小渕恵三の発言 (本会議)
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○国務大臣(小渕恵三君) 浜四津敏子議員にお答え申し上げます。
冒頭、議員から、現在の危機の本質につきまして、理念や道義、倫理、哲学を欠いておることをとらえた上で、政治に深い理念、哲学を取り戻すべきとの御主張がありました。議員のお考えには緊張してお聞きをいたしました。
私自身の施政方針演説におきましても、従来の形を離れまして、二十一世紀に向けて政治が目指す理念や国のあるべき姿を中心に、私の考えることを率直に述べさせていただいたところであります。
議員から、すべての政策に国民のためとの視点を取り戻すべきとの御指摘がありました。
私は、政治の原点は言うまでもなく国家と国民のために何をなすべきかであると信じております。精いっぱい努力してまいったと自負はいたしておりますが、民の声は神の声との信条に立って、中小企業の方々を初め国民の皆さんとの対話に努め、できるだけ生の声を聞く努力をいたし、このことを原点に政治を進めさせていただきたいと思っております。
次に、私が施政方針演説で述べた第三の改革を引用されました上で、構造改革への決意についてお尋ねがございました。
私は、現在を明治維新、第二次世界大戦後に続く第三の改革の時期と位置づけさせていただいております。明治維新と第二次世界大戦後の改革の発端が外国からの圧力や強制であったこともあり、いわば社会を挙げての覚悟が定まり、また、先人の大きな勇気と相まって改革を成功に導いたものでございます。現在の改革の難しさは、社会全体の覚悟と勇気が十分存在しているのかという点にあり、その意味で社会を挙げて意識の転換が不可欠だと考えます。
また、改革に当たりまして、これまで有効であったさまざまな制度や慣行が足かせになっている面があることは事実でありますが、だからといって、単にこれを壊せば足りるというものでなく、新しいシステムをぜひつくり上げていかなければならない、同時に日本が持つすばらしいものを残す、こういう努力も必要であると考えております。
このような考えに立ちまして、政治はもちろんのこと、あらゆる分野で将来を見据えたビジョンを明確にしていくとともに、これまでの制度や慣行について思い切ってこれを見直し、大胆な構造改革を進めてまいる決意でございます。
今般の連立内閣につきましては、既に何度かお答えをいたしておるところではありますが、したがって繰り返し多くを申し上げませんが、今般の趣旨を一言で申し上げれば、今日の難局に当たり、時局認識や基本的理念で一致を見ました自由民主党と自由党との両党が政権をともにし、安定的な政権基盤を築き、真に責任ある政治の実現を目指すというものであります。
この際、次の二点を強調させていただきたいと思いますが、すなわち、自由民主党と自由党との間で、景気回復を初め緊急課題に全力で取り組むとともに、少子高齢化、情報化、国際化が進展する中で、あらゆる分野における改革を断行し、もって国民の将来への不安感を払拭していくとの基本理念で一致した上で、政治、行政改革、安全保障等、多くの課題について真剣な議論を積み重ね、合意した上で連立に至ったこと、第二には、そうであるがゆえにこの連立内閣は確固とした基盤に立っており、国民の期待にこたえ、国民に信頼される責任ある政治を実現できるものと確信いたしておるところでございます。
次に、税制についてのお尋ねがございました。
特に所得税、住民税減税でございますが、将来の抜本的見直しを展望しつつ、現下の厳しい経済情勢にかんがみ、定率減税等、期限の定めのない恒久的な減税を実施することといたしたところでございます。
また、定率減税の実施により、確かに単年度比較で見ますと、昨年より減税額が減少する所得階層が生じることは事実でありますが、一年限りで打ち切られる文字どおり特別な減税と、恒久的に効果が持続する減税を単純に比較することは適当でないと考えます。
なお、御指摘のような定額方式の減税を行うことは、昨年のような諸外国に比し突出しております高い水準の課税最低限が継続し、納税者が構造的に大幅に減少することとなり、基幹税たる個人所得課税のあり方としても適当でないと考えます。
