経済・産業委員会
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会
会議録情報#0
平成十一年八月五日(木曜日)
午前九時開会
─────────────
委員の異動
八月三日
辞任 補欠選任
久野 恒一君 倉田 寛之君
八月四日
辞任 補欠選任
加納 時男君 阿南 一成君
倉田 寛之君 斉藤 滋宣君
森田 次夫君 佐藤 昭郎君
八月五日
辞任 補欠選任
佐藤 昭郎君 脇 雅史君
福山 哲郎君 川橋 幸子君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 須藤良太郎君
理 事
成瀬 守重君
畑 恵君
簗瀬 進君
山下 芳生君
梶原 敬義君
委 員
阿南 一成君
小山 孝雄君
佐藤 昭郎君
斉藤 滋宣君
末広まきこ君
中曽根弘文君
脇 雅史君
川橋 幸子君
長谷川 清君
平田 健二君
福山 哲郎君
前川 忠夫君
海野 義孝君
加藤 修一君
西山登紀子君
渡辺 秀央君
水野 誠一君
国務大臣
通商産業大臣 与謝野 馨君
労働大臣 甘利 明君
国務大臣
(経済企画庁長
官) 堺屋 太一君
政府委員
公正取引委員会
事務総局経済取
引局長 山田 昭雄君
経済企画庁調整
局長 河出 英治君
経済企画庁国民
生活局長 金子 孝文君
経済企画庁調査
局長 小峰 隆夫君
大蔵大臣官房審
議官 福田 進君
通商産業大臣官
房審議官 林 洋和君
通商産業省産業
政策局長 江崎 格君
通商産業省基礎
産業局長 河野 博文君
通商産業省機械
情報産業局長 広瀬 勝貞君
特許庁長官 伊佐山建志君
中小企業庁長官 鴇田 勝彦君
中小企業庁次長 殿岡 茂樹君
労働大臣官房政
策調査部長 松崎 朗君
労働省労政局長 澤田陽太郎君
労働省労働基準
局長 野寺 康幸君
労働省女性局長 藤井 龍子君
労働省職業安定
局長 渡邊 信君
労働省職業能力
開発局長 日比 徹君
事務局側
常任委員会専門
員 塩入 武三君
参考人
アサヒビール株
式会社名誉会長 樋口廣太郎君
日本労働組合総
連合会副事務局
長 野口 敞也君
東北大学未来科
学技術共同研究
センター教授 大見 忠弘君
日本SOHOセ
ンター理事長 花田 啓一君
─────────────
本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○産業活力再生特別措置法案(内閣提出、衆議院
送付)
─────────────
この発言だけを見る →午前九時開会
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委員の異動
八月三日
辞任 補欠選任
久野 恒一君 倉田 寛之君
八月四日
辞任 補欠選任
加納 時男君 阿南 一成君
倉田 寛之君 斉藤 滋宣君
森田 次夫君 佐藤 昭郎君
八月五日
辞任 補欠選任
佐藤 昭郎君 脇 雅史君
福山 哲郎君 川橋 幸子君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 須藤良太郎君
理 事
成瀬 守重君
畑 恵君
簗瀬 進君
山下 芳生君
梶原 敬義君
委 員
阿南 一成君
小山 孝雄君
佐藤 昭郎君
斉藤 滋宣君
末広まきこ君
中曽根弘文君
脇 雅史君
川橋 幸子君
長谷川 清君
平田 健二君
福山 哲郎君
前川 忠夫君
海野 義孝君
加藤 修一君
西山登紀子君
渡辺 秀央君
水野 誠一君
国務大臣
通商産業大臣 与謝野 馨君
労働大臣 甘利 明君
国務大臣
(経済企画庁長
官) 堺屋 太一君
政府委員
公正取引委員会
事務総局経済取
引局長 山田 昭雄君
経済企画庁調整
局長 河出 英治君
経済企画庁国民
生活局長 金子 孝文君
経済企画庁調査
局長 小峰 隆夫君
大蔵大臣官房審
議官 福田 進君
通商産業大臣官
房審議官 林 洋和君
通商産業省産業
政策局長 江崎 格君
通商産業省基礎
産業局長 河野 博文君
通商産業省機械
情報産業局長 広瀬 勝貞君
特許庁長官 伊佐山建志君
中小企業庁長官 鴇田 勝彦君
中小企業庁次長 殿岡 茂樹君
労働大臣官房政
策調査部長 松崎 朗君
労働省労政局長 澤田陽太郎君
労働省労働基準
局長 野寺 康幸君
労働省女性局長 藤井 龍子君
労働省職業安定
局長 渡邊 信君
労働省職業能力
開発局長 日比 徹君
事務局側
常任委員会専門
員 塩入 武三君
参考人
アサヒビール株
式会社名誉会長 樋口廣太郎君
日本労働組合総
連合会副事務局
長 野口 敞也君
東北大学未来科
学技術共同研究
センター教授 大見 忠弘君
日本SOHOセ
ンター理事長 花田 啓一君
─────────────
本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○産業活力再生特別措置法案(内閣提出、衆議院
送付)
─────────────
須
須藤良太郎#1
○委員長(須藤良太郎君) ただいまから経済・産業委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、久野恒一君、加納時男君及び森田次夫君が委員を辞任され、斉藤滋宣君、阿南一成君及び佐藤昭郎君が選任されました。
─────────────
この発言だけを見る →委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、久野恒一君、加納時男君及び森田次夫君が委員を辞任され、斉藤滋宣君、阿南一成君及び佐藤昭郎君が選任されました。
─────────────
須
須藤良太郎#2
○委員長(須藤良太郎君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
産業活力再生特別措置法案の審査のため、本日、参考人としてアサヒビール株式会社名誉会長樋口廣太郎君、日本労働組合総連合会副事務局長野口敞也君、東北大学未来科学技術共同研究センター教授大見忠弘君及び日本SOHOセンター理事長花田啓一君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →産業活力再生特別措置法案の審査のため、本日、参考人としてアサヒビール株式会社名誉会長樋口廣太郎君、日本労働組合総連合会副事務局長野口敞也君、東北大学未来科学技術共同研究センター教授大見忠弘君及び日本SOHOセンター理事長花田啓一君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
須
須
須藤良太郎#4
○委員長(須藤良太郎君) 産業活力再生特別措置法案を議題とし、参考人から意見を聴取いたします。
この際、参考人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多忙のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。本法律案につきまして、皆様から忌憚のない御意見を承りたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
本日の議事の進め方でございますが、まず樋口参考人、大見参考人、花田参考人、野口参考人の順にそれぞれ十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、参考人の御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、樋口参考人からお願いいたします。樋口参考人。
この発言だけを見る →この際、参考人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多忙のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。本法律案につきまして、皆様から忌憚のない御意見を承りたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
本日の議事の進め方でございますが、まず樋口参考人、大見参考人、花田参考人、野口参考人の順にそれぞれ十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、参考人の御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、樋口参考人からお願いいたします。樋口参考人。
樋
樋口廣太郎#5
○参考人(樋口廣太郎君) アサヒビールの樋口でございます。よろしくお願いいたします。
私からは、政府提案の産業活力再生特別措置法案につきまして、経済戦略会議の議長並びに産業競争力会議の委員、また、少し前でございますが、ニュービジネス協議会の全国の会長をやりました立場から、所見を申し上げさせていただきたいと思います。
昨年の八月に経済戦略会議が創設された際、私は委員十名の互選をいただきまして議長を拝命したわけでありますが、本年二月、御案内のように、十人の委員の一致した意見といたしまして「日本経済再生への戦略」と題する答申を取りまとめ、総理に御提出いたしました。この答申には合計二百三十四に及ぶ提言が盛り込まれておりますが、産業再生策に関しましては、第四章「活力と国際競争力のある産業の再生」におきまして四十二にわたる提言をさせていただいております。
こうした経緯もございまして、本年三月に通産大臣の御発案による産業競争力会議が創設され、私も経済戦略会議を代表する形で委員に選出されましたのでございます。私自身、経済戦略会議の提言がこのような形で早期に政府、財界を含めて幅広く論議され、具体的な法案の形で御審議されるに至りましたことをまことに喜んでおる次第でございます。
先生方のお手元の資料にあると思いますが、経済・産業委員会調査室の参考資料「経済戦略会議答申に盛り込まれた各種提言に対する政府の検討結果」、その八十四ページにその内容が掲載されておりますのでごらんをいただきたいと思うのでございます。ごらんのように、ほとんどが「実現する方向で検討するもの」というAの評価となっておりまして、一部、税制にかかわる提言が「内容について、よく検討した上で結論を出すもの」とBということもありましたが、これについても今回の法案にかなりのものを盛り込んでいただいているわけでございまして、私といたしましても大変評価している次第でございます。
そこで、改めて産業再生に関する経済戦略会議の論議を御紹介することで、私の基本的な認識、考え方を申し述べたいと存じます。
産業再生にかかわる経済戦略会議の基本的な認識は次の三点でございます。
第一は、経済の再生のためには金融の再生だけではだめで、金融と産業が日本経済を引っ張る車のいわば両輪として活力を取り戻す必要があるという認識であります。
こうした認識から、産業再生に向けたフレームワークといたしまして、第一に過剰設備の処理の支援、第二に成長分野での設備投資の促進、第三に情報化の強力な推進、第四に経営組織の革新の四点を提言させていただきました。
これらの中で、設備廃棄に伴う各種の税制面での支援措置や、デット・エクイティー・スワップの活用、分社化などにかかわる法整備、税制措置などが今回の法案の中に織り込まれております。
こうした措置は、日本企業が不採算事業からの撤退や新規有望ビジネスへの進出などの形で事業構造を再構築するために不可欠の施策であります。我が国では、リストラというと、ともすれば経営体質や財務体質のスリム化、あるいはより直接的には雇用の削減を意図する減量経営と同義と考えられている向きもほんの一部にございますが、リストラとは本来リストラクチャリングの略で、後ろ向きのものだけではなく、前向きの経営戦略展開を含む幅広い言葉でございます。
一部では、御承知のように、過剰債務、過剰設備、さらには過剰雇用の解消策という側面のみが強調されてきておりますが、もちろん、こうした改革はそれぞれの企業みずからが積極的、主体的に取り組んでいかねばならぬものでありまして、政府の役割はそのための環境整備というふうに私どもは認識しておるのでございます。それは本来、くどいようでももう一度繰り返しになりますが、個々の企業の自主的な判断と自己責任を大前提とするものでありまして、政府の措置はあくまで自助努力を円滑にサポートするものと位置づけるべきと思うのでございます。
御案内のように、アメリカの企業が近年目覚ましい躍進を続けている背景には、まず人、物、金の経営資源を最も収益性の高い分野に素早く振り向ける戦略、いわゆるリエンジニアリングやあるいはフォーカシング戦略が奏功したと思われます。
現在、低収益に悩んでおります日本企業に求められていることは、単なる借金の棒引きや過剰設備廃棄、ましてや雇用の削減ということではなく、潜在的な需要、消費者のニーズ、ウオンツに的確に対応した商品・サービスを提供すべく、ニーズのある分野に経営資源を素早く集中し、スピーディーに事業構造の再構築を図ることであります。
その意味で、今回の法案の中に幾つかの重要な税制改正措置が年末改正を待たずに盛り込まれましたことは、産業界の立場からも高く評価させていただきたいと存じます。
戦略会議の基本認識の第二は、新規産業、ベンチャーなどを創出するための起業支援が極めて重要であります。改めて申すまでもなく、我が国の産業が活力を取り戻すためには、既存企業の活性化だけではなく、新たな雇用機会を生み出し、経済の活力の基盤となる新規事業をいかに創出するかが大きなかぎであります。
戦略会議では、このような認識から、起業支援策として、まず税制面からのサポート、二番目に店頭市場の改革などの規制緩和、三番目にマイクロビジネスの育成を目指した創業資金に対する政策融資、事業助成などが必要であると提言いたしました。
今回の法案でも、こうした戦略会議の認識を受ける形で、創業者及び中小企業による新規事業開拓のための支援措置が盛り込まれましたことは、高く評価させていただきたいと思う次第であります。
ただし、戦略会議が提言しております創業者利得の特例、言い直しますと公開三年前から保有していた株式の譲渡益の圧縮であります、の拡充や、エンジェル税制、損失の繰越控除制度の拡充強化、ベンチャーキャピタル支援税制、これは具体的には損失準備金制度の創設などでございますが、税制面でさらに一段の配慮が必要不可欠であり、今回の措置に加えて、年末の税制改正に向けた前向きの御検討を切にお願いしたいのでございます。
戦略会議の基本認識の第三は、二十一世紀を先導する、リードする産業を創出するために、技術開発、人材基盤・知的基盤の整備、規制緩和、国際標準の確保など、あらゆる側面にわたって国家戦略を策定し、大胆に実施していく必要があるということでございます。
今回の法案では、国の委託研究開発にかかわる特許権の扱いの弾力化、すなわち開発者の特許権保有を認めることや、技術移転機関いわゆるTLOの特許料の軽減などの措置が盛り込まれており、評価できると思います。
ただし、あえて言えば、こうした単発の措置ではなく、二十一世紀の日本経済をリードする新たな産業として、例えば情報通信、医療・福祉、バイオ、流通・物流、金融、環境といった戦略産業が自律的に立ち上がるよう、国家的なプロジェクトとして規制、法整備、税制、予算のあらゆる面から総合的かつ戦略的な視点で新規産業創出を図っていくことが極めて重要であると思う次第でございます。
以上、いろいろと申し上げてまいりましたが、今回の法案は、我が国の産業活力の再生と新規産業創出のために極めて重要であり、一刻も早い成立が望まれております。
そして、さらに重要なことは、産業再生策が今回の法案で尽きているわけでは決してございません。さらに第二弾、第三弾として追加策が必要だということでございます。
新しい会社再建制度の導入はもとより、会社分割法制の整備と税制面の手当て、連結納税制度の導入、起業支援税制の拡充、国家的新規産業創出計画の策定など、やるべきことは山積しているのが実情でございます。
議員の先生方におかれましては、このような状況に深い御理解と御尽力を賜りますようお願い申し上げまして、私の意見陳述とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。
この発言だけを見る →私からは、政府提案の産業活力再生特別措置法案につきまして、経済戦略会議の議長並びに産業競争力会議の委員、また、少し前でございますが、ニュービジネス協議会の全国の会長をやりました立場から、所見を申し上げさせていただきたいと思います。
昨年の八月に経済戦略会議が創設された際、私は委員十名の互選をいただきまして議長を拝命したわけでありますが、本年二月、御案内のように、十人の委員の一致した意見といたしまして「日本経済再生への戦略」と題する答申を取りまとめ、総理に御提出いたしました。この答申には合計二百三十四に及ぶ提言が盛り込まれておりますが、産業再生策に関しましては、第四章「活力と国際競争力のある産業の再生」におきまして四十二にわたる提言をさせていただいております。
こうした経緯もございまして、本年三月に通産大臣の御発案による産業競争力会議が創設され、私も経済戦略会議を代表する形で委員に選出されましたのでございます。私自身、経済戦略会議の提言がこのような形で早期に政府、財界を含めて幅広く論議され、具体的な法案の形で御審議されるに至りましたことをまことに喜んでおる次第でございます。
先生方のお手元の資料にあると思いますが、経済・産業委員会調査室の参考資料「経済戦略会議答申に盛り込まれた各種提言に対する政府の検討結果」、その八十四ページにその内容が掲載されておりますのでごらんをいただきたいと思うのでございます。ごらんのように、ほとんどが「実現する方向で検討するもの」というAの評価となっておりまして、一部、税制にかかわる提言が「内容について、よく検討した上で結論を出すもの」とBということもありましたが、これについても今回の法案にかなりのものを盛り込んでいただいているわけでございまして、私といたしましても大変評価している次第でございます。
そこで、改めて産業再生に関する経済戦略会議の論議を御紹介することで、私の基本的な認識、考え方を申し述べたいと存じます。
産業再生にかかわる経済戦略会議の基本的な認識は次の三点でございます。
第一は、経済の再生のためには金融の再生だけではだめで、金融と産業が日本経済を引っ張る車のいわば両輪として活力を取り戻す必要があるという認識であります。
こうした認識から、産業再生に向けたフレームワークといたしまして、第一に過剰設備の処理の支援、第二に成長分野での設備投資の促進、第三に情報化の強力な推進、第四に経営組織の革新の四点を提言させていただきました。
これらの中で、設備廃棄に伴う各種の税制面での支援措置や、デット・エクイティー・スワップの活用、分社化などにかかわる法整備、税制措置などが今回の法案の中に織り込まれております。
こうした措置は、日本企業が不採算事業からの撤退や新規有望ビジネスへの進出などの形で事業構造を再構築するために不可欠の施策であります。我が国では、リストラというと、ともすれば経営体質や財務体質のスリム化、あるいはより直接的には雇用の削減を意図する減量経営と同義と考えられている向きもほんの一部にございますが、リストラとは本来リストラクチャリングの略で、後ろ向きのものだけではなく、前向きの経営戦略展開を含む幅広い言葉でございます。
