田中慶秋の発言 (本会議)

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○田中慶秋君 私は、ただいま議題となりました中央省庁等改革関連法案に対し、民主党を代表して質問いたします。
 この本会議場におられるほとんどの同志の皆さんが選出された平成八年の総選挙は、まさに行革選挙と言えるほど、行政改革に対する多くの議論がされました。それは、国民も、国民の信任を得るべく日夜活動した我々も、我が国の行政の行き詰まりを実感として感じていたからであります。以来、二年半以上の歳月をかけた成果が今回の法律であります。
 まず、率直に感じるままを申し上げたいと思います。政府案は、我が国の閉塞感を取り払うものにはなり得ません。それどころか、我が国の行き詰まりをさらに深刻なものにしてしまうのではないかと、深い危惧の念を抱いているものであります。
 総選挙で国民に約束したものは一体何だったのでしょう。国民が、七兆円もの公共事業予算を期待していたのでしょうか。国民が、三十万人もの公務員を抱える大省庁を願っていたのでしょうか。そんなことはありません。橋本前総理、そして小渕総理が、本来の行革の対象であるべき官僚にこの行政改革を任せたため、すなわち、まないたの上のコイに包丁を持たせてしまった結果、行政改革が、いつの間にか行政改悪にゆがめられてしまったのであります。
 私は、我が国にとって行政改革が避けて通れないものになっている基本的な理由は三つあると考えております。
 まず第一は、少子高齢化の進展、これに伴う労働人口の急激な減少という基本的な部分の変化です。
 これは、納税者の減少、経済成長率の低下、同時に社会保障関係費の増大につながることは明らかであります。平成十一年度、三十一兆円の国債を発行し、公債依存度が三八%にもなる予算、国債残高が今年度末で三百二十七兆円にも達し、今後も毎年三十兆円もの発行が必要となっている財政状況を考えれば、行政の抜本的改革により、行政の効率化、スリム化を図ることが不可欠であります。
 第二は、新しい行政ニーズへの対応であります。
 我が国の行政システムは、先ほど述べました財政、さらには組織的にも、旧来のシステム、すなわち、既得権益に縛られ、新しい行政ニーズに柔軟な対応ができる体制になっておりません。これを抜本的に改革していく必要があろうと思います。
 第三は、民主主義の確立であります。
 民主主義は、戦後、形式的には我が国に根づきましたが、その本来的な機能は果たしてきておりません。これを回復するためには、改めて政治と行政の線引きを明確にすることであります。そして、政治の指導力を強化することが行政改革に不可欠であります。
 このような観点から政府案を見ますと、これは全くの見かけ倒しであり、行政改革とは到底言えるものではありません。中央省庁のリストラが全く進んでいないことから、財政上の好転は全く見込めず、肥大化した省庁が国民ニーズを迅速に、柔軟に反映するはずがなく、政治の指導力強化は、現在のシステムでも行い得ることを法律化しただけであります。
 そこで、総理に伺います。
 総理は、就任直後の所信表明演説においても、今回の国会冒頭の施政方針演説においても、行政改革については、非常にあっさりとした物言いに終わっております。報道等を拝見しても、私は、総理みずからの言葉で、行政改革に対する理念、熱意を話されていることを聞いたことはありません。政治の場にいる私でさえ総理の言葉を聞いたことがないのですから、国民から見れば、全く総理の考えがわからないわけであります。
 そこで、この機会に改めて、総理に、なぜ行政改革が必要だと考えているのか、今回提出されている法案によって何を改革しようとしているのか、法律のどの部分が行政を簡素化し、どの部分が透明性を確保し、どの部分で効率化を高めようとしているのか、国民に、わかりやすく具体的に説明をしていただきたいと思います。
 さらに、総理は昨年の所信表明で、行政コストの三〇%削減を明言されております。当然、これを実現するための手段が今回の法律に盛り込まれていると思います。そこで、まず、行政のコストとは一体何なのか。人件費なのか、事務費なのか、あるいは事業費全体を含むものなのか。この三〇%と、今回の法律の相関関係を明確にしていただきたいと思います。
 さて、次に、法律の具体的な内容をお伺いします。
 まず、内閣の機能強化についてであります。
 私たち民主党は、政治主導のもとに内閣が行政をコントロールできるように、内閣の運用については柔軟性を持たせるとともに、内閣総理大臣を強力に補佐する首相府を設置し、また、内閣主導による各省庁間の政策調整のための補佐機構として内閣府を設置する法案を提出する予定をしております。
 それこそが、戦前から続く、最初に行政ありきという我が国の内閣制度を抜本から改革し、政治が行政を十分コントロールする議院内閣制の本来の機能を確立するための第一歩となるものであります。日本の政治を再生するために、唯一の手段であろうと思っております。
 政府案では、内閣総理大臣の指導性は、実際には現状と全く変わらないと考えますが、いかがでございましょう。
 次に、省庁再編に関する部分であります。
 民主党は、現在、霞が関の集中権限、財源を、市民へ、市場へ、地方へ振り分けた上で、それでもなお中央に残さなければならない事業については、より機能的に実施できるように再編することが省庁の再編のあり方だと考えております。言葉をかえれば、霞が関の役所を組み合わせることではなく、それ以前に、市民へ、市場へ、地方へ振り分けることこそが、本来の行政改革であろうと思っております。特に、大蔵改革こそが行政の中核であるという考え方のもとに、財政と金融の完全分離及び金融行政の一元化を求められております。
