遠藤乙彦の発言 (本会議)
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○遠藤乙彦君 私は、公明党・改革クラブを代表して、ただいま議題となりました日米ガイドライン関連諸法案について、小渕総理大臣及び関係閣僚に質問いたします。
ガイドライン関連法案は、昨年の四月、国会に提出されて以来、ほぼ一年が経過しています。これまでの間、またそれ以前の段階を含めて、既に討議に多くの時間が費やされ、さまざまな多岐にわたる論点が議論されてまいりました。
しかしながら、国民の目から見ると、これらの国会論議は極めてわかりにくいものと言わざるを得ません。その最大の理由は、冷戦後のアジア太平洋地域において、より堅固な平和の構造をどのように構築していくのか、そしてまた、日本の安全保障のあり方そのものをどうすればよいのかという基本的な問いかけに対して、日本のとるべき平和戦略のビジョンや全体像を示すことなく、個別的、部分的、専門的な議論だけに終始しているからではないでしょうか。
また、政府の姿勢が、米国の要求にどう対応するのかというだけの、従来の受動的な日米関係のパターンから少しも脱しておらず、日本として、どう主体的にアジア太平洋地域における平和の構造の構築にかかわっていくのかという、構想力や意思が全く感じられません。また、幅広く国民に理解を求め、国民的合意を形成していこうという真摯な努力が欠けているからではないでしょうか。
そのため、ガイドライン関連法案については、国内的にも国際的にも著しくアカウンタビリティーが欠如しており、いたずらに不安と疑心暗鬼を助長するという面も否定できません。政府には、ぜひともアカウンタビリティーを向上させる努力を強く望むものであります。
また、従来の我が国の安全保障論議は、常に国論が分裂し、イデオロギー的に偏向したり、現実を直視せず、不毛な論争を繰り返してきたという不幸な歴史があります。九〇年代に入って、冷戦構造の崩壊や湾岸危機、PKOへの参加等の経験を経た今、従来より一味も二味も違った、現実的かつ建設的な安全保障論議が行われてしかるべしと考えます。
今国会においては、与野党ともに二十一世紀のアジア太平洋地域と日本の将来を見据え、地域の諸国、諸民族の共生と繁栄の前提条件である永続的な平和の確立に向けて、現実的な基盤に立った、幅広くかつ慎重な安全保障論議が行われることを強く望みたいと思います。(拍手)
そこで、まず総理にお伺いいたします。
冷戦後のアジア太平洋地域における総理の国際情勢の基本認識はいかなるものか、そして日本のとるべき平和戦略とはいかなるものであるべきか。また、その中で、ガイドライン関連諸法案の整備はいかなる位置づけになるのか、そして、なぜ今それが必要なのかということについて、わかりやすく説明していただきたいと思います。
目下のところ、東アジアにおいては朝鮮半島情勢、とりわけ核開発やミサイル開発を進める北朝鮮をめぐる情勢が、最大の焦点の一つとなっております。
米国は、従来、北朝鮮に対していわゆる関与政策を進めてきていますが、伝えられるところによると、ペリー前国防長官を中心に北朝鮮政策の見直しを進めている由であり、また、金大中韓国大統領は太陽政策を推進しております。総理は既にペリー調整官と会談し、さらに十九日から訪韓する予定と聞いておりますが、日本としてどのような北朝鮮政策、外交を推進しようとされているのか、お伺いいたします。
次に、新ガイドライン関連法案についての近隣諸国の反応について伺います。
平和憲法のもと、海外派兵は行わず、自衛目的以外には武力を行使しないという我が国の方針は、近隣諸国は言うに及ばず、世界各国にも定着してまいりました。
しかしながら、新ガイドライン策定を機に、一部の国からは、我が国の安全保障政策を懸念する声が聞こえるようになりました。中国に加え、最近ではロシアからも、ロシアを含めて第三国の領土を周辺事態の適用範囲に含めることは認められないとの懸念が表明されております。これ以外にも、懸念を表明している国はあるのかどうか、また、これらの懸念に対し政府はどのように対処しようとしているのか、総理の御見解を伺います。
続いて、個別的問題についてお伺いいたします。
まず、周辺事態の概念についてであります。
政府は、周辺事態法案の第一条において、我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態との定義を行っています。政府は、さらにこの概念について、従来より、地理的な概念ではなく、事態の性質に着目した概念であるとの説明を行ってきましたが、途中から、あらかじめ一定の地域を明示できるような意味での地理的概念ではないが、地理的要素を全く含まないと言っているわけではないと変わってまいりました。率直に言って、一体何のことを言っているのか、理解しがたい概念と言わざるを得ません。