一部では、御承知のように、過剰債務、過剰設備、さらには過剰雇用の解消策という側面のみが強調されてきておりますが、もちろん、こうした改革はそれぞれの企業みずからが積極的、主体的に取り組んでいかねばならぬものでありまして、政府の役割はそのための環境整備というふうに私どもは認識しておるのでございます。それは本来、くどいようでももう一度繰り返しになりますが、個々の企業の自主的な判断と自己責任を大前提とするものでありまして、政府の措置はあくまで自助努力を円滑にサポートするものと位置づけるべきと思うのでございます。
御案内のように、アメリカの企業が近年目覚ましい躍進を続けている背景には、まず人、物、金の経営資源を最も収益性の高い分野に素早く振り向ける戦略、いわゆるリエンジニアリングやあるいはフォーカシング戦略が奏功したと思われます。
現在、低収益に悩んでおります日本企業に求められていることは、単なる借金の棒引きや過剰設備廃棄、ましてや雇用の削減ということではなく、潜在的な需要、消費者のニーズ、ウオンツに的確に対応した商品・サービスを提供すべく、ニーズのある分野に経営資源を素早く集中し、スピーディーに事業構造の再構築を図ることであります。
その意味で、今回の法案の中に幾つかの重要な税制改正措置が年末改正を待たずに盛り込まれましたことは、産業界の立場からも高く評価させていただきたいと存じます。
戦略会議の基本認識の第二は、新規産業、ベンチャーなどを創出するための起業支援が極めて重要であります。改めて申すまでもなく、我が国の産業が活力を取り戻すためには、既存企業の活性化だけではなく、新たな雇用機会を生み出し、経済の活力の基盤となる新規事業をいかに創出するかが大きなかぎであります。
戦略会議では、このような認識から、起業支援策として、まず税制面からのサポート、二番目に店頭市場の改革などの規制緩和、三番目にマイクロビジネスの育成を目指した創業資金に対する政策融資、事業助成などが必要であると提言いたしました。
今回の法案でも、こうした戦略会議の認識を受ける形で、創業者及び中小企業による新規事業開拓のための支援措置が盛り込まれましたことは、高く評価させていただきたいと思う次第であります。
ただし、戦略会議が提言しております創業者利得の特例、言い直しますと公開三年前から保有していた株式の譲渡益の圧縮であります、の拡充や、エンジェル税制、損失の繰越控除制度の拡充強化、ベンチャーキャピタル支援税制、これは具体的には損失準備金制度の創設などでございますが、税制面でさらに一段の配慮が必要不可欠であり、今回の措置に加えて、年末の税制改正に向けた前向きの御検討を切にお願いしたいのでございます。
戦略会議の基本認識の第三は、二十一世紀を先導する、リードする産業を創出するために、技術開発、人材基盤・知的基盤の整備、規制緩和、国際標準の確保など、あらゆる側面にわたって国家戦略を策定し、大胆に実施していく必要があるということでございます。
今回の法案では、国の委託研究開発にかかわる特許権の扱いの弾力化、すなわち開発者の特許権保有を認めることや、技術移転機関いわゆるTLOの特許料の軽減などの措置が盛り込まれており、評価できると思います。
ただし、あえて言えば、こうした単発の措置ではなく、二十一世紀の日本経済をリードする新たな産業として、例えば情報通信、医療・福祉、バイオ、流通・物流、金融、環境といった戦略産業が自律的に立ち上がるよう、国家的なプロジェクトとして規制、法整備、税制、予算のあらゆる面から総合的かつ戦略的な視点で新規産業創出を図っていくことが極めて重要であると思う次第でございます。
以上、いろいろと申し上げてまいりましたが、今回の法案は、我が国の産業活力の再生と新規産業創出のために極めて重要であり、一刻も早い成立が望まれております。
そして、さらに重要なことは、産業再生策が今回の法案で尽きているわけでは決してございません。さらに第二弾、第三弾として追加策が必要だということでございます。
新しい会社再建制度の導入はもとより、会社分割法制の整備と税制面の手当て、連結納税制度の導入、起業支援税制の拡充、国家的新規産業創出計画の策定など、やるべきことは山積しているのが実情でございます。
議員の先生方におかれましては、このような状況に深い御理解と御尽力を賜りますようお願い申し上げまして、私の意見陳述とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。
須
大
大見忠弘#7
○参考人(大見忠弘君) 東北大学の大見でございます。
お手元に横長のA4の資料が届いていると思うんですが、「産業再生・強化策 新産業創出 科学技術創造立国を目指して」、こういうタイトルになっております。
現在、私は、東北大学の中に去年四月九日に発足した未来科学技術共同研究センターに所属しております。このセンターは、これまで大学の役割は新しい学問、技術をつくり上げるということが役割だったわけですけれども、新産業創出ということがメーンのターゲットになった、大学では初めてのセンターではないかというふうに思っております。
次のページを見ていただきたいと思うんですが、私自身の紹介も兼ねて、産業の強化あるいは新産業創出といったことにおける大学の役割を中心に御紹介したいと思います。
私自身の専門は、半導体エレクトロニクス、半導体集積回路。この技術は、二十一世紀のかなめの産業になる情報通信であるとかバイオ技術、すべてのこういった最先端産業の基盤になる技術であろうというふうに考えております。
大学の役割が新しい学問、技術の創出であるということを考えますと、大学が持つべき能力あるいはインフラの技術、そういったものがどういうものであるかということを簡単に御紹介したいと思うんですが、新しい学問、技術というのはまず一人の研究者の頭の中に芽生えてきます。着想の内容が新しければ新しいほど、そのことが正しいか否かを判断できる人は世界じゅうにだれもいません。この着想が正しいか否かを判断できるのは、正しく行われた実験結果だけがその正否を判断いたします。どういうことかと申し上げると、現在の常識、定説から考えていかに不自然、奇想天外に思えても、百回やって百回とも同じ結果が出ればその着想は正しいと言わざるを得ないんだろう、こういうことになります。
そうすると、次のページへ行っていただきたいんですが、何だかわけのわからない要因で結果が左右されない完全な再現性を有する実験技術、計測や分析技術を含みますけれども、こういった完全な再現性を有する実験技術というものを持たない限り、新しい学問、技術の創出は不可能だということになります。
大学が備えるべき要件としては、世界じゅう、だれも正しいかどうかわからないことを完全に実証できる完全な実験技術を備えるということが不可欠の要件になってまいります。これは実験環境を完全に制御するということが必然的に要求されます。
私どもの場合には、結果として、ごみであるとかあるいは分子上、原子上の不純物を完全に除去し、静電気であるとか磁場変動だとか、ちょっと専門的で申しわけないんですが、あらゆる変動が結果に影響を与えるものですから、そういったものを全部排除したスーパークリーンルームの技術というものが必要になってまいります。
スーパークリーンルームというのは、材料から始まってその加工技術、表面処理の技術、あるいは材料、部品を組み合わせた施工技術、新しい部品、新しいシステム、こういった総合技術の典型例になってまいります。
ここら辺に今、大学のありようというのが問われているんだろうと思うんですが、従来型の学部学科体制で大学というのは編成されているものですから、すべての学問・技術分野に及ぶ横断的な広い分野の技術というものをどういう形で学生たちに伝えていくか、そういう問題を抱えているだろうと思います。
このスーパークリーンルームの技術を東北大学で全く新しいコンセプトのものでつくり上げたわけですが、結果として、この技術が最先端の半導体産業であるとか液晶ディスプレー産業あるいは磁気記録産業などの基盤技術になっていきました。
東北大学でつくられたこのスーパークリーンルームの技術というのは、その後のこういった分野の世界のお手本になっております。典型的な例は、一九八〇年代の半ばにいわばつぶれかかっていたインテルが全面的にこの東北大学の技術を導入して五年後には世界のトップに躍り出る、今のインテルの強さというのはよく御承知ではないかと思うんですが、そういう役割を果たしております。
〔委員長退席、理事成瀬守重君着席〕
次のページへ行っていただきたいんですが、産業競争力強化という上で産学連携が本当の意味で必要になった時代が来ているということを申し上げたいと思います。
まず、研究開発体制の劇的な変化ということを御認識いただきたいと思うんですが、今世紀の前半から一九七〇年のころまで、これはリニアモデルと言われる時代で、まず基礎研究が行われて、その基礎研究をベースにして応用研究を展開して、実用化研究を経て実用化、事業化というのがなされます。これが比較的長い間続いたものですから、今でも多くの大学人あるいは企業の研究者がこのリニアモデルにとらわれている。実際は一九七〇年のころから研究開発体制ががらっと変わっております。
下に書いてございますが、実社会の非常に強いニーズに対して最適解を最短時間で与えるというために、必要とあらば基礎研究も応用研究も実用化研究も同時並行的にやっていくんだという形に変わっております。ですから、かつて基礎研究をやる人たちは人里離れたところでこっそり研究をしていればそれでいいよという時代が長いこと続いたんですけれども、基礎研究そのものに実社会の非常に強いニーズが直接反映するという形をとらないと今の世界の体制には到底追いつかない、そういう状況になっているということの認識が日本ではまだ大変薄いのではないかというふうに感じております。
次のページへ行っていただきたいんですが、このスタイルが、アメリカ、ヨーロッパで今非常に強くあらわれている典型的な研究開発のひな形です。
まず、実社会の要求に対する最適解を与えるターゲットといったものを掲げる、名前がなかなかいい名前がないものですから、映画のプロデューサー等に匹敵する、プロデューサーという名前が書いてございます。
〔理事成瀬守重君退席、委員長着席〕
こういうものが五年後、十年後、二十年後に必要になるぞということを洞察して、新しいターゲットを掲げて、その目標に至る必要な技術を全部まとめ上げて、この研究開発課題をやり遂げる人並びに資金を調達してくる、実際に仕事を実施するという役割をこのプロデューサーが負います。
ここで非常に大事なことは、五年後、十年後、二十年後の実社会の要求、社会構造、産業構造はどうなっているのか、どうあるべきなのかということを予見、洞察する能力、先を読むということが非常に大事だということです。読み間違ったらこの研究開発プロジェクトは全滅になります。
次のページへ行っていただきたいと思うんですが、同じく産学連携の必然性ということが書いてございますが、大学と企業の役割が書いてございます。
非常に役割が違っているということを強く認識すべきだと思うんですが、企業はまずお客さんへの供給義務というものを負っておりますから、毎日毎日必要なものをつくり続けていかなければなりません。そういう状況の中では、現在の技術、現状の技術に頭がとらわれるという物の考え方になります。結果として、多くの企業の研究開発者たちは、現在の技術から将来を見るという物の考え方にどうしてもなるんです。そうでなきゃまた困るわけです、毎日物をつくってお客さんに届けてもらわないといけないですから。結果として、技術体系トータル、パラダイムが転換するようなときには企業は対応が難しいということにならざるを得ません。
一方の大学ですけれども、大学の大きな特徴は二つあります。一つは、十八歳の学部学生から講義をしなければいけません。どんなに研究に忙しくて、もう徹夜で研究をしていようとも、週に何回かは学部学生の講義に私どもは出かけてまいります。学部の学生諸君に教えることというのは、その学問分野の定石、原理原則を教えることになります。結果として、大学人はいつでも原理原則にのっとって物を考えるということが日常化しております。一方、お客さんへの供給義務ということがありませんから、現状の技術に一切拘束されないで、将来の理想の姿とか極限の姿、あるべき姿というものを理論的に考える能力を日常的に持っている人たちになります。
これはどういうことを意味するかというと、パラダイムシフトを伴うような新しい学問、技術の創出というのはほとんどやはり大学から起こってくるということです。歴史的に見ても、ほとんどの新技術というのは大学周辺から生まれているということは間違いございません。やはり国トータルの科学技術創造立国といった大きなグランドデザインを描くときには、もちろん例外はありますけれども、新技術創出というところを主として大学人に担当させて、実用化、事業化というところを企業がやっていくということが最も効率のいい姿だろうというふうに思います。
次のページへ行っていただきたいんですが、さらに産学連携の必然性というところで、現実問題として、実際に今つくられ続けている最先端の製品というものは理論極限にほとんど近いところのものを大量生産でつくるということを要求されます。結果として、経験と勘に基づく生産技術では到底対応できない。学問に裏づけられた科学的な生産技術というものがない限りは、コスト競争で世界に勝っていくということができない。こういうことから産学連携というのはもう絶対に必要だということになります。
産学連携ということをやっていくときに、企業側のことをこれは書いてございますが、そのアイテムを実施するか否かの決断の速さが絶対的に必要になります。
これはどういうことかというと、時代が進めば進むほど私どもが活用できる技術の内容は豊富になってまいります。コンピューターの例を頭に描いていただくと自明だと思うんですが、十年前のコンピューターと今のコンピューターでは全く性能が違います。これはどういうことを意味するかというと、ある研究開発のターゲットを立てたときに、それを具現化するまでの時間が時代とともにどんどん短くなるということです。決断がおくれればもう勝負にならない。ここのところが先ほど樋口会長が言われていた経営の刷新その他ということにつながるんだと思うんです。
結果として、こういうことを言うとしかられるかもしれませんが、大企業は新技術開発、事業化にほとんど役に立たない。決断が遅いからです。大企業の稟議書などを一度見ていただけるといいと思うんですが、A4の紙に判こを押す枠が五十も六十もあって、稟議を書く部分の方が三分の一ぐらいしかない。そういう稟議書が世の中に出回っていて、これはおかしいと思うセンシティビティーを失っているんです。やはりベンチャー企業というのは非常に重要だというふうに考えております。
次のページへ行っていただきたいんですが、我が国の産業競争力強化ということは、もう言うまでもなく、日本が持っている資産を、特にここは「知的資産」と書いてございますが、有効活用することだと。
二つ目に括弧書きで、長い間これはアメリカから日本に言われたことなんですが、「ハイテクあって、ハイテクビジネス無し」と。ビジネスは全部アメリカが生み出してくるもののしっぽにくっついてビジネスをやりますよということになれてきてしまった。やはりビジネススコープ、ビジネスマインドを持った人材を積極的に活用していくという制度が非常に重要であろう。
同時に、悲観してばかりいる必要はないので、国内にすべての産業を持っている国というのは日本、アメリカ、ドイツ等、世界でもごく限られた国しかありません。こういった総合力を有効活用すれば非常に強い国になっていきますというふうに思っております。
思い出していただきたいことが下に三つ書いてございます。一九八〇年代なんですが、アメリカを中心とする諸外国から日本が袋だたきに遭った代表的な三つのイシューが書いてございます。基礎研究ただ乗り、産業育成というようなものを政府が支援するのはダーティーワークだ、日本人は働き過ぎ。これに残念ながら日本は完全にひっかかったというふうに私は思います。個人的な感想を言うと、国際的な謀略ではないかという気がしております。
今回の法案に関しては、私どもは大変喜んでおります。非常に決定の早かったことに心から敬意を申し上げたいというふうに考えております。
私の近いところの、研究開発の活性化ということに関してだけ意見を申し上げたいと思うんですが、今の大競争時代というのは世界じゅうの知恵比べなんです。いかに物を考えて早く手を打って具現化するか。日本版バイ・ドール法と言われる、国の資金で誕生したパテントをそれにコントリビュートした企業に持たせるという法案ですが、私どもは大歓迎でございます。
今の時代はもうすべてスピードが勝負ですから、国が絡むというようなことになるとどうしてもミスをしないミスをしないという発想の方々が多いものですから、スピードが遅くなります。私も一緒に産業界と仕事をしながら、でき上がったパテントは大概の場合、持ち分五〇、五〇でやってまいりました。理由は簡単です。自分たちのものだと思わなければ必死になって事業化しないということです。
もう一つ大事なことは、先ほども申し上げたように、新しい技術の事業化ということになると大きな企業よりも小さな企業がほとんど手がけます。そういう人たちが死に物狂いで努力したときに、事業を乗っ取られちゃうというようなことでは困るものですから、お金をたくさん持っている強い企業から特許で守ってやるということが非常に大事ではないかということで、特許の重要性を認識しております。
今でも大学には産学共同研究制度というのがあるんですけれども、ほとんどの企業はこの制度を使いたがりません。どういうことかというと、特許が自分たちのものにならないから、結果として制度があっても生きないということなんです。
時間をオーバーしておりますが、この日本版バイ・ドール法というのは私どもにとってはもう待ちに待った法案ではないかというふうに考えております。
それから、TLOの特許料軽減等に関して、科学技術創造立国というのは簡単に言うと、新しい産業の源流になるような基本特許をたくさん確立することだと思います。前半に申し上げたように、新しい技術というのは大学からほとんど出てまいりますから、その技術を民間に移転するTLOにこういった措置をとっていただくということは、大学のアクティビティーが大変高くなるという意味で、ぜひとも即刻進めていただきたいというのが私ども大学人からのお願いでございます。
時間を超過して大変申しわけありません。
この発言だけを見る →お手元に横長のA4の資料が届いていると思うんですが、「産業再生・強化策 新産業創出 科学技術創造立国を目指して」、こういうタイトルになっております。
現在、私は、東北大学の中に去年四月九日に発足した未来科学技術共同研究センターに所属しております。このセンターは、これまで大学の役割は新しい学問、技術をつくり上げるということが役割だったわけですけれども、新産業創出ということがメーンのターゲットになった、大学では初めてのセンターではないかというふうに思っております。
次のページを見ていただきたいと思うんですが、私自身の紹介も兼ねて、産業の強化あるいは新産業創出といったことにおける大学の役割を中心に御紹介したいと思います。
