諸井虔の発言 (行財政改革・税制等に関する特別委員会)

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○参考人(諸井虔君) 地方分権推進委員長の諸井でございます。議員の皆様には常日ごろから地方分権の推進につきまして格別の御支援を賜り、まことにありがとうございます。また、本日は、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案、すなわち地方分権推進一括法案の国会における審議に当たりまして陳述の機会を与えていただき、まことにありがとうございます。
 本日は、私の方から地方分権推進委員会のこれまでの活動及び勧告の基本的な考え方について御説明するとともに、あわせて地方分権推進一括法案についての評価を述べ、最後に若干の要望をさせていただきたいと存じます。よろしくお願いをいたします。
 地方分権推進委員会は、地方分権推進法に基づき、政府による地方分権推進計画作成のための具体的な指針を内閣総理大臣に勧告する機関として、またこの地方分権推進計画に基づく施策の実施状況を監視する機関として平成七年七月三日に発足いたしました。
 我々に与えられた責務を果たすべく、今日に至るまで、延べ五百回にも及ぶ委員会、部会及び検討グループの会議を開催し、地方公共団体、関係省庁、有識者などからの意見聴取も進めつつ、精力的にかつ慎重に調査審議を重ねてきたところでございます。
 平成八年三月二十九日に中間報告を出した後、同年十二月二十日に第一次勧告を内閣総理大臣に提出し、また平成九年に入り、七月八日に第二次勧告を、九月二日に第三次勧告を、そして十月九日に第四次勧告を順次内閣総理大臣に提出いたしました。また、昨年十一月十九日に第五次勧告を内閣総理大臣に提出いたしました。
 このうち、第一次から第四次までの勧告に対応するものとして、昨年五月二十九日に地方分権推進計画が閣議決定され、この計画の内容を踏まえ、今回御審議いただいております地方分権推進一括法案が取りまとめられたところでございます。
 なお、第五次勧告につきましても、政府において最大限尊重することとされ、第二次地方分権推進計画が去る三月二十六日に閣議決定されております。
 それでは、第一次から第四次までの勧告に当たっての基本的な考え方とそのアウトラインを述べさせていただきます。
 地方分権推進委員会は、中間報告において、地方分権は身の回りの課題に関する地域住民の自己決定権の拡充を図り、あらゆる階層の住民の共同参画による民主主義の活性化を目指すものであること、また地方分権の推進は、明治以来続いていた中央集権型行政システムを変革しようとするものであり、行政改革の推進に当たって規制緩和と並んで車の両輪であり、この双方の推進によって初めて明治維新、戦後改革に次ぐ第三の改革が実現する旨の認識を示しました。
 このような認識のもとに、我が国の地方自治の拡充にとっての最大の課題は、国と地方公共団体とを上下主従の関係に置いてきた中央集権型行政システムを是正し、国と地方公共団体とを対等、協力の新しい関係に転換させることであると判断いたしました。
 そこで、まずこの明治以来の我が国の中央集権型行政システムの中核的部分をなしてきた機関委任事務制度につきましては、住民による選挙で選ばれた知事や市町村長を国の下部機関と見て国の事務を委任し執行させる仕組みであり、第一に、国と地方公共団体とを上下主従の関係に置いている、第二に、知事、市町村長に地方公共団体の代表者と国の地方行政機関としての二重の役割を負わせているため、知事、市町村長が地方公共団体の代表者としての役割に徹し切れていない、第三に、国と地方公共団体との間の行政責任の所在が不明確になり、地域の行政に住民の意向を十分反映させることができないなどの弊害が生じていることから、この機関委任事務制度を廃止することを勧告したところであり、この結果、同制度のもとでの国による包括的かつ権力的な指揮監督はなくなることとなったところでございます。
 これに伴い、自治事務及び法定受託事務という新たな事務区分を設けるとともに、従前の機関委任事務について、事務自体を廃止するもの及び国の直接執行とするものを除き、原則自治事務、例外法定受託事務とする方針で整理をいたしました。
 なお、機関委任事務制度を前提として成り立ってきた地方事務官制度は廃止することとし、これまで地方事務官が従事することとされていた社会保険関係事務及び職業安定関係事務は国の直接執行事務とすることとし、職員はそれぞれ厚生事務官、労働事務官とすることを勧告いたしました。
 また、国と地方の新しい関係を確立するため、地方公共団体に対する国の関与について、法定主義の原則、一般法主義の原則及び公正、透明の原則の三つの一般原則を定めました。その上で、国と地方公共団体の新たな関係の具体的あり方として、第一に、自治事務と法定受託事務の区分に応じて国が行うことができる関与の基本類型とその手続等を示し、第二に、地方公共団体の意見申し出とこれに対する国の応答について所要の措置を講ずることを、第三に、国と地方公共団体との間の係争処理の仕組みを創設すべきことを勧告いたしております。
