三星昭宏の発言 (運輸委員会)
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○三星参考人 ただいま御紹介にあずかりました近畿大学の理工学部土木工学科、三星と申します。
総理の大変な中、早くよくおなりになっていただきたいと思っております。
今回の法案に関して何か意見を申し述べよということでございますので、十分程度、私は、専門である土木計画学、都市工学、交通計画の立場から意見を申させていただきたいと思います。
なお、私のきょう用意しました資料は、文章化してはありませんが、一枚物で、三星昭宏の名前が左上に書いてある、右に丸の書いてある図表がありますが、それでございますので、それに沿ってお話しさせていただきたいと思います。
我々が生活していく中で、住宅であるとか建物であるとかといったものの重要性もさることながら、その間の移動というものが大変大事な要素になってまいります。移動ができなければ、我々は日常生活から社会活動、経済活動ができないわけでございまして、これは健常者も障害者もひとしく同じことでございます。
しかし、その中で、何らかの身体的理由により移動が制約されている方々が、いかに社会生活、経済生活等で困難をきわめておられるかについては、また後ほど、この後の参考人等のお話で出ると思いますが、その移動確保は極めて重要な課題になっているわけでございます。
この国会へ私初めて参りますけれども、公共交通を利用するときに、身体的な困難のない方にとっては何でもないわけでございますけれども、少しでも障害が出てまいりますと極めて厳しい環境下にございます。そのために、社会的には多くの人材の活力を逃し、あるいはその方々が通常の生活をなさる権利を侵害しているとすれば、やはり国の責務としてそれを改善していかなければならないというふうに思うわけでございます。
そういった観点から、用意しました資料に沿って少しお話しさせていただきますと、まず、高齢者、障害者の移動性確保の視点の第一が理念とか意義でありますが、私は次の五点を挙げております。
第一は、ノーマライゼーションの流れでございます。
これは、すべての人が、障害のある方もない方もひとしく生活を送れるということで、基本的な考え方としては、参加平等、機会平等、さらに障害のある方々の自立支援、ここで申し上げます障害というのは高齢者も含めておきますが、ということでありまして、このノーマライゼーションの流れに関しましては、今さら私がつけ加えることもないと思います。
二番に関しましては、何といっても、未曾有の高齢率の我が日本社会の中で、活力ある高齢社会づくりをしていかなければならないという課題でございます。
三番目に、そもそも、社会基盤をとにかくつくればよいという時代から、それが社会の中でこなれ、すべての人が使え、さらによりよいものにつくりかえていくというシステムに我が社会は新しくつくり直さなければならない時代に入っております。そういう観点も大変大事かと思います。
それから、国際都市の要件。これは後で少しまた触れますけれども、欧米の国際都市の要件としても、このバリアフリーというものが必要条件にもなってきております。
それから五番目ですが、これが先ほどの三番の話とダブりますけれども、今後の社会基盤整備の方向性に大変大きな影響を与える内容だと考えております。
次に、二番目の、高齢者、身障者と交通に関しまして、どういう場面でそれが問題になるのかということをざっと述べておきますと、まず公共交通機関であります。
この内容は、電車、バス、路面電車、それから新交通システム、タクシー、この際タクシーをここで含めておきますけれども、公共交通機関。この公共交通機関のバリアフリーというのがこの対策のまず基本になってくるわけであります。
この一番の公共交通機関とセットとして、二番のターミナル、交通結節点ですけれども、このターミナルのバリアフリーが必要になってまいります。この二つがセットにならないと使えないわけでありまして、鉄道駅やバスターミナル、バス停等が大事になってまいります。
通常、我々は、この一、二をあわせて、ここには書いておりませんが、メーンストリームと呼んでおります。これはアメリカの方の英語で申し上げておりますが、ヨーロッパではオーディナリー・トランスポートといいます。基本となる公共交通、これをバリアフリーにしていくことが最も重要でございます。
それにあわせて、三番の道路空間のバリアフリーの話が出てまいります。
これには二種類ありまして、高齢者や障害者が歩行者として道路を歩くときのバリアフリー、もう一つの問題は、ドライバーとして運転なさる場面、この二つが出てまいります。特にこれからの高齢社会で、今急速に中年以下に免許の保有率が高くなっておりますが、それが持ち上がってまいりますので、ドライバーとしてのバリアフリーというものもこれから重要になってまいります。これは余り知られていないところでございます。それから道路、駅前広場、こういった道路空間全体のことであります。
あと、その他に関しましては、公園、緑地あるいは地下街、都心部といったところがあります。
