高橋儀平の発言 (運輸委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○高橋参考人 ただいま御紹介いただきました東洋大学建築学科に勤務しております高橋です。どうぞよろしくお願いいたします。
時間がありませんので、端的に、参考人としての意見を申し述べたいというふうに思います。
今回の二つの法案につきましては、私たち、これらの研究にかかわってきた者からしますと、大変大きな時代の節目に差しかかっているということを痛感しております。ですので、この法案がしっかりと国民の立場に立って審議されることをまず希望したいというふうに思います。
そこで、きょうの私の意見でありますけれども、全部で六点ほど簡単に紹介をさせていただきたいと思います。
お手元に資料を用意していないのでありますけれども、まず一点は、今回のバリアフリー法案が、国民のだれもが利用できるような、市民のアクセシビリティーに関して問題を提起しているかどうかということです。
これは、私も福祉のまちづくり条例ですとかハートビル法の設計標準等にかかわってきた経験から申し上げますと、例えば都市計画、あるいは区画整理、地区計画、道路計画、障害者計画、ゴールドプランといったようなもののそれぞれの部分に、バリアフリーですとかあるいはアクセスのことについて書かれていますけれども、それがまず横につながっていないということですね。
今回の二つの法案を見ますと、その点については、私の意見から申し上げますと、もう少し市町村の責務が果たせるような法案にすべきだというふうに考えておりますけれども、その点について十分審議をしていただきたいということがあります。
それから二点目ですけれども、既存の駅舎あるいは交通機関、駅前広場、交通空間の整備についてであります。
これは、ハートビル法、建築物の円滑な利用を促進する法律でありますけれども、ハートビル法の中では既存の建築物に触れることができませんでした。この理由につきましては、私が考えるところによりますと、恐らく、建築物が民間の建築物を中心として対応せざるを得ない、一方、公共交通機関あるいは交通バリアフリーといったようなものは公共性の極めて高いものであるということですね。なおかつ、交通機関が市民の生活、足に直結する部分。建築物であれば、場合によっては、これはよくないことでありますけれども、その建物を利用しないでほかのものを利用するということがあり得るかもしれませんけれども、交通機関についてはそういうことができないわけですね。これについて議論を重ねてお願いしたいというふうに思います。
それから、先ほども町づくりのところでお話を申し上げましたけれども、鉄道事業者と地方公共団体、市町村との関係であります。
私も区画整理事業にかかわった経験から申し上げますと、政府案の中でも出ておりますが、保留地を策定する、それから区画整理事業の中では、一定の範囲の中において鉄道事業者に対して言及できない部分があります。この部分は、現在の我が国の市町村の動きからいいますと、鉄道事業者に対してはどうしても遠慮がちな発言になってしまう。市民の立場からしますと、もう少し事業者に対して、駅前広場の整備あるいは駅舎といったようなものをきちんと整備してほしいんですけれども、なかなか市町村の立場から言えない。
先ほど申し上げましたように、総合的な交通計画、交通バリアフリー計画を策定するこの法案においては、やはり市町村に対する責務並びに一定の権限を与えるということをさらに進めていただけないかというふうに思っております。
それからもう一点は、交通安全対策であります。
これは、今回の政府案で警察庁も共同提案になっておりますけれども、例えば道路の交差点を見ますと、時代背景とともに、歩行者、あるいは歩行者と車の共存といったようなものが話題になっておりますけれども、横断歩道、歩道橋も含めまして、そういったようなものを改めて振り返りますと、まだまだ歩行者の立場にはなっていない、つまり人の立場には立っていない、物、車ということなんですね。これにつきましては、横断歩道の構造のあり方、これからの基本指針、そして整備基準にも関与すると思いますけれども、そういった視点での議論が必要かというふうに思います。
特に、少し細かいことになりますけれども、歩道橋をつくりますと下の横断歩道が取り払われてしまう。もしあれば、エレベーターをつける必要は全くないわけですね。そこを歩けばいいわけです。モラル、自動車を運転している人たちが基本的な交通ルールを守っていただければ、必ずしもエスカレーター、エレベーターをつけなくても、下をそのままフラットで歩くのが最短経路で最短時間で歩行することができるわけです。
