楠木行雄の発言 (日米防衛協力のための指針に関する特別委員会)
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○楠木政府委員 海上保安庁長官の楠木でございます。
昭和六十年の四月二十五日に、先生御指摘の宮崎県の日向灘沖の不審船事案がございました。最初にちょっとお断りしておきますが、先生、北朝鮮とおっしゃいましたけれども、私どもの方は、中国側の方のレーダー映像に消えたということで、どこの国に入ったかは確認しておりません。
それで、この船の経緯でございますけれども、最初に宮崎県の漁業取り締まり船が、どうも変な船がいるということで立入検査を実施しようとしましたところ、突然二十二ノットないし二十三ノットの高速で逃走したということで、これはおかしいということで私どもの方に連絡がございまして、私どもの方の航空機が、その後約十ノットで北上中の不審船を発見いたしまして、追いかけました。
そして、停船命令を発して追跡をしたわけでございますが、不審船はこれを無視いたしまして、そのとき非常に速度をふやしたり減らしたりしてジグザグに西向きに航走した。そのとき、先生御指摘のように、最大四十ノットがちょっと出た、そういう感じでございます。それで、三日間にわたりまして約六百海里、一千キロぐらいになりますけれども追跡をいたしましたが、結局、今申し上げたようなことで、最終的にレーダー映像から消えた、こういうような経緯でございます。
それで、私どもも、こういったことを教訓にいたしまして、巡視船艇の性能向上を図るなど、ハード面の充実強化を進めているところでございまして、特に巡視船艇の高性能化につきましては、老朽化した巡視船艇の代替として、高速性能等を有する百八十トン型の巡視船、これは航続距離もかなりございます、そういうものを順次整備をしてきたわけでございます。今回の事案も、これがそばにいるとよかったのですけれども、ちょっと遠いところにおりまして、基地と現場との距離の関係から、最終的に不審船への対応の機会を得られなかったということでございます。
また、私どもの対応でございますが、今回、海上保安庁は、領海警備を警察権としてやるという官庁といたしまして、まず、日本漁船を標榜するものだということで、漁業法の違反であるということで取りかかりまして、警察権の行使を精いっぱいやって、捕捉するつもりでやったわけでございますけれども、先ほど来御議論が出ているようなことで、結局、残念ながら逃がしてしまった。ただ、その際に、私どもといたしましても精いっぱいこれはやったつもりでございますが、昭和二十八年以来行っていなかった威嚇射撃までも行うことで、停船措置をとるよう努力したわけでございます。
それで、ちょっと御指摘のような点もございますし、今回の事案を教訓といたしまして、現在、内閣官房を中心として、主として七つの項目の検討がなされております。それで、海上保安庁の対応能力の整備、それもその一つとして挙げられておりますので、そういった観点から、巡視船艇の捕捉機能の強化、あるいは高速不審船への対応のあり方などについて検討しているところでございます。今後とも、このような基本的考えのもとに、御指摘も踏まえて、今回のような不審船事案への対応体制を早急に強化できるよう、検討してまいりたいと思います。