吉川芳男の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○吉川芳男君 私は、自由民主党を代表して、施政方針演説等四演説に対して、今国会の重要な課題として行政改革を初め経済、金融、農業、社会保障等について、総理並びに関係閣僚に質問いたします。
 まず最初に、行政改革についての諸問題についてお尋ねいたします。
 経済社会の急速なグローバル化の進展を受けて、今や国家のシステム改革を迫られるほどのかつてない大競争時代が到来しております。また、国内では、デフレ不況や少子高齢化の進行など内外環境の激変の中で、我が国が今国家的危機にあることは共通認識となっております。
 暗雲たなびく我が国にあって、二十一世紀に向け明るい展望を切り開くべく、政府においても我が国の持続的発展のための構造改革の一環として行政改革を目下急ピッチで推進されております。やはりその目指すところには、改革の牽引力となる新たな国家目標、国家像とも言うべきが必要であろうと存じます。
 中央省庁半減構想の具体化という難事業を引き継がれた小渕総理が、確固たる建設的な意思を持って、内外に対し、改めて行政改革の目標を鮮明にされることは、大きな意義があるものと存じます。総理は、省庁縦割り打破を先取りする形で、直属のバーチャル・エージェンシーなる意欲的な構想に取り組んでおられます。行革は我が国の構造改革の先導役となるものでありますので、二十一世紀に向け行政改革を通じてどのような国家を構築していきたいとお考えなのか、行革の取り組みの決意とあわせ御披露願いたいのであります。
 中央省庁等改革基本法に基づく行政新体制移行には、内閣法や国家行政組織法、各省設置法等の法令改正を初め、行政効率化の目玉である独立行政法人の対象選定等について、今月末に中央省庁等改革大綱として決定し、これを法制化する等大きな山場に差しかかっております。
 この具体化の過程で、役所側の抵抗はより激化しているやに報道されておりますが、ここで後退することは決して許されないのであり、我々政治家が改革に寄せる強い信念を堅持しつつ、官主導から政治主導へという行政改革の基本理念に立って、指導力を発揮していくことが肝要であります。
 陣頭指揮に立って、この重大な任に当たられている総理には、その姿勢が強く求められるところであり、総理御自身、行革スケジュールは決して後退させないとの決意を表明しておられます。特に、行政スリム化のわかりやすい尺度である国家公務員の定員削減について、二〇%削減を明言されております。これを達成するためには、新規採用を抑制しつつ、民営化や地方分権、そしてスリム化の切り札として期待されている独立行政法人への移行等を積極的に推進していくことが不可欠であります。そして、この推進状況いかんによっては、さらに削減目標を上乗せすべきだと考えますが、国家公務員定数の削減幅について、独立行政法人化による削減の見通しとあわせ、総理に御見解を伺います。
 次に、経済・金融問題についてお尋ねいたします。
 バブル崩壊後、金融機関の不良債権の処理のおくれから、日本経済はかつて経験したことのないような事態が続いております。護送船団方式のもと、都市銀行や大手の証券会社が倒産するなどとは考えられないことでありました。しかし、荒々しい市場経済や短期間で大量の資金が世界を駆けめぐる時代に、日本の金融システムでは対応できなくなり、その結果、金融機関の貸し渋り、資金回収等が起こり、多くの企業が資金繰りに窮し倒産に至るというように、金融不安が今日の日本経済の不況の大きな要因であると言えます。
 このような状況に対処するため、国による資本増強を積極的に行うとともに、今後、金融機関は金融監督庁の金融検査マニュアルに従って、客観的な資産の自己査定や定量的な基準での不良債権の償却、引き当てを行うことが検討されております。