 しかし、政府案では、この最も重要な過程である中央政府のスリム化に何ら手をつけることなく、既存省庁の切り張りに終始しているわけであります。事実、今回の行革で霞が関本体から出ていったものは、何一つありません。そこで現在の一府二十一省を一府十二省に統合すれば、各省庁が肥大化することは、だれが見ても、明らかであります。
 行政改革会議の最終報告書には、中央省庁の行政目的別大くくりに再編成することにより、行政の総合性、戦略性、機動性を確保することとありますが、三十一万の総務省を設置することが行政の総合性や機動性を高めることになるのでしょうか。
 さらに、総務省に関して言えば、総務庁、郵政省、自治省、さらには公正取引委員会という全く違う省庁を統合する、このことが一体行政目的別大くくり再編成になるのでしょうか。また、公正取引委員会が、総務大臣の指揮下において、郵政行政に公正な職務を執行できるのでしょうか。この省庁再編成を行政改革と称することは、まさにごまかしであります。
 今申し上げました総務省に関する当たり前の疑問点、当たり前のことを総務庁長官はどのように考えられているのか、答弁を求めるものであります。
 この総務省と並んで、この再編で最も問題なのが国土交通省であります。
 まず総理にお伺いします。
 公共事業による財政、環境への悪影響が顕著になる中で、本当にこのような巨大開発官庁が我が国に必要なのでしょうか。七兆円という膨大な予算を抱えた巨大な象が、我が国の破壊に向かって暴走するおそれは本当にないかどうか、総理の考え方をお伺いします。
 政府は、このような各界からの指摘に対し、地方の出先機関に権限、財源を移すことによって、霞が関は企画立案に限定するという答えをしております。政府はこのことを地方分権のように言っておりますが、国が国の出先機関に権限を移すことのどこが一体地方分権なのでしょうか。それどころか、大臣のチェックが全く届かないところに権限や財源を置くことの方が、民主主義の形骸化につながると考えております。総理の見解をお伺いいたします。
 さらに、この出先機関に権限や財源等を移す意味ですが、これは、地方出先機関にあたかも交付金のように予算枠を配分し、その枠内で出先機関が裁量的に予算を執行するという意味なのかどうか、明確に総務長官の答弁を求めるものであります。
 次に、建設大臣にお伺いいたします。
 今回の地方分権一括法案では、国土交通省に関連して、国の果たすべき役割は、全国的な規模で、もしくは全国的な視点に立って行わなければならない施策、事業の実施とされております。しかし、現在の建設省の担っている事業の範囲は、これを大幅に超えていると考えております。最大の公共事業官庁である建設省として、この定義に即して建設省の事業のリストラをどのように行っていくのか、答弁を求めるものであります。
 次に、設置法の最後は、縦割り行政についてです。
 各省庁間の再編の大目的に行政目的別大くくりがありますが、実際は、環境関連行政が、環境省に一元化されることなく、厚生労働省や国土交通省に残っております。また、地域振興については、各省の縄張り争いの結果、三省の共管となっております。原子力やODAも、従来の各省割りの構造がそのまま新省に引き継がれているのであります。これでは、今までと全く変わりのない縦割り行政そのものであると思いますが、総務長官の答弁を求めます。
 次に、独立行政法人についてお伺いいたします。
 中央省庁の事務を企画と実施に区分し、実施部門については外部に独立行政法人として出し、中央省庁のスリム化を図るという考え方については、我々も賛成であります。しかし、政府の現在までの説明では、これを実現することによって一体どの程度のスリム化が実現できるのか、全く不透明であります。この点については、総務長官、明確に答弁を求めます。
 特に、独立行政法人という機関創設の大前提は、特殊法人の整理であります。独立した法人として運営し、その効率化を図ることは、まさしく特殊法人の設置目的であります。なぜ特殊法人の独立行政法人化が検討されないのか。これも総務長官に答弁を求めます。
 また、政府は現在、独立行政法人化によって、総理の公約であります国家公務員定員の二五%削減を実施するようになっておりますけれども、独立行政法人の職員もまた、ほとんどが国家公務員であります。これでは、二五%の国家公務員が削減したということは、明らかにまやかしではないのでしょうか。総理の答弁を求めます。
 最後に、自治大臣にお伺いいたします。
 昨年の通常国会で、中央省庁等の改革基本法案を審議した際には、大臣は、公務員制度、政策の立案執行体制、財政投融資、公共事業のあり方などに一切メスが入っていないと、我々とともに反対の立場をとられてまいりました。まさに国家観そのものを問われるような法律について、自由党が変節したものとは思いません。また、一方において、自由党が入閣したことによってこの法案が大きく変わったという印象も持ちません。そこで、自治大臣の所見をお伺いいたします。
 これまで指摘しましたように、政府案は、行政改革とは名ばかりで、仮にこの法案が成立しても、我が国の将来の展望は開けません。中央省庁のスリム化を全く見込めないものであります。このような法律を行政改革と言い張り、また、国民を欺こうとする政府及び総理の姿勢こそが、政治不信を招く最大の理由であります。この点について総理の見解を求めます。
 以上で終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕

発言情報

speech_id: 114505254X03119990518_014

発言者: 田中慶秋

speaker_id: 2135

日付: 1999-05-18

院: 衆議院

会議名: 本会議