そもそも、地理的用語である周辺という言葉を使っているのに、地理的概念ではないと否定することは、矛盾も甚だしく、まことに不適切な言語の使用と言わざるを得ません。このような不適切な言語の使用法が、無用な誤解と混乱を招いているのではないでしょうか。もし政府の説明を矛盾なく表現するネーミングを行おうとするならば、周辺事態ではなく、例えば重要事態とか緊急事態とかいった用語を使うべきと考えますが、総理の見解を伺います。
また、周辺事態の定義についても、我が国の平和及び安全に影響を与える重要な事態と、極めて一般的なものであり、解釈する人の主観によって大きな開きが出てくる可能性があり、いかようにも拡大解釈が可能な定義であると言えます。これでは、国内的にも近隣諸国に対しても、無用な疑念を与えることになるのではないでしょうか。我が国の領土以外での自衛隊の出動にかかわる問題である以上は、認定基準や認定理由をより明確にする必要があると考えますが、総理の御見解を伺います。
また、平和憲法を遵守する意味においても、さらに、アジア近隣諸国の疑念を消し去る意味においても、自衛隊の海外派兵は行わないとの意思を、内外ともに改めて明確にする必要があります。そのためには、自衛隊の活動を日米安保条約の枠内とすることを周辺事態法案に明記する必要があると思いますが、総理の御見解を伺います。
次に、周辺事態に際して、国会の関与のあり方についても総理の御見解を求めます。
国会の関与については、周辺事態法案の第十条で、内閣総理大臣は、基本計画の決定または変更があったときは、その内容を遅滞なく国会に報告しなければならないとしているのみであります。自衛隊の防衛出動あるいは治安出動については自衛隊法の第七十六条及び七十八条で、また、いわゆるPKF業務を行うための海外派遣の際にはPKO法の第六条で、いずれも国会の事前または事後の承認が必要とされています。
我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態、すなわち、我が国に対する武力攻撃にも発展する可能性がある事態、または我が国に直接被害を及ぼす可能性がある事態において自衛隊の活動を認めるに際し、国会の行政府に対する民主的コントロールはぜひとも必要であり、国会の承認は、自衛隊法第七十六条及び七十八条並びにPKO法第六条との整合性からいっても、当然必要であると考えますが、総理の御見解を伺います。
次に、周辺事態において自衛隊が戦闘に巻き込まれる可能性の有無について伺います。
自衛隊の米軍に対する支援が法案に言う後方地域支援であるとはいえ、関係国からは、武力行使を行っている米軍の兵たんを自衛隊が担い、このことから、我が国も交戦国であると見られないかと懸念されます。国際法上、兵たんを担っている国は交戦国であると考えられないのか。そして、兵たんを担っていることを理由に、軍事攻撃を行う根拠を与えることにならないのか。また、周辺事態において米軍に対し武器弾薬、兵員等の輸送を行うということは、兵たんを担うとは言えないのか。外務大臣の御見解を伺います。
次に、物品役務の相互提供の実績について伺います。
新ガイドラインとの関連において、現行ACSAの改正協定の承認が求められております。現行ACSAの発効以来二年半が経過しておりますが、これまでいかなる物品または役務が相互に提供されたのか、その実績について、また、今改正でACSAに関する米軍の要望は満たされることになるのかどうか、今後新たな改正の余地があるのかどうか、防衛庁長官に伺います。
最後に、地方自治体や民間の協力について伺います。
まず、協力要請を断った自治体への制裁の有無についてです。今までの政府答弁からは、協力要請を断った自治体に対しては、積極的ではなくとも、何らかの制裁を科すことを視野に入れていると受け取ることも可能です。政府としてはこの点をどのように考えているのか、総理の見解を伺います。
また、政府は、二月の初めに、具体的な協力内容として十項目を例示する文書を、米軍基地のある地方自治体等に示しております。しかしながら、これをもって十分な措置であるとは言いがたいことは政府も認めるところであると思います。
我が国の平和と安全を全うすることを眼目に、的確に迅速な協力を得るためには、要請する協力内容はできる限り具体的で明確なものとすると同時に、地方自治体や民間との十分な対話を重ね、理解を得ながら作業を進めていくという姿勢が政府には強く求められるものでありますが、今後いかなる方策をとろうとしているのか、総理の御見解を伺います。
以上、基本的な問題に絞って質問いたしましたが、重ねて政府の明快な答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