遠藤乙彦の発言 (日米防衛協力のための指針に関する特別委員会)
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○遠藤(乙)委員 公明党・改革クラブの遠藤乙彦でございます。
この日米ガイドライン関連法案、我が国の安全保障問題にとって極めて重要な、また歴史的な法案であると考えますが、九十時間以上に及ぶ真摯な幅広い論議を通じて、いよいよ終局の地点に到達をしたわけでございます。
私ども、当初より、この法案につきましては、日米安保体制堅持という視点の上から慎重な論議をしていく、また修正を求めていくということで私たちは議論を進めてまいりました。私たちの特に関心事項は三つございまして、一つは、何よりも憲法の原則と精神を十分踏まえたものであること、二つ目に、国民に対して幅広い理解と支持を求めつつ行うこと、三つ目には、近隣諸国に対して無用な疑念や誤解を与えることのないよう十分な配慮を払うべきものであること、この三点を念頭に置きまして、修正要求並びに審議を行ってまいりました。さまざまな修正点を提出したわけでございますけれども、全体を見た結果、私たちの修正要求、関心事項は十分に反映されたものと考え、共同提案者となったわけでございます。
そこで、私からは、確認の意味も含めまして、私どもの提出した修正要求の諸点を中心に質問をさせていただきたいと思っております。
まず最初に、総理にお伺いしたいと思っております。抑止と対話、大分確立したキャッチフレーズになってまいりましたが、この点につきましてまずお聞きをしたいと思っております。
私ども、日本の平和戦略を考える上で、また、冷戦後のアジア太平洋の平和を考える上で何よりも大事なことは、現実を直視すること、そしてまた、歴史の教訓に立って、抑止と対話のバランスをとりながら、賢明な政治的英知のもと、この原則を運用していくことによって結果的に平和が達成される、そういう視点で全体像をしっかりつかまえた上で議論しなければならないということが何よりも大きな私たちの主張でございました。そういった意味では、今回のガイドライン関連法案の審議は、コインの一つの側面にしかすぎない。すなわち、抑止という問題を、このシステムをどう強化し信頼性を高めるかという、コインの半面の議論でしかなかったわけであります。
したがいまして、見方によれば、それだけ見れば、一部の政党が言うような戦争協力法案みたいに見えるかもしれない。しかし、そうではなくて、大事なことは、抑止という概念が、潜在的な侵略に対して十分な備えをつくることによって未然に侵略の意図を防止し、戦わずして勝つ、現実に戦争を起こさないということが大事であって、まさにこの抑止概念ということが今回の法案の最も中核の概念でありまして、ただ、なかなかわかりにくいということがあって、この点をぜひ今回の審議の中では明らかにしたいと思って議論をしたわけであります。
しかしながら、このガイドライン関連法案だけでは、もちろん物事の半面にしかすぎません。我が国の平和戦略を本当に考える上では、もう一つの側面である対話ということをぜひとも明確にしていく必要があるかと思っております。
私も、三月十八日に行われました総括審議の初日におきまして、抑止と対話のバランスということをしつこいほどに申し上げました。幸い総理からも強い賛同の意を表していただきまして、その直後に行かれた韓国におかれましても、大学での講演で、対話と抑止というテーマでまさにお話をされた、また、日韓首脳会談でもそのような精神でお話をされたものと私たちは受けとめております。
また、たまたまその直後に起こりました北朝鮮の不審船の問題に対しましても、政府の対応を見るに、この抑止と対話のバランスということをよく理解した上での対応であったと、私たちは高く評価をしたいと思っております。
それぞれ党内いろいろな議論があります。なぜ取り逃がしたのかとか、やはり拿捕すべきだったとか、かなり強硬論も含めたいろいろな議論がありますけれども、私の考えは、あれは大変結果としてよかった、十分合格点がつけられる対応であったと思っております。
北朝鮮に対して、十分な我が方の抑止の決意を示すとともに、また、対話を求めているというメッセージも十分に伝わったと思うわけでありまして、そういった意味での二重の戦略目標は十分に達成されていると判断をするわけでございまして、政府の対応をこの点で評価をしたいし、また、実際に現場で体を張ってこの任務の遂行に当たった自衛隊、また海上保安庁の人たちに対しても、心から労をねぎらいたいと思っている次第でございます。
そこで、もう一つの、対話の側面でございます。これを今後どう進めるかこそが最も重要なことでございまして、今回の法案等によって抑止の体制をしっかりとつくった上で、さらに次の目標は、対話をどう進めるかということが何よりも大きなテーマでございます。
ハーバード大学の教授でありますハンチントンという先生の書物に、「文明の衝突」という本が最近出されております。かつてフォーリン・アフェアーズに出された論文を発展させたものでございますけれども、要するに、冷戦後における最大の安全保障上の脅威の源泉は、文明の対立、この場合の文明ということは、文化の違い、あるいは宗教や風土、体制の違い等、広義のものでございますけれども、そういった文化的、価値的要因の対立、差異における問題こそが冷戦後における安全保障上の最大の問題点であるということを指摘しております。まさにそのとおりであると思っておりますし、現在行われておりますユーゴの紛争、コソボの問題も、まさにその典型的な例ではないかと思っているわけであります。
そういった意味で、我が国のこれからの大きな使命は、そういった抑止と対話のバランスをしっかりつくり上げた上で、どうやってこの文明の衝突を文明の対話へと変えていくか、そのために力を発揮する、努力を発揮することこそが、我が国にとりまして最も大きな使命ではないかと思っているところでございます。
そこで、総理にぜひお伺いしたいのは、この抑止、もう一つの半面である対話、これに向けて、我が国の平和外交、平和戦略、どのようにこれからビジョンを考え、進めていこうとされているのか、総理の基本的なお考え、その決意につきまして、まずお話を伺えればと思っております。