島聡の発言 (憲法調査会)
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○島委員 民主党の島聡でございます。
今、世代間の差ということを言われた方がありましたが、何度も言います。私は一九五八年生まれなので、今回の憲法制定過程についての議論というのは、非常に貴重ではありましたが、私にとっては、ある意味で、もうきちんとこれだけしたんだから、さらにもう一歩進めるべきではないかということを感じた時間が多かったと思います。
憲法制定過程を考えるに、当時の状況において日本がフリーハンドでつくったものではないということは当然だと私も認めております。ただ、憲法を押しつけられたという点に着目するよりも、あの状況下で日本の意思を貫こうとした先人たちの努力というものに着目して、その精神を生かして、五十三年間、日本がつくってきた歴史ということを重視すべきであると私は思っています。
ただ、今回、制定過程をきちんと議論しましたので、改めて私なりの考えを申し上げますと、内政的に見た場合、もし押しつけであったらば幣原内閣は総辞職して抗議することも可能であったという参考人の意見は、なるほどと私は思いました。恐らく、天皇制と国家の存立を守るために、戦後の世界、これからきちんと日本が船出していく代償として、本当にみずから受け入れる決断をして、合法的な手続をとったんだろうと私は思っております。
もちろんこれは、明治憲法七十三条の改正手続をとって、天皇主権から国民主権へという移行がもう限界を超えているんじゃないかという議論があることは存じていますが、改正手続をきちんと遵守している限りは、限界はないと私は思います。
ハーグ陸戦法規の問題につきましても、これは、ポツダム宣言を受諾していて、みずからの判断で憲法を受け入れているんだから有効であろうと私は思っています。
ただ、外政的に一つ注目しなくちゃいけない問題があります。
先ほどある委員が西独基本法についても触れられましたけれども、日本国憲法とドイツ基本法を比較した場合に、ドイツ基本法制定時にはもう既に冷戦が始まっていました。日本の場合には終戦直後で、その厳しい国際情勢というものをある意味で読み込んでいなかった点があるということは、これは制定過程において十分注目すべき点であると私は思います。
それで、戦後政治最大の争点と言われた憲法九条問題でありますけれども、いわゆる個別的自衛権等をめぐる問題については、ある程度の方向性が出ていると私は思います。
九条は、これからは一項と二項にきちんと分けて議論すべきであると思っておりまして、一項の不戦条約を踏まえたものにつきましては、今後も、我が国外交の政治的価値として貴重なものであるという観点は忘れてはならないと私は思います。ただ、この二項につきまして、これは九条二項問題と今後呼ぶべきであると思いますが、これについては、今後、制定過程を見ましても、きちんと議論していく必要があると私自身は思います。
今回の制定過程において、地方自治の観点についての議論がありました。
いわゆる二十一世紀のIT革命というのは、今までは一対多というコミュニケーションが可能だったわけであります。中央集権で、一人が言って下におろすということが可能だったわけでありますが、これからは、例えばn人がいたらn対nのその数だけコミュニケーションが存在するわけでありますから、これはもう中央集権という形ではなかなかできません。
地方自治の章の起源、これはGHQ案であったということがありますが、これをこれからきちんと議論していくべきだと思います。
恐らく、地方自治の章、つまり八章でありますが、これはGHQ案であったが、これが割と日本ですっと取り入れられたというのは、江戸時代というのが三百諸侯に分かれていた分権国家であったからだと思います。これがいわゆる国の形というものであろうと思います。
二十一世紀に向けてこの国の形を考えるならば、恐らく課題が二つありまして、一つは、やはり道州制というものをどう考えていくか、地方分権の議論でありますが、それから直接民主制、いわゆる九十五条の特別法の住民投票の規定をどうするかということでございますけれども、私は、そういうものを議論していく必要があるのではないかということを、この制定過程のいろいろな参考人の聴取の話から思った次第であります。
押しつけ論に関して最後に申し上げますが、例えば占領というのがあったとか屈辱的な経験があったとか、そういう感情論があって、これはもちろん私どもは経験していませんのでわかりませんが、そこから議論を始めますと、国民の支持は得られないと私は思っています。
やはり、五十三年間この憲法の中でやってきたというこの歴史というものを重視しまして、そして、日本がみずからの利害を考えて憲法を受け入れる決断をした、そして、これからどうしていくかという観点から議論をしていくべきで、最初に申し上げましたが、いわゆるこの制定過程からもう一歩この憲法調査会の議論は進めるべきであると私は思います。
〔会長退席、鹿野会長代理着席〕