寺内一秀の発言 (中小企業対策特別委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○参考人(寺内一秀君) ただいま御紹介いただきましたニッショー機器株式会社の寺内でございます。
 このたびの審議に対する参考人発言の機会を設けていただきましたことをお礼申し上げる次第でございます。
 なお、この参考人に選ばれましたのが十日の夕刻でございまして、三日間各種法律をいろいろ勉強させていただきましたが、浅学非才のため間違ったことや的外れなことを申し上げる可能性もございます。そこら辺は平にお許しいただきたく、日ごろ私が思っていることを率直に申し上げさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
 本国会は中小企業国会と位置づけられ、審議されている法案は、中小企業の中でもとりわけ我々のようなベンチャー、いわゆる零細中小企業にとりましては、資金調達、人材確保の新たな道を開き、またアントレプレナーの諸氏につきましては起業への大きな励みになると理解でき、大変ありがたく思っている次第でございます。
 私の場合なんですが、私は実は独立するプロセスにつきましては、言ってみれば強制スピンアウトみたいなものでございまして、前に勤務しておりました、サラリーマンで勤めておりましたが、その会社がある日突然倒産、破産いたしまして、何とそれが私どもの長女が生まれた翌月の昭和六十一年の十月に倒産してしまいました。社長が逃げ、経理が逃げという中で、翌六十二年に今の会社を設立いたしました。破産管財人の手伝いをしていたということと、もともと開発に携わっていたということで、やってみないかというふうな話もあり、有志八名と会社を設立したわけでございます。
 今創業十三年目の、ちょうどサーティーンのティーンエージャーに入ったばかりのローティーンの会社でございます。創業二十年目には株式の公開をしたいと思いまして、二十年の経営計画をつくっていろいろと銀行回りとかこういうふうなことをしたわけでございますけれども、創業時には金融機関にもなかなか相手にしてもらえず、また各種の制度融資を申し込むすべといいますか、そういうものがあるということすらサラリーマン生活を送っておりますと知らなかったものでございまして、できなかったわけでございます。
 たまたまサラリーマン時代に知り合ったお二方の社長さんが困っているんやったら金貸したるわということで、実態は一億円ずつ、返してくれたらええということでお借りいたしまして、それが今の私どもの立ち上がり資金になった次第でございます。今こうしてここにおることができますのもその方たちのおかげだと、厚く今感謝している次第であります。
 私どもの会社につきまして、会社の概要をちょっと説明させていただきます。
 私どもは、サポーティングインダストリー集積群、格好ええ言葉で言うたらこういうことなんですが、実態は町工場がようけあるというところでございまして、その東大阪市でレーザー、センサー応用の墨出し機、ちょっとわかりにくいと思いますので、お手元のパンフを見ていただければわかると思うんですが、すなわち建設とか建築現場で水平とか垂直とかを出さなきゃいけないわけですが、それをレーザーを使いまして水平とか垂直を表示するわけでございます。その水平、垂直を私ども独自で開発いたしました水平センサー、これは世界特許でございますが、この特許のセンサーを使いまして、スイッチ一つでだれでも使えるように仕上げた商品でございます。これを私ども日本国じゅう、代理店さんを通じまして建築会社さんとか建設の現場作業者に販売しておるわけでございまして、非常に好評を得ております。今後海外輸出もふやしていこうと考えているところでございます。
 創業時の一般的に人、物、金と言われるんですが、苦しさの順番に言うならば、金、人、物でございます。この苦労をほんのつい最近までやってまいりました私どもにとりまして、技術立国日本を支える中小零細企業やこれから日本を支えていくアントレプレナー、いわゆる起業家にとりましても、今般審議されています各法案は行政インフラとして大いに望ましいものと考えております。
 まず、中小企業の事業活動の活性化等のための中小企業関係法律の一部を改正する法律につきまして、信用保険法、信用保証協会法の改正により中小企業の発行する私募債に保証を行うことは、資金調達手段の多様化が図ることができ、既存の金融機関に資金を頼ることなく、また今現在、頼ることができなくなりつつある昨今、非常にタイムリーで意義のあるものと考えております。
 私募債の発行にはいろいろ担保設定が必要でありますけれども、なかなかこの担保設定していくということは難しゅうございまして、信用保証協会の保証が付与されるということで発行が容易になり、ひいては金融市場の多様化、表現はちょっと悪いですけれども、アメリカのジャンクボンドのような市場の創出、活性化も進めばと考えております。
 冒頭に申し上げましたとおり、私どもの会社は株式の公開をあと十年以内に目指してはおるんですけれども、しかしながら、残念ながら、当社は、ここの案にございますような一定の財務内容、すなわち純資産額がまだ五億円もございません。五億円以下の企業でございますので、私募債を発行することはできないのでございますが、近い将来、私どもは私募債発行による資金調達の道を選択したい、このように思っております。
 次に、中小企業金融公庫法等の一部改正についてでございますが、これもまた私どものような担保の乏しいベンチャー企業、零細企業にとりましては、的確なまた機動的な資金を調達できる道が開かれるということと考えておりまして、非常にありがたいなと思っておりますが、もう一歩踏み込んで、通常融資につきましても無担保で出していただけるように取り組んでいただければと御要望を申し上げる次第でございます。
 過日、小渕総理が東大阪にお越しになられまして、来阪されましたときに、中小企業との政策提言の席に私も出席させていただきまして、小渕総理に御要望申し上げたわけでございます。一つその中で、特許権等の知的財産への担保融資でございますけれども、これも今回、積極的に活用していくということがベンチャー育成資金供給制度の中で盛り込まれております。ベンチャー企業にとりましては、これは大変心強い制度であると期待いたしております。私ども自体も非常に期待しておるわけでございます。