私自身の専門は、半導体エレクトロニクス、半導体集積回路。この技術は、二十一世紀のかなめの産業になる情報通信であるとかバイオ技術、すべてのこういった最先端産業の基盤になる技術であろうというふうに考えております。
大学の役割が新しい学問、技術の創出であるということを考えますと、大学が持つべき能力あるいはインフラの技術、そういったものがどういうものであるかということを簡単に御紹介したいと思うんですが、新しい学問、技術というのはまず一人の研究者の頭の中に芽生えてきます。着想の内容が新しければ新しいほど、そのことが正しいか否かを判断できる人は世界じゅうにだれもいません。この着想が正しいか否かを判断できるのは、正しく行われた実験結果だけがその正否を判断いたします。どういうことかと申し上げると、現在の常識、定説から考えていかに不自然、奇想天外に思えても、百回やって百回とも同じ結果が出ればその着想は正しいと言わざるを得ないんだろう、こういうことになります。
そうすると、次のページへ行っていただきたいんですが、何だかわけのわからない要因で結果が左右されない完全な再現性を有する実験技術、計測や分析技術を含みますけれども、こういった完全な再現性を有する実験技術というものを持たない限り、新しい学問、技術の創出は不可能だということになります。
大学が備えるべき要件としては、世界じゅう、だれも正しいかどうかわからないことを完全に実証できる完全な実験技術を備えるということが不可欠の要件になってまいります。これは実験環境を完全に制御するということが必然的に要求されます。
私どもの場合には、結果として、ごみであるとかあるいは分子上、原子上の不純物を完全に除去し、静電気であるとか磁場変動だとか、ちょっと専門的で申しわけないんですが、あらゆる変動が結果に影響を与えるものですから、そういったものを全部排除したスーパークリーンルームの技術というものが必要になってまいります。
スーパークリーンルームというのは、材料から始まってその加工技術、表面処理の技術、あるいは材料、部品を組み合わせた施工技術、新しい部品、新しいシステム、こういった総合技術の典型例になってまいります。
ここら辺に今、大学のありようというのが問われているんだろうと思うんですが、従来型の学部学科体制で大学というのは編成されているものですから、すべての学問・技術分野に及ぶ横断的な広い分野の技術というものをどういう形で学生たちに伝えていくか、そういう問題を抱えているだろうと思います。
このスーパークリーンルームの技術を東北大学で全く新しいコンセプトのものでつくり上げたわけですが、結果として、この技術が最先端の半導体産業であるとか液晶ディスプレー産業あるいは磁気記録産業などの基盤技術になっていきました。
東北大学でつくられたこのスーパークリーンルームの技術というのは、その後のこういった分野の世界のお手本になっております。典型的な例は、一九八〇年代の半ばにいわばつぶれかかっていたインテルが全面的にこの東北大学の技術を導入して五年後には世界のトップに躍り出る、今のインテルの強さというのはよく御承知ではないかと思うんですが、そういう役割を果たしております。
〔委員長退席、理事成瀬守重君着席〕
次のページへ行っていただきたいんですが、産業競争力強化という上で産学連携が本当の意味で必要になった時代が来ているということを申し上げたいと思います。
まず、研究開発体制の劇的な変化ということを御認識いただきたいと思うんですが、今世紀の前半から一九七〇年のころまで、これはリニアモデルと言われる時代で、まず基礎研究が行われて、その基礎研究をベースにして応用研究を展開して、実用化研究を経て実用化、事業化というのがなされます。これが比較的長い間続いたものですから、今でも多くの大学人あるいは企業の研究者がこのリニアモデルにとらわれている。実際は一九七〇年のころから研究開発体制ががらっと変わっております。
下に書いてございますが、実社会の非常に強いニーズに対して最適解を最短時間で与えるというために、必要とあらば基礎研究も応用研究も実用化研究も同時並行的にやっていくんだという形に変わっております。ですから、かつて基礎研究をやる人たちは人里離れたところでこっそり研究をしていればそれでいいよという時代が長いこと続いたんですけれども、基礎研究そのものに実社会の非常に強いニーズが直接反映するという形をとらないと今の世界の体制には到底追いつかない、そういう状況になっているということの認識が日本ではまだ大変薄いのではないかというふうに感じております。
次のページへ行っていただきたいんですが、このスタイルが、アメリカ、ヨーロッパで今非常に強くあらわれている典型的な研究開発のひな形です。
まず、実社会の要求に対する最適解を与えるターゲットといったものを掲げる、名前がなかなかいい名前がないものですから、映画のプロデューサー等に匹敵する、プロデューサーという名前が書いてございます。
〔理事成瀬守重君退席、委員長着席〕
こういうものが五年後、十年後、二十年後に必要になるぞということを洞察して、新しいターゲットを掲げて、その目標に至る必要な技術を全部まとめ上げて、この研究開発課題をやり遂げる人並びに資金を調達してくる、実際に仕事を実施するという役割をこのプロデューサーが負います。
ここで非常に大事なことは、五年後、十年後、二十年後の実社会の要求、社会構造、産業構造はどうなっているのか、どうあるべきなのかということを予見、洞察する能力、先を読むということが非常に大事だということです。読み間違ったらこの研究開発プロジェクトは全滅になります。
次のページへ行っていただきたいと思うんですが、同じく産学連携の必然性ということが書いてございますが、大学と企業の役割が書いてございます。
非常に役割が違っているということを強く認識すべきだと思うんですが、企業はまずお客さんへの供給義務というものを負っておりますから、毎日毎日必要なものをつくり続けていかなければなりません。そういう状況の中では、現在の技術、現状の技術に頭がとらわれるという物の考え方になります。結果として、多くの企業の研究開発者たちは、現在の技術から将来を見るという物の考え方にどうしてもなるんです。そうでなきゃまた困るわけです、毎日物をつくってお客さんに届けてもらわないといけないですから。結果として、技術体系トータル、パラダイムが転換するようなときには企業は対応が難しいということにならざるを得ません。
一方の大学ですけれども、大学の大きな特徴は二つあります。一つは、十八歳の学部学生から講義をしなければいけません。どんなに研究に忙しくて、もう徹夜で研究をしていようとも、週に何回かは学部学生の講義に私どもは出かけてまいります。学部の学生諸君に教えることというのは、その学問分野の定石、原理原則を教えることになります。結果として、大学人はいつでも原理原則にのっとって物を考えるということが日常化しております。一方、お客さんへの供給義務ということがありませんから、現状の技術に一切拘束されないで、将来の理想の姿とか極限の姿、あるべき姿というものを理論的に考える能力を日常的に持っている人たちになります。
これはどういうことを意味するかというと、パラダイムシフトを伴うような新しい学問、技術の創出というのはほとんどやはり大学から起こってくるということです。歴史的に見ても、ほとんどの新技術というのは大学周辺から生まれているということは間違いございません。やはり国トータルの科学技術創造立国といった大きなグランドデザインを描くときには、もちろん例外はありますけれども、新技術創出というところを主として大学人に担当させて、実用化、事業化というところを企業がやっていくということが最も効率のいい姿だろうというふうに思います。
次のページへ行っていただきたいんですが、さらに産学連携の必然性というところで、現実問題として、実際に今つくられ続けている最先端の製品というものは理論極限にほとんど近いところのものを大量生産でつくるということを要求されます。結果として、経験と勘に基づく生産技術では到底対応できない。学問に裏づけられた科学的な生産技術というものがない限りは、コスト競争で世界に勝っていくということができない。こういうことから産学連携というのはもう絶対に必要だということになります。
産学連携ということをやっていくときに、企業側のことをこれは書いてございますが、そのアイテムを実施するか否かの決断の速さが絶対的に必要になります。
これはどういうことかというと、時代が進めば進むほど私どもが活用できる技術の内容は豊富になってまいります。コンピューターの例を頭に描いていただくと自明だと思うんですが、十年前のコンピューターと今のコンピューターでは全く性能が違います。これはどういうことを意味するかというと、ある研究開発のターゲットを立てたときに、それを具現化するまでの時間が時代とともにどんどん短くなるということです。決断がおくれればもう勝負にならない。ここのところが先ほど樋口会長が言われていた経営の刷新その他ということにつながるんだと思うんです。
結果として、こういうことを言うとしかられるかもしれませんが、大企業は新技術開発、事業化にほとんど役に立たない。決断が遅いからです。大企業の稟議書などを一度見ていただけるといいと思うんですが、A4の紙に判こを押す枠が五十も六十もあって、稟議を書く部分の方が三分の一ぐらいしかない。そういう稟議書が世の中に出回っていて、これはおかしいと思うセンシティビティーを失っているんです。やはりベンチャー企業というのは非常に重要だというふうに考えております。
次のページへ行っていただきたいんですが、我が国の産業競争力強化ということは、もう言うまでもなく、日本が持っている資産を、特にここは「知的資産」と書いてございますが、有効活用することだと。
二つ目に括弧書きで、長い間これはアメリカから日本に言われたことなんですが、「ハイテクあって、ハイテクビジネス無し」と。ビジネスは全部アメリカが生み出してくるもののしっぽにくっついてビジネスをやりますよということになれてきてしまった。やはりビジネススコープ、ビジネスマインドを持った人材を積極的に活用していくという制度が非常に重要であろう。
同時に、悲観してばかりいる必要はないので、国内にすべての産業を持っている国というのは日本、アメリカ、ドイツ等、世界でもごく限られた国しかありません。こういった総合力を有効活用すれば非常に強い国になっていきますというふうに思っております。
思い出していただきたいことが下に三つ書いてございます。一九八〇年代なんですが、アメリカを中心とする諸外国から日本が袋だたきに遭った代表的な三つのイシューが書いてございます。基礎研究ただ乗り、産業育成というようなものを政府が支援するのはダーティーワークだ、日本人は働き過ぎ。これに残念ながら日本は完全にひっかかったというふうに私は思います。個人的な感想を言うと、国際的な謀略ではないかという気がしております。
今回の法案に関しては、私どもは大変喜んでおります。非常に決定の早かったことに心から敬意を申し上げたいというふうに考えております。
私の近いところの、研究開発の活性化ということに関してだけ意見を申し上げたいと思うんですが、今の大競争時代というのは世界じゅうの知恵比べなんです。いかに物を考えて早く手を打って具現化するか。日本版バイ・ドール法と言われる、国の資金で誕生したパテントをそれにコントリビュートした企業に持たせるという法案ですが、私どもは大歓迎でございます。
今の時代はもうすべてスピードが勝負ですから、国が絡むというようなことになるとどうしてもミスをしないミスをしないという発想の方々が多いものですから、スピードが遅くなります。私も一緒に産業界と仕事をしながら、でき上がったパテントは大概の場合、持ち分五〇、五〇でやってまいりました。理由は簡単です。自分たちのものだと思わなければ必死になって事業化しないということです。
もう一つ大事なことは、先ほども申し上げたように、新しい技術の事業化ということになると大きな企業よりも小さな企業がほとんど手がけます。そういう人たちが死に物狂いで努力したときに、事業を乗っ取られちゃうというようなことでは困るものですから、お金をたくさん持っている強い企業から特許で守ってやるということが非常に大事ではないかということで、特許の重要性を認識しております。
今でも大学には産学共同研究制度というのがあるんですけれども、ほとんどの企業はこの制度を使いたがりません。どういうことかというと、特許が自分たちのものにならないから、結果として制度があっても生きないということなんです。
時間をオーバーしておりますが、この日本版バイ・ドール法というのは私どもにとってはもう待ちに待った法案ではないかというふうに考えております。
それから、TLOの特許料軽減等に関して、科学技術創造立国というのは簡単に言うと、新しい産業の源流になるような基本特許をたくさん確立することだと思います。前半に申し上げたように、新しい技術というのは大学からほとんど出てまいりますから、その技術を民間に移転するTLOにこういった措置をとっていただくということは、大学のアクティビティーが大変高くなるという意味で、ぜひとも即刻進めていただきたいというのが私ども大学人からのお願いでございます。
時間を超過して大変申しわけありません。
須
花
花田啓一#9
○参考人(花田啓一君) 日本SOHOセンターの花田です。本法案につきまして、SOHOの立場からの意見を述べさせていただきます。
お手元の資料にもあるかと思いますが、私どもの日本SOHOセンターという団体は昨年の十一月に設立されたものでして、SOHO自身によるSOHOのための支援団体で、非営利、いわゆるNPOの形で活動しております。
このSOHOとは何かということにつきましては、現在ではかなり多くの方が御存じではあろうと思いますが、いわゆるスモール・オフィス・ホーム・オフィスの略でありまして、小規模オフィスもしくは自宅をオフィスとする個人事業の形態であります。法人格を持つSOHOもございますが、おおむね四、五人程度の小さな規模というふうにお考えください。
では、従来の中小企業や個人商店とどのような違いがあるのかと申しますと、一言で言いますならば、パソコンやインターネットに代表されますようなIT、いわゆる情報技術というものが最大限に活用されているという前提でビジネス展開を図っていくというふうにお考えくだされば結構だろうと思います。今のところ、日本においてはSOHOというものに対する統一的な定義がまだないのでありますが、雑駁にそのように御理解ください。
このSOHOという新しい概念、新しい働き方、生き方、これが現在かなりの注目を集めているわけでありますが、このSOHOの持つ可能性というものが、私たちは、今日のこの日本が陥っております閉塞状況、経済・産業の苦境を打開するための大きなかぎの一つになるのではないかというふうに考えております。
今日、会社もしくは組織という従来型の価値観が行き詰まっているということが言えるのではないかと思います。いわゆる護送船団方式でこれまでやってきたものが、現在その限界が顕在化してきているのではないか。この状況を打ち破るために今必要なものの一つとして、個性を大事にしたSOHOという働き方、生き方、個という単位でビジネス展開を進めていくSOHOではないか、これがまさしく産業の活性化のポテンシャルを持つものだというふうに私たちは考えております。
この法案に対しまして、SOHOにいる現場の身として申し上げたいことが幾つかございます。
この法案の事業再構築という部分がありますが、もちろん現在のこの難しい状況をリストラクチャリングという形で環境整備していくということは必要なことだろうと思います。これは基本的にはあってしかるべきことだろうとは考えております。しかしながら、リストラという言葉が巷間伝えられている意味合いは、やはりそこには雇用の削減を伴うものである、むしろ雇用の削減イコールリストラというふうにとらえられているのではないかと思います。
今回の法案につきましても、それがやはり基本的に雇用の削減につながっていくものではないかというふうに考えられると思います。確かに、今説明がありましたように、日本版バイ・ドール法など一部に評価すべき点もございますが、しかしながら、こういう法案を進めることによって政府もしくは国がリストラをあおる、従業員の雇用削減にお墨つきを与えるといった側面は否定できないのではないかというふうに考えます。
しかしながら、私は何もここで絶対的に雇用を守れというようなことを申し上げたいわけではないわけです。過剰な設備はやはり廃棄しなければならないと思いますし、余剰の人員も整理しなければならないでしょう。しかし、その過剰とか余剰をつくり出した責任は一体どこにあるのかという点であります。つまり、経営側にも責任はないのか。リストラされる従業員の中にもそれはちゃんとした仕事をしないという意味においての責任はあるのかもしれませんが、経営側には責任がないのか。世界市場で生き残れる強い体質をつくるんだというようなことが言われておりますが、弱い体質にしてしまったのは一体だれなのか。このあたりの視点が欠けているのではないかと考えます。
ですから、例えばかの山一の倒産の日に、従業員は何も悪くないと泣きじゃくった社長のあの絵が日本の国の中である種の共感を覚えられたように私は思いますが、あれはなぜかといえば、やはり従業員だけが悪いんじゃない、経営者側も悪いんだということが暗黙の了解として国民の中にあったんではないかというところが考えられると思います。
経済の活力を再生するというネーミングにもかかわらず、この法案を見ますと、今申し上げたように、経営者側にも血を吐くような痛みを伴うようなそんな抜本的な改革という部分がいささか足りないのではないか、安易にリストラという、言ってみればカンフル剤を打とうとしているのではないか、こういうふうに考えられる部分があります。
もちろん、カンフル剤も必要な場合があります。瀕死の重症を負っている人間に適切な処置をするという意味においてはカンフル剤も必要かもしれません。しかしながら、この経済の再生という部分のネーミングからしますと、やはり一時的に危機的な状況があった場合にそれを助けて、その人間が言ってみれば退院をしてもとの日常生活に戻っていく、そこまでケアして初めて再生ではないだろうか、こういうふうに考えるわけです。そうすると、どうしてもこの法案の中からはその辺の再生のシナリオが見えにくい。どうしてもカンフル剤的なところしか見えてこないというふうに私は考えます。
そこの、いや違うんだ、ちゃんとした再生のシナリオは打たれているんだという部分について想像しますに、新規事業の育成というような部分、先ほどの説明の中にもありましたが、そうしたものが出てきていると思うんですが、ここが本当に再生のための大きな柱だとしたら、私はこれはとんでもないことではないかというふうに考えます。再生のための新規事業の育成というものどころか、今の非常に危ない状態の日本経済にもしかしたら引導を渡す結果になりかねない、そんな危惧を私は抱いております。
