池田元久の発言 (本会議)
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○池田元久君 民主党の池田元久です。
私は、中央省庁等改革関連法案のうち、特に焦点となっております財政と金融にかかわる部分について、総理大臣並びに関係大臣に質問をいたします。
バブル崩壊後の不況が長引いておりますが、不況のそもそもの出発点であるバブル経済について、当時も大蔵大臣でありました宮澤大蔵大臣は、去年の夏の国会で、事態に適切に対処しなかったと責任を認め、陳謝をいたしました。バブルの発生は、財政政策のしわ寄せから、金利が当時として史上最低の利率のまま二年三カ月も据え置かれたことが最大の原因であるとされております。
田中内閣のときの狂乱インフレもそうですが、財政が金融を従属させ、金融政策にツケを回したことによって、経済と国民生活に大きなマイナスを与えました。日銀の速水総裁も、総裁就任の直前、新聞に寄稿して、私自身の過去半世紀にわたる体験から自然に身についた確信をもって、財政と金融の分離は必要だと強調しております。
私たちは、政府の組織の中で財政機能と金融機能を分離することが重要と考え、去年の夏から秋にかけてのいわゆる金融国会で、大蔵省から独立した形で、金融危機管理の司令塔として金融再生委員会の創設を主張し、実現をいたしました。
その際、九月十八日の党首会談に続いて、十月一日夜には、自民、民主、平和・改革の三会派の幹事長も交えて、実務者の間で、金融再生委員会設置に伴う財政と金融の完全分離及び金融行政の一元化は、次期通常国会終了までに必要な法整備を行い、平成十二年一月一日までに施行すると覚書が交わされ、野中官房長官もここに同席して確認したことは、御存じのとおりです。合意の内容は大変明瞭です。
ことし二月末から開かれた三会派の実務者会議はこの合意を具体化するためのものでしたが、自民党は、金融の破綻処理制度そして危機管理の企画立案について、金融庁と財務省の共管にするという案を持ち出し、譲りませんでした。この自民党案は合意そのものを真っ向から踏みにじるものでありまして、その結果、実務者協議は決裂をいたしました。
小渕総理大臣、財政と金融の完全分離と金融行政の一元化は、官邸で行われた党首会談で、あなたが民主党の菅代表と約束したものです。小渕内閣と自民党では、信義という言葉は死語になったのでしょうか。先月二十六日の党首会談で、小渕総理大臣は、三会派協議は残念な結果に終わったと聞いていると述べたようです。まるで人ごとのような発言を聞いて、大変あきれました。
自民党総裁として、合意を実行するため、リーダーシップを発揮すべきです。また、総理大臣としても、官僚などの抵抗があれば、これを断固排除すべきです。最高責任者である総理大臣に、責任回避でない答弁を求めたいと思います。
世界経済にも大きな影響を与える日本の金融危機に直面した去年の金融国会で、政府・自民党が提案したのはいわゆるブリッジバンク法案で、大手銀行を中心とする危機には対応できないものでした。このため、私たちは、日本発の金融恐慌を防ぐために、特別公的管理を中心とする金融再生法案を提出いたしました。その間、小渕内閣の倒閣をねらう一部勢力もありましたが、私たちは、強い危機感から、政局よりも、金融危機の管理、克服を優先いたしました。
ところが、小渕内閣は、私たちが提案した金融再生法をほとんど丸のみした後、一転して、倒閣をねらっていた勢力との連立に踏み切りました。政権の延命と政党の生き残りが目的だと言われていますが、これでは、まさにポリシーのない、無節操な離合集散と言われてもやむを得ません。
小渕総理大臣が約束した財政と金融の完全分離と金融行政の一元化は、金融国会を乗り切るための一時しのぎの方便だったのでしょうか。総理大臣の明確な見解をお聞きしたいと思います。
去年一月二十日の、自民、社民、さきがけの合意とそれに基づく中央省庁改革基本法では、財務省が、当分の間、金融の破綻処理制度と危機管理の企画立案を担当することになっていました。
ところが、政府・自民党は、今回、私たちとの覚書を踏みにじったばかりではなく、さらに、この当分の間もほごにしてしまいました。そして、危機管理などの企画立案は、期限をつけないで財務省に担当させることにしました。自社さ合意からもさらに後退したことになります。これは、今回の合意破棄に悪乗りし、大蔵省、財務省の権限の失地回復に手をかしたものと言わざるを得ません。当分の間を外す理由が出てきたのかどうかも含めて、総理大臣の見解をお伺いしたいと思います。
次に、一元化の約束に反した金融庁と財務省の共管の問題についてただしたいと思います。
まず、自民党は、三会派の実務者会議を決裂させた後、公明党・改革クラブとの間で、金融の破綻処理制度と危機管理の企画立案について財務省と金融庁の共管とする、ただし、主務官庁は金融庁にするということで合意したとされております。共管だが主務官庁があるというのは、どういう意味でしょうか。提出された法案を見ても、主務官庁を示す規定は一切ありません。官房長官の明確な答弁を求めます。