 さらに、金融再生委員会は、先日発表した運営の基本方針の中で、早期の不良債権処理や業務の見直し、経営の合理化、再編成を前提とした資本注入や不健全銀行の市場からの撤退をも視野に入れた金融システムの再構築のための方針が示されました。このような対策によって金融システムが信頼を回復し、中小企業等への貸し渋り解消が図られ、金融機関本来の機能を回復するとお考えなのか、金融再編や社債発行による直接金融の拡大の見通しとあわせて、金融再生の展望について総理にお尋ねいたします。
 また、住宅金融債権管理機構の中坊社長は、銀行経営者がけじめをつけないなら日本再生は不可能と言い切ったように、金融機関は本来の使命を果たし、責任を明確にすることが内外の信認を得る上で重要であります。破綻した長銀や日債銀が不良債権隠しに受け皿会社を設立し、いわゆる不良債権の飛ばしや粉飾決算、有価証券報告書の虚偽記載等の疑いが持たれており、金融機関としての公的な使命から見ても旧経営陣に大きな責任があることは明らかであります。一般論として、金融機関の責任のあり方についてどのようにあるべきとお考えか、総理にお尋ねします。
 私ども自由民主党は、政府と協力して金融対策と並行して減税や社会資本整備を中心とした景気対策を講じてまいりました。また、平成十一年度当初予算も景気対策に軸足を置いた内容となっており、先月成立した十年度第三次補正予算と合わせて十五カ月予算を編成し、切れ目のない景気対策を行うことによって〇・五%のプラス成長を見込んでおります。日本経済がはっきりとプラス成長になるには機動的、弾力的な経済運営を大胆に行うことが必要であり、今ほど総理の指導力を求められているときはありません。
 総理に経済運営に対する基本的なお考えをお伺いすると同時に、先行き不透明感を払拭するためにも、日本経済を今後どのようにしていく、そのためにはこのようなことをするという日本経済再生への道行きを、新しい産業の展開、ベンチャービジネスの育成も含め、国民の前に明らかにしていただきたいのであります。
 次に、景気回復に一番期待されている減税は、実施が早ければ早いほど効果の大きいものだと思います。法人税は四月からの実施、一月から三月までの所得税の減税分は夏のボーナスでの処理と聞いておりまするが、可及的速やかな実施ができるよう政府に要望しておきます。
 次に、今までの景気対策は、公共事業による内需拡大や金融システム安定化を中心に対策が講じられてきました。しかし、景気回復には、日本の産業を支える製造業が活性化することが重要であることは異論のないところでありましょう。それがひいては雇用の創出や景気回復につながるものであります。
 総理は、年頭の記者会見で、経済再生の安心の中で、製造業の底力は国際的に見ても強く、日本経済の再生に疑いはないと述べられました。企業が世界を選ぶボーダーレスの中で競争している製造業を活性化させるために、規制緩和を積極的に進め、日本産業の高コストの体質を一日も早く是正することが製造業の底力を確固たるものとし、飛躍させるものと信じます。経済構造改革に取り組む総理の決意についてお尋ねいたします。
 また、堺屋経済企画庁長官は、かすかに新しい胎動が感じられる、底打ち感が出ていると感想を述べられておりますけれども、具体的にはどういうことなのか、経済企画庁が所管されている景気動向指数にはどのような形であらわれているのか、わかりやすく説明をお願いいたしたいと思います。
 次に、景気動向、特に長期金利の上昇が経済に及ぼす影響についてお尋ねいたします。
 需給ギャップが大きく、民間主導による景気回復は当面見込まれないことから、財政主導による景気回復が避けられず、積極財政に取り組んだ結果、大量の国債発行につながり、長期金利が上昇してきております。
 このように、大量の国債発行を伴う財政主導による景気対策は、財政の悪化をもたらし、長期金利の上昇等の影響も出てきておりますので、一日も早い民間主導による景気回復へ移行していくことが必要であると思います。経済界の中には、数次にわたる経済対策を評価し、政府の景気対策による需要創出をいつまでも望めるものではなく、これからは民間が頑張って経済を支えていかなければならないという元気ある意見も聞かれるようになりました。