どういうことかというと、つまり、新しく事業を起こすときに融資というのは確かにありがたいものです。ビジネスの立ち上げにはやはりお金が必要ですから、ないよりはあった方がいい。しかし、誤解を恐れずにあっさり申し上げれば、ある程度のスキル、技術、能力、やる気、意欲、そういうものがあれば開業、独立というものは基本的にそれほど難しいものではないということです。一部の業種に関しましては最初に投下資本がかなり必要なものがあって、融資を、かなりのお金を必要とするものもあるかもしれませんが、しかしながら、この情報化の時代において起業する場合、まさしくいろいろな情報が入手できるような時代になってきているわけです。
現実にパソコンも安くなっておりますし、インターネットを使えば、文字どおりインターネットというのは情報の宝庫でありますから、世界じゅうからいろいろなデータや情報が得られるわけで、これにかかる費用も例えば五年前に比べれば相当安くなっているわけです。ですから、莫大な投資を必要とするものではない状況が生まれてきているにもかかわらず、相変わらず創業段階で融資、無利子で一千万とかそういうことになっている。これではやはり足りないのではないかと。
こういった問題を考えてみるときに、先ほど来もアメリカとの比較がありましたが、アメリカでの開業率は高いのになぜ日本の開業率は高くないのかというふうなことを考えた場合に、こちらにビジネスの方もいらっしゃるので先輩を差しおいてなんですが、つまりビジネスというものは継続しなければ意味がないと思うんです。立ち上げるだけなら、今申し上げたようにある種の意欲さえあれば立ち上がるんですが、それを四年、五年、十年と続けていくための、継続は力なりという名文句がこのビジネス界にありますけれども、そこだと思うんです。ですから、この継続をしていくというときに実はいろいろな問題が中小企業、特に小規模の事業、それから個人事業主の間にはあるんだということを私はここで指摘しておきたいと思います。
それはどういったことかというと、お手元の資料の中に私どもが申し上げております「本当に必要なSOHO支援策」というものが十九項目にわたってありますので、一つ一つ申し上げている時間はございませんので詳しくはその中を見ていただきたいんですが、例えば一つ申し上げれば源泉の問題がございます。
お手元の資料の中で言えば、三ページ目に第三番目の項目として出しておりますが、源泉の問題。これは法人格を持った企業の場合は全然気にすることはないんですが、個人事業主の場合はいや応なく報酬の一〇%を源泉として取られるわけです。これが事業です。個人とはいえ事業を行っているわけです。確定申告もするわけです。なのになぜその売り上げの一〇%をあらかじめ源泉という形で前納しなければならないのか。例えば個人商店で肉や魚や野菜を、例えば一本百円でニンジンを売っている。その百円のうちの十円をあらかじめ源泉として取られるということがないように、私どもの個人事業主がその報酬の一〇%を源泉としてあらかじめ納めなければならないというのは、やはり個人事業主に対する考え方としていささかその活動を阻害するものではないかというふうに考えます。
そのほかいろいろなことがあるわけですが、こういった一つの問題を取り上げましても、個人もしくは小規模で事業を行っておりますと実はいろいろな問題が発生しているわけです。なかなか想像しにくいかもしれませんが、支払いの遅延、不当な未払い、不払い、そのようなことはまさに残念なことではあるんですけれども、個人もしくは小規模で事業を行っていると日常的にこれは発生するわけです。消費税が転嫁できないということも決して珍しくありません。そうした問題が実はあるわけなんです。支払いサイトが長過ぎるという問題もあります。ですから、資金の回転に苦労するという問題もあります。
そうしたいろいろな問題に加えて、福利厚生の問題もこれは見逃せない事実だと思います。最近では会社員だってつらいんだというような論調が目立ちますけれども、しかしながら会社員はまだまだ恵まれていると思います。個人事業で仕事を進めている場合には、会社員の時代にあった福利厚生というものは一切なくなる。その中で、個人として仕事をしているんだという現実をできる限りやっぱり直視すべきではないだろうかと思います。
そういったアンフェアな状況が厳然としてある。現実にある。そういう状況の中で起業家支援だというふうにおっしゃられても、そうそう人は業を起こそうとは思いません。いろんな方に私たちはお会いしていますけれども、才能のある方、スキルがある方こそむしろ会社員でい続けたい、会社員でなくなったら全部自分でやらなくちゃいけなくて大変だと、そういうことをおっしゃられます、訴えられます。
しかしながら、先ほど、独立は簡単だという言い方をしたときに、多少なりともスキルややる気がありさえすればそんなに難しい話じゃないと申し上げましたけれども、ここで今発生している問題は、非自発的な退職者、本人が望まないにもかかわらずリストラされてしまうということです。本人が望んで退職して独立、開業してもいろんな問題が山積しているのに、本人が望まないで独立、開業した場合にどのような問題が起きるかは火を見るより明らかだろうと思います。
そういった問題を考えていきますと、確かに目の前の失業率は五%を前後して、これ以上高くなるだろうということで問題は生じておりますけれども、しかしながら、この失業率の問題をとらえて、失業者になるぐらいだったら開業させる、起業させる、そうしたら失業率は下がるかもしれません。しかしながら、そのために資本金を、最初の創業資金を国や行政が支援する。そうしたら一年、二年、三年はもつかもしれません。しかしながら、四年、五年、十年たつとどうなるでしょう。いや十年どころじゃなくて四年、五年で十分だろうと思いますが、この人たちは基本的に起業家マインドがない人間たちですから、これがばたばたと倒産するのは火を見るより明らかだろうと思います。
倒産したらどうなるか。もはや失業者ではないわけです。失業保険がないわけです。どうするか。自殺するかホームレスになるか犯罪に走るか、それしかないわけです。企業に再就職するという道も残されていないわけです。そういった現実を招きかねない安易な創業支援、起業支援は、二年、三年、四年後にそういった事態を招きかねないということを私は声を大にして申し上げたいと思います。
ですから、むしろ社会的な基盤を整備することにお金や知恵や手間暇をかけていただきたい。今いろいろ申し上げた中で、幾つもの実行できることがたくさんあります。そうしたことを、社会的な条件整備、基盤を整備していけばある程度の人は今さら起業だ何だと言わなくてもほっといても独立、開業していきます。四年、五年続けていったときにいろいろな問題が生じるでしょうから、そういうときに融資の枠のことを考えていただくとかいうことをすれば、継続していって、その先にそうした人たちがたくさん出てくることによって、その中から自分は将来は店頭公開だ、一部上場だと考えるような人も出てくるわけです。そうした中から第二、第三の本田のようないわゆるベンチャーの旗手と呼ばれるようなものが出てくる可能性があるわけです。
つまり、ベンチャーというのはいきなり出てくるものではなくて、その中には当然個人もしくは小規模で事業展開をしている豊かな土壌がなければならないわけです。そうしたものとして起業をとらえていただきたい。単なる失業対策として業を起こすことをとらえていただきたくない。ここは声を大にして申し上げたいところです。
全国津々浦々にはいろいろな個人、小規模で事業を展開していらっしゃる方が現実にいます。現実にいろんなところにいろんな人がいます。そういう人たちに対する支援こそが次の日本の新しい未来を築くものだと私は信じて疑いません。日本は資本主義の国だと言われながら、しかしやゆ的に非常に成功した社会主義の国だと言われることもありますが、今まさに本当の意味での資本主義革命が起きているのかもしれません。地方にはそうした一生懸命仕事をしている人がたくさんいます。そうした人たちに少しずつでも地方自治体の枠の中でいろいろな支援をしていただければ、そうした中から第二、第三の本田が生まれるのではないかと私は信じて疑いません。
まさしく今こそ草の根資本主義というものがこの国に問われている問題ではないでしょうか。そうした観点からすると、この法案に足りないものがまだまだたくさんあるというふうに私は感じております。
ありがとうございます。
この発言だけを見る →お手元の資料にもあるかと思いますが、私どもの日本SOHOセンターという団体は昨年の十一月に設立されたものでして、SOHO自身によるSOHOのための支援団体で、非営利、いわゆるNPOの形で活動しております。
このSOHOとは何かということにつきましては、現在ではかなり多くの方が御存じではあろうと思いますが、いわゆるスモール・オフィス・ホーム・オフィスの略でありまして、小規模オフィスもしくは自宅をオフィスとする個人事業の形態であります。法人格を持つSOHOもございますが、おおむね四、五人程度の小さな規模というふうにお考えください。
では、従来の中小企業や個人商店とどのような違いがあるのかと申しますと、一言で言いますならば、パソコンやインターネットに代表されますようなIT、いわゆる情報技術というものが最大限に活用されているという前提でビジネス展開を図っていくというふうにお考えくだされば結構だろうと思います。今のところ、日本においてはSOHOというものに対する統一的な定義がまだないのでありますが、雑駁にそのように御理解ください。
このSOHOという新しい概念、新しい働き方、生き方、これが現在かなりの注目を集めているわけでありますが、このSOHOの持つ可能性というものが、私たちは、今日のこの日本が陥っております閉塞状況、経済・産業の苦境を打開するための大きなかぎの一つになるのではないかというふうに考えております。
今日、会社もしくは組織という従来型の価値観が行き詰まっているということが言えるのではないかと思います。いわゆる護送船団方式でこれまでやってきたものが、現在その限界が顕在化してきているのではないか。この状況を打ち破るために今必要なものの一つとして、個性を大事にしたSOHOという働き方、生き方、個という単位でビジネス展開を進めていくSOHOではないか、これがまさしく産業の活性化のポテンシャルを持つものだというふうに私たちは考えております。
この法案に対しまして、SOHOにいる現場の身として申し上げたいことが幾つかございます。
この法案の事業再構築という部分がありますが、もちろん現在のこの難しい状況をリストラクチャリングという形で環境整備していくということは必要なことだろうと思います。これは基本的にはあってしかるべきことだろうとは考えております。しかしながら、リストラという言葉が巷間伝えられている意味合いは、やはりそこには雇用の削減を伴うものである、むしろ雇用の削減イコールリストラというふうにとらえられているのではないかと思います。
今回の法案につきましても、それがやはり基本的に雇用の削減につながっていくものではないかというふうに考えられると思います。確かに、今説明がありましたように、日本版バイ・ドール法など一部に評価すべき点もございますが、しかしながら、こういう法案を進めることによって政府もしくは国がリストラをあおる、従業員の雇用削減にお墨つきを与えるといった側面は否定できないのではないかというふうに考えます。
しかしながら、私は何もここで絶対的に雇用を守れというようなことを申し上げたいわけではないわけです。過剰な設備はやはり廃棄しなければならないと思いますし、余剰の人員も整理しなければならないでしょう。しかし、その過剰とか余剰をつくり出した責任は一体どこにあるのかという点であります。つまり、経営側にも責任はないのか。リストラされる従業員の中にもそれはちゃんとした仕事をしないという意味においての責任はあるのかもしれませんが、経営側には責任がないのか。世界市場で生き残れる強い体質をつくるんだというようなことが言われておりますが、弱い体質にしてしまったのは一体だれなのか。このあたりの視点が欠けているのではないかと考えます。
ですから、例えばかの山一の倒産の日に、従業員は何も悪くないと泣きじゃくった社長のあの絵が日本の国の中である種の共感を覚えられたように私は思いますが、あれはなぜかといえば、やはり従業員だけが悪いんじゃない、経営者側も悪いんだということが暗黙の了解として国民の中にあったんではないかというところが考えられると思います。
経済の活力を再生するというネーミングにもかかわらず、この法案を見ますと、今申し上げたように、経営者側にも血を吐くような痛みを伴うようなそんな抜本的な改革という部分がいささか足りないのではないか、安易にリストラという、言ってみればカンフル剤を打とうとしているのではないか、こういうふうに考えられる部分があります。
もちろん、カンフル剤も必要な場合があります。瀕死の重症を負っている人間に適切な処置をするという意味においてはカンフル剤も必要かもしれません。しかしながら、この経済の再生という部分のネーミングからしますと、やはり一時的に危機的な状況があった場合にそれを助けて、その人間が言ってみれば退院をしてもとの日常生活に戻っていく、そこまでケアして初めて再生ではないだろうか、こういうふうに考えるわけです。そうすると、どうしてもこの法案の中からはその辺の再生のシナリオが見えにくい。どうしてもカンフル剤的なところしか見えてこないというふうに私は考えます。
そこの、いや違うんだ、ちゃんとした再生のシナリオは打たれているんだという部分について想像しますに、新規事業の育成というような部分、先ほどの説明の中にもありましたが、そうしたものが出てきていると思うんですが、ここが本当に再生のための大きな柱だとしたら、私はこれはとんでもないことではないかというふうに考えます。再生のための新規事業の育成というものどころか、今の非常に危ない状態の日本経済にもしかしたら引導を渡す結果になりかねない、そんな危惧を私は抱いております。
どういうことかというと、つまり、新しく事業を起こすときに融資というのは確かにありがたいものです。ビジネスの立ち上げにはやはりお金が必要ですから、ないよりはあった方がいい。しかし、誤解を恐れずにあっさり申し上げれば、ある程度のスキル、技術、能力、やる気、意欲、そういうものがあれば開業、独立というものは基本的にそれほど難しいものではないということです。一部の業種に関しましては最初に投下資本がかなり必要なものがあって、融資を、かなりのお金を必要とするものもあるかもしれませんが、しかしながら、この情報化の時代において起業する場合、まさしくいろいろな情報が入手できるような時代になってきているわけです。
現実にパソコンも安くなっておりますし、インターネットを使えば、文字どおりインターネットというのは情報の宝庫でありますから、世界じゅうからいろいろなデータや情報が得られるわけで、これにかかる費用も例えば五年前に比べれば相当安くなっているわけです。ですから、莫大な投資を必要とするものではない状況が生まれてきているにもかかわらず、相変わらず創業段階で融資、無利子で一千万とかそういうことになっている。これではやはり足りないのではないかと。
こういった問題を考えてみるときに、先ほど来もアメリカとの比較がありましたが、アメリカでの開業率は高いのになぜ日本の開業率は高くないのかというふうなことを考えた場合に、こちらにビジネスの方もいらっしゃるので先輩を差しおいてなんですが、つまりビジネスというものは継続しなければ意味がないと思うんです。立ち上げるだけなら、今申し上げたようにある種の意欲さえあれば立ち上がるんですが、それを四年、五年、十年と続けていくための、継続は力なりという名文句がこのビジネス界にありますけれども、そこだと思うんです。ですから、この継続をしていくというときに実はいろいろな問題が中小企業、特に小規模の事業、それから個人事業主の間にはあるんだということを私はここで指摘しておきたいと思います。
それはどういったことかというと、お手元の資料の中に私どもが申し上げております「本当に必要なSOHO支援策」というものが十九項目にわたってありますので、一つ一つ申し上げている時間はございませんので詳しくはその中を見ていただきたいんですが、例えば一つ申し上げれば源泉の問題がございます。
お手元の資料の中で言えば、三ページ目に第三番目の項目として出しておりますが、源泉の問題。これは法人格を持った企業の場合は全然気にすることはないんですが、個人事業主の場合はいや応なく報酬の一〇%を源泉として取られるわけです。これが事業です。個人とはいえ事業を行っているわけです。確定申告もするわけです。なのになぜその売り上げの一〇%をあらかじめ源泉という形で前納しなければならないのか。例えば個人商店で肉や魚や野菜を、例えば一本百円でニンジンを売っている。その百円のうちの十円をあらかじめ源泉として取られるということがないように、私どもの個人事業主がその報酬の一〇%を源泉としてあらかじめ納めなければならないというのは、やはり個人事業主に対する考え方としていささかその活動を阻害するものではないかというふうに考えます。
そのほかいろいろなことがあるわけですが、こういった一つの問題を取り上げましても、個人もしくは小規模で事業を行っておりますと実はいろいろな問題が発生しているわけです。なかなか想像しにくいかもしれませんが、支払いの遅延、不当な未払い、不払い、そのようなことはまさに残念なことではあるんですけれども、個人もしくは小規模で事業を行っていると日常的にこれは発生するわけです。消費税が転嫁できないということも決して珍しくありません。そうした問題が実はあるわけなんです。支払いサイトが長過ぎるという問題もあります。ですから、資金の回転に苦労するという問題もあります。
そうしたいろいろな問題に加えて、福利厚生の問題もこれは見逃せない事実だと思います。最近では会社員だってつらいんだというような論調が目立ちますけれども、しかしながら会社員はまだまだ恵まれていると思います。個人事業で仕事を進めている場合には、会社員の時代にあった福利厚生というものは一切なくなる。その中で、個人として仕事をしているんだという現実をできる限りやっぱり直視すべきではないだろうかと思います。
そういったアンフェアな状況が厳然としてある。現実にある。そういう状況の中で起業家支援だというふうにおっしゃられても、そうそう人は業を起こそうとは思いません。いろんな方に私たちはお会いしていますけれども、才能のある方、スキルがある方こそむしろ会社員でい続けたい、会社員でなくなったら全部自分でやらなくちゃいけなくて大変だと、そういうことをおっしゃられます、訴えられます。
しかしながら、先ほど、独立は簡単だという言い方をしたときに、多少なりともスキルややる気がありさえすればそんなに難しい話じゃないと申し上げましたけれども、ここで今発生している問題は、非自発的な退職者、本人が望まないにもかかわらずリストラされてしまうということです。本人が望んで退職して独立、開業してもいろんな問題が山積しているのに、本人が望まないで独立、開業した場合にどのような問題が起きるかは火を見るより明らかだろうと思います。
そういった問題を考えていきますと、確かに目の前の失業率は五%を前後して、これ以上高くなるだろうということで問題は生じておりますけれども、しかしながら、この失業率の問題をとらえて、失業者になるぐらいだったら開業させる、起業させる、そうしたら失業率は下がるかもしれません。しかしながら、そのために資本金を、最初の創業資金を国や行政が支援する。そうしたら一年、二年、三年はもつかもしれません。しかしながら、四年、五年、十年たつとどうなるでしょう。いや十年どころじゃなくて四年、五年で十分だろうと思いますが、この人たちは基本的に起業家マインドがない人間たちですから、これがばたばたと倒産するのは火を見るより明らかだろうと思います。
