肥田美代子の発言 (本会議)

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○肥田美代子君 私は、民主党を代表して、ただいま議題となっております平成十一年度補正予算二案に反対し、民主党提出の組み替え動議に賛成の立場から討論いたします。(拍手)
 第百四十五通常国会は、五十七日間もの長期延長国会となりました。それにもかかわらず、平成十一年度補正予算案の予算委員会審議は、七月十四、十五のたった二日間をもって終わり、採決されました。
 小渕内閣は、数の力に頼って、怖いものなしとばかりに、急げや急げで、この補正予算を成立させようとしております。平成十一年度予算成立後、わずか三カ月で補正を組まざるを得なくなった事実と、早くも秋の第二次補正が取りざたされている現実は、当初予算のみならず、この補正予算案までもが重大な欠陥を持つ予算であることを示しております。
 見通しが甘く、何の先見性もないまま国の予算を扱う小渕内閣の責任は極めて重大です。それにもかかわらず、小渕内閣には予算編成の誤りに対する認識と反省が欠けております。私は、まずそのことを指摘しておきたいと思います。
 今回の補正予算案が十分な市場調査の上に立って、考えに考えを重ねたものであるならば、前向きに受けとめることもできましょう。しかし、本日までの予算委員会審議の過程では、まず予算額ありきで、そこから計数を査定するというやっつけ作業で編成したものであることが明らかになりました。
 例えば、緊急地域雇用特別交付金の対象となる事業例の中では、小中高等学校へのコンピューター技術者や語学の知識を持つ者などを派遣することが提示されております。しかし、求職者の中でこれに応じることのできる人たちはどのくらいいるのか、また、受け入れることのできる学校はどのくらいあるのか、そうした基本的なことは何も示されておりません。
 学校職員のように、将来にわたって社会的ニーズが高く、腰を落ちつけて子供とつき合わなければならない仕事を、一時的な雇用の受け皿にすることは、まさに場当たり的対策の見本と言えましょう。教育は我が国の未来を決定します。崇高な教育にかかわる学校職員をふやすのであれば、しっかりとした教育の将来像と、あるべき学校の未来図を描き、安定した雇用関係のもとで、二十一世紀を担う教育者として養成しなければなりません。
 補正予算案に見る緊急少子化対策に関しても、同じことが言えます。我が国の合計特殊出生率は急速に低下し、人口を長期的に維持するために必要な水準を大幅に下回る状況となっております。
 少子社会の抱える問題は、これまでの固定的な男女の役割分業や雇用慣行の見直し、男女共同参画社会の実現など、社会全体の構造改革と深く関連しております。国際的に見れば、女性の働く環境が整っている国ほど子供の生まれる率が高いという傾向が出ており、育児と仕事の両立を可能とする社会システムの整備が、政治の責任として問われております。
 しかし、補正予算案は、少子社会における子育て理念や社会ビジョンを明確にしないまま、駅前保育ステーションの設置、幼稚園の預かり保育、保育ママの支援など、まるでおもちゃ箱をひっくり返したような事業例を思いつくままに羅列しております。子供は個性豊かな人間であって、コインロッカーに預ける手荷物や小荷物ではありません。私は、子供たちを一時しのぎの見識なきばらまき予算の対象とすることに対して、大きな怒りを感じております。(拍手)
 もし、子供と親が直面した緊急な課題を政治の力で解決するというのであれば、保育所の拡充はもとより、入所ができずじっと自分の順番を待っている四万人の子供たちを入所させる政策こそ急ぐべきであります。さらには、学童保育事業や延長保育、休日保育の拡充など、共働きの人たちの強い要望にこたえることこそ緊急な課題ではありませんか。私は、今回の補正予算に対して、子供や教育を雇用対策や景気対策の道具に使っているのではないかという疑念さえ持たざるを得ません。
 民主党は、政府の補正予算案に対して組み替え動議を提出いたしました。この組み替え動議は、予算額を一兆円規模とし、二十一世紀を展望して、福祉、環境、住宅、情報関連分野における雇用の創出と定着を目指しております。さらに、新しい雇用を生み出すために、エンゼル税制の拡充、女性起業家への徹底支援、ベンチャー企業の育成、中小企業活性化のための新しい制度づくりなどを提唱するとともに、今日の経済危機や雇用不安を解消するためには、めり張りのきいた財政出動が必要であると主張しております。
 私たち民主党の組み替え動議は、質、量ともに極めて不十分な政府提出の補正予算案とは違って、経済や社会の構造改革につながる内容を盛り込んでおります。
 今ここにある経済危機と雇用不安は、政府の失政によってもたらされました。その結果、昨年一年間の自殺者は三万人を超え、中でも、経済や生活問題による自殺者は七〇%に達しております。これは、みずからの意思に反して職を失うことは、人間の尊厳さえもが奪い取られるという厳然たる事実を私たちに突きつけております。私が今この演壇に立っているこの瞬間にも、生きることに絶望した人が日本のどこかで、みずからの命を絶つ最後の決断をしているかもしれないと思うとき、私は、政治の重い責任を痛感いたします。
 今回の補正予算は、子供の尊厳を守り、国民が目の当たりにしている切実な状況に対して、真剣にこたえる内容になっておりません。私は、そのことに強い怒りを感じます。
 私は、国民の痛みを共有できないまま編成された政府提出の補正予算案に反対の意思を表明し、他方、民主党提出の組み替え動議には賛成であることを申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)

発言情報

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発言者: 肥田美代子

speaker_id: 28703

日付: 1999-07-15

院: 衆議院

会議名: 本会議