佐藤雄平の発言 (本会議)
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○佐藤雄平君 初めに、今回の臨界事故で直接被害を受けられました東海村の皆さん初め、風評などで甚大な被害を受けております茨城県の皆さんに心からお見舞いを申し上げます。
私は、ただいま議題となりました原子力災害特別措置法案、原子炉等規制法改正案に対して、民主党・新緑風会を代表して質問をいたします。
まず、法案についての質問の前に、原子力安全委員会の権限の強化についてお伺いいたします。
もとより、政治、行政の基本は国民の生命、財産を守り、いかに安全で安心な暮らしの環境をつくることではないかと思います。
しかしながら、今日の社会状況を見てみますと、連日のようにその国民の生活の不安を助長するような事柄が起こっております。改めて我々政治をお預かりしている者としてその重要な役割を自覚し、与党とか野党とかではなく、ひとしくその任を全うしなければならないと思います。
その最たるものがこのたびのジェー・シー・オーにおける臨界事故であります。見えない、聞こえないというこの事故は、茨城県民の皆さんはもとより全国民を震撼させました。原子力の安全神話を根底から覆すことになり、直接的ではないにしても原子力発電に大きな不安を与えたことは事実であります。
国民の生活のために、電気エネルギーは不可欠なものであります。その大きな役割を担っているのが原子力発電であります。今日まで、立地のためにさまざまな分野ではかり知れない努力をしてまいりましたことは、先刻皆さん御承知のとおりであります。関係機関、国はもちろんですが、とりわけそれぞれの自治体を預かる首長の努力と苦労は、我々の想像をはるかに超えるものがあります。
我々も、その安全性については自信を持って推進してまいりました。私自身、原子力発電所を持つ福島県出身であります。国のため、国民のため、原子力発電の必要性を訴えてまいりました一人であります。
このような事態の中で、国民の皆さんに安心していただける原子力政策を施行していくに当たっての重要なことは、当然のことながら安全管理と危機管理であります。しかし、その大前提として原子力安全委員会が機能するということであります。この事故でも明らかになりましたが、まずその施設が安全基準を遵守しているかどうか、これが最大の問題であります。そのためには、原子力安全委員会の権限の強化が必要であります。
政府は、代表質問においても、これまでも行政府は独自の立場から安全審査等に厳正に臨んできた、省庁再編後も内閣府で現在の機能を引き継ぐとともに、独立の事務局を置き、原子力の安全確保により主導的な役割を果たせるよう強力な体制を整備すると、現行法のままで改正の必要などみじんもないような御答弁が総理からありました。しかし、その後、報道によりますと、自民党の行革推進本部が原子力安全委員会を三条機関に格上げして、原子力安全検査体制を強化する法律案を次期通常国会に提出するとのことでありましたが、どのような経過があり、その方針を変えられたのか、自民党総裁としてのお考えをお尋ねしたいと思います。並びに、続総務庁長官そして二階運輸大臣にそれぞれ公明党、自由党の原子力安全委員会の強化に関してもお伺いしたいと思います。
また、科学技術庁と通商産業省の双方に原子力に関する推進部門と安全規制部門が同居しており、このことは原子力行政に対して不信感や不安感を芽生えさせている原因になっているのではないでしょうか。
原子力の安全規制については、その重要性にかんがみ、スリム化を当てはめてはならないと思います。今回の事故は、そのための天の声ではないかと思います。アメリカのNRCは約三千人のスタッフを擁しております。現在の原子力安全委員会は事務局十九人、その業務を手伝っている科学技術庁原子力安全局全体でも百四十人、単に数を比較しているわけではありませんけれども、余りにも寂しい状況であることは事実であります。新しく原子力安全規制機関に生まれ変わるとするのであれば、どのような権限、規模、人員が必要であるのか、総理にお答えいただきたいと思います。並びに公明党の皆さん、自由党の皆さんにもまたお伺いしたいと思います。
次に、新法案の内容についてお伺いいたします。
今回の臨界事故の貴重な教訓は、当然のことながら初期対応の迅速さに問題があります。そこで、法案は、異常な水準の放射線量が検出されるなど緊急事態の発生時に、担当大臣が総理に概要を報告し、総理が原子力緊急事態宣言を発し、防衛庁長官に自衛隊の派遣を要請、自治体に対して住民避難等の指示をすることになっております。体制の一元化は評価できますが、まだ初動体制には不安が残ります。