今回の見直しにおきましては、中堅所得層に配慮し、定率減税には頭打ちを設け控除率をある程度大きくするとともに、扶養控除額の加算等を行うことといたしております。
このように大規模な減税を一時的でなくて、期限を定めず継続して実施することによりまして、消費者や企業のマインドを高め、景気に必ず効果的に作用するものと考えております。
次に、公共事業についてお尋ねがありました。
公共事業につきましては、従来のように各省庁、各事業のシェアをもとに配分するということでなくして、二十一世紀先導プロジェクトを初めとして、情報通信や福祉、環境など、二十一世紀を展望し、我が国経済の活性化に不可欠な分野に重点化いたしたと考えております。
従来型の公共事業に景気押し上げ効果があるのかとのお尋ねでありました。
社会資本の整備は、二十一世紀先導プロジェクトの推進を核といたしまして、民間活力を最大限活用しながら、情報通信、都市・住宅、環境・教育・福祉など我が国経済の活性化に不可欠な分野について戦略的、重点的に行うことといたしておりまして、他の諸施策と相まってその効果が最大限発揮されることを強く期待いたしております。
次に、地域振興券の実施についてお尋ねがありました。
この事業につきましては、事業主体である市町村には事務的に大変御苦労をいただいておりますが、一月中にも交付を開始する市町村があるなど、準備は順調に進んでいると聞いておりまして、議員が御指摘のように、三月までにかなりその実効が上がるものと確信いたしております。
政府といたしましては、事業の目的、内容等につき広く国民の皆様に周知を図るとともに、市町村との連携を密にし、この事業が円滑に実施され、地域振興の効果が上がりますよう万全を尽くしてまいります。
また、御指摘のように、市町村や商店街等が非常に工夫を凝らしておりまして、さまざまなイベントや地域おこしに結びつけるなどいたしております。地域振興券を大きな施策として育てていただけるのではないか、また、現にそのようになりつつあると聞いておりまして、私としても大いに期待をしておるところでございます。
貸し渋りの実態についてお尋ねがありました。
民間金融機関の貸し出し姿勢につきましての実態調査を政府系金融機関を通じまして中小企業に対して行っております。最近の調査結果によりますと、貸し渋り対策の効果により、民間金融機関の貸し出し姿勢に改善の兆しが見えるものの、中小企業にとって依然として厳しい状況が続いておりまして、今後とも一層貸し渋り対策に万全を期してまいりたいと考えております。
貸し渋り等旧債振りかえの確実な防止策についてお尋ねがございました。
いわゆる貸し渋りの問題につきましては、これまで信用保証協会等の保証制度の拡充、早期健全化法による新たな資本増強制度の創設、政府系金融機関による中小中堅企業等に対する融資制度の拡充など、さまざまな措置を講じてきたところでございます。
例えば、信用保証協会の貸し渋り対策特別保証制度につきましては、その承諾件数は既に中小企業の十社に一社に当たる五十七万件に上っておりまして、承諾金額も十一兆七千億に達しておるわけでございます。こうした制度をより一層活用いたしてまいりたいと考えております。
また、旧債振りかえの問題につきましては、中小企業に対する円滑な資金供給を確保するとの制度の趣旨を関係機関を通じてさらに徹底するとともに、実態調査等を通じて監視を強化いたしてまいります。
昨年末には、私自身、まず借り手である中小企業団体等の懇談会、さらに、貸し手である金融機関との懇談会を設け、融資の実態や意見等をお聞きするとともに、金融機関に対して改めて適切な対応をお願いいたしたところであり、今後とも旧債振りかえ問題を含め、貸し渋り対策には一層の万全を期してまいりたいと考えます。
次に、定住外国人に対する地方選挙権付与についてお尋ねでありました。
御指摘の平成七年二月の最高裁判決につきましては、私も十分承知をいたしております。この問題につきましては、国民主権、地方自治のあり方、国と地方公共団体との関係等の基本的事柄に関係する問題でありまして、さまざまな角度から幅広く検討されなければならないと考えております。各党各会派におきましても十分御議論をいただきたいと考えております。
