藁科滿治の発言 (平成十一年度一般会計予算外二件両院協議会)

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○藁科滿治君 参議院側が平成十一年度一般会計予算ほか二件を賛成少数で否決した議決の趣旨を申し上げます。
 否決の第一の理由は、所得税減税が金持ち優遇減税となっていることであります。
 我が国経済は、二年連続のマイナス成長という未曾有の不況に陥っており、今なお景気回復の確たる兆しは見えておりません。中でも、GDPの六割を占める消費は一昨年来大きく落ち込んでおり、今、消費の回復こそが何より求められています。
 政府は今回、四兆円の所得税減税を行うこととしていますが、その規模は前年までの特別減税と同じで、しかも、減税が最高税率の引き下げと定率減税方式によって行われるため、サラリーマン世帯の大半を占める年収八百万円以下の世帯では前年より逆に増税となっております。これでは、消費回復どころか消費の冷え込みを助長するものであり、今なぜこのような施策を実施しようとするのか全く理解できません。国民の大多数を占める中低所得者が減税の恩恵に浴するような措置を講ずべきであります。
 否決の第二の理由は、雇用対策や社会保障制度改革といった国民の将来不安を払拭する施策が極めて不十分なことであります。
 現下の不況の最大の要因は、雇用や年金・医療制度に対する国民の将来不安にあります。政府は昨年、百万人の雇用創出を掲げて雇用活性化プランを策定し、本予算にもその経費を計上しておりますが、その内訳は、新規雇用がわずか三十七万人で、あとの六十四万人は雇用の維持であります。既に失業者数が約三百万人に上っていることから見ても、雇用の現状への対応として不十分なことは明らかであります。政府は先日、新たに分野別に七十七万人の雇用創出目標を決定いたしましたが、数字の根拠や実現性も依然乏しく、国民の雇用不安の解消は到底望めません。昨年来、企業の大幅な人員削減を含む大規模なリストラ計画の発表が相次いでおり、今後さらに雇用環境が厳しさを増すことは必至で、雇用対策予算、施策の大幅拡充は不可欠であります。
 また、年金制度改革についても先送りの姿勢が目立ち、国民の不安は解消されるどころか、さらに高まっております。景気対策の観点からも社会保障の充実が求められており、基礎年金への国庫負担の増額などの措置を講じ、一刻も早く年金制度の安定化を図ることが必要であります。
 否決の第三の理由は、行政改革への積極的な取り組みが見られないことであります。
 公務員定数の削減は前年より百人も少なく、独立行政法人化も先送りが目立っております。加えて、特殊法人の整理合理化についても、役員数の削減、役員の退職金の見直しはほとんど進んでおらず、機関の統廃合も統合前と統合後の予算や定員がほとんど変わらないなど、単なる数合わせに終わっています。一刻も早く行政のスリム化を実現するために、本予算において行政コストの削減を目に見える形で示すべきであります。
 否決の第四の理由は、消費税の福祉目的税化を法律ではなく予算総則によって規定していることであります。
 税の目的税化は、本来、法律をもって規定するのが当然であり、これまでも、道路財源となる揮発油税や電源立地対策等に充てられる電源開発促進税など、いずれも法律によってその旨が明記されております。しかし今回、政府は予算総則に消費税収の使途として、基礎年金、老人医療などの福祉予算を掲げるだけで、何ら消費税法の改正を行わずに目的税化を行おうとしております。予算総則への記載のみで目的税とした例は戦後一遍たりともなく、法律改正を怠り、単年度限りの予算総則への記載のみで対応しようとする場当たり的なやり方は、決して認められません。
 否決の第五の理由は、公共事業等予備費を計上していることであります。
 予備費は、その使い道について事前に国会の承認を受けないことから、例外的かつ制限的に考えるべきものであります。しかし、本予算には、予備費三千五百億円に加え、公共事業等予備費として公共事業費全体の約五%に及ぶ五千億円もの予算が計上されております。こうした予算がどうしても必要ならば、公共事業費として計上するか、補正予算で対応することでその使途を国会の事前議決に付すべきであります。政府に使い道を白紙委任するに等しい公共事業等予備費の安易な計上は、財政民主主義の点から、絶対に認められません。
 否決の理由はこのほか広範多岐にわたりますが、両院協議会としましては、参議院側が指摘した平成十一年度予算に反対する諸事項を除去することによって、平成十一年度予算三案が成立できるよう御協力、御賛同いただきたくお願い申し上げる次第であります。
 以上でございます。

発言情報

speech_id: 114525141X00119990317_004

発言者: 藁科滿治

speaker_id: 20635

日付: 1999-03-17

院: 両院

会議名: 平成十一年度一般会計予算外二件両院協議会