今回の事故では、当初の二十五分間に最も放射線が飛散しました。このことをかんがみ、事故発生後直ちに都道府県知事を本部長とする事故対策本部をつくり、都道府県知事が一元化された権限により指揮をとることが、より迅速な対応ができるようになると考えます。総理はいかがでしょうか。また、その事故対策本部が設置される前に、市町村長が住民避難などの指示をできるようにすれば、東海村の村上村長さんのように悩みながら策を講じなくともその対応ができるのではないでしょうか。
緊急宣言後、自治体に住民避難等の指示をすることになっておる政府案よりも、このような考えの方が早く対応できるのではないでしょうか。これは何も都道府県知事に全責任を負わせてしまうということではありません。国を初め関係機関が瞬時に全面的に協力できる体制をつくることが可能であるということであります。緊急事態に備え、日常的に、国も含めて対応策を整備し、訓練も行い、都道府県知事がその権限において判断できることが最も大事だと思います。総理、いかがでございましょうか。
また、政府案では、平常時に緊急事態応急対策拠点、いわゆるオフサイトセンターと呼ぶ施設を指定し、緊急事態が起きた場合に現地事故対策本部とするお考えのようですが、原子力関連施設が多く立地している自治体には原子力防災センター(仮称)というものを設置し、各事業所から自動的に情報が集められ、原子力防災専門官がデータを監視するとともに、自動的に関係機関へ情報が通報される施設を平常時から備えておくことが必要と思われます。総理はいかがでございましょうか。
原子力防災センターには、放射線防護のための資機材や緊急用の飲食料品などの備蓄をしておくこと、周辺住民に原子力についての理解を得るため、原子力教育・研究などにいつでも開放され使えるような施設としたらいかがでございましょうか。
そして、政府案では、事故発生後、現地に原子力災害現地対策本部と原子力災害合同対策協議会を設置し、国、自治体、その他関係者が集まり情報の共有や意思の疎通を図ることなどになっております。このことについては現在よりも改善されたことは評価いたします。私は、平常時から、都道府県知事が国、自治体、原子力事業者、その他関係者に呼びかけ、その協議機関を定期的に開き、原子力防災センターにおいて緊急時における対応を協議し、原子力防災訓練等を共同で実施することで当事者間の連携がより強固で円滑になると思いますが、通商産業大臣、科学技術庁長官にお伺いいたします。
初期対応について先ほどお伺いいたしましたが、今回の事故で地元の皆さんからの強い要望は、とにかく一刻も早い対応をすることでした。ですから、都道府県知事、市町村長の初期対応については、指揮権限をゆだねることが最も重要であると思います。現地に常駐している原子力防災専門官が原子力防災センターにおいてリアルタイムで現況を注視しておりますから、自動的に関係機関に連絡できるようになっております。すなわち、直ちにその状況は都道府県、市町村にも同時に知らされているわけであります。そこで、緊急事態が発生した際、都道府県知事や市町村長は原子力防災専門官の助言を得て瞬時に対応がとれるのであります。今回の事故における教訓から、総理はこのようなことをどのように思われるか、お伺いしたいと思います。
また、今回の事故で、臨界事故とも知らされず出動し被曝した消防署員の皆さん、現地近くまで行っていながら中性子線防護が十分でなく活動できなかった自衛隊の皆さん、また、知らずに被曝してしまった近隣住民の皆さんのために、中性子線、ガンマ線その他放射性物質に対する防護策の整備などについて科学技術庁長官はどのような対策をお考えでしょうか、お伺いいたします。
これらの対策は、いつ起こるやもしれない同様な事故を想定し、一刻の猶予も許されません。直ちに万全の対策を講じなければなりません。
そして、事故の状況を地域住民、広く国民の皆さんに正しく知らせることが重要であります。地域においては素早い広報活動の実施、正確な事故情報の伝達、全国的にはマスメディア等の活用による正確な情報を提供できる体制の整備が必要であります。
政府として、原子力施設が多数存在している地域、例えば茨城県、福島県、新潟県、福井県など、平常時も含めて政府が状況を正しく地域の住民に伝えるためにはどのような施策が必要であるか、総理にお尋ねして、質問を終了いたします。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