 ただ、当面の問題として、長期金利の上昇傾向が強まると、景気回復の大きな柱である設備投資や住宅建設に大きな影響が出るのではないかと懸念されますが、見解を経済企画庁長官にお伺いいたします。
 ユーロの問題についてお尋ねします。
 ことしの一月一日に域内人口約三億人、総生産が六兆三千億ドルに達し、アメリカの人口、経済に匹敵する経済を背景とする統一通貨が誕生したわけであります。
 そこで、中国や東南アジアの経済、さらに、アメリカ経済の動向、また、ヘッジファンド等の短期資金が日本のみならず世界の市場を駆けめぐって相場を乱している状況があり、世界経済の今後を見通すことは大変難しいかもしれませんが、ユーロが世界経済に与える影響をどのように見ておられるか。さらに、市場のことは市場に聞くしかないわけですが、現在の円高に推移する為替や、円高に伴う株安が日本経済に与える影響をどのように認識されておられるか、経済企画庁長官にお尋ねいたします。
 次に、中小企業対策についてお伺いします。
 金融システム不安による信用収縮、いわゆる貸し渋りや資金回収に、経営規模が小さく資金力の弱い中小企業は厳しい経営環境に置かれております。
 雇用者の七八%、事業所数の九九%に達する中小企業は、日本経済を支えていると言っても過言ではなく、中小企業対策をしっかりすることが一番の景気対策であると私どもは認識し、国民金融公庫等の政府系金融機関の融資枠の拡大や信用保証協会による保証枠の拡大等の対策をとってまいりました。さらに、十一年度予算においても金融対策、新規雇用創出支援や経営革新のための支援等に重点化した予算内容になっております。
 その効果が期待されているところでありますが、しかし残念なことに、昨年の暮れに旧債の振りかえに千載一遇のチャンスであるという通達を出した銀行があらわれたことが明らかになり、まことに残念なことであり、また怒りを覚えるものであります。このことは何もこの銀行に限ったことではなく、多くの銀行でも行われているのではないかとささやかれておりますが、実態はどのようになっているかを調査していただき、この上とも適切な対応をしていただきたいと思いますが、総理にこの点について御答弁を願います。
 次に、農業問題についてお伺いします。
 世界の人口は現在の五十九億人から二〇一〇年には六十九億人、さらに二〇二五年には八十億人と大幅に増加し、加えて砂漠化の進行を初め、地球温暖化、酸性雨等による地球環境の悪化により農業生産に悪影響が及び、世界の食糧は来世紀には大きく不足することが心配されているのであります。現在においても世界で八億人余りの人々が栄養不足に直面し、食糧支援等が行われておりますが、将来、世界の食糧事情が一層深刻化する中で食糧の安全保障は不可欠となり、民族の生命線ともなることは必定であります。
 我が国の農業、特に稲作については、九四年から九七年までの四年続きの豊作やミニマムアクセス米の輸入増加等により、米の在庫が急増するとともに、生産調整目標面積は九十六万三千ヘクタールと全国水田面積の約三五・五%にも達しています。生産性向上に生き残りをかける米の主産地においては規模拡大が困難となり、生産調整への不満が高まるとともに、将来の稲作経営に展望が見出せない状況に追い込まれています。
 政府は、累増するミニマムアクセス米の輸入について次期WTO交渉を有利にし最小限に抑えていくために、米の従量税方式による関税化に踏み切り、昨年暮れにWTOに通告したところであり、また、新しい農業基本法の制定に向けた農政改革大綱を決定し、国内農業生産の維持拡大、担い手の確保、育成等へ向けて具体的対策の検討が急がれているところであります。
 この大綱には、中山間地域等の条件不利益地域への直接支払いの導入等の課題の具体化が打ち出されており、また、主な生産物について到達可能な国内生産水準を生産努力目標として策定するとしています。この中で、日本の食生活や農業の根幹をなす稲作については、特に生産性の向上、良質米の生産、後継者の確保等について画期的な対策を打ち出し、稲作を初め農業経営者が将来に明るい希望を持って営農にいそしむようにしていかなければなりません。主要農産物の生産努力目標について、新しい基本法においてどのように位置づけ、自給率向上のための実効性をいかに確保していかれるのか、農家の期待にこたえられるよう農林水産大臣に答弁をお願いいたします。
