河野通忠の発言 (中小企業対策特別委員会)

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○参考人(河野通忠君) ただいま御紹介いただきました、株式会社ひたちなかテクノセンター常務取締役の河野通忠でございます。よろしくお願いいたします。
 我が国経済、特に中小企業を取り巻く環境は長期にわたり厳しく推移している中、抜本的に中小企業の事業活性化を図るべく、総合的観点から新たな中小企業政策の確立と多様なニーズに的確に対応すべく各種施策を打ち出し、熱心に御審議されていることに対しまして、中小企業支援に携わる者の一員として心より深謝いたします。
 さて、本日は法案に対する意見陳述の機会を設けていただきましたことに厚くお礼申し上げます。
 昭和六十三年に国は通産省が中心となり、産業の頭脳部分である情報サービス業、機械設計業、エンジニアリング業、自然科学研究、デザイン業などの十六業種を指定し、これらを地方に集積させることにより地方の産業の高度化を図っていくことを目的として頭脳立地法を制定いたしました。
 当社は、この頭脳立地法に基づき茨城県が策定した水戸日立地域集積促進計画の中心的な運営主体として、国、茨城県、地元市町村、民間企業の出資により平成二年十月に設立された第三セクター方式による会社であります。以上にのっとり、ひたちなかテクノセンターは地域産業の高度化、産業集積の促進を図るべく、研究開発、研究支援、人材育成、情報交流の四つの事業を実施しております。
 私は、もと民間企業に在籍していまして、水力発電機器の設計者として育ちました。当時の設計は、プロフィットセンターは設計にあり的で、事業計画を取りまとめること、かつそれを実施する部門でもありました。特に、私たちのところは、国内外の記録品に挑戦することで価格及び非価格競争力の向上に努めていました。たまたま大企業であったため、材料、性能開発も含め大半のことは社内で実行できました。
 私は、平成五年四月、公設試である茨城県工業技術センターへ移りましたが、折からのバブル崩壊、円高、価格破壊、かつ国際化が急激に進んでいる最中でした。
 中小企業の方と一緒に仕事をしていく中で、何を理念に行動するか思い悩みましたが、規模はナンバーワンでなくても、茨城県の中小企業だからこそできるオンリーワンの技術、商品、企業を業務運営の基本として取り組みました。
 このように、オンリーワン技術、商品、企業を掲げましたが、人も資金も設備も工技センターのみでは地域中小企業の支援には不十分で、少しでも強者仮想連合を組むべく、外部経営資源として大学、国研、企業の力をかり、独自技術、新分野への進出に取り組みました。
 地域中小企業が取り組みたい、または取り組むべき技術分野を中小企業の方々と勉強し絞り込むため、中小企業による小グループの三十余りの研究会をつくるとともに、それらをサポートするためコーディネーター推進事業も発足させました。このとき痛感したのは、それぞれの分野の研究会の核となるべき人材の確保でした。
 私はまた、平成八年四月、ひたちなかテクノセンターに移り、かつ一昨年の平成九年七月、新社屋も竣工、当社として本格的な活動が始まりました。
 当社の立地している茨城県北地域は、成熟した電機産業かつ大企業を頂点とした典型的なピラミッド型企業城下町であり、昨今の経済のグローバル化と産業構造の変化に伴い、大中小を問わず企業活動及び雇用の面で全体が非常に厳しい環境にあります。こうした状況において、大企業よりの脱下請、自立化を図る企業、また大企業のパートナーとして取りまとめ力の拡大、価格競争力を備えた提案型企業等も出てきていますが、その勢いは弱くて企業数も少数にとどまっているのが現状であります。
 このような閉塞感の強い環境において、当社は理念として中小企業の自立化、独創性、国際化、ネットワーク化、この四つを基本理念といたしまして、以下の活動を重点的に行っています。
 一つが人材育成事業でありまして、CAD、CAE、インターネット講座等を含み、毎年五十前後のセミナーや講演会を実施しております。
 また、情報交流事業としまして、公募の約百社と会員制のひたちなか倶楽部を組織し、産学官及び会員相互の交流促進、また最新の各種情報の提供に努めているところであります。今般の二次補正予算で創業・ベンチャー・経営革新支援拠点ネットワーク事業により、情報ネットワークを活用したワンストップの総合支援体制の構築がなされるとのことで、大いに期待しているところであります。
 次に、研究開発事業といたしまして、産学官共同研究に特に力を入れております。現在、茨城大学、東京大学のシーズを実用化すべく、中小企業五社ほかとともにNEDOより受託のベンチャー企業育成型地域コンソーシアム研究開発事業、超加工機械の中核技術の研究開発事業を実施中であります。このような産学官共同研究では、技術、製品開発の直接的な成果とともに、セミナーや講演会と異なり、OJTにより人材の育成、ノウハウの蓄積、産学官のネットワークの拡大につながるとともに、開発意欲の向上等波及効果が大きく、このような事業の拡大を期待しているところであります。
