遠藤乙彦の発言 (予算委員会第二分科会)

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○遠藤(乙)分科員 大変見識の高い宮澤大臣の御発言、私も大変評価をさせていただきたいと思っております。やはり問題があると率直にお認めになられたわけであります。
 まず縦割りがあるわけではありません。まず縦割りがあって、そこで物が決まるというのは、これは政治としては誤りであって、まず問題があって、どうそれに各省庁が協力して取り組むか、総合的な視点があってこそ初めて政治と言えるわけでありまして、そういった意味での政治の機能の回復ということが大変重要であるかと思っております。単純な縦割り型、中央集権型、官僚支配構造とマスコミ的には言うのでしょうけれども、そういったものだけでこれから二十一世紀の日本社会を見ると、それは見誤ってしまうのだろうというふうに私は思っております。
 また、アルコール関連問題の社会的費用ということで、これも研究者の調査があります。これは、中村、田中、高野という三人の研究者が、アルコールに起因する例えば健康上の問題、あるいは死亡による間接的費用、あるいはまた事故、犯罪等、あるいは社会保障費用の増大と、いろいろな要素を積算した結果、我が国におけるアルコール乱用による社会的費用は六兆六千三百七十四億円という数字をはじいております。
 日本のGDPが五百兆円程度とすれば、一%強にも当たる数字でありまして、これは非常に大きな社会的な問題、あるいは政治的な課題でもあるというふうに言っていいかと思っておりまして、こういった社会的費用を軽減していくためのさまざまな体制というものはぜひとも確立をしなければならないのではないかと私は思う次第でございます。
 一つ、他国の例をちょっと引いてみます。これはソ連の例をちょっと申し上げますと、一九五〇年代、六〇年代は、ソ連はかなり経済的にも発展をし、士気の高かった時代なんです。ところが、ブレジネフ体制に移行してから、非常に社会が停滞し、経済も停滞した。また、さまざまな社会問題も発生し、また社会の価値観等もいろいろ弛緩を来して、非常に社会問題が多くなったわけです。
 そんな中で、ブレジネフ政権が、国民の人気取り政策の一環としてお酒の規制緩和をやった。価格を引き下げ、売り場をふやし、販売時間を延ばしたわけですね。その結果、何が起こったかというと、急激なアルコール依存症の増大、アル中の増大、それから生産現場における事故、非能率等が蔓延をいたしまして、ソ連経済はさらにこの衰退に拍車をかけたということがあります。
 特に象徴的な数字を申し上げますと、六〇年代におきまして、男性の平均寿命が六十六歳だったのです。それが、ブレジネフ政権末期、八〇年代初頭には、何と六十二歳に下がった。要するに、平均寿命が四歳も下がっておるのですね。これはゆゆしき事態だと思うわけですね。
 もちろん一番大きな要因は、何といってもアルコールの問題なんです。その他、乳幼児死亡率の上昇という点もありますが、最も大きく貢献した要因はアルコールの問題であります。アルコールを多用することによる健康上の問題。特にロシアは気候が寒いので、ウオツカでもひっかけないと、なかなか体が温まらなくて仕事ができないという面もある。また、社会的にも非常に建前と本音が乖離した社会であって、そういった社会的ストレスを解消するために限りなくウオツカを飲み続けるといったところもあるわけです。そういったところから、一たん規制緩和をしたことによって大変な社会的費用を払ったわけでありまして、そういった例もある。
 したがって、ゴルバチョフ体制になって真っ先に手をつけたのは酒の規制なんですね。売り場所面積の限定、販売時間の限定等々、そういったアルコール対策は真っ先に手をつけたということがあるわけで、ぜひ他山の石としなければならないかと思っております。
 特に今、日本の社会では、社会問題が非常にいろいろな形で地殻変動しておりまして、単に経済的な視点だけで物を見ていると誤るということを私は強く指摘したい。
 例えば、ピーター・ドラッカーという日本でも有名な経営学の先生がおられますけれども、最近の発言の中で、今まで四十年間は経済問題が主流だった、これからは社会問題が主流となる、特に日本においてその傾向は顕著であるという発言をしておりまして、私は非常に深い洞察に富んだ発言であると思っております。特に、経済問題にとどまらず、価値観の変動とか社会のいろいろな問題、特に未成年者、女性、高齢者の置かれたいろいろな社会的、心理的環境を見ると、大変ストレスが増大する社会になっておりまして、当然、これがアルコール問題と結びつきますとさらにこの悪化に拍車をかけるという構造になっております。
 ぜひとも、この問題は、二十一世紀の日本社会のあり方を考えるという視点の上から、早急に、かつ総合的な検討を各省間でお願いをしたいと思っておりまして、ぜひそういう問題意識に立った上で、もう一度閣議決定の見直しを強く私は迫りたいと思っております。
 そういった十分な議論がされた上での結論であれば私は当然理解しますけれども、そういった作業がなされないままでの安易な市場原理主義的な、御時世だからといって何でもかんでもやってしまうことは問題がある。産湯を流すつもりで赤ん坊まで流しちゃったという言葉がありますけれども、まさにそういったケースに当たるんじゃないかと私は思っております。
 ぜひとも、宮澤大蔵大臣の強いリーダーシップと御見識のもと、もう一度この点につきましては慎重な再検討をぜひお願いをしたいと思っております。これにつきまして、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

発言情報

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発言者: 遠藤乙彦

speaker_id: 22256

日付: 2000-02-28

院: 衆議院

会議名: 予算委員会第二分科会