樋口廣太郎の発言 (経済・産業委員会)
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○参考人(樋口廣太郎君) お答えいたします。
福山先生の御質問、まことに的確なところを突いておられるわけでございますが、もともと経済情勢の変化というものの中で私どもはよく考えなきゃいけないのは、過剰設備あるいは過剰債務、それから過剰労働力という、過剰という言葉は果たして何に対して過剰かという一つの定義からやっていかなきゃいけないと思います。
企業はそれぞれ自主的な判断をいたしているわけであります。私の方のことを申し上げて大変恐縮ですが、十三、四年前に私がアサヒビールに行ったときは、その前に五百人の人員の肩たたきもやったわけでありますが、最初に言ったことは、私は一人の退職者も出さない、一人もやめさせない、そして必ずその五百人は帰ってきてもらうということで、その後三年間にわたって約半数以上の方に帰ってきていただきました。そして、実際上、雇用は大体二倍半にふえたわけでございます。それは皆さんのおかげ、消費者のおかげでございます。
そのとき、つらつら考えてみますと、私たちが十三年前には、ルックイーストと申しまして、アジアの経済の中で日本の持っているポジションは、日本側は大体七五というラフな数字を使っておりますが、要するにアメリカその他は七〇という数字を使っております。その中で七〇のシェア。今日、例えば中国がかつてアジアのシェアの中で七%台、それが今一三%に上がってまいりました。あるいは韓国が大体六%ぐらいから七・八%に上がってまいりました。アジアの国が全部ルックイースト、日本を見習おうということで、日本の商社がこれをお手伝いしたことも事実でありますが、アジアが日本に向かって輸出をしなければ自分たちはやはり日本のように繁栄しないということで世界の経済状態、かつてアメリカだけの間に貿易摩擦がございました。それが前川レポートになってあらわれたわけであります。
その情勢と違ったのは、アジアの中においていわゆるアジアの国々が非常に立派に動いてきた。そこで初めて過剰設備という問題があらゆる産業において出てきたと思うのであります。ただし、運送に非常にコストがかかる、あるいは運送している間に品物が毀損するというようなものは非常に保護されているわけでありますが、確実に競争にさらされている業種というものは、情勢の変化がやはりアジアの国々の大いなる発展のために非常に大きく変わってきたというのは、先生御指摘の要素の中の一つにぜひ入れていただきたい。本当に変わってきたということをしみじみ感じるわけです。
したがって、老朽設備とかいろんなことを言っておりますが、もうはるかに隣国の国々の生産コストの方が何分の一か安いものは、例えば横浜のそういうところへ見に行かれたり、神戸へ行かれますと非常に安いものがぼんぼん入ってきている。それらの産業は決してサボったわけでもなければ、社会的に反社会的なもの、非道徳的なものをつくっているわけではないんですけれども、やむを得ずやめざるを得ない、あるいは縮小せざるを得ないということが現実の問題であります。もっと言えば、日本の繁栄の中にかつて輸出したものが確かに返ってきているわけでありますが、そういう問題というものは構造的に出てきているという点を私は頭の中に入れてお話しさせていただければいいと思うのであります。
そういうことは、先生のお話は当然私たちがきょう御質問いただくことを予定しておりましたが、あらゆる要因の中で一番大きいのは、当面のアジアの国、ウイズアップ、ともに共生していくという段階においてこの問題が起こったということを率直に申し上げさせていただきたいと思います。