倒産したらどうなるか。もはや失業者ではないわけです。失業保険がないわけです。どうするか。自殺するかホームレスになるか犯罪に走るか、それしかないわけです。企業に再就職するという道も残されていないわけです。そういった現実を招きかねない安易な創業支援、起業支援は、二年、三年、四年後にそういった事態を招きかねないということを私は声を大にして申し上げたいと思います。
ですから、むしろ社会的な基盤を整備することにお金や知恵や手間暇をかけていただきたい。今いろいろ申し上げた中で、幾つもの実行できることがたくさんあります。そうしたことを、社会的な条件整備、基盤を整備していけばある程度の人は今さら起業だ何だと言わなくてもほっといても独立、開業していきます。四年、五年続けていったときにいろいろな問題が生じるでしょうから、そういうときに融資の枠のことを考えていただくとかいうことをすれば、継続していって、その先にそうした人たちがたくさん出てくることによって、その中から自分は将来は店頭公開だ、一部上場だと考えるような人も出てくるわけです。そうした中から第二、第三の本田のようないわゆるベンチャーの旗手と呼ばれるようなものが出てくる可能性があるわけです。
つまり、ベンチャーというのはいきなり出てくるものではなくて、その中には当然個人もしくは小規模で事業展開をしている豊かな土壌がなければならないわけです。そうしたものとして起業をとらえていただきたい。単なる失業対策として業を起こすことをとらえていただきたくない。ここは声を大にして申し上げたいところです。
全国津々浦々にはいろいろな個人、小規模で事業を展開していらっしゃる方が現実にいます。現実にいろんなところにいろんな人がいます。そういう人たちに対する支援こそが次の日本の新しい未来を築くものだと私は信じて疑いません。日本は資本主義の国だと言われながら、しかしやゆ的に非常に成功した社会主義の国だと言われることもありますが、今まさに本当の意味での資本主義革命が起きているのかもしれません。地方にはそうした一生懸命仕事をしている人がたくさんいます。そうした人たちに少しずつでも地方自治体の枠の中でいろいろな支援をしていただければ、そうした中から第二、第三の本田が生まれるのではないかと私は信じて疑いません。
まさしく今こそ草の根資本主義というものがこの国に問われている問題ではないでしょうか。そうした観点からすると、この法案に足りないものがまだまだたくさんあるというふうに私は感じております。
ありがとうございます。
須
野
野口敞也#11
○参考人(野口敞也君) 連合の副事務局長の野口でございます。
政府の産業活力再生特別措置法案に関しまして意見を述べる機会を与えていただきましたことを感謝申し上げたいと思います。また、若干おくれてまいりまして、陳述の順番を変えていただきまして、委員長の御配慮に感謝申し上げたいと思います。
この法案は、御案内のように企業の事業構造の改革あるいは事業革新の活動につきまして、これを事業再構築活動といたしまして、商法上の手続あるいは金融上、税制上の支援を与えることになっております。また同時に、創業者の事業あるいは中小企業の新事業開拓を支援しようというような形でさまざまな政府支援を行う中身になっております。
まず、この法案がこれからの経済あるいは私どもの雇用や生活にどういうような影響を与えていくか、この点について意見を述べさせていただきたいと思います。
御案内のように、現在の経済状況は、一—三月期は前年比GNPの伸び率が一・九%というような状況でありましたが、この四月—六月がどうであったか、あるいはこの夏がどうなるだろうか、大変心配されているところであります。果たして景気の底を打つことができるのか、回復に向かって進んでいくのか、ひとえにこれからの民間の設備投資あるいは個人消費にかかっているというふうに考えております。しかし、現在見るところ、企業の設備投資はなかなか期待できるような状況にございません。そういう意味で、個人消費の行方が大変景気にとっては大きな心配事になっております。
こういう中で、雇用の状況でありますけれども、二年続きのマイナス成長の中で、特にこの九八年度の雇用者数は戦後統計上初めて前年よりも三十九万人減ったというような状況であります。第一次オイルショックのとき、大変な経済低迷がございまして、たくさんの倒産が起こりましたし、失業も高まりました。しかし、あの当時でも雇用は一九七四年度に十三万人ふえております。今回、いかに雇用状況が危機的な水準にあるかということがうかがわれます。
そして、この雇用減は、九八年度におきましては最初は従業員五百人未満の中小企業で起こり始めております。これは一つ重要な点でございますが、これが九九年度に入りますと、大企業、中堅企業に草原の火のように大きく広がっていくわけであります。
その結果、失業率が急激に高まりまして、九八年四月には四・一%と四%台を超えました。残念ながら、この六月には四・九%とさらに最悪の記録を更新しているような状況でございます。景気低迷には消費不振が大きな影響を与えておりますけれども、この消費不振はやはり将来に対する雇用の不安、そしてまた生活の不安が根底にあるということが指摘されておりますし、そのとおりであるだろうというふうに思います。
このような中で、今回、産業の構造転換を促すこの法律が国会の中でかかっているわけであります。確かに、産業の構造転換、とりわけ中小企業の活性化、創業者の育成ということは極めて重要だろうと思います。しかし、この法律の中身を詳しく見ますと、ベンチャー企業の育成あるいは中小企業の新規事業の開拓、こういうような支援策は必ずしも十分であるというふうには考えません。これをもって企業が新たな事業拡大をしていく、あるいは新産業をつくり上げていく、こういう方向で一斉に努力をしていくということは十分に期待できないというふうに考えます。
その反面、私どもが一番大きな問題と考えておりますのは、大手企業を中心にしまして、設備の廃棄あるいは施設の縮小、廃棄、そしてまた企業再編によりますさまざまな事業の縮小を生み出すということであります。特に、この法律自体はこれに対して大きな優遇策を与えているわけであります。先ほど九九年度に大手企業の雇用減というのが非常に目立ってきたと申し上げましたけれども、さらにこの法案の政策の実施によりまして急速にこれを拡大する、雇用不安の引き金になるおそれがあるというふうに考えます。とりわけ、現在、大手のリストラ策が毎日のように新聞をにぎわせております。しかも市場はこの人員削減というのを評価して、削減計画を発表した会社の株価が一遍に引き上がる、このような状況になります。
このような中で法律がリストラ支援策を出すということは、本来であれば自己のリスクと責任において過剰設備については廃棄すべきでありますが、全体がやる中で、みずからの企業経営者の責任というものも感じずに一斉に安易に企業の縮小をやる、同時にまた人員の削減をやるというおそれがあります。赤信号、一緒に渡れば怖くないという言葉がございますけれども、まさにこの心境で、いっときに全体の事業削減、同時に雇用の縮小、こういうことを招くということに対して非常なおそれを持っているわけでございます。したがって、この法律によってさらに景気の回復をおくらせるということにつながる、これに対して大変懸念をしておるところであります。
第二の問題は、そういう意味で、雇用不安、雇用の縮小ということをこの法律の実施に当たっていかにとどめるかということが大きなポイントになるだろうと思います。具体的にこの法案の中身を見ますと、「雇用の安定等に配慮しつつ」と目的の中に書かれておりますが、具体策としましては、事業再構築計画の認定要件としまして第三条六項の六に次のような表現がございます。「当該事業再構築計画が従業員の地位を不当に害するものでないこと。」と。「従業員の地位を不当に害するものでないこと。」ということにつきましては、さきの衆議院商工委員会での議論の中でいろいろと内容が明らかにされつつありますけれども、しかし、これをもって失業をとどめるということにはならないというように考えます。とりわけ、第十八条で「その雇用する労働者の理解と協力を得るとともに、当該労働者について、失業の予防その他雇用の安定を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」と。つまり努力義務を定めております。私どもは、この努力義務が遂行されることを期待するものでありますけれども、残念ながらそこに信頼を置くことはできません。それらの意味で、法案の中身については雇用の安定について次のように修正をしていただきたいというふうに考えております。
一つは、三条六項の六の認定要件について、当該事業再構築計画について雇用に影響を生ずる場合には、労使協議を行い労使合意が成立していることということを要件にすべきだというふうに考えます。また、第十八条においても、労働組合もしくは従業員の過半数を代表する者との協議、これを義務規定としていただきたいというふうに考えます。この点についてぜひ御検討を賜りたいというふうに考えます。
さらに、計画の実施経過に当たりまして、雇用にどう影響しているか報告を求めることができるというような規定がございます。これは報告を求めることができるでなくて、きちっと報告を求める、このようにしていただきたいというふうに思います。
第三番目の問題としまして、認定基準そのものについて大変抽象的である、裁量の幅が大きい、私どももそのように考えますけれども、既にさまざまな御議論がなされておりますので、きょうは中身については省略をさせていただきたいと思います。
最後に、一つ新たな法律の策定をこの際お願い申し上げたいと思います。
この法律の中では、分社化あるいは合併あるいは営業譲渡など、さまざまな企業組織の変更が予定されております。同時に現在、法制審議会では新型再建手続法、これに関する取りまとめが行われております。また、法制審議会では商法の改正の中で会社の分割について新たな改正案を次の臨時国会ないし来年の通常国会で提案することが予定されているというふうに聞いております。
こういうような会社の分割あるいは分社化、さらに合併なり企業・事業の譲渡、これらの会社の構造の変革につきましては、従来からあります雇用契約、そしてさまざまな労働条件にかかわります協定、そして労働組合の地位につきまして新たな譲り渡し先にこれらが包括的に移譲されますような法律をぜひつくっていただきたいというふうに考えます。私ども、これは企業組織変更にかかわる労働者の保護法と呼びたいと考えておりますけれども、既にヨーロッパではこれが確立をされております。ぜひ、経産委の先生方の御理解を賜りたいと思います。
終わりに当たりまして、雇用は物ではございません。過剰だからといいまして新しい職の手当てなしに企業の外に排出いたされてはたまったものではございません。とりわけ四十歳以上の人にとりましては、失業は本人にとっても家族にとっても絶望そのものを意味いたします。本法の運用によりまして新たな失業が生じないように、国会の諸先生方、またこれを運用します関係省庁の方々、そして経営者の皆さんに慎重な配慮を心からお願い申し上げまして、陳述を終わらせていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。
この発言だけを見る →政府の産業活力再生特別措置法案に関しまして意見を述べる機会を与えていただきましたことを感謝申し上げたいと思います。また、若干おくれてまいりまして、陳述の順番を変えていただきまして、委員長の御配慮に感謝申し上げたいと思います。
この法案は、御案内のように企業の事業構造の改革あるいは事業革新の活動につきまして、これを事業再構築活動といたしまして、商法上の手続あるいは金融上、税制上の支援を与えることになっております。また同時に、創業者の事業あるいは中小企業の新事業開拓を支援しようというような形でさまざまな政府支援を行う中身になっております。
まず、この法案がこれからの経済あるいは私どもの雇用や生活にどういうような影響を与えていくか、この点について意見を述べさせていただきたいと思います。
御案内のように、現在の経済状況は、一—三月期は前年比GNPの伸び率が一・九%というような状況でありましたが、この四月—六月がどうであったか、あるいはこの夏がどうなるだろうか、大変心配されているところであります。果たして景気の底を打つことができるのか、回復に向かって進んでいくのか、ひとえにこれからの民間の設備投資あるいは個人消費にかかっているというふうに考えております。しかし、現在見るところ、企業の設備投資はなかなか期待できるような状況にございません。そういう意味で、個人消費の行方が大変景気にとっては大きな心配事になっております。
こういう中で、雇用の状況でありますけれども、二年続きのマイナス成長の中で、特にこの九八年度の雇用者数は戦後統計上初めて前年よりも三十九万人減ったというような状況であります。第一次オイルショックのとき、大変な経済低迷がございまして、たくさんの倒産が起こりましたし、失業も高まりました。しかし、あの当時でも雇用は一九七四年度に十三万人ふえております。今回、いかに雇用状況が危機的な水準にあるかということがうかがわれます。
そして、この雇用減は、九八年度におきましては最初は従業員五百人未満の中小企業で起こり始めております。これは一つ重要な点でございますが、これが九九年度に入りますと、大企業、中堅企業に草原の火のように大きく広がっていくわけであります。
その結果、失業率が急激に高まりまして、九八年四月には四・一%と四%台を超えました。残念ながら、この六月には四・九%とさらに最悪の記録を更新しているような状況でございます。景気低迷には消費不振が大きな影響を与えておりますけれども、この消費不振はやはり将来に対する雇用の不安、そしてまた生活の不安が根底にあるということが指摘されておりますし、そのとおりであるだろうというふうに思います。
このような中で、今回、産業の構造転換を促すこの法律が国会の中でかかっているわけであります。確かに、産業の構造転換、とりわけ中小企業の活性化、創業者の育成ということは極めて重要だろうと思います。しかし、この法律の中身を詳しく見ますと、ベンチャー企業の育成あるいは中小企業の新規事業の開拓、こういうような支援策は必ずしも十分であるというふうには考えません。これをもって企業が新たな事業拡大をしていく、あるいは新産業をつくり上げていく、こういう方向で一斉に努力をしていくということは十分に期待できないというふうに考えます。
その反面、私どもが一番大きな問題と考えておりますのは、大手企業を中心にしまして、設備の廃棄あるいは施設の縮小、廃棄、そしてまた企業再編によりますさまざまな事業の縮小を生み出すということであります。特に、この法律自体はこれに対して大きな優遇策を与えているわけであります。先ほど九九年度に大手企業の雇用減というのが非常に目立ってきたと申し上げましたけれども、さらにこの法案の政策の実施によりまして急速にこれを拡大する、雇用不安の引き金になるおそれがあるというふうに考えます。とりわけ、現在、大手のリストラ策が毎日のように新聞をにぎわせております。しかも市場はこの人員削減というのを評価して、削減計画を発表した会社の株価が一遍に引き上がる、このような状況になります。
このような中で法律がリストラ支援策を出すということは、本来であれば自己のリスクと責任において過剰設備については廃棄すべきでありますが、全体がやる中で、みずからの企業経営者の責任というものも感じずに一斉に安易に企業の縮小をやる、同時にまた人員の削減をやるというおそれがあります。赤信号、一緒に渡れば怖くないという言葉がございますけれども、まさにこの心境で、いっときに全体の事業削減、同時に雇用の縮小、こういうことを招くということに対して非常なおそれを持っているわけでございます。したがって、この法律によってさらに景気の回復をおくらせるということにつながる、これに対して大変懸念をしておるところであります。
第二の問題は、そういう意味で、雇用不安、雇用の縮小ということをこの法律の実施に当たっていかにとどめるかということが大きなポイントになるだろうと思います。具体的にこの法案の中身を見ますと、「雇用の安定等に配慮しつつ」と目的の中に書かれておりますが、具体策としましては、事業再構築計画の認定要件としまして第三条六項の六に次のような表現がございます。「当該事業再構築計画が従業員の地位を不当に害するものでないこと。」と。「従業員の地位を不当に害するものでないこと。」ということにつきましては、さきの衆議院商工委員会での議論の中でいろいろと内容が明らかにされつつありますけれども、しかし、これをもって失業をとどめるということにはならないというように考えます。とりわけ、第十八条で「その雇用する労働者の理解と協力を得るとともに、当該労働者について、失業の予防その他雇用の安定を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」と。つまり努力義務を定めております。私どもは、この努力義務が遂行されることを期待するものでありますけれども、残念ながらそこに信頼を置くことはできません。それらの意味で、法案の中身については雇用の安定について次のように修正をしていただきたいというふうに考えております。
一つは、三条六項の六の認定要件について、当該事業再構築計画について雇用に影響を生ずる場合には、労使協議を行い労使合意が成立していることということを要件にすべきだというふうに考えます。また、第十八条においても、労働組合もしくは従業員の過半数を代表する者との協議、これを義務規定としていただきたいというふうに考えます。この点についてぜひ御検討を賜りたいというふうに考えます。
さらに、計画の実施経過に当たりまして、雇用にどう影響しているか報告を求めることができるというような規定がございます。これは報告を求めることができるでなくて、きちっと報告を求める、このようにしていただきたいというふうに思います。
第三番目の問題としまして、認定基準そのものについて大変抽象的である、裁量の幅が大きい、私どももそのように考えますけれども、既にさまざまな御議論がなされておりますので、きょうは中身については省略をさせていただきたいと思います。
最後に、一つ新たな法律の策定をこの際お願い申し上げたいと思います。
この法律の中では、分社化あるいは合併あるいは営業譲渡など、さまざまな企業組織の変更が予定されております。同時に現在、法制審議会では新型再建手続法、これに関する取りまとめが行われております。また、法制審議会では商法の改正の中で会社の分割について新たな改正案を次の臨時国会ないし来年の通常国会で提案することが予定されているというふうに聞いております。