それから次に、駅舎のアクセシビリティー、利用しやすさの問題です。
現在、バリアフリー、あるいは市民に向けた対応として、エスカレーターの整備が各事業所で進められているところです。
私も、例えば、車いすに乗っている障害を持っている人と、通常の区間でわずか五分程度の駅舎の間を一時間かけて、駅に上がるためのエスカレーター、そしてホームにおりるためのエスカレーター、それからもう一つ下車駅というような経験をしたこともあります。やはり、交通の移動、交通の自由を提言するとすれば、エレベーターは欠かせないものであります。
それから、ホームと車両の段差であります。これにつきましても、法案策定以後の整備基準の中で審議されると思いますけれども、例えば、普通鉄道構造規則、これは昭和六十二年の運輸省令でありますけれども、第百九十二条第二項の一においては、乗降口が有効幅六百六十ミリ以上、最低限ということで今進められているわけですね。それからもう一つ、同条の第二項の四では、車両床面はホームより高くしなければならない。ホームは通常一メートル十センチでありますけれども、高くするということでありましてフラットにならないわけですね。仮に、この交通バリアフリー法によって自宅から駅まで、プラットホームまではスムーズに行けたとしても、さて、車両までは上がれない。そこで人手がかかってしまうということになります。
ですから、交通バリアフリー法ということですので、自宅から車両まで、もちろん下車する、そして目的地までということになりますけれども、そこの範囲をぜひ忘れないでいただきたいというふうに思います。
そして、車両等の交通機関でありますけれども、これは福祉のまちづくり条例、そしてハートビル法でもそうですけれども、聴覚障害を持つ人たちへの整備、対策のおくれが指摘されているところです。特に、六〇%以上の人たちが、六十歳以上ないし六十五歳以上の新しい障害を持つ人たちがたくさん生まれています。その人たちは、今までの手話ですとかあるいは点字ですとか、そういったようなことは判読できないわけですね。これからますます高齢化社会で多くなると思います。ぜひ、中途の聴覚障害あるいは視覚障害の方々も対象に入れたような施策を進めていただきたいというふうに思っております。
それから、残された時間につきまして、この二つのバリアフリー法案について、論点についてだけ指摘したいというふうに思います。
まず一つですけれども、それぞれの法案の中でパブリックコメントが用意されておりますけれども、私の立場、今までの経験からしますと、単に意見参画でよいのかというようなことがあります。これは、市町村の責務を問うとき、市町村がどういう立場で鉄道事業者あるいは交通事業者に対して意見が言えるかということになります。できるだけ、事業計画あるいは基本方針の策定におきましては、障害のある人あるいは高齢な方、そして子供といったようなさまざまな市民に対して門戸を開いて意見を聴取する、そういう基本方針の策定にしていただければというふうに思います。
それから、先ほど来申し上げておりますハートビル法あるいは福祉のまちづくり条例といった既存の法律との連携であります。この法律を契機にしまして、それまでにできているバリアフリー関係の法律との連携を一層強くする、そういう方針案を確立していただきたいというふうに思います。
それから、例えば都市部、地方都市、地方の中核都市、そして山間部によって、交通状況の整備が違います。これについても、できるだけその後の整備方針あるいは基準等の中で審議をしていただければというふうに思います。
そして、最後になりますけれども、これからのバリアフリー法の中でも、二つの中に書かれております。さまざまなバリア、厚生省も含めまして国の方では四つのバリアがあるというふうに指摘されておりますけれども、国民の責務です。今回の法案のバックグラウンドの中にも、交通結節点の前の放置自転車等たくさんのものがあります。これにつきまして、罰則がいいのかどうかというのはさまざまな意見があるところでありますけれども、必ずしも罰則になくても段階的な整備が図れる、そういう強力な責務をそれぞれの事業者に与えていただきたい。
そして、政府案では、見直しについて十年、そして民主党案では五年というふうに定めが盛り込まれているところでありますけれども、現在の世の中の情勢のいかんによりまして、かなりハイスピードでさまざまな公共交通整備が開発されていくと思いますし、進んでいくと思います。できれば比較的短い時間でこの法案の基本方針の見直しができるような、法案そのものというよりも基本方針そして整備基準等の見直しができるような体制に進めていただければというふうに思います。
以上で発言を終わります。(拍手)