 しかし、本来こういう融資というものは政府がやれば当然、本来ならば民間金融機関もなすべきことだ、このようには考えておるんですが、現状の民間金融機関への法律につきまして、担保設定した特許権等を処理できないようであるということを聞いておりますので、この部分での法律改正も強く要望し、また民間金融機関が特許権を担保に融資できる道をぜひ開いていただけるようによろしくお願い申し上げる次第でございます。
 中小企業近代化資金等助成法の改正についてでありますが、設備投資資金融資へ、従来の業種、設備、今まで足かせがございましたが、これが撤廃されますので、大企業は言うに及ばず、中小零細企業までもがグローバル、ボーダーレスの本当の過当競争といいますかビジネス競争を強いられる今日、多くの企業が利用できるようになると思います。また、手続の迅速化が図られるということでございますので、私どもが使うに当たりまして、利便性が非常に向上するんじゃないかと考えております。
 しかし、私ども中小企業にとりまして、設備の固定資産税という問題が常にセットでまいりまして、すぐに課税されてしまいます。資金余力のない中小企業にとりまして、設備の固定資産税につきましては一、二年の猶予を考えていただけないか、このように要望する次第であります。
 私どもは、今はやりの若者がテンポ速くちゃっちゃっちゃっと進んでいくようなインターネット関連のベンチャー企業ではございません。技術を一つ一つ蓄積しながら十五年、二十年単位で成長するベンチャー企業でございます。こういうふうなベンチャー企業、会社を設立して五年、十年で店頭公開、上場してわっと行く企業もあれば、技術を一つ一つ蓄積しながら世界に伸びていこうという企業もあるということをぜひ御理解賜りたいと思うわけでございます。
 激しい競争の中、我々は技術革新、新規性、斬新性を求めまして研究開発を常に行っております。ただ、研究開発費の損金算入が本年度末まで一〇%控除ということでございますが、これを延長していただくのは当然のことながら、五〇%以上にしていただく必要があると考えております。我々は大企業のように研究開発機関を持ってはおりません。苦しい台所からせっせと金を捻出しながら我々中小企業は日夜研究開発を続けておるわけでございます。
 今アメリカでは約二百万社のベンチャー企業が約二千万人の雇用を支えていると言われております。また、数多くのエンジェルが投資活動をする場と、税制優遇を受けていると聞いております。組合組織の活性化、技術開発等に対する支援の強化は、この技術立国日本にとりまして多くの中小企業が創業、新規事業展開を進めやすくする行政インフラと考えられます。特にエンジェル税制の対象企業の拡大とストックオプションの付与上限の拡大は、私どもにとりましても大いに意義ある施策と考えておる次第でございます。
 さて、私どもはファブレスでございまして、いわゆる加工工場を持たない工場でございますが、最終調整は私どもの工場で行っております。そのカタログにありますレーザーなんですが、十メートルで一ミリ以下に調整するわけでございますが、その調整する場所は二センチぐらいのところでやるわけです。十メートルで一ミリということは、二センチぐらいのところへいきますと千分の二ミリを調整しておるわけです。これはある意味で、我々はそれ用の設備とかシステム、治具はそろえてはおりますが、たくみの世界と言われてもおかしくないんじゃないかと思っております。
 今、日本各地でこのたくみの技術が消えようとしております。たくみと申しますと古い古典的な技術とよく勘違いされがちなんですが、現在の最先端の技術を支えておるのが実はたくみの手でございます。例えばシリコンウエハーに転写印刷される膨大な回路図、大体体育館ぐらいの大きさがございますが、あれをそこまでに収縮するための技術はレンズを使うわけでございます。そのレンズは現在たくみの手で加工されているわけです。研磨されておるわけでございます。それとか、皆さんお持ちの携帯電話の中に使われる小さな部品、あの金型もたくみの手によってつくられているわけでございます。その金型をつくる、もしくはレンズを研磨するたくみが次世代に引き継がれなくなりますと、まさに工業の空洞化が発生するわけでございます。
 本日ここで発言の機会が得られましたので、諸先生方は重々御存じかとは思いますが、たくみの重要性を再認識していただきまして、たくみが魅力ある職業とするために、まず収入をふやす施策の一環として、例えばたくみ減税等をお考えいただきたくここに要望する次第でございます。我が国として、工業の空洞化を阻止するんだ、たくみを守るんだということを明確にしていただきたいのであります。
 時間が近づいてまいりましたので、最後に一言申し上げます。
 今や関西地区、とりわけ東大阪地区に吹く不況の風は一時より弱まりつつありますが、まだまだ冷たく吹いております。もうすぐ始まるペイオフ解禁の中、金融機関は自行生き残り策として厳しい選別を行い、資金の回収をまだまだ続けておるようでございます。東大阪に一万社以上ありました町工場が今や九千社を割り込んでおります。また全国的に見ましても、近年、開業率が二・七%、廃業率が三・二%と、このままいけば会社がどんどん減っていくというふうな逆転現象が起こっておるわけでございます。
 この不況状況下で中小企業対策の柱として資金面施策、ソフト面での施策は、我が技術立国日本がグローバルな競争に打ちかち、勝ち残るもの、そういうふうな施策であり、また側面から雇用の拡大、雇用の創出を促すものと考えられます。技術立国日本を支える私ども中小零細企業、頑張ってまいりますので、中小企業と金融関係の行政インフラの方を一日も早くお願い申し上げる次第でございます。
 御清聴どうもありがとうございました。

発言情報

speech_id: 114614778X00919991214_005

発言者: 寺内一秀

speaker_id: 30832

日付: 1999-12-14

院: 参議院

会議名: 中小企業対策特別委員会