 権限移譲につきましては、国から都道府県へ移譲すべきもののほか、基礎的な地方公共団体である市町村に対して、その規模などに応じて移譲すべきものを具体的に示しましたが、これとあわせて、二十万人以上など一定の人口規模を有する市を当該市の申し出に基づき指定し、権限をまとめて移譲する法制上の措置を講ずることについても勧告いたしております。
 また、国が地方公共団体に対し、職員、行政機関等を設置しなければならないと義務づけている必置規制につきましては、地方公共団体の自主組織権を制約すると同時に、行政の総合化と効率化を阻害する要因となっているとの認識に立って、その見直しの考え方を整理するとともに、廃止または緩和すべきものを個別具体に示したところでございます。
 こうした機関委任事務の廃止等と並んで国と地方公共団体の財政関係につきましても、地方公共団体の自主性、自立性を高める観点から基本的な見直しを行う必要があることを踏まえ、第一に国庫補助負担金の整理合理化、第二に存続する国庫補助負担金の運用や関与の改革、第三には地方税、地方交付税等の地方一般財源の充実確保の三つの視点から、財政面における自己決定、自己責任の拡充に向けた改革案を取りまとめました。
 さらに、都道府県と市町村についても、国と地方の関係と同じく、対等、協力の新しい関係が築かれるよう、都道府県、市町村間の事務の配分の考え方を整理するとともに、市町村に対する都道府県及び国の関与の考え方と関与のルールを整理いたしました。
 また、地方分権の担い手となる地方公共団体の行政体制の整備確立を図るため、地方公共団体における行政改革、市町村の自主的合併や広域行政の推進、地方議会の活性化、住民参加の拡大・多様化、公正の確保と透明性の向上等について具体的方策を取りまとめるとともに、この実現のための地方公共団体の自主的な努力を支援、促進するために国がとるべき措置を示したところでございます。
 地方分権推進委員会としては、こうした勧告により地方分権を推進し、国と地方公共団体との間の新たな関係を確立するための確固たる道筋を示すことができたものと考えております。その道をさらに切り開き、歩みを進めていくためには、政府において地方分権の推進に関する施策をさらに総合的に実施していくとともに、また地方公共団体の関係者みずからが分権型社会の担い手として公正、透明で開かれた行政を展開し、国民の期待と信頼に一層こたえていくことが必要でございます。そして、何よりも、国民の皆様が住民自治を基礎とした活力ある創造性豊かな分権型社会の実現に向けて地域の行政に引き続き積極的に参画していかれることを心から期待するものでございます。
 政府における地方分権推進計画及び地方分権推進一括法案の作成に当たっては、地方分権推進委員会として、勧告の提出と並んで重要な任務である監視活動の一環として、政府の検討状況を聴取しつつ意見交換を行ってまいりました。
 政府においてはこれに誠実に対応していただいたところであり、またその計画及び法律案の内容も地方分権推進委員会の勧告の趣旨に沿ったものと評価しております。膨大な計画及び法律案の作成に当たってこられた関係者の御努力を多とするものでございます。
 平成五年六月に衆参両院において、二十一世紀に向けた現代にふさわしい地方自治を確立するため、地方分権を積極的に推進し、抜本的な施策を総力を挙げて断行していくべきことを決議されて、ちょうど六年が経過いたしました。この間の地方分権推進法の制定、地方分権推進委員会の数次にわたる勧告の内閣総理大臣への提出、政府における地方分権推進計画の作成という一連の取り組みが地方分権推進一括法案という具体的な法律案として結実をし、今まさに国会の審議にゆだねられているところでございます。
 地方分権推進委員会といたしましては、これまでの勧告を通じて明らかにした各般の措置が着実に実施に移されることが、将来にわたって地方分権を進めていくことの出発点となり、真の意味での分権型社会を確立していく基盤になるものと考えております。また、今回の法律案が成立した後、国及び地方公共団体において法施行に向けて関係の政省令や条例の整備などに万全を尽くされることが不可欠でございます。
 これまでの勧告は、地方分権推進委員会が約四年の間心血を注いで提出いたしたものでございますので、私ども地方分権推進委員会としましては、地方分権推進一括法案に対して並々ならぬ思い入れがございます。地方分権推進一括法案が国会において地方分権推進の観点から審議を尽くされた上で、一日も早く成立させていただくようにお願いをいたしたいと存じます。そして、自己決定と自己責任の原則に基づく分権型社会の構築が速やかに図られていくように念願をしてやみません。
 以上、私の陳述を終わらせていただきますが、地方分権推進委員会といたしましても、残された期間において与えられた任務の遂行に全力を傾注していく決意であります。私どもの活動に対しまして、引き続き議員各位の御理解と御支援を切にお願いする次第でございます。
 どうもありがとうございました。

発言情報

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発言者: 諸井虔

speaker_id: 15927

日付: 1999-07-01

院: 参議院

会議名: 行財政改革・税制等に関する特別委員会