情報公開法についてのお尋ねでありますが、政府案は、行政改革委員会におきまして、関係諸方面の意見をも聴取しつつ、熱心に御審議され、作成された要綱案を最大限に尊重して立案したものであります。これまでの国会の御審議に際しましても、政府として誠意を持って対応してまいったところでございます。衆議院内閣委員会におきまして熱心な御議論がされました。与野党の合意で継続審議となったものと承知をいたしております。国民各界の期待にこたえて、国会でも十分御論議をいただく中で、浜四津議員御指摘の十二項目等の問題もあろうかと思いますが、こうしたものを御議論を賜り、速やかに成立させていただきますようにお願いをいたしたいと思っております。
次に、男女共同参画社会基本法の制定の問題であります。
少子高齢化など、社会経済情勢が急速に変化する中にあって、男女の人権が尊重され、豊かで活力ある社会を実現し、女性も男性もみずからの個性を輝かせ、生き生きと充実した生活を送ることができることを目指すものであり、二十一世紀のあるべき日本の姿を考え、実現していく上で一つの大きなかぎとなる意義を持つものと考えます。また、政府における体制につきましても、将来、内閣府に男女共同参画を担当する局を設けてまいる方針でもございます。
少子高齢化対策に対するお尋ねがございました。
高齢化対策につきましては、平成七年に高齢社会対策基本法が制定されたことを受けまして、その翌年には高齢社会対策の指針としての施策の大綱を定め、政府が一体となった対策の推進に取り組んでいるところであります。
少子化対策につきましては、先般、少子化への対応を考える有識者会議から、家庭や子育てに夢を持てる環境の整備は、社会全体で取り組むべき課題であるとの提言を受けました。今後は、この問題に適切に対応すべく閣僚レベルの体制も整備し、政府が一体となって総合的に取り組んでまいりますとともに、各界関係者の参加を募りまして国民会議を設け、国民的な広がりのある取り組みにつきましても、全力でこれを進めてまいります。
次に、児童手当及び奨学金についてでありますが、児童手当につきましては、三歳未満の時期に給付を重点化した改正を既に行ったという経緯や、児童手当のあり方についてさまざまな意見のありますこと、御指摘のような拡充のためには巨額の財源が必要であること等を考えますと、慎重な検討が必要であると考えます。
また、奨学金制度につきましては、平成十一年度予算におきまして、学生が安心して学べるよう日本育英会の無利子奨学金の貸与月額の増額及び貸与人員増を図るとともに、資金を有効に活用し極力多くの学生を支援するという観点から、有利子奨学金につきましても貸与人員の大幅な拡充や貸与基準の緩和等を行うことといたしておりまして、無利子、有利子をあわせましてその充実を図っていくことが重要であると考えております。
次に、介護保険についてでありますが、介護保険の市町村における準備状況について、現在、来年四月からの施行に向け大変市町村には御苦労をおかけいたしておりますが、着実に進んでおると認識をいたしておりますが、さらに一層留意をしてまいりたいと思っております。
このため、国としても施設、マンパワー等のサービス供給体制の整備につきまして、新高齢者保健福祉推進十カ年戦略の達成に全力で取り組むとともに、市町村の施行準備等につきましても、できる限りの財政的支援を行ってまいりたいと考えております。
次に、ダイオキシン対策でございますが、ダイオキシン対策は、言うまでもなく美しき安定した環境を守り、子孫に引き継ぎ、安全へのかけ橋を築く上でまことに重要であります。既に廃棄物焼却施設に係る排出基準値を設定するなど、対策を推進しておるところでありますが、今後とも科学的知見の集積や国民への適切な情報提供に努めつつ、対策の充実に努めてまいります。
ダイオキシン対策法についてでありますが、現在、排出削減、汚染実態の把握、汚染土壌対策の検討など、各般の施策を進めておりますが、今後とも既存の法制度を十分活用し、最新の知見も踏まえつつ、対策を講じてまいる決意であります。
次に、武力行使等に対する憲法解釈についてお尋ねがございました。