先ほど私はメーンストリームを一番と申し上げましたけれども、それに対する対置概念としまして、高齢者、身障者に特化した乗り物として、これは余り日本で知られていないので議員先生方もひょっとして耳なれない言葉かと思いますけれども、欧米では大半の都市で普及しておりますスペシャル・トランスポートというものがあります。これは高齢者や障害者に特化した乗り物として積極的に足を確保していこうということでございまして、日本では東京圏、この首都圏は割に進んでおります。今、東京都でも百団体を超えております。大阪でも急速に進んでおりますけれども、この辺は今後の課題として入ってまいります。
このような場面で、お手元の三番に計画論があります。計画論では、ニーズ論について少し補足しておきます。
まず、ニーズに関しましては、高齢者、身障者の自立と活力ということが第一番になりますけれども、この施策には、高齢者、身障者に限らず、幅広い国民のニーズがあるということを申し上げておきます。この幅広いというときに二種類ありまして、二番は直接的ニーズということでございます。三番は介護者への支援ということがあります。
これは右に表を用意してまいりましたけれども、何らかの身体上の交通困難がある方が私の調査では二五%に達しております。これは市民全体の二五%でございます。この調査は私どもの同僚の研究者たちが追試してくれまして、それを見ても、同じような結果を出しております。東京圏でも同じ調査をやっておりますけれども、やはり二割から三割の交通困難者が出ておりまして、今やこの施策は単なるマイノリティーというだけではなくて国民多数の施策であって、今回用意されております法案の受益者は非常に多いということをあえて申し上げておきます。
あと、時間の関係で計画論については省略させていただきますけれども、特に今回の法案との関係でいえば、計画論、設計論では、何といっても、これまでそれぞれのところでおやりになっている施策を総合的、効率的に推進していくという点で、面的、総合的システムというものが今求められております。
さらに、ユニバーサルデザインという言葉があります。詳細はここでは省略いたしますけれども、この高齢者、身障者の施策がユニバーサルデザインにおける戦略となっていくという点でも非常に大事な意味を持っております。
あと、計画や設計要素では、ここに挙げましたにように、大きく分けますと、空間、ゆとり、それから身体条件への適合性、ここには快適性も含めておきます。あと情報性、安全性、こういった面から改善を図っていかなければなりません。
それから、評価論が非常におくれております。
それから、維持・管理・運営論、これは省略しておきます。
七番について少し補足します。行政、財源それから国民の合意形成の問題であります。
何といっても、この施策というのは、行政が連携して行わなければ十分な効果を発揮することができません。その意味でも、今回の法律は二案ともまことに時宜に合ったよい法案と考えております。
また、国、地方の役割についても明らかにしていかなければなりません。
それから、クロスセクターベネフィットについて一言補足しておきますと、経済的な面から見ても、今介護保険制度がスタートしておりますけれども、それに対する支援でもあり、また、一つの施策がもたらす便益あるいは費用の節約というものに非常にかかわってまいります。したがって、こういったことを国としてきちんと考えていくことは、高齢者、障害者施策だけにとどまらず、経済の観点からも大事なものを含んでおります。
さらに、これから税金がまた投入されてまいります。国民的な合意形成を図っていくことが大変大事であります。この国民合意については、私もタックスペイヤーとして申し上げるというだけでなく、これらの施策が、単に物づくりだけではなくて、国民一人一人が障害をお持ちの方に対する手助けをし支援する、この習慣をつけていくという質の高い社会をつくっていく、つまり、ハードだけではなくてソフトも大変大事だということを合意形成の中に含めておきたいと思います。
諸外国の動きについては飛ばしますが、これも一言補足しておきますと、私が一九八七年、八年にイギリスの交通省でプロジェクトに参加いたしまして、一年余り研究しておりましたが、その時期に既にイギリスでは、ナショナルトラベルサーベイといいまして、全国交通調査の中で十一ページにわたる高齢者、障害者調査を入れております。今パーソントリップ調査を我が国でも全国的に準備しておりますけれども、私も関西の方ではそのことに関して意見を申し上げております。
最後に、今回の法案に関しまして、今申しました視点を全部考えてみますと、必要な点を義務化し、これらの施策を総合的に促進していく、またそれを国の法律としていくという点で、非常にすばらしいものと考えております。両案とも非常によいものと思います。特に、これらの案をこの時期お出しになった各省、特に連携されて出されたという点で、私、大変敬意を払っておきます。それから、民主党さんの案に関しましても、非常によく御勉強されているというふうに考えております。
また、面的、総合的整備がこれからのポイントであるということがちゃんと入っておりますし、各省庁連携が入っております。また責務も明確にしております。また、これらに関しまして市民参加、当事者参加の道を開いておりますので、非常によい法案が準備されているものと考えております。
以上でございます。(拍手)