 同じく力を入れている事業といたしまして、日本立地センターより受託の製造業向け仮想協奏ベンチャー企業プラットフォームの構築と実証事業があります。
 茨城県北を中心とした大企業の製造部門の下請として垂直分業を続け、それぞれの分野で得意な生産技術を育ててきましたが、親企業への依存性を非常に強めていた中小企業は、現在の厳しい経営、生産環境を打破し自立化を図るにしても、営業能力の不足、異業種交流の不足、商品開発力の不足、各種情報収集能力の不足、オープンな情報ネットワーク基盤の弱さなどの問題点を抱えており、新たな展開に踏み出せない状況にあります。
 本事業は、これらの問題点を解決するため、インターネットを活用し全国との連携を強めるとともに、必要なアウトソーシングを図り、域内では生産技術を補完し合ってエンドユーザーと直結したきめ細かい対応をリアルタイムに実現し、受注生産を図ろうとする法人格を持たない仮想ベンチャー企業を設立したものであります。コンピューター上で協同化した企業、仮想企業により、受注から発送までの各種技術、管理情報を共有化し、効率的なドキュメント管理システムやワークフローを実現し、そのシステムの構築と実証を地域中小企業三十三社とモデル事業として行おうとするものです。成功すれば、中小企業の新たな存立条件と成長機会を提供するものと期待しています。
 この事業を遂行するに当たっての問題点は、製造業向けであるためデジタルデータの情報量の送受が大量で、中小企業との回線容量が不十分のためその送受に時間がかかることで、この面の基盤整備が必要となってきています。
 また、当社の中小企業支援事業の一つとして、コンピューターや積層造形装置を使って製品開発のお手伝いもしております。すなわち、コンピューター上で仮想実験をすることで実験の効率化及び性能や信頼性の向上、またラピッドプロトタイピングと言われるレーザー応用積層造形技術やコンカレントエンジニアリング技術を駆使して新技術や製品の開発期間の大幅短縮、コストの低減に努めているところであります。
 当社の事業内容の説明がくどくどと長くなりましたが、今回の法改正の各条を見て全体的にひしひしと感じますのは、できるだけ制約をなくし、あるいは少なくして、やる気のある企業の自主性を高め、支援することでベンチャー型中小企業を構造改革の推進者、新たな産業創出の牽引車と位置づけ期待しているのがうかがえ、大いに結構なことだと思っております。
 昨今の米国を見てみましても、数年前、十年前にはほとんど名前も知られていなかった企業が新たな事業分野や雇用の拡大の主役となっている様子からも、我が国においても今後に大いに期待が持てるのではないかと思っております。
 以下、法案について少々意見を述べさせていただきます。
 中小企業の事業活動の活性化等のための中小企業関係法律の一部を改正する法律案についてでありますが、その一つであります中小企業金融公庫法等の一部改正により、担保がなくても将来の成長性に基づく公的資金供給制度の創設がなされるということは非常に画期的なことで、ベンチャー型企業にとり事業の迅速な立ち上がりに大変有効であろうと思っております。また、これらの事後評価により、目きき能力やそのノウハウの蓄積も今後大事かと考えております。
 次に、中小企業近代化資金等助成法の一部改正により、創業者を含めた小規模企業者への無利子融資制度、設備リース制度の創設もベンチャー型企業の創業それから事業化の加速に大いに役立つと考えております。
 次に、中小企業団体の組織に関する法律の一部改正により、研究開発組合等より遅滞なく会社への組織変更ができるようになることは、組合制度そのものを創業等のための組織、形態として活用することができ、事業の成長、発展段階に応じてよりよい形態を選択することが可能で有意義と考えています。
 次に、新事業創出促進法の一部を改正する法律案についてでありますが、新たな産業分野の開拓や雇用創出の強力な担い手となるようなベンチャー企業の輩出の加速化のための具体的な支援措置の一つとして、事業者が優秀な人材を円滑に確保できるようにするため、ストックオプションの付与の上限を引き上げるとともに、外部の支援者に対してもそれを付与することができるものとするとありますが、この改正の効果は非常に期待が持てます。また、一方、大学の先生方の兼業も可能となり、これらが相乗してベンチャー企業の輩出の加速化のみならず、その事業をより効率的に短期に成功させるのではないかと思っております。
 最後に、中小企業技術革新制度、SBIRについてでありますが、参加省庁の拡大と支出目標額の拡大をぜひ今後図っていただきたいということをお願い申し上げまして、私の意見陳述を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。

発言情報

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発言者: 河野通忠

speaker_id: 5353

日付: 1999-12-14

院: 参議院

会議名: 中小企業対策特別委員会