そもそも、金融庁に国内金融の企画立案を担当させながら、破綻処理制度と危機管理の企画立案だけを財務省と共管にするのはなぜでしょうか。
自民党の池田行彦政調会長は、実務者会議で、財政出動するには財務省との共管にしておかないと責任が持てないという趣旨の発言をしています。しかし、財政出動は何も金融だけに限られるわけではありません。この発言に従えば、災害対策、安全保障など、すべての危機管理部門を財務省が持たなければならないという理屈になります。そんな理屈は通らないことは明らかです。財政出動が必要な場合には、財政当局、つまり財務省の主計局と協議をすれば済む話です。なぜ通らない理屈まで並べて、権限の維持に執拗にこだわるのか、疑念を持たざるを得ません。
総務庁長官の見解をただしたいと思います。
私たちは、ばらばらな金融行政の主体の一元化を目指して、金融再生委員会の設置を提案いたしました。しかし、私たち民主党は、危機に迅速に対応するため、来年からは金融行政を再生委員会に一元化することを前提に、ことしじゅうはとりあえず危機管理の企画立案を大蔵省と共管とすることで政府・自民党と折り合い、再生委員会をスタートさせました。
しかし、政府・自民党は、この暫定的に認めたはずの共管を固定化して、金融行政の一元化をないがしろにいたしました。共管により財務省が金融行政に関与できることになります。共管は責任の所在があいまいになり、民間金融機関にとっては、二元行政が続くことになります。総務庁長官の見解を伺いたいと思います。
次に、金融庁長官を大臣にしないことについて、ただしたいと思います。
金融庁長官を大臣にしないということは、財務省との関係が実際上対等にならないことになります。そうであれば、これまでと同じように、金融行政、金融政策が財務省の都合により決定されるおそれがあります。現在の危機を招いた構図がそのまま残されることになると言えます。金融庁を財務省の下に置こうというねらいがあるとすれば、改革になおさら逆行いたします。金融庁長官を大臣にしない理由について、お答えをいただきたいと思います。
ここで、金融再生委員会について一言申し上げますと、金融再生委員会は、立法のとき申し上げましたように、国務大臣を委員長として責任を全うさせるとともに、三条委員会として中立公正を確保するという、両者を兼ね備えた組織です。実際、再生委員会は期待に背かず機能しております。裁量行政からマーケット中心の金融行政への転換が迫られている現在、事務方がトップの金融庁ではなく、金融再生委員会のような組織の存在がますます重要になってくると思われます。
したがって、従来型の官僚組織の枠組みの中で金融庁の設置を考えるのではなく、時代に合わせた観点から、金融再生委員会の組織を発展させることによって、金融行政の体制を整備すべきではないかと考えます。官房長官の考えを伺いたいと思います。
戦後、軍と内務省が解体され、大蔵省だけが無傷のまま残りました。狂乱インフレ、バブルの発生、住専の処理、大手の銀行、証券の破綻、それに省内に蔓延した過剰接待汚職、いずれも大蔵省に大きな責任があります。最近では、日債銀の出資問題で、大蔵省の審議官が金融機関に出資を要求した際の確認書の存在が明るみに出まして、密室の裁量行政がなおも続いていることが浮き彫りにされました。
こうした中で、大蔵省の榊原財務官は、三月の末、日本でも、財政、金融分離とか、ばかな議論があると述べたことが明らかになりました。榊原財務官が在籍したことのある大蔵省の財政金融研究所では、九三年に、バブル経済の原因について、財政再建を優先し過ぎたため、金融政策に過度の負担がかかったと分析をしております。榊原財務官は、こうした真っ当な考えにあえて目をつぶって、まさに大蔵省の省益の擁護のために、次元の低い愚かな発言をしたと言わざるを得ません。
また、政党間で協議が行われているさなかにこのような発言をしたのは、大蔵省幹部のおごりと言うしかありません。大蔵省の幹部の間では、金融部門について一定の権限確保に成功した、次は、不祥事で昨年見送られた幹部人事だという声があると言われております。そこには、巨額の財政赤字と金融危機を招いた責任どころか、去年接待汚職で逮捕者二人、処分者百十二人を出したことに対する反省は、全く見ることができません。
このような役人のおごりを許しているのは、政治のリーダーシップがないからだと言わざるを得ません。大蔵省幹部の言動と綱紀について、総理大臣と官房長官の考えをお伺いしたいと思います。
大蔵省の改革は、行政改革の一丁目一番地と言われております。しかし、小渕内閣は、財務省に金融に関する権限を一部残した昨年の中央省庁改革基本法をさらに後退させました。このため、去年成立させたばかりの基本法は、一年で早くも、改正案というよりも改悪案を出す始末となりました。
ここ数年積み上げられてきた行政改革の核心である大蔵省改革の流れを小渕内閣が土壇場で後戻りをさせた責任は、極めて重いと言わなければなりません。小渕政権に、疲労した国のシステムを変革する勇気がないとすれば、退場するしか道がないことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