国分良成の発言 (外交・防衛委員会)
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○参考人(国分良成君) ありがとうございます。
ただいまの荒木委員の御質問でございますが、三つに分かれるかと思います。
まず第一点目は、いわゆる台湾白書ということについての中国の意図をもう一度御説明いただきたいということだと思いますが、私は二つの意味が込められていたということを御報告の中で申し上げたつもりであります。
つまり、一つは、やはり陳水扁氏をどうにか落としたいということはあったんだろうと思います。もう一つは、そうはいっても陳水扁氏が当選する可能性がかなり高くなったということをやはり想定して、できるだけ強硬な態度に出ておくと。
それはどういうことかと申しますと、住民の不安というのが台湾の中にございますので、やはりそこに訴えるという形で陳水扁氏の立場の柔軟化を求める、そうしたことではなかったかというふうに思います。そういう点では、これは陳水扁氏もある程度柔軟な態度をとらざるを得ない状況がありましたし、また中国からとってみますと、これまでのところは比較的陳水扁氏が穏当な立場をとっておりますので、この点については中国自身はやや安心したのではないかという感じがいたします。
ただ、台湾白書そのものが武力の威嚇にかわるものとして行われたものでありますので、恐らく中国のその後の反応から見ますと海外の、特にアメリカの反応に逆にびっくりしたという側面の方が大きいかと思います。つまり、中国はこれまで確かに平和的な交渉を無期限に延ばした場合、武力を使うということについて公には、文書にはまだ書いていなかったんですけれども、そのような発言は至るところで繰り返してきたわけでありますし、独立は戦争を意味するのか、非常に厳しい発言を繰り返してきていた。そういう意味では恐らくこの発言がそれほど厳しいものであるという理解が中国の中にはその後の反応からしますとなかったのかもしれないという印象を私は持っております。
それから、第二点目の、国内の対立が中国の中であるのかと申しますと、これはやはり存在をするというふうに考えた方がよろしかろうと思います。ただ、全体として台湾問題についてはかなりコンセンサスがとれているということも間違いがないということであります。つまり、台湾について独立を認めるという人はもちろん中にはいないでしょうし、それから、台湾が何らかの形で切り離されるということについても中国は、これは党内でもコンセンサスが非常に懸念としてとれているだろうというふうに思うわけであります。
そう考えてまいりますと、基本的な部分では、やはりこれは近代以来の歴史の中で中国は物事を考えているでしょうから、その点はかなり強い認識だと思いますが、ただ、その方法あるいは実際のこれからの関係のあり方という点については温度差が存在するということは事実だと思います。
それは、特に軍あるいは党内の一部の人々の中からかなり強硬な意見が出てきているのは、今回の中国の発言をいろんな角度から見てみますと、かなりいろんな意見が存在したということも理解できます。それは、中国のメディアの報道だけを見ていてもそれはわかるわけであります。そういう点では、その対応の方法そのものについてはかなりの温度差が存在するということだと思います。
それから、第三番目に、日本の対応としてはどういうことかということでございますけれども、私は、一つはやはり日本の対中国に対する台湾問題についての政策というのは基本的に変わらない。それはつまり、中国を正統政府として認めるという部分については日本は尊重しているわけでありますから、その点では中国の内政に干渉しないということ。
それから、第二点目は、その冷静な対応を中国に求めるということ、これは東アジアの安定ということのために非常に重要であると。それはやはり先ほど申し上げた平和的な解決ということを大前提にするということをやはり一貫して求めるということが重要でありましょうし、ただ、私は先ほど中国の内政に干渉しないという点を申し上げましたけれども、台湾問題はそれほど簡単な問題ではないというふうに私は申し上げておきたいと思います。
それはどういうことかと申しますと、現在台湾問題をどう考えるか。それはやはり国際関係をどう考えるかという問題にかかわってくるわけでありまして、現代の国際関係というのは何も国と国の関係だけですべての関係が構成されているわけではないわけでありまして、民間の関係を含めた形で国際関係というものが現在は構成されているというのが、これはもう国際政治学のABCのAの部分でありまして、だれでもわかっていることであります。
つまり、そうした点でいきますと、台湾と現在日本の持っている民間のレベルでの交流というのはかなり厚いものがありますし、経済的な利害ということからいたしましても日本の利益はかなり大きいわけであります。そういう点から考えますと、私は台湾問題というのは中国のもちろん内政問題としての延長線上にあるという部分はあるけれども、同時にやはり現在は、もう中国自体がアメリカとの関係の中で台