税制度ができます前は、平衡交付金と言っておりました。これは、国税の何%かを国が管理して、それを地方団体に交付する、いわば平衡的な交付をするということであったんですけれども、これが昭和二十九年に交付税という名前になりました。その交付税というのは、国税の三税、所得税、法人税、酒税の現在では三二%ですけれども、三二%は、これは国が便宜的に徴収はするけれども、本質的には地方団体の税金なんですよということでございまして、これが正しく運用されておれば、私は、それほど大きな問題にはならなかっただろうと思います。
問題は、交付税制度という立派な制度がありながら、その運用の面で、必ずしも地方団体にとって十分な意識を植えつけるような運用がされてこなかった、こういうふうに私自身は理解をいたしております。
以上です。
三
三沢淳#26
○三沢委員 ありがとうございました。恒松先生にも、これからもいろいろな御意見を、よろしくお願いいたします。
どうもありがとうございました。ちょっと時間が延びまして、済みません。
〔杉山委員長代理退席、委員長着席〕
この発言だけを見る →どうもありがとうございました。ちょっと時間が延びまして、済みません。
〔杉山委員長代理退席、委員長着席〕
高
岩
岩國哲人#28
○岩國委員 おはようございます。民主党を代表して、質問させていただきます。
各公述人の皆様に、大変お忙しいところをお出かけいただきまして、いろいろお教えいただきまして、心から感謝をいたします。
私も、短い期間ではありましたけれども、地方自治に関係した人間の一人として、また、第三次行革審の専門委員を務めさせていただき、二年間、国のあり方、地方のあり方についてもいろいろと学ぶことが非常に多かった人間の一人として、この地方分権については非常に関心を持ち、また、各公述人の御意見も傾聴させていただきました。
できるだけたくさんの質問をさせていただきたいと思いますけれども、時間が限られておりますので、各先生方、大変失礼ですけれども、大体二百字原稿用紙一枚ぐらいの感覚でお答えいただければと思います。
まず、恒松先生にお伺いしたいと思います。
私も島根県におりまして、時期的には少しずれはありましたけれども、直接、間接にいろいろ教えられることが多うございました。きょうも貴重な御意見を賜りましたけれども、こうした地方分権という大切な法律、非常に膨大な内容を持っているものを、国の形、地方のあり方を、これを今国会で成立させなくともいいのではないかという御意見を賜りました。また、これは井下田公述人にも、同じような御意見を、さらにはっきりした表現で伺っております。
確かに、うっかり、びっくり、がっかりの地方分権ではなくて、ゆっくり、じっくり、しっかりの地方分権をと、私も望む者の一人であります。そうした観点から、仮に一年、この地方分権の法律が成立がおくれたとしたならば、どういう影響が出てくるというふうに恒松先生はお考えでありましょうか。
この発言だけを見る →各公述人の皆様に、大変お忙しいところをお出かけいただきまして、いろいろお教えいただきまして、心から感謝をいたします。
私も、短い期間ではありましたけれども、地方自治に関係した人間の一人として、また、第三次行革審の専門委員を務めさせていただき、二年間、国のあり方、地方のあり方についてもいろいろと学ぶことが非常に多かった人間の一人として、この地方分権については非常に関心を持ち、また、各公述人の御意見も傾聴させていただきました。
できるだけたくさんの質問をさせていただきたいと思いますけれども、時間が限られておりますので、各先生方、大変失礼ですけれども、大体二百字原稿用紙一枚ぐらいの感覚でお答えいただければと思います。
まず、恒松先生にお伺いしたいと思います。
私も島根県におりまして、時期的には少しずれはありましたけれども、直接、間接にいろいろ教えられることが多うございました。きょうも貴重な御意見を賜りましたけれども、こうした地方分権という大切な法律、非常に膨大な内容を持っているものを、国の形、地方のあり方を、これを今国会で成立させなくともいいのではないかという御意見を賜りました。また、これは井下田公述人にも、同じような御意見を、さらにはっきりした表現で伺っております。
確かに、うっかり、びっくり、がっかりの地方分権ではなくて、ゆっくり、じっくり、しっかりの地方分権をと、私も望む者の一人であります。そうした観点から、仮に一年、この地方分権の法律が成立がおくれたとしたならば、どういう影響が出てくるというふうに恒松先生はお考えでありましょうか。
恒
恒松制治#29
○恒松公述人 大変いいごろ合わせの表現をなさいまして、私はそのとおりだと思います。
先ほども申しましたように、これは地方自治の出発点になる法律でございまして、これがかなり問題が多い形で、あるいは問題を残しながら成立いたしますと、恐らく今後五十年は変わらないだろう。それほど重要な法律でございますから、今国会でとか来年の四月からとか、そういうことを考えないで、やはりじっくり取り組んでいただきたい、こういうふうに思っております。
この発言だけを見る →先ほども申しましたように、これは地方自治の出発点になる法律でございまして、これがかなり問題が多い形で、あるいは問題を残しながら成立いたしますと、恐らく今後五十年は変わらないだろう。それほど重要な法律でございますから、今国会でとか来年の四月からとか、そういうことを考えないで、やはりじっくり取り組んでいただきたい、こういうふうに思っております。