 次に、社会保障問題についてお尋ねいたします。
 今、社会保障問題の抜本改革が求められております。我が国は今後急速に少子高齢化社会を迎えるとともに、社会保障費の増加が予想されている一方で、経済の低成長率の長期化、財政構造の悪化が避けられない状況にあります。二〇〇八年ごろから人口は減少に向かい、潜在成長率が二%程度にとどまる環境のもとでは、戦後の高成長を前提にした社会保障制度を初め多くの制度は変革を余儀なくされるでしょう。
 社会保障構造改革は、橋本六大改革の一環として進められてきました。年金、介護、医療など全般にわたる改革であります。このうち介護保険制度については、二〇〇〇年四月より実施される運びであり、構造改革の第一歩と評価できます。今後、介護サービスの供給体制の整備などが着実に推進されるよう期待します。
 そこで、まず総理に、社会保障改革の進め方についてお尋ねいたします。
 将来想定される経済社会環境の中で、国民の需要の多様化を考慮すれば、基礎的、基盤的な需要に対しては、公的な給付、サービスを保障し、需要の多様化の部分に対しては、民間の仕組みをなるべく導入していく方途が適切だと考えます。つまり、公的なセーフティーネットを盤石なものとするとともに、各人の生活態様に応じた要求については、民間の手できめ細やかに対応する総合的な体制を構築することです。
 同時に、社会保障財政に関しましても、年金支給や医療費の構造的な増加など、厳しい財政事情が予想されているだけに、収入支出両面にわたる改革が必要であります。総理は、将来の社会保障のあるべき姿をどのように認識され、それに向けた改革をどのように実行されるか、お伺いいたします。
 次に、年金問題に関して具体的に伺います。
 来年度に予定されている厚生年金、国民年金保険料の引き上げが凍結されたことは、景気の現状に配慮した適切な判断であったと評価します。ただ、その一方では、年金財政悪化の問題が生じます。この点に関して、経済戦略会議は昨年末の中間取りまとめの中で、基礎年金部分の税方式への移行、報酬比例部分の三十年後の民営化など斬新な改革案を提示しています。そこで、厚生大臣には、来年度の年金制度改正をどう進められようとしているのか、お伺いします。
 加えて、高齢化社会の進行に伴う年金財政の悪化に対処するため、長期的な年金制度をどのように描かれているのか、確定拠出型年金の導入など民間手法の活用も含めて、政策認識をお聞かせください。
 薬価制度についてお伺いします。
 先般、医療保険福祉審議会は、現行の薬価基準制度にかえ、高額な薬については保険給付に上限を設ける、いわゆる参照価格制度の導入による薬剤使用の適正化、薬剤費の効率化を提唱していました。しかし、関係団体等の中には反対意見があり、今後の議論の詰めが待たれるところであります。厚生大臣に、薬剤給付制度の改正に関する認識をお伺いします。
 最後に、総理に一言申し上げます。
 総理は、就任以来、短期間に景気対策、首脳外交等に懸命に取り組まれ、着々と成果を上げられ、最近の世論調査でも評価が高まりつつあります。
 これからは、自由民主党と自由党との新たな連立政権により、かつてなく多難な事態を乗り越えていかなければならず、私どもも全力を尽くして取り組むつもりでおりますが、総理におかれましては、有言実行のもと、大局に立った指導力をさらに発揮していただくよう御期待申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 114515254X00319990122_030

発言者: 吉川芳男

speaker_id: 4743

日付: 1999-01-22

院: 参議院

会議名: 本会議