小渕恵三の発言 (本会議)
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○国務大臣(小渕恵三君) 梶原敬義議員にお答え申し上げます。
冒頭、議員から、二十一世紀の日本が目指す理念といたしまして、平和と民主主義、経済の発展と心の豊かさの調和、人々の多様な個性を生かす社会、そして循環型社会などを挙げられた上で、感慨につきましてお尋ねがございました。議員の御主張に私といたしましても大いに共感を覚えるものであります。
私は、内閣をお預かりいたしまして以来、事あるごとに、目指す国の姿として富国有徳ということを申し上げてまいりました。私は、高い志を持った国家でなければ、豊かな国であり続けることは不可能である、こうした観点からこのことを主張させていただいております。
こうした基本的な考え方に基づきまして、私といたしましても、二十一世紀のあるべき姿を有識者の皆さんとともにこれを検討し、次の世代に引き継ぐべき指針をまとめさせていただき、そして国会におきまして、このことを御議論いただけたらありがたいと考えております。
次に、グローバルスタンダードというものにつきましてお話がございました。
この点につきましては、グローバルスタンダードはアングロサクソンスタンダードではないか等々のいろいろ御批判もお聞きをいたしますが、世界に通用する世界的なスタンダードというものについては、私どもこれも大切なものとして取り組まなければならないことはあろうかと思います。
ただ、世界の流れの中で、御指摘のように社会民主主義の流れがヨーロッパ等におきまして大変多くなっておりまして、EU諸国でも第三の道を掲げる英国のブレア政権など、また、ドイツにおける社会民主党主導の連立政権等、中道左派と言われる政権が多数となっていることは承知をいたしております。さきの訪欧におきましても、競争力を維持しつつも公正さや人間らしさを重視する、こうした考えが主流になっておることは実感いたしております。
次に、新保守の理念についてのお尋ねもございました。
私は、今般の連立内閣の発足に当たりまして、記者会見におきまして、新しい保守の理念を持って両党がともに協力をし合う旨お話を申し上げました。私が申し上げましたのは、新しい保守の理念は、両党の連立に当たりまして合意文書など示されておることを、その趣旨を申し述べ、その実行を誠実に履行していきたいということの中で、このことを申し上げさせていただきました。
そもそも、保守の本質というものにつきましては、いろんな見方もあるかと思いますが、単なる現状肯定でなく、また現状維持であるのでなくして、英国の政治思想家エドモンド・バークの言っておられますように、漸進主義に代表されることでありまして、よき伝統や秩序を維持しつつも常に創造や進歩を求め現状を改革していく、このことをその機会に強調させていただいたものでございます。
議員御指摘のように、今回の連立によりまして、参議院において両党合わせても過半数に満たないことは厳然たる事実でございます。ただ、今回の連立がそもそも数合わせを目的とするものでないことは私がたびたび申し上げさせていただいておるところでございます。したがいまして、政局の運営に当たりましては、基本的理念、政策で一致した強固な基盤を持つ両党の連立を基軸といたしますが、国家国民のために何をなすべきかとの政治原点に立ちまして、各党各会派に協議、協力、連携をお願いし、国政のこの難局に当たってまいりたいと思います。何とぞ御協力をお願いいたす次第であります。
次に、日米防衛協力のための指針関連法案に関する日米間のやりとりについてお尋ねがありました。
先般訪日いたしましたコーエン国防長官からも、指針関連法案の整備は、日本の国会が決定するものと認識している旨発言があり、内政干渉とは考えておりません。
なお、当方より、今通常国会におきまして早期に成立、承認を得られるよう最善を尽くしたい旨説明申し上げたところであります。
周辺事態の定義についてお尋ねでございましたが、これまた周辺事態とは、我が国の周辺地域における我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態であり、あくまでもその事態の規模、態様等を総合的に勘案して判断するものでありまして、したがいまして、その生起する地域をあらかじめ地理的に特定しあるいは一概に画定することはできないことは御承知のとおりであります。
このような政府の考え方について、今回、連立政権発足後も変わりはございません。
自衛隊による他国軍に対する後方支援についてお尋ねがありました。
周辺事態安全確保法案に基づいて実施することを想定いたしております後方地域支援は、米軍に対するもののみでありますが、それ自体は武力の行使に該当せず、また米軍の武力の行使との一体化の問題が生ずることも想定されないものであります。したがいまして、憲法との関係で問題が生ずることなく、集団的自衛権の行使につながるものでもありません。
船舶検査活動についてお尋ねがありましたが、周辺事態安全確保法案に定める船舶検査活動は、国連安保理決議に基づき、経済制裁の実効性の確保を目的として、同法案に規定される範囲内において、船舶の積み荷の検査、確認等を行う活動であり、憲法の禁ずる武力の行使または武力による威嚇には当たらず、憲法上の問題となることはないと考えております。
