小渕恵三の発言 (本会議)
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○国務大臣(小渕恵三君) 筆坂秀世議員にお答え申し上げます。
まず、個人消費拡大に直結する対策が必要との御指摘がございました。
十一年度予算におきまして、当面の景気回復に全力を尽くすという観点から、個人所得課税の恒久的減税を実施するほか、雇用対策等に最大限配慮いたしておるところであります。
また、消費税率の引き上げを含む税制改革は、少子高齢化の進展という構造変化に税制面から対応したものであり、また、医療保険制度改革は、医療保険制度の破綻を防ぎ、安定した運営を確保していくために、給付と負担の見直し等を行ったものでありまして、これらの改革は、我が国将来にとって極めて重要な改革であったと理解しております。
次に、税制改革につきましてでありますが、これまたしばしば申し上げておるところでありますが、将来の抜本的な見直しを展望しつつ、今回の税制改正は、現下の厳しい経済情勢にかんがみまして、早急に税負担の軽減を図る観点から、期限を定めない恒久的な減税を実施することといたしたところであります。
個人所得課税につきまして、最高税率の引き下げを行うということにいたしておりますが、これは我が国の将来を見据え、国民の意欲を引き出す観点から行うものであります。また、中堅所得者層に配慮し、定率減税には頭打ちを設け控除率をある程度大きくするとともに、扶養控除額の加算等を行うことといたしておりまして、全体としても高額所得者に偏ったものとなっておりません。
なお、定率減税の実施によりまして、単年度比較で見ますと、昨年より減税額が減少する所得階層が生じることは事実でありますが、一年限りで打ち切られる文字どおりの特別な減税と、恒久的に効果が持続する減税を単純に比較することは適当でないと考えます。
法人課税につきましては、我が国企業の国際競争力の発揮、企業活動の活性化の観点から、その実効税率を国際水準並みに引き下げるとの趣旨で、法人税及び法人事業税の基本税率を引き下げることといたしております。また、中小軽減税率等も引き下げることにいたしておりますことは極めて重要と考えております。
したがいまして、今回の恒久的減税が一握りの高額所得者や大企業を優遇したものであるとの御指摘は当たらないと考えており、大規模な減税を一時的でなく期限を定めず継続して実施することにより、消費者や企業のマインドを高め、景気に効果的に作用するものと考えております。
今回の恒久的な減税は、我が国少子高齢化の進展といった経済社会の構造変化に対応した抜本的な見直しを展望しつつ、現下の厳しい経済情勢にかんがみ、早急に所得課税及び法人課税の負担軽減を図る観点から行うものであり、適切なものであると考えております。
直間比率の基準についてお尋ねがありました。
直間比率は、その時々の状況のもとでの税制のあり方を検討する中から結果として出てくる数値でありまして、あらかじめ理想とすべき具体的数値を示し、それに向けて税制改正を行うという性格のものではないと考えております。
なお、OECDが作成されております歳入統計におきましては、課税ベースの種類によって所得課税、消費課税、資産課税等に分類されておりまして、政府税制調査会の答申におきましても、このような分類に従って、所得、消費、資産に対する課税のバランスの国際比較について議論が行われておるところでございます。
高齢化社会と消費税増税との関係についてお尋ねがありました。
消費税率の問題を含む将来の税負担のあり方につきましては、社会経済構造の変化や財政状況などを踏まえ、国民的な議論によって検討されるべき課題であると考えております。
消費税減税についてでありますが、消費税の引き上げを含む税制改正は、少子高齢化の進展という我が国の構造変化に税制面から対応するものであり、我が国の将来にとって極めて重要な改革であったと考えております。消費税に限らず、税は低い方がいいという面はありますが、税、財政のあり方を考えますとき、消費税の引き下げは困難であり、この点は国民の皆さんにも御理解をいただきたいと思っております。
次に、破滅的な財政状況と十一年度予算では、経済再建も財政再建も遠いかなたに追いやるのではないかと大変厳しい御指摘ではございますが、十一年度予算につきましては、当面景気回復に全力を尽くすとの観点から、公共事業や中小企業対策、雇用対策に最大限配慮するとともに、科学技術の振興など、将来の発展基盤を確立する施策も十分に取り入れたものといたしております。
その一方で、財政構造改革の基本的考え方は維持し、限られた財源の中で経費の一層の合理化、効率化を図っておりまして、めり張りのきいた予算配分を行っておると考えております。
私は、これまでたびたび申し上げてまいりましたが、我が国財政は、十一年度末の公債残高が三百二十七兆円にも達する見込みであるなど、極めて厳しい状況にあり、将来世代のことを考えますと、財政構造改革という大変大きな課題を背負っておると痛感いたしております。日本経済が回復軌道に乗った段階におきまして、財政・税制上の諸課題につき、中長期的な視点から幅広くしっかりとした検討を行い、国民の皆様にそのあるべき姿を示さなければならないと考えております。
公共事業の進め方についてお尋ねがありました。
公共事業につきましては、公共投資基本計画や各種の長期計画等を踏まえながら、二十一世紀を展望し、我が国経済の活性化に不可欠な分野について戦略的、重点的な投資を行ってまいります。また、公共事業の効率化を図る観点から、再評価システムの導入等、徹底した見直しも行ってまいりたいと考えます。