こういうような会社の分割あるいは分社化、さらに合併なり企業・事業の譲渡、これらの会社の構造の変革につきましては、従来からあります雇用契約、そしてさまざまな労働条件にかかわります協定、そして労働組合の地位につきまして新たな譲り渡し先にこれらが包括的に移譲されますような法律をぜひつくっていただきたいというふうに考えます。私ども、これは企業組織変更にかかわる労働者の保護法と呼びたいと考えておりますけれども、既にヨーロッパではこれが確立をされております。ぜひ、経産委の先生方の御理解を賜りたいと思います。
終わりに当たりまして、雇用は物ではございません。過剰だからといいまして新しい職の手当てなしに企業の外に排出いたされてはたまったものではございません。とりわけ四十歳以上の人にとりましては、失業は本人にとっても家族にとっても絶望そのものを意味いたします。本法の運用によりまして新たな失業が生じないように、国会の諸先生方、またこれを運用します関係省庁の方々、そして経営者の皆さんに慎重な配慮を心からお願い申し上げまして、陳述を終わらせていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。
須
須藤良太郎#12
○委員長(須藤良太郎君) どうもありがとうございました。
以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
この発言だけを見る →以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
福
福山哲郎#13
○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。
本日は、参考人におかれましては、本法案の審議に際しまして、御多用の中お時間をちょうだいいたしましてまことにありがとうございます。時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。
まず、樋口参考人にお伺いをしたいと思います。
樋口参考人は、住友銀行から昭和六十一年にアサヒビールに行かれまして、そしてこの十数年間アサヒビールのリーダーとして業績の伸長に際しまして本当に力を振るってこられた。私どもも大変尊敬をさせていただいており、なおかつ今回、経済戦略会議の議長、また産業競争力会議の委員としてこの法案の最初の絵図面をかいていただいたということに対して、まずは敬意を表したいと思います。
そこで、素朴な疑問でございます。
樋口参考人は恐らく、先ほども言われた自助努力、それから自己責任という中でアサヒビールの中で仕事をずっとされてこられたと思います。そして今、過剰設備、過剰債務、過剰雇用といういわゆる三Kが議論になっておりますが、過剰設備や過剰債務や過剰雇用があるから経済の産業の競争力が落ちてきて日本の景気が悪くなったのか。僕は、順番は逆なのではないかと思います。
過剰に設備をするというのは、経営判断の中で、この設備投資をすることによって次の企業の利益を生むという判断があったから設備投資をされたはずだろうし、過剰雇用の問題も人が将来的に要るだろうということで雇用をされた。さらには過剰債務の問題も、これはバブルがはじけて、ひょっとしたら本業に関係のない土地や不動産に手を出した企業もあったと思います。その中で、経営者の責任、我々は自由主義、資本主義のマーケットの中で生きていて、これから本当に二十一世紀大競争時代に入るというときに、この三Kがあるから経済の力がなくなっていっているのではなくて、そこの経営者の判断なり、まずそこの部分の言及が必要なのではないかというのを私は本当に素朴な疑問として思っています。
だから、例えば今回の法案で、再生をするために国民の税金や優遇措置を使って救いましょうというスタンスが、これまで経済界が言われた規制の緩和や、余り政府は口を出すな、それから裁量行政はもう勘弁しろと言われていた流れと、どうも私はここの部分がおなかに落ちてこない部分があります。
私は、日本の経済がよくなること、産業が再生していくことを否定する気は毛頭ございませんが、その部分で樋口参考人の御意見、御所見を伺いたいと思います。
この発言だけを見る →本日は、参考人におかれましては、本法案の審議に際しまして、御多用の中お時間をちょうだいいたしましてまことにありがとうございます。時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。
まず、樋口参考人にお伺いをしたいと思います。
樋口参考人は、住友銀行から昭和六十一年にアサヒビールに行かれまして、そしてこの十数年間アサヒビールのリーダーとして業績の伸長に際しまして本当に力を振るってこられた。私どもも大変尊敬をさせていただいており、なおかつ今回、経済戦略会議の議長、また産業競争力会議の委員としてこの法案の最初の絵図面をかいていただいたということに対して、まずは敬意を表したいと思います。
そこで、素朴な疑問でございます。
樋口参考人は恐らく、先ほども言われた自助努力、それから自己責任という中でアサヒビールの中で仕事をずっとされてこられたと思います。そして今、過剰設備、過剰債務、過剰雇用といういわゆる三Kが議論になっておりますが、過剰設備や過剰債務や過剰雇用があるから経済の産業の競争力が落ちてきて日本の景気が悪くなったのか。僕は、順番は逆なのではないかと思います。
過剰に設備をするというのは、経営判断の中で、この設備投資をすることによって次の企業の利益を生むという判断があったから設備投資をされたはずだろうし、過剰雇用の問題も人が将来的に要るだろうということで雇用をされた。さらには過剰債務の問題も、これはバブルがはじけて、ひょっとしたら本業に関係のない土地や不動産に手を出した企業もあったと思います。その中で、経営者の責任、我々は自由主義、資本主義のマーケットの中で生きていて、これから本当に二十一世紀大競争時代に入るというときに、この三Kがあるから経済の力がなくなっていっているのではなくて、そこの経営者の判断なり、まずそこの部分の言及が必要なのではないかというのを私は本当に素朴な疑問として思っています。
だから、例えば今回の法案で、再生をするために国民の税金や優遇措置を使って救いましょうというスタンスが、これまで経済界が言われた規制の緩和や、余り政府は口を出すな、それから裁量行政はもう勘弁しろと言われていた流れと、どうも私はここの部分がおなかに落ちてこない部分があります。
私は、日本の経済がよくなること、産業が再生していくことを否定する気は毛頭ございませんが、その部分で樋口参考人の御意見、御所見を伺いたいと思います。
樋
樋口廣太郎#14
○参考人(樋口廣太郎君) お答えいたします。
福山先生の御質問、まことに的確なところを突いておられるわけでございますが、もともと経済情勢の変化というものの中で私どもはよく考えなきゃいけないのは、過剰設備あるいは過剰債務、それから過剰労働力という、過剰という言葉は果たして何に対して過剰かという一つの定義からやっていかなきゃいけないと思います。
企業はそれぞれ自主的な判断をいたしているわけであります。私の方のことを申し上げて大変恐縮ですが、十三、四年前に私がアサヒビールに行ったときは、その前に五百人の人員の肩たたきもやったわけでありますが、最初に言ったことは、私は一人の退職者も出さない、一人もやめさせない、そして必ずその五百人は帰ってきてもらうということで、その後三年間にわたって約半数以上の方に帰ってきていただきました。そして、実際上、雇用は大体二倍半にふえたわけでございます。それは皆さんのおかげ、消費者のおかげでございます。
そのとき、つらつら考えてみますと、私たちが十三年前には、ルックイーストと申しまして、アジアの経済の中で日本の持っているポジションは、日本側は大体七五というラフな数字を使っておりますが、要するにアメリカその他は七〇という数字を使っております。その中で七〇のシェア。今日、例えば中国がかつてアジアのシェアの中で七%台、それが今一三%に上がってまいりました。あるいは韓国が大体六%ぐらいから七・八%に上がってまいりました。アジアの国が全部ルックイースト、日本を見習おうということで、日本の商社がこれをお手伝いしたことも事実でありますが、アジアが日本に向かって輸出をしなければ自分たちはやはり日本のように繁栄しないということで世界の経済状態、かつてアメリカだけの間に貿易摩擦がございました。それが前川レポートになってあらわれたわけであります。
その情勢と違ったのは、アジアの中においていわゆるアジアの国々が非常に立派に動いてきた。そこで初めて過剰設備という問題があらゆる産業において出てきたと思うのであります。ただし、運送に非常にコストがかかる、あるいは運送している間に品物が毀損するというようなものは非常に保護されているわけでありますが、確実に競争にさらされている業種というものは、情勢の変化がやはりアジアの国々の大いなる発展のために非常に大きく変わってきたというのは、先生御指摘の要素の中の一つにぜひ入れていただきたい。本当に変わってきたということをしみじみ感じるわけです。
したがって、老朽設備とかいろんなことを言っておりますが、もうはるかに隣国の国々の生産コストの方が何分の一か安いものは、例えば横浜のそういうところへ見に行かれたり、神戸へ行かれますと非常に安いものがぼんぼん入ってきている。それらの産業は決してサボったわけでもなければ、社会的に反社会的なもの、非道徳的なものをつくっているわけではないんですけれども、やむを得ずやめざるを得ない、あるいは縮小せざるを得ないということが現実の問題であります。もっと言えば、日本の繁栄の中にかつて輸出したものが確かに返ってきているわけでありますが、そういう問題というものは構造的に出てきているという点を私は頭の中に入れてお話しさせていただければいいと思うのであります。
そういうことは、先生のお話は当然私たちがきょう御質問いただくことを予定しておりましたが、あらゆる要因の中で一番大きいのは、当面のアジアの国、ウイズアップ、ともに共生していくという段階においてこの問題が起こったということを率直に申し上げさせていただきたいと思います。
この発言だけを見る →福山先生の御質問、まことに的確なところを突いておられるわけでございますが、もともと経済情勢の変化というものの中で私どもはよく考えなきゃいけないのは、過剰設備あるいは過剰債務、それから過剰労働力という、過剰という言葉は果たして何に対して過剰かという一つの定義からやっていかなきゃいけないと思います。
企業はそれぞれ自主的な判断をいたしているわけであります。私の方のことを申し上げて大変恐縮ですが、十三、四年前に私がアサヒビールに行ったときは、その前に五百人の人員の肩たたきもやったわけでありますが、最初に言ったことは、私は一人の退職者も出さない、一人もやめさせない、そして必ずその五百人は帰ってきてもらうということで、その後三年間にわたって約半数以上の方に帰ってきていただきました。そして、実際上、雇用は大体二倍半にふえたわけでございます。それは皆さんのおかげ、消費者のおかげでございます。
そのとき、つらつら考えてみますと、私たちが十三年前には、ルックイーストと申しまして、アジアの経済の中で日本の持っているポジションは、日本側は大体七五というラフな数字を使っておりますが、要するにアメリカその他は七〇という数字を使っております。その中で七〇のシェア。今日、例えば中国がかつてアジアのシェアの中で七%台、それが今一三%に上がってまいりました。あるいは韓国が大体六%ぐらいから七・八%に上がってまいりました。アジアの国が全部ルックイースト、日本を見習おうということで、日本の商社がこれをお手伝いしたことも事実でありますが、アジアが日本に向かって輸出をしなければ自分たちはやはり日本のように繁栄しないということで世界の経済状態、かつてアメリカだけの間に貿易摩擦がございました。それが前川レポートになってあらわれたわけであります。
その情勢と違ったのは、アジアの中においていわゆるアジアの国々が非常に立派に動いてきた。そこで初めて過剰設備という問題があらゆる産業において出てきたと思うのであります。ただし、運送に非常にコストがかかる、あるいは運送している間に品物が毀損するというようなものは非常に保護されているわけでありますが、確実に競争にさらされている業種というものは、情勢の変化がやはりアジアの国々の大いなる発展のために非常に大きく変わってきたというのは、先生御指摘の要素の中の一つにぜひ入れていただきたい。本当に変わってきたということをしみじみ感じるわけです。
したがって、老朽設備とかいろんなことを言っておりますが、もうはるかに隣国の国々の生産コストの方が何分の一か安いものは、例えば横浜のそういうところへ見に行かれたり、神戸へ行かれますと非常に安いものがぼんぼん入ってきている。それらの産業は決してサボったわけでもなければ、社会的に反社会的なもの、非道徳的なものをつくっているわけではないんですけれども、やむを得ずやめざるを得ない、あるいは縮小せざるを得ないということが現実の問題であります。もっと言えば、日本の繁栄の中にかつて輸出したものが確かに返ってきているわけでありますが、そういう問題というものは構造的に出てきているという点を私は頭の中に入れてお話しさせていただければいいと思うのであります。
そういうことは、先生のお話は当然私たちがきょう御質問いただくことを予定しておりましたが、あらゆる要因の中で一番大きいのは、当面のアジアの国、ウイズアップ、ともに共生していくという段階においてこの問題が起こったということを率直に申し上げさせていただきたいと思います。
福
福山哲郎#15
○福山哲郎君 ありがとうございます。
構造的な問題というのは、確かにそのとおりだと思います。ただ、議論になっています今回の事業再構築計画を提出してそれを認定する、それは通産大臣が認定をするわけですが、その基準等が大変あいまいになっている。例えば、今、樋口参考人が言われたような構造変革の中で、これはいたし方ないから廃棄をしていかなければいけないという問題なのか、先ほど言われた老朽化の問題等もあります。
しかし、私が申し上げたように、経営判断を間違った、言葉は悪いですが、しりぬぐいを国に頼って税金を使ってくださいというような話の場合に、私はきのう実は日債銀の集中審議を予算委員会でやりました。やはり金融の問題もある意味でモラルハザードがある、それが産業界にも広がることによって、これまで我が国が培ってきた技術力やそれぞれの労働者の一人一人の、逆に言うと勤労に対する姿勢のよさや、それこそ日本がこれまでよかったと言われていた日本型の経営みたいなものの根本を実は揺るがしていくのではないかという危惧が実はこの法案であります。
そして、参考人が言われたように、逆にそういったものをきちっとフォローしていく法案なら、スピードは大切だと思いますが、なぜこのような形の、ある意味で言うと不十分な中、先ほど花田参考人がおっしゃられたように、これからの時代絶対に必要だと言われている要はコンピューターやインターネットやIT産業の部分のSOHOというような分野についてはほとんどこの法案は見ようとしていないのか、もしくは見なかったのか、そこはわかりませんが、つまりそういったことに対する法案自身のあり方みたいなものに対して実は私は少し残念に思っています。
逆に、樋口参考人のような方には、日本の経営者しっかりせいと、こんなのに頼るぐらいやったら自分のところの責任は自分で見ろと、もう少ししっかりして、もうちょいいいものをつくっていこうやないかというようなことも含めて、ほかの参考人の方にもお伺いしたいので短目にもし御意見をいただければ、お願いします。
この発言だけを見る →構造的な問題というのは、確かにそのとおりだと思います。ただ、議論になっています今回の事業再構築計画を提出してそれを認定する、それは通産大臣が認定をするわけですが、その基準等が大変あいまいになっている。例えば、今、樋口参考人が言われたような構造変革の中で、これはいたし方ないから廃棄をしていかなければいけないという問題なのか、先ほど言われた老朽化の問題等もあります。
しかし、私が申し上げたように、経営判断を間違った、言葉は悪いですが、しりぬぐいを国に頼って税金を使ってくださいというような話の場合に、私はきのう実は日債銀の集中審議を予算委員会でやりました。やはり金融の問題もある意味でモラルハザードがある、それが産業界にも広がることによって、これまで我が国が培ってきた技術力やそれぞれの労働者の一人一人の、逆に言うと勤労に対する姿勢のよさや、それこそ日本がこれまでよかったと言われていた日本型の経営みたいなものの根本を実は揺るがしていくのではないかという危惧が実はこの法案であります。
そして、参考人が言われたように、逆にそういったものをきちっとフォローしていく法案なら、スピードは大切だと思いますが、なぜこのような形の、ある意味で言うと不十分な中、先ほど花田参考人がおっしゃられたように、これからの時代絶対に必要だと言われている要はコンピューターやインターネットやIT産業の部分のSOHOというような分野についてはほとんどこの法案は見ようとしていないのか、もしくは見なかったのか、そこはわかりませんが、つまりそういったことに対する法案自身のあり方みたいなものに対して実は私は少し残念に思っています。
逆に、樋口参考人のような方には、日本の経営者しっかりせいと、こんなのに頼るぐらいやったら自分のところの責任は自分で見ろと、もう少ししっかりして、もうちょいいいものをつくっていこうやないかというようなことも含めて、ほかの参考人の方にもお伺いしたいので短目にもし御意見をいただければ、お願いします。
樋
樋口廣太郎#16
○参考人(樋口廣太郎君) 発言させていただきます。
いわゆる失敗したとか判断を誤った経営者で、現在なおのうのうと許されるような今は社会じゃない。特に、株主訴訟あるいはそういう判断や大株主の問題、特に外国の株主の追及は極めて厳しいものがございまして、そういう人で現在存続している人を私は実は知らないわけでありまして、経営責任をとってやめているわけでございます。当然、退職金その他についてもそういう人たちは、辞退といったらおかしいですけれども、もらっているケースは非常に少ないということを申し添えたいと思います。
この発言だけを見る →いわゆる失敗したとか判断を誤った経営者で、現在なおのうのうと許されるような今は社会じゃない。特に、株主訴訟あるいはそういう判断や大株主の問題、特に外国の株主の追及は極めて厳しいものがございまして、そういう人で現在存続している人を私は実は知らないわけでありまして、経営責任をとってやめているわけでございます。当然、退職金その他についてもそういう人たちは、辞退といったらおかしいですけれども、もらっているケースは非常に少ないということを申し添えたいと思います。
福
福山哲郎#17
○福山哲郎君 大見参考人にお伺いをいたします。
これまで象牙の塔と言われてきた大学が表へ出ていかなければいけないという御指摘をいただきまして、大変わくわくしながらお伺いをしていたんですが、一つ具体的な話になります。
要は、ターゲットに向かって目標に到達するためのプロデューサーの存在というのが必要だというふうに御指摘をいただいたと思っております。私もそのとおりだと思いますが、このプロデューサーの存在というのが実は今の日本には余りないんだと。そうすると、ここのプロデューサーを育てるシステムなり機関なりが先生の言われる絵図面とは別の部分でやっぱり非常に必要になってくるのではないかということをお話を伺っていて感じまして、こういうプロデューサーを育てる育成等について何か具体的な御所見があれば、お伺いをしたいと思います。