多国籍軍への後方支援についてでありますが、政府としては、我が国として武力を行使せず、かつ、対象となるいわゆる多国籍軍の武力の行使と一体化することのないこれまでの憲法解釈を維持しつつ、具体的ケースに即し、後方支援のあり方を判断してまいる考えであります。
次に、PKFの本体業務への参加についてのお尋ねがありましたが、我が国がいわゆる五原則に沿って立案された国際平和協力法に基づき国連の平和維持隊に参加することは、憲法第九条に違反するものでもありません。
いずれにしても、我が国が国際社会への応分の貢献を行うことは当然であり、PKF本体業務の凍結解除を含む国連の平和活動への一層の協力につきまして、国会はもとより国民各位の御理解をいただきつつ、積極的に進めてまいりたいと考えております。
次に、憲法観についてお尋ねがありました。申すまでもありませんが、憲法の基本的原則であります民主主義、平和主義あるいは国際協調主義、基本的人権の尊重の理念を高く評価し、この理念を将来にわたって堅持すべきものと考えます。内閣総理大臣として、憲法第九十九条に基づき、この憲法を尊重し擁護することは当然であり、従前同様、今後ともこのことを遵守してまいる所存でございます。
次に、BMDと国会決議に関するお尋ねでございました。
もとより、国会決議の有権解釈は国会においてなされるべきものでありますが、政府といたしましては、近年の弾道ミサイルの拡散状況や、BMDシステムが純粋に防御的かつ他に代替手段のない唯一の手段であることを踏まえますれば、BMDシステムに関する我が国の取り組みは、本件国会決議の趣旨及びそのよって立つ平和国家としての基本理念に沿ったものであり、国民各位の御理解をいただけるものと考えております。
また、BMDは純粋に防御的なシステムであり、本来的に軍拡競争を引き起こしたり、地域の平和と安定に悪影響を与えるものでなく、我が国としては今後ともこの点につき、御指摘もありましたが、できる限り透明性を確保して、しかるべき安心をいただけるように努力をいたしていきたいと考えております。
北朝鮮に関するお尋ねでありました。
韓国の太陽政策あるいは包容政策と申されますか、これは、私も金大中大統領としばしば会談する機会がありますが、常に申されておることは、韓国としても、安保体制をしきつつ、北朝鮮との間で和解と協力を積極的に進めるということであると認識をいたしておりまして、私は、また我が国はこれを支持いたしておることは申し上げておるとおりであります。
我が国として、北朝鮮が改革・開放をとることを期待いたしており、また、北朝鮮が国際的懸念や日朝間の諸懸案に建設的な対応を示すものでありますれば、対話と交流を通じ関係改善を図る用意のあることは、しばしば申し上げておるところでございます。
次に、雇用対策についてのお尋ねでありました。
政府全体の取り組みといたしまして、百万人規模の雇用の創出・安定を目指し、雇用活性化総合プラン等の対策を強力に推進し実行し、国民の雇用不安を払拭し、再び希望と活力にあふれた経済社会をつくり上げていかなければならないと強く決意いたしておるところであります。
三十人学級の実現につきましては、現在、児童生徒一人一人の個に応じた多様な教育を展開するための第六次教職員配置改善計画を推進いたしておるところでありまして、この計画の完成に向けて最大限努力してまいります。
次に、貸し渋りの問題であります。この貸し渋りに関して、金融機関への対応について御指摘がございました。
金融機関に対しましては、明確なルールに基づく透明かつ公正な金融監督行政を行うことといたしており、貸し渋りに対する監視体制の強化を進めるとともに、金融機関について法令違反等がある場合には、厳正に対応していく方針であります。
また、信用保証協会等の保証制度の拡充、早期健全化法による新たな資本増強制度の創設、政府系金融機関による中小中堅企業等に対する融資制度の拡充などの措置と相まって、貸し渋り対策にはなお万全の体制を整えてまいりたいと思っております。
次に、税制改正でございますが、これまたしばしば御答弁申し上げておるところではございますけれども、将来の抜本的な見直しを展望しつつ、現下の厳しい経済情勢にかんがみて、早急に税負担の軽減を図る観点から、期限の定めない恒久的な減税を十二年度におきまして実施させていただくことといたしたところでございます。
個人所得課税につきましては、最高税率の引き下げを行うこととしておりますが、これは、我が国の将来を見据え、国民の意欲を引き出す観点から行うものであります。また、中堅所得層に配慮し、定率減税に頭打ちを設け控除率をある程度大きくするとともに、扶養控除額の加算等を行うことといたしており、全体としては高額所得者に偏ったものとなっておらないと考えます。
なお、定率減税の実施によりまして、単年度比較で見ますと、昨年より減税額が減少する所得階層が生じることは事実でありますが、一年限りで打ち切られる文字どおり特別な減税と、恒久的に減税効果が持続する減税を単純に比較することは適当でないと考えます。
法人課税につきましては、基本税率を引き下げるとともに、中小軽減税率等も引き下げることといたしております。