全総計画について御指摘がありました。
昨年策定いたしました新しい全総計画、二十一世紀の国土のグランドデザインでは、多軸型国土構造の形成を国土政策の基本として掲げ、多様な主体の参加と地域間の連携により自立した地域づくりを進めることといたしておりまして、今後、長期的な投資余力の減少等も踏まえまして、投資の重点化、効率化を図りながら、この計画を効果的に推進してまいります。
景気対策における公共事業のあり方について重ねて御指摘がありましたが、社会資本の整備は、二十一世紀先導プロジェクトの推進を核といたしまして、民間活力を最大限活用しながら、情報通信、都市・住宅、環境・教育・福祉など、我が国経済の活性化に不可欠な分野につきまして、戦略的、重点的に行うことといたしておりまして、他の施策と相まって、その効果が最大限に発揮されることを期待いたしております。
次に、自治体への巨大開発促進や住民サービス切り捨ての行政指導はやめるべきであるという御意見でありますが、地方団体は少子高齢化社会に向けた総合的な地域福祉施策の推進や、住民に身近な社会資本の整備等の地域の課題に積極的に取り組むことが求められていると認識しております。
一方、現在、我が国経済の厳しい状況によりまして、地方財政が極めて厳しい状況にあることは十分承知をいたしております。そうした意味で、このような地方財政の立て直しのためにも、地方財政の運営に支障が生じないよう十分配慮しつつ、緊急経済対策を初めとする諸施策の実施によりまして、景気を回復軌道に乗せるとともに、住民福祉の向上を図っていくことが必要であると考えます。
次に、外交・安保の問題についてのお尋ねであります。
まず、周辺事態に対する日米協力についてお尋ねがありました。我が国の平和と安全に重要な影響を与える周辺事態に際し、対米協力を行うか否か、いかなる協力を行うかは、我が国が主体的に判断することになります。また、周辺事態における日米両国の行為は、国際法の基本原則、国連憲章等の国際約束に合致するものであることは言うまでもありません。
基本計画の国会承認についてお尋ねがありましたが、基本計画の国会報告は、周辺事態への対応が武力行使を含むものでないこと、国民の権利義務に直接関係するものでないことから、迅速な決定の必要性等も含め、総合的に勘案し、国会に遅滞なく御報告し、議論の対象としていただくことが妥当との考えに基づくものであり、先制攻撃の実効性確保のため国会承認を拒絶しているとの御指摘は当たりません。
米国のスーダン及びアフガニスタンにおける軍事行動に関するお尋ねがありました。
そもそも米国に先制攻撃戦略というものがあるとは承知いたしておりませんが、これらの行動については、米国は継続的、連続的テロに対して国連憲章第五十一条で認められている自衛権を行使したと説明いたしております。我が国自身は本件の当事者でもなく、個々の事実関係について確認することもできませんので、法的評価について申し上げられませんが、テロに対しては断固たる対応をとるべきとの基本的立場のもと、米国がとったテロに対する断固たる姿勢は十分理解いたしておるところであります。
米国のグレナダ、リビア及びパナマにおける行動についてお尋ねがありました。
米国は、これらについて在外自国民保護、自衛権の行使等の説明を行っておりますが、我が国としては、国連憲章のもと、違法な武力行使を慎む義務を負っている同盟国たる米国が違法な武力行使を行うことはそもそも想定いたしておりませんが、これらの行動について、我が国は当事者でもなく、すべての事実関係を把握しておるわけでありません。確定的な法的評価を申し上げることはできません。
次に、新アジェンダの決議についてのお尋ねがありました。
同決議は、支持できる部分は多かったものの、やや行き過ぎた点、時期尚早な点があり、棄権をいたしました。なお、同決議は核先制不使用には触れておりません。
また、周辺事態において我が国がいかなる活動を実施するかについては、国益確保の見地から我が国が主体的に判断を行ってまいりたいと思います。
次に、北東アジア非核地帯条約の制定についてでありますが、同地域におきましては、非核地帯条約実現のための現実的環境は残念ながらいまだ整っていないと考えております。我が国といたしましては、まずは北東アジアの安全保障環境改善のため、域内の安全保障対話の促進の努力を継続してまいりたいと考えております。
次に、高知県の条例についてお尋ねがありました。
外国軍艦の寄港について、高知県より外務省に対し、同県が検討している条例改正案に関連して照会がありましたので、外交関係の処理に当たる事務が地方公共団体によって制約されることがあってはならないとの従来よりの政府の考え方を踏まえ、先般、同省より回答いたしたものでございます。
この回答が不当な圧力であるとの御指摘は当たりませんし、また、これは当時の中曽根総理の一連の答弁、すなわち一連の答弁を実は筆坂議員からも御紹介をいただきませんと、この中曽根総理の一連の答弁を見ますと、その趣旨にも符合いたしておると私は理解をいたしておるところでございます。
最後に、米国による核兵器の持ち込みについてのお尋ねでありました。
日米安保条約上、いかなる核の持ち込みも事前協議の対象でありまして、核の持ち込みにつきましては、事前協議が行われる場合には、政府といたしまして常にこれを拒否する考えであります。非核三原則を堅持するとの我が国の立場は、日米防衛協力のための指針策定後も何ら変わるものではありません。
以上、御答弁といたします。(拍手)