この発言だけを見る →これまで象牙の塔と言われてきた大学が表へ出ていかなければいけないという御指摘をいただきまして、大変わくわくしながらお伺いをしていたんですが、一つ具体的な話になります。
要は、ターゲットに向かって目標に到達するためのプロデューサーの存在というのが必要だというふうに御指摘をいただいたと思っております。私もそのとおりだと思いますが、このプロデューサーの存在というのが実は今の日本には余りないんだと。そうすると、ここのプロデューサーを育てるシステムなり機関なりが先生の言われる絵図面とは別の部分でやっぱり非常に必要になってくるのではないかということをお話を伺っていて感じまして、こういうプロデューサーを育てる育成等について何か具体的な御所見があれば、お伺いをしたいと思います。
大
大見忠弘#18
○参考人(大見忠弘君) これからの日本にとって極めて大事な御議論だと思うんです。どういうふうにするとこういう人たちが育つのかという定式は、まだ残念ながらないと思います。
私どもが具体的にやっていることは、こういうプロデューサーのような役をやると、ターゲットそのものを自分で決めて、人もお金もそろえて仕事をしないといけませんから、全責任が自分にかかってまいります。ほとんどの場合が世界じゅうにどこにもない新しい技術ですから、プロデューサーがお考えになったターゲットが正しいか否かすらなかなか保証がされない。非常にこれはもう不安で焦燥感に駆られる毎日を送らないといけないんです。極めて強い技術的な判断力と経営判断と非常に強い精神力が要求されます。
そういうものをどうやっていくかというのはぜひお考えいただきたいと思うんですが、私自身がやっていることは、大学あるいは産業界と一緒になった大きなプロジェクトの中で、どんなプロジェクトでも新しければ新しいほど随所でデッドロックに乗り上げます。そういうときに、ほとんどの場合、私からこういう方向に歩こうという指示を出すんですが、それぞれの場所でそれぞれの時点でみんな自分ならこうするということをテークノートしておきなさい、理由を書いておきなさい。
何カ月かすると、私が出した指示と若い人たちが考えたものがどこにずれがあるかということがわかってきますから、そういうことを何回か繰り返していって、自分の読みが十回続けて十回当たればだれもやったことのないことに挑んでいい資格が出てくるんじゃないですかというような形で若い人たちの指導を私自身はやっておりますが、どういうふうにやるといいかという制度だけではなかなか片づかない問題があると思うんです、完全に個人の能力にディペンドしますから。
この発言だけを見る →私どもが具体的にやっていることは、こういうプロデューサーのような役をやると、ターゲットそのものを自分で決めて、人もお金もそろえて仕事をしないといけませんから、全責任が自分にかかってまいります。ほとんどの場合が世界じゅうにどこにもない新しい技術ですから、プロデューサーがお考えになったターゲットが正しいか否かすらなかなか保証がされない。非常にこれはもう不安で焦燥感に駆られる毎日を送らないといけないんです。極めて強い技術的な判断力と経営判断と非常に強い精神力が要求されます。
そういうものをどうやっていくかというのはぜひお考えいただきたいと思うんですが、私自身がやっていることは、大学あるいは産業界と一緒になった大きなプロジェクトの中で、どんなプロジェクトでも新しければ新しいほど随所でデッドロックに乗り上げます。そういうときに、ほとんどの場合、私からこういう方向に歩こうという指示を出すんですが、それぞれの場所でそれぞれの時点でみんな自分ならこうするということをテークノートしておきなさい、理由を書いておきなさい。
何カ月かすると、私が出した指示と若い人たちが考えたものがどこにずれがあるかということがわかってきますから、そういうことを何回か繰り返していって、自分の読みが十回続けて十回当たればだれもやったことのないことに挑んでいい資格が出てくるんじゃないですかというような形で若い人たちの指導を私自身はやっておりますが、どういうふうにやるといいかという制度だけではなかなか片づかない問題があると思うんです、完全に個人の能力にディペンドしますから。
福
福山哲郎#19
○福山哲郎君 ありがとうございます。本当はもう少しお伺いしたいんですが、時間がないので。
花田参考人、今、大見参考人のお話の中で、能力の問題、それから制度だけではない問題、それが何回も失敗する、ぶつかっていってもなおかつやる技術力の問題というのがあって、少し視点は変わるかもしれませんが、現在SOHOセンターの理事長として花田参考人が先ほど言われたみたいに、SOHOを今スモールオフィスもしくはホームオフィスでやろうとしている人というのは、まさに先ほど言われたように環境整備がない中で自分の自己責任の中でビジネスをスタートさせた。それは、今まで日本にあったような中小企業、いわゆるお父さんがいてお母さんがいて、もう少し大きい中小企業を興していこうというのとは多分形態がかなり違う新しい事業で、これも先ほど言われたように実はある一定のスキルと能力と決断が要るというふうに思うんです。
そういうことに対する日本の風土ができていないというふうに先ほど言われたのですが、具体的に今SOHOをやられているビジネス、さっきITと言われましたが、なかなか見えてこなくて、一体どういう形で仕事をされていて、その人たちのリスクというのはどんなものなのかというのを、本当に一分か二分でお答えいただければ非常にありがたいと思うんです。
この発言だけを見る →花田参考人、今、大見参考人のお話の中で、能力の問題、それから制度だけではない問題、それが何回も失敗する、ぶつかっていってもなおかつやる技術力の問題というのがあって、少し視点は変わるかもしれませんが、現在SOHOセンターの理事長として花田参考人が先ほど言われたみたいに、SOHOを今スモールオフィスもしくはホームオフィスでやろうとしている人というのは、まさに先ほど言われたように環境整備がない中で自分の自己責任の中でビジネスをスタートさせた。それは、今まで日本にあったような中小企業、いわゆるお父さんがいてお母さんがいて、もう少し大きい中小企業を興していこうというのとは多分形態がかなり違う新しい事業で、これも先ほど言われたように実はある一定のスキルと能力と決断が要るというふうに思うんです。
そういうことに対する日本の風土ができていないというふうに先ほど言われたのですが、具体的に今SOHOをやられているビジネス、さっきITと言われましたが、なかなか見えてこなくて、一体どういう形で仕事をされていて、その人たちのリスクというのはどんなものなのかというのを、本当に一分か二分でお答えいただければ非常にありがたいと思うんです。
花
花田啓一#20
○参考人(花田啓一君) 極めて難しい質問をされてしまいましたが、基本的には先ほども申し上げましたようにパソコン及びインターネット、そうしたものを使って仕事をしているというふうなものがSOHOであるという認識で構わないと思います。それは形態的なものでして、御質問に答えられるかどうかわからないんですが、要するにSOHOというものは個人もしくは極めて小規模で仕事をするんだという基本的なマインドがあるわけで、これは人間にいろいろな考え方があるように、価値観があるように、まさしく多様化している価値観の結果だろうと思います。
ですから、私は会社員がいいという人も当然いらっしゃるでしょう。会社員の中でも、九時から五時まで働くだけで給料はそんなに上がらなくていいよという人もいらっしゃる。もちろん、一生懸命エリートとして出世したいという方もいらっしゃる。同様に、会社員という形ではなくて自分でビジネスをしたいという方もいらっしゃる。人間にはそういったいろんなタイプのベクトルがあると思うんです。ですから、そういった中で個人という形で自分の力を信じて仕事をしていくという部分だと思うんです。
実際の職業としては、デザイナーですとか翻訳業ですとかプログラマーですとか、いろいろな形がありますが、プログラマーをやっているからその人がSOHOかどうかということは実は非常にわかりにくいことでして、その人自身がいわゆるSOHO的マインドで自分自身の力を信じてやっていくんだという気持ちがあればプログラマーの人でもSOHOと呼べるかもしれませんし、いや一時的に今SOHOなんだけれども、実は私は会社員になりたいんだという人は余りSOHOとは呼びたくないなという気分があります。
同様のことは例えば農業においても、農業というものは第一次産業ですが、自分の畑で耕したものを、まさしくホームオフィスですが、インターネットを使って販売したい、産直したいというような考えをお持ちの農業の方はSOHOと呼んでもいいのかもしれない。
事ほどさように、業種でSOHOというものをくくるのは非常に難しいので、質問にお答えできたかどうかわかりませんが、業態としてのSOHO、そしてある種文化的な側面、マインドの問題としてSOHOというとらえ方をしていただければ幸いです。
この発言だけを見る →ですから、私は会社員がいいという人も当然いらっしゃるでしょう。会社員の中でも、九時から五時まで働くだけで給料はそんなに上がらなくていいよという人もいらっしゃる。もちろん、一生懸命エリートとして出世したいという方もいらっしゃる。同様に、会社員という形ではなくて自分でビジネスをしたいという方もいらっしゃる。人間にはそういったいろんなタイプのベクトルがあると思うんです。ですから、そういった中で個人という形で自分の力を信じて仕事をしていくという部分だと思うんです。
実際の職業としては、デザイナーですとか翻訳業ですとかプログラマーですとか、いろいろな形がありますが、プログラマーをやっているからその人がSOHOかどうかということは実は非常にわかりにくいことでして、その人自身がいわゆるSOHO的マインドで自分自身の力を信じてやっていくんだという気持ちがあればプログラマーの人でもSOHOと呼べるかもしれませんし、いや一時的に今SOHOなんだけれども、実は私は会社員になりたいんだという人は余りSOHOとは呼びたくないなという気分があります。
同様のことは例えば農業においても、農業というものは第一次産業ですが、自分の畑で耕したものを、まさしくホームオフィスですが、インターネットを使って販売したい、産直したいというような考えをお持ちの農業の方はSOHOと呼んでもいいのかもしれない。
事ほどさように、業種でSOHOというものをくくるのは非常に難しいので、質問にお答えできたかどうかわかりませんが、業態としてのSOHO、そしてある種文化的な側面、マインドの問題としてSOHOというとらえ方をしていただければ幸いです。
福
福山哲郎#21
○福山哲郎君 本当に時間がなくて恐縮なんですが、今のSOHOのお話というのは新たな業態です。
それとは逆に野口参考人は、いろんな過剰な設備と言われながら、でもそこで一生懸命働いている労働者の雇用をどう守るんだ、過剰設備が廃棄されるからそのまま人員も廃棄されるというようなことでは困るということで今大変御苦労されていると思います。
先ほど陳述をいただきましたいろんな法案の細かい点は、もちろんこれからも審議の中で努力をしていかなければいけないと思うんですが、でも現実に産業再生をするためにいろんな形で日本が構造改革をしていかなければいけない。その中で組合と経営者との関係というのもいろんな形態が変わってくると思っているんです。
ですから、この法案に対する問題点と、そういう今後の組合がどのようにこれからの構造改革に向かおうとされているのか、本当に一分しかないので恐縮なんですが、簡単に御意見をいただければと思います。
この発言だけを見る →それとは逆に野口参考人は、いろんな過剰な設備と言われながら、でもそこで一生懸命働いている労働者の雇用をどう守るんだ、過剰設備が廃棄されるからそのまま人員も廃棄されるというようなことでは困るということで今大変御苦労されていると思います。
先ほど陳述をいただきましたいろんな法案の細かい点は、もちろんこれからも審議の中で努力をしていかなければいけないと思うんですが、でも現実に産業再生をするためにいろんな形で日本が構造改革をしていかなければいけない。その中で組合と経営者との関係というのもいろんな形態が変わってくると思っているんです。
ですから、この法案に対する問題点と、そういう今後の組合がどのようにこれからの構造改革に向かおうとされているのか、本当に一分しかないので恐縮なんですが、簡単に御意見をいただければと思います。
野
野口敞也#22
○参考人(野口敞也君) 構造改革に関しまして我が国もさまざまな法律をつくってまいりました。最初は石炭でありますけれども、これについては雇用に最大限政府は配慮したわけです。
それから、一九七八年に特定不況産業安定臨時措置法というのができておりまして、鉄鋼それからアルミ、造船、それから繊維、こういう構造転換をやりました。このときは安定基本計画というのをつくりまして、労働組合に意見を聞かなければならないとはっきりありまして、実は私はそのときゼンセン同盟という繊維の組織におりまして、その中心になっておりました。具体的に設備の廃棄量を決めましたが、これは当時の通産省の原料紡績課長でありますが、この方と、それから化繊協会あるいは紡績協会の専務、それから私の三人で最終的な廃棄の数字を決めました。同時にそのときに、雇用に対してどういうような処置をするか、とりわけ経営の多角化ということについて力を入れていこう、こういう意思確認をやりました。
現在、繊維産業が再生して何とか残っておりますが、やっぱりそのときの政労使にわたります合意というのが大変重要であったと思います。それが時代を経て、その後も構造改革の円滑化法というのができますが、このときは労使協議を努力しなきゃいけないというような形になっておりました。今度は、いよいよ「労働者の理解と協力を得る」というような言い方に変わってきています。
しかし、経済成長を見ますとどんどん悪くなっているわけです。高度成長時代から、今ゼロないしマイナス成長の時代になってきている。それにもかかわらず、労働組合との協議あるいは労働組合だけでなくて従業員との納得する話し合いというのが法文上ではどんどん軽くされている。全く逆行しているんです。やはり政府が支援をしながら構造改革を進める、それだけ働く者への配慮が必要である。一方では、雇用の安全のネットワークというのは少しも改善されていない。現実にほうり出されたらどうにもならないというのが実態であります。
労働組合としてこれからどうするかというのですが、やはり協議をきちっとやる、そして法律上これをさらに強化させていきたい、このように考えております。
この発言だけを見る →それから、一九七八年に特定不況産業安定臨時措置法というのができておりまして、鉄鋼それからアルミ、造船、それから繊維、こういう構造転換をやりました。このときは安定基本計画というのをつくりまして、労働組合に意見を聞かなければならないとはっきりありまして、実は私はそのときゼンセン同盟という繊維の組織におりまして、その中心になっておりました。具体的に設備の廃棄量を決めましたが、これは当時の通産省の原料紡績課長でありますが、この方と、それから化繊協会あるいは紡績協会の専務、それから私の三人で最終的な廃棄の数字を決めました。同時にそのときに、雇用に対してどういうような処置をするか、とりわけ経営の多角化ということについて力を入れていこう、こういう意思確認をやりました。
現在、繊維産業が再生して何とか残っておりますが、やっぱりそのときの政労使にわたります合意というのが大変重要であったと思います。それが時代を経て、その後も構造改革の円滑化法というのができますが、このときは労使協議を努力しなきゃいけないというような形になっておりました。今度は、いよいよ「労働者の理解と協力を得る」というような言い方に変わってきています。
しかし、経済成長を見ますとどんどん悪くなっているわけです。高度成長時代から、今ゼロないしマイナス成長の時代になってきている。それにもかかわらず、労働組合との協議あるいは労働組合だけでなくて従業員との納得する話し合いというのが法文上ではどんどん軽くされている。全く逆行しているんです。やはり政府が支援をしながら構造改革を進める、それだけ働く者への配慮が必要である。一方では、雇用の安全のネットワークというのは少しも改善されていない。現実にほうり出されたらどうにもならないというのが実態であります。
労働組合としてこれからどうするかというのですが、やはり協議をきちっとやる、そして法律上これをさらに強化させていきたい、このように考えております。
福
畑
畑恵#24
○畑恵君 参考人の皆様方におかれましては、本当に早朝から大変貴重な興味深い話を聞かせていただきましてありがとうございました。自由民主党の畑恵でございます。
いろいろと学ばせていただくところがたくさんあったんですけれども、中でも私はきょう、先ほど福山議員の方からわくわくという言葉が出ましたけれども、そういうときめきを覚えましたのは、樋口参考人と大見参考人がおっしゃられた話の底流に流れている哲学というか目指すべき本質的な社会のあり方というのは非常に近い、ある意味で同質じゃないかなと思いましたところが非常に興味深かったですし、またこういう方たちが日本をリードしてくださるとそういう世界が実現するんだろうなという希望の光も見えまして、大変ありがたかったと思います。
私は言葉でそれを具現するには大変能力がないので、そのあるべき社会の姿というのが、私がいつも思っております、日本がつくっていかなければいけない、私ども政治家がつくっていかなければいけないなと思っているある一つのシステムと符合いたします。
それは、適正な評価システムの構築ということで、評価のあり方ということをこのごろ考えるにつけ、ある意味で頭が小さいものですから袋小路に入ってしまう。要するに、評価すべき人、評価する能力がある人が評価をするそのシステムを構築すればいいと思うんですけれども、なかなか日本というのは、このごろ大変評価ばやりで評価評価と言われるんですが、どうも評価すべき人がしていないところがある。ある意味で、評価してはいけない人とか、はっきり言うと評価する能力がない人というのが評価をしている。それがある意味で、先ほど大見先生が御指摘になった五十も六十も判こが押されている稟議書が回る。何で評価しなくてもいい人とかする能力のない人が判こを押して評価したということをしなきゃいけないかというと、結局これはリスク分散じゃないか。責任回避とは言いませんけれども、限りなくリスク分散して、ある意味で雲散霧消してしまうような体制というのを日本というのは今まで温存して、それによってプラスの面もあったと思うんですけれども、明らかにそうしたこれまでのあり方というのは瓦解をしている。