したがいまして、今回の恒久的な減税が企業重視、高額所得者を優先したものであるとの御指摘は当たらないと考えており、大規模な減税を一時的でなく期限を定めず継続して実施することによりまして、消費者や企業のマインドを高め、景気に効果的に作用するものと考えております。
次に、飲食料品にかかる消費税についてお尋ねがございました。
消費税は、少子高齢化の進展に対応し、消費一般に広く公平に負担を求める税として創設されたものであり、また、対象となる品目の範囲を合理的に定めることは困難であることなど、さまざまな問題があることから、飲食料品にかかる消費税に関して特別な制度を設けることにつきましては、慎重でなければならないと考えております。
この点につきましては、いわゆる付加価値税を導入しておる国々におきましても、こうした形でそれぞれ税率につきまして変化のあることは承知をいたしておりますが、それぞれの国も税率そのものは相対的に一〇%を超えるような税率の中でいろいろ調整をされておるということは承知をいたしておりますが、我が国といたしましては、申し上げましたように、現段階では慎重に考慮しなければならない問題だと思っております。
年金に関する御質問でありましたが、今後、少子高齢化の進展に対応するため、給付と負担の均衡を確保し、将来世代の負担を過重なものとしないことが必要であると考えます。こうした観点から制度改革に真剣に取り組み、信頼のできる安定した制度を確立してまいらなければならないことは当然のことと考えております。
介護サービスの基盤整備についてお尋ねがありました。
新高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆる新ゴールドプランは、全国の地方自治体が要援護高齢者の実態を踏まえて作成した老人保健福祉計画の集大成であります。この新ゴールドプランの着実な推進によりまして、介護サービスの利用を希望する者に対して介護サービスの利用を確保できるよう、これまた引き続き努力してまいります。
次に、男女共同参画社会基本法についてでございます。
昨年十一月に男女共同参画審議会からいただきました答申におきまして、基本法には、性別による差別的取り扱いの禁止等の基本理念、これに反する人権侵害の救済のため必要な措置を講ずる旨盛り込むことが適当と提言されております。政府といたしましては、同答申の趣旨を踏まえ、法案の検討を進めておるところでございます。
民法改正についてお尋ねがありました。
選択的夫婦別氏制度の導入についてでありますが、婚姻制度や家族のあり方とも関連する重要な問題として、国民や関係各方面の意見が現在分かれておる状況にありますので、国民各層の御意見を幅広く聞き、また、各方面における議論の推移をも踏まえながら、適切に対処していく必要があると考えております。
次に、エネルギー対策につきましてでありますが、かねて梶原議員、新エネルギーの問題につきまして深い造詣をお持ちになり、また御主張をされてこられたことに敬意を表しておりますが、そこでお尋ねの点について、地球環境問題への対応及びエネルギーセキュリティーの観点から極めてこれまた重要であり、このため平成九年度に資源エネルギー庁に石炭・新エネルギー部を創設し、取り組みも強化いたしておるところであります。
議員御指摘のように、予算面でのことをお取り上げなされましたが、確かに平成十一年度におきまして、平成十年度に比べて百二十六億円増額の八百七十五億円を盛り込んでおります。当初が少なかったからというお話もございますが、このエネルギー問題を極めて重要な課題として取り組み、このように額としてはかなりパーセンテージの高い率でこの予算を組ませていただいておりますので、これを積極的に活用して、新エネルギー問題につきましても、一層努力を傾注してまいりたいと思っております。
次に、食糧問題についてお尋ねがございました。
世界の食糧需給につきまして、長期的に逼迫する可能性もあると見込まれる中で、食糧を安定的に供給することは国の基本的責務であります。このため、国内生産を食糧供給の基本に位置づけるという考え方のもとに、自給率目標の策定につきましては、消費者ニーズに応じた国内生産の可能な限りその増大を図るという方針で取り組んでまいりたいと思っております。
最後に、少子化問題についてお尋ねがございました。
少子化の進行は、社会経済に深刻な影響を及ぼすことが予想され、私といたしましても、家庭や子育てに夢を持てる環境の整備は、社会全体で取り組むべき重要な課題であるとの認識のもとに、真摯に取り組みを進めてまいりました。
橋本前総理のもとで設置されました少子化への対応を考える有識者会議から、先般、私、具体的施策にかかわる提言をお受けいたしました。今後はこの問題に適切に対応すべく閣僚レベルでの体制をまず整備し、政府が一体となって総合的に取り組んでまいりますとともに、各界関係者の参加を得まして、できれば国民会議というようなものを設けさせていただき、国民的な広がりのある取り組みを全力で進めてまいりたいと思います。
国家百年の大計として三つのことをお触れになられましたが、いずれも同じような私、考えでございまして、長きにわたっての課題でありますが、まず第一歩からというつもりで取り組ませていただきたいと思っております。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
〔国務大臣野田毅君登壇、拍手〕