憲法第九条のもとにおきまして、我が国を防衛するための必要最小限度の武力行使は禁止されておりませんが、これを許されるのはいわゆる自衛権発動の三要件に該当する場合に限られると解しております。
また、補給、輸送協力等それ自体は直接武力行使を行わない活動でありましても、他国による武力の行使と一体となるような行動としてこれを行うことは憲法第九条との関係で許されないものであり、一体化するかどうかは、活動の具体的内容の事情を総合的に勘案いたしまして、事態に即して個々具体的に判断すべきものであると考えております。
今般、自民党、自由党との合意では従来の政府の憲法解釈を変更しない点で一致しており、政府としても従来の憲法解釈を変更する考えはございません。
ガイドラインの関係法案につきましてでありますが、本法案は国会における審議の中で、自民、自由両党のみならず他党の御理解も得ていくべき問題でありますが、政府としては、現在国会に提出されている同法案が早期に審議され、今国会において成立または承認されることを強く期待いたしております。何とぞ、国会におきまして十分御審議をいただきたいと存じております。
次に、青年海外協力隊についてであります。
協力隊は我が国の顔の見える援助の典型の一つであり、医療、保健、教育、農業、工業等広範な分野におきまして、開発途上国の人々と同じ目線で草の根レベルで行う協力として相手国から高い評価を得ております。このような評価にこたえるために、協力隊事業を拡充すべしとのただいまの浜四津議員の御主張に賛同するものでありまして、今後とも協力隊事業を積極的にさらに進めてまいらなければならない、このように考えております。
次に、留学生予算についてお尋ねがありました。
留学生の受け入れは、我が国国際貢献の重要な柱と認識しており、総理就任以来、関係省庁を督励いたしております。
先般も、神戸に参りました折、留学生会館、新しく建設をされましたが、ここをお訪ねいたしまして、各国からの留学生と懇談する機会を設けまして、いろいろと貴重な意見をお聞きいたしたところでありまして、ぜひこの各国からの留学生を温かく迎えますとともに、日本に参りまして帰国後、いやしくも我が国に対しての御批判等が生まれないように心がけていかなければならないと考えております。
平成十一年度の留学生関係予算は、対前年度比五・四%増の約四百四十六億円を計上いたしておりまして、ODA予算全体が〇・二%増の中で特段の配慮をいたしたところであります。このうち、私費留学生に対する奨学金の支給人数は、一千二百五十人増と大幅に拡充することといたしております。厳しい財政状況ではありますが、今後とも御指摘のように、留学生関係予算の確保に向けまして最大限の努力をいたしてまいります。
次に、歴史認識についての御指摘がありました。
我が国として、過去の一時期、多くの国々の人々に対し、多大の損害と苦痛を与えた事実を謙虚に受けとめ、歴史を直視することが必要であることは言うまでもありません。
平和資料館の設置につきましての御提案につきましては、戦争に関する資料については、関係する省庁等においてそれぞれの方法で保存し、資料の取り扱いとして許される範囲で必要に応じ公開を行っているところでありますが、貴重な御意見として承らせていただきました。
さきの大戦につきましては、これまでさまざまな角度からの研究が行われており、政府といたしましても、過去の歴史を踏まえ、近隣諸国との相互理解と相互信頼を築くため、歴史図書資料の収集、研究者に対する支援等を内容とする平和友好交流計画の進展に努めてまいりたいと考えております。
最後に、解散についてお尋ねがありましたが、日本経済の再生を初め内外の重要課題に現在真正面から取り組ませていただいております。迅速的確に施策を実行していくことがこの内閣に与えられた使命であると考えます。改めてこのことに思いをいたすとき、国家と国民のために責任ある政治を実現すべく全力を尽くしてまいる覚悟でありまして、現在解散のことは全く念頭にございません。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
〔国務大臣有馬朗人君登壇、拍手〕