長くなりましたけれども、まず経営の方から樋口参考人の方に伺いたいんです。いただいた資料を読ませていただいた中で、やはり一番は、顧客のニーズ、顧客の要望ということに謙虚になって、それにどれだけ対処できるかということ。例えば、瓶が汚れているというような苦情が来たら、いや隣の会社だって同じですよと言うのではなくて、ああそうですかということで一生懸命対応する。経営の場合には、評価する人間、評価する者というのは結局ユーザーであったりコンシューマーであると思うんですけれども、企業が大きくなると評価システムというのはなかなか難しい。恐らくそこのところを非常に見事にクリアされたので、アサヒビールの大躍進という、トップ奪還ということがあったと思うんですけれども、この点についてはこれまでの中でどういうふうに具体的になさってきたのでしょうか。
この発言だけを見る →いろいろと学ばせていただくところがたくさんあったんですけれども、中でも私はきょう、先ほど福山議員の方からわくわくという言葉が出ましたけれども、そういうときめきを覚えましたのは、樋口参考人と大見参考人がおっしゃられた話の底流に流れている哲学というか目指すべき本質的な社会のあり方というのは非常に近い、ある意味で同質じゃないかなと思いましたところが非常に興味深かったですし、またこういう方たちが日本をリードしてくださるとそういう世界が実現するんだろうなという希望の光も見えまして、大変ありがたかったと思います。
私は言葉でそれを具現するには大変能力がないので、そのあるべき社会の姿というのが、私がいつも思っております、日本がつくっていかなければいけない、私ども政治家がつくっていかなければいけないなと思っているある一つのシステムと符合いたします。
それは、適正な評価システムの構築ということで、評価のあり方ということをこのごろ考えるにつけ、ある意味で頭が小さいものですから袋小路に入ってしまう。要するに、評価すべき人、評価する能力がある人が評価をするそのシステムを構築すればいいと思うんですけれども、なかなか日本というのは、このごろ大変評価ばやりで評価評価と言われるんですが、どうも評価すべき人がしていないところがある。ある意味で、評価してはいけない人とか、はっきり言うと評価する能力がない人というのが評価をしている。それがある意味で、先ほど大見先生が御指摘になった五十も六十も判こが押されている稟議書が回る。何で評価しなくてもいい人とかする能力のない人が判こを押して評価したということをしなきゃいけないかというと、結局これはリスク分散じゃないか。責任回避とは言いませんけれども、限りなくリスク分散して、ある意味で雲散霧消してしまうような体制というのを日本というのは今まで温存して、それによってプラスの面もあったと思うんですけれども、明らかにそうしたこれまでのあり方というのは瓦解をしている。
長くなりましたけれども、まず経営の方から樋口参考人の方に伺いたいんです。いただいた資料を読ませていただいた中で、やはり一番は、顧客のニーズ、顧客の要望ということに謙虚になって、それにどれだけ対処できるかということ。例えば、瓶が汚れているというような苦情が来たら、いや隣の会社だって同じですよと言うのではなくて、ああそうですかということで一生懸命対応する。経営の場合には、評価する人間、評価する者というのは結局ユーザーであったりコンシューマーであると思うんですけれども、企業が大きくなると評価システムというのはなかなか難しい。恐らくそこのところを非常に見事にクリアされたので、アサヒビールの大躍進という、トップ奪還ということがあったと思うんですけれども、この点についてはこれまでの中でどういうふうに具体的になさってきたのでしょうか。
樋
樋口廣太郎#25
○参考人(樋口廣太郎君) 今、畑先生のお話、一番大事なところを突いておられると思うのでありますが、評価というのは、昔からよく言われたのは、神の行うところを人はこれをやるべきじゃないという言葉は宗教的にはあるわけですが、やはり評価しなければ世の中は進まないわけであります。
何のための評価をするかということのまず一つが、評価の必要性あるいはそのニーズということ、このためにこれの評価をするのだということ。それから二番目は評価項目、それから評価に対する点数の重点の置き方、この三つが一つの判断基準だと思うのであります。
そこで問題は、今の企業の実態、流れを見ますと、執行役員制というのがしかれているわけであります。二つの大きな事例がございました。一つは、執行役員制を真っ先にしいたのはソニーその他の会社でございますが、これは極力責任体制をはっきりする、そして最後に決断する人間は少数で決める、しかしそこには必ず社外の役員に入ってもらう、七、八名から十名の中に入ってもらうということでございます。一方、日産自動車の場合は、全員の役員が責任をとるということで、全員の役員の合意ということに決めたわけであります。
結果的に結論は出ておりませんけれども、二つの両極端の形があったわけでありますが、世の中の流れを見ますと、執行役員制という少数によってやはり決めていく。しかしながら、これは国会でもあるいは各党でも同じだと思うんですけれども、最終結論はやはり全員の合意を得る。執行役員制だからといって必ずしも全役員の、あるいは物によっては、物によってはというと野口さんに怒られるかもしらぬけれども、物によっては労働組合との協議は必ずやる、こういう問題は私、出てくると思うんです。そういう問題の判断ができるかどうかということであります。
そこで、これが形になって今あらわれてくるのは格付ということでありますが、格付ということが勝手格付ということでアメリカの格付会社によってやられている。これに対して非常に情けない思いをしているわけですが、これに対して毅然として闘った例を申し上げますと、トヨタ自動車が格付を落とされる。あれだけの立派な業績を上げてなぜだと。一つは、最初はさくら銀行が非常にある時期にピンチに陥ったときに増資をしなきゃならない。長い間お世話になったということでトヨタ自動車は増資に応じますと言ったところで、格付会社が三日後に、そういう内容も調べずにすぐ増資に応じるような会社は格付を一格下げると。格付が下がるということは、長期資金の調達に金利が高くなるということです。
続いて起こったことは、トヨタは終身雇用ということを厳守している。労使協約によって決めた終身雇用を永久にやっている。終身雇用を決めている会社はもう一格下げるということに対して、奥田君以下は断固として、冗談じゃない、そういうものによって下げられるなら下げてみろということで、トヨタの調達力というのはあると。
こういうことが一つの格付という大きな面において、評価というものの原点に非常にそういうものが出てきている、恣意的なものが出てきている。その辺を今、畑先生がおっしゃるとおり、この問題に経済社会だけじゃなくて全社会が向かっていかなきゃいかぬ。公平な公正な、しかもその国の特殊事情がいろいろありまして、我々が絶対にいい慣行だと思っていた終身雇用自体も壊そうとしてきている。こういう問題も考えながら評価という問題は考えなきゃいけないと思っております。
この発言だけを見る →何のための評価をするかということのまず一つが、評価の必要性あるいはそのニーズということ、このためにこれの評価をするのだということ。それから二番目は評価項目、それから評価に対する点数の重点の置き方、この三つが一つの判断基準だと思うのであります。
そこで問題は、今の企業の実態、流れを見ますと、執行役員制というのがしかれているわけであります。二つの大きな事例がございました。一つは、執行役員制を真っ先にしいたのはソニーその他の会社でございますが、これは極力責任体制をはっきりする、そして最後に決断する人間は少数で決める、しかしそこには必ず社外の役員に入ってもらう、七、八名から十名の中に入ってもらうということでございます。一方、日産自動車の場合は、全員の役員が責任をとるということで、全員の役員の合意ということに決めたわけであります。
結果的に結論は出ておりませんけれども、二つの両極端の形があったわけでありますが、世の中の流れを見ますと、執行役員制という少数によってやはり決めていく。しかしながら、これは国会でもあるいは各党でも同じだと思うんですけれども、最終結論はやはり全員の合意を得る。執行役員制だからといって必ずしも全役員の、あるいは物によっては、物によってはというと野口さんに怒られるかもしらぬけれども、物によっては労働組合との協議は必ずやる、こういう問題は私、出てくると思うんです。そういう問題の判断ができるかどうかということであります。
そこで、これが形になって今あらわれてくるのは格付ということでありますが、格付ということが勝手格付ということでアメリカの格付会社によってやられている。これに対して非常に情けない思いをしているわけですが、これに対して毅然として闘った例を申し上げますと、トヨタ自動車が格付を落とされる。あれだけの立派な業績を上げてなぜだと。一つは、最初はさくら銀行が非常にある時期にピンチに陥ったときに増資をしなきゃならない。長い間お世話になったということでトヨタ自動車は増資に応じますと言ったところで、格付会社が三日後に、そういう内容も調べずにすぐ増資に応じるような会社は格付を一格下げると。格付が下がるということは、長期資金の調達に金利が高くなるということです。
続いて起こったことは、トヨタは終身雇用ということを厳守している。労使協約によって決めた終身雇用を永久にやっている。終身雇用を決めている会社はもう一格下げるということに対して、奥田君以下は断固として、冗談じゃない、そういうものによって下げられるなら下げてみろということで、トヨタの調達力というのはあると。
こういうことが一つの格付という大きな面において、評価というものの原点に非常にそういうものが出てきている、恣意的なものが出てきている。その辺を今、畑先生がおっしゃるとおり、この問題に経済社会だけじゃなくて全社会が向かっていかなきゃいかぬ。公平な公正な、しかもその国の特殊事情がいろいろありまして、我々が絶対にいい慣行だと思っていた終身雇用自体も壊そうとしてきている。こういう問題も考えながら評価という問題は考えなきゃいけないと思っております。
畑
畑恵#26
○畑恵君 どうもありがとうございました。
確かに、評価の基準を設定するのに、どこかの覇権を握りたい国か何かにその基準のスタンダードをとられてしまうというのは、非常に日本にとって危機だと思いますので、大変貴重なお話をありがとうございました。
同じ評価という話なんですけれども、先ほど、何が本当に伸びるのか、それを見きわめるのが一番大事だけれども一番難しいというお話をいただきました。科学的にある意味で客観的な基準があると思いますけれども、実証されていくまでには時間もかかる。
そうした中で、大学の中では一つの評価基準として、例えばどれだけ年次を積まれたかというようなことですとか、そういういわゆる日本の一つのこれまでの評価基準というのが残っている部分というのはあると思います。それと先ほどのグローバルスタンダードの評価基準あるいは客観的な基準をどのように融合させて、これからあるべき評価の姿というのが研究開発の世界にはございますのでしょうか。
この発言だけを見る →確かに、評価の基準を設定するのに、どこかの覇権を握りたい国か何かにその基準のスタンダードをとられてしまうというのは、非常に日本にとって危機だと思いますので、大変貴重なお話をありがとうございました。
同じ評価という話なんですけれども、先ほど、何が本当に伸びるのか、それを見きわめるのが一番大事だけれども一番難しいというお話をいただきました。科学的にある意味で客観的な基準があると思いますけれども、実証されていくまでには時間もかかる。
そうした中で、大学の中では一つの評価基準として、例えばどれだけ年次を積まれたかというようなことですとか、そういういわゆる日本の一つのこれまでの評価基準というのが残っている部分というのはあると思います。それと先ほどのグローバルスタンダードの評価基準あるいは客観的な基準をどのように融合させて、これからあるべき評価の姿というのが研究開発の世界にはございますのでしょうか。
大
大見忠弘#27
○参考人(大見忠弘君) 日本は今まで評価をするということは意識的に避けてきた国ではないかと思うんです。大変難しいという理由で、だからやめましょうというふうな方向に動いた国だろうと思うんです。これは、一つにはコンセンサス社会だとかそういうことと全部リンクしていると思うんですけれども、なかなかよくわからない事柄をなるべく定量的に表現するという努力を日本は怠ったと思うんです。
アメリカあるいはヨーロッパは、そういうなかなか定量化しにくいものをなるべく客観的にみんなが認めるような数値にしていきましょうという努力をし続けてきたと思うんです。例えば日本なんかの場合で、最近は多くなってきたんですけれども、アワード、各種の賞、これもなかなか日本ではつくれないですね。よし悪しの判断が非常に難しいからというので、難しいということでやめましょうという方向に行っちゃうんです。
このアメリカやヨーロッパと日本の差が結局、混沌としていてまだもやもやしている状況の中から新しい社会の構造であるとか産業の構造であるとかというのをつくり上げていくときの非常に大きな差になるんです。不十分であろうと何だろうとまず定量化を努力してみる、まずいところがあれば次々と是正する、そういう努力をし続けてきた国と逃げまくった国の差が今出ているんだと思うんです。
樋口会長が今おっしゃられた、アメリカ側から格付をされたときに何をと思うことが日本人には多々あると思うんです。これはそれぞれの民族で全然風俗習慣が違いますし、やっぱり狩猟民族、肉食系の諸君と農耕民族の草食系の人間では非常に違うところがあります。ですから、そういうときに、このやろうと思っても、我々はこういうものがいいですよというカウンタープロポーズができないときには世界の議論のテーブルに乗れません。もやもやしたものをいかに定量化するかということが新しい学問をつくる道であり、新しい社会構造をつくる道であり、新しい産業構造をつくる道なんです。結果として、ハイテクはあってハイテクビジネスはないよ、こういう国になっているんだと思うんです。
そういう評価のイシューをしっかり、しょっちゅういろんな人からけちょんけちょんにしかられますね。しかられると逃げまくるということが日本人には多いと思うんですけれども、そういう御批判を全部吸収しながらブラッシュアップを続けていく、こういう努力をしないと強い国にならないと思います。
この発言だけを見る →アメリカあるいはヨーロッパは、そういうなかなか定量化しにくいものをなるべく客観的にみんなが認めるような数値にしていきましょうという努力をし続けてきたと思うんです。例えば日本なんかの場合で、最近は多くなってきたんですけれども、アワード、各種の賞、これもなかなか日本ではつくれないですね。よし悪しの判断が非常に難しいからというので、難しいということでやめましょうという方向に行っちゃうんです。
このアメリカやヨーロッパと日本の差が結局、混沌としていてまだもやもやしている状況の中から新しい社会の構造であるとか産業の構造であるとかというのをつくり上げていくときの非常に大きな差になるんです。不十分であろうと何だろうとまず定量化を努力してみる、まずいところがあれば次々と是正する、そういう努力をし続けてきた国と逃げまくった国の差が今出ているんだと思うんです。
樋口会長が今おっしゃられた、アメリカ側から格付をされたときに何をと思うことが日本人には多々あると思うんです。これはそれぞれの民族で全然風俗習慣が違いますし、やっぱり狩猟民族、肉食系の諸君と農耕民族の草食系の人間では非常に違うところがあります。ですから、そういうときに、このやろうと思っても、我々はこういうものがいいですよというカウンタープロポーズができないときには世界の議論のテーブルに乗れません。もやもやしたものをいかに定量化するかということが新しい学問をつくる道であり、新しい社会構造をつくる道であり、新しい産業構造をつくる道なんです。結果として、ハイテクはあってハイテクビジネスはないよ、こういう国になっているんだと思うんです。
そういう評価のイシューをしっかり、しょっちゅういろんな人からけちょんけちょんにしかられますね。しかられると逃げまくるということが日本人には多いと思うんですけれども、そういう御批判を全部吸収しながらブラッシュアップを続けていく、こういう努力をしないと強い国にならないと思います。
畑
畑恵#28
○畑恵君 どうもありがとうございます。
やはり欧米などは民族、文化が違う人たちが集まって、いかに標準化して共通言語をつくり出していこうかという、そこが違って乗りおくれていると思います。貴重なお答えをありがとうございました。
確かに、大見先生のおっしゃられたところというのは、日本人は何とかしなきゃいけない。ただ、本当に日本というのは、君だめだよと言われたら、もうそれで人生終わりというようなところがございます。
時間が限られているので、樋口先生と大見先生だけになってしまうかもしれないんですが、大変申しわけございません。
もう一度その評価をされる。君はだめだよ、確かに失敗をした。でも、もう一度リターンマッチがあるし、別に失敗は恥ずかしくもないし傷でもない。むしろ、それこそシリコンバレーを中心としたアメリカなどは勲章で、失敗していない人間は危ないからあいつには投資をするなというようなことさえ言われている。
ここのギャップというのは、非常に日本人のメンタリティーの深いところに根差していると思うので、いつもこれはどうしたらいいんだろうと頭を抱えるんですけれども、この部分をどのようにお考えになるか、あと三分ぐらいしかないんですが、樋口参考人と大見参考人の方から一言ずついただけますでしょうか。
この発言だけを見る →やはり欧米などは民族、文化が違う人たちが集まって、いかに標準化して共通言語をつくり出していこうかという、そこが違って乗りおくれていると思います。貴重なお答えをありがとうございました。
確かに、大見先生のおっしゃられたところというのは、日本人は何とかしなきゃいけない。ただ、本当に日本というのは、君だめだよと言われたら、もうそれで人生終わりというようなところがございます。
時間が限られているので、樋口先生と大見先生だけになってしまうかもしれないんですが、大変申しわけございません。
もう一度その評価をされる。君はだめだよ、確かに失敗をした。でも、もう一度リターンマッチがあるし、別に失敗は恥ずかしくもないし傷でもない。むしろ、それこそシリコンバレーを中心としたアメリカなどは勲章で、失敗していない人間は危ないからあいつには投資をするなというようなことさえ言われている。
ここのギャップというのは、非常に日本人のメンタリティーの深いところに根差していると思うので、いつもこれはどうしたらいいんだろうと頭を抱えるんですけれども、この部分をどのようにお考えになるか、あと三分ぐらいしかないんですが、樋口参考人と大見参考人の方から一言ずついただけますでしょうか。
大
大見忠弘#29
○参考人(大見忠弘君) 今の問題は、まさに評価をするためのしっかりした項目、イシューをつくり上げていない国で、君はだめだよと言われると全人格否定になっちゃうんです。それで、評価項目がしっかりしている国では、ここが君はだめだ、こっちはいいんだけれどもここはだめですという形で敗者復活が可能なんです。敗者復活が可能になるためには、失敗の中から徹底的な教訓を身につけた人でない限りは敗者復活はないと思います。そういう人が選ばれて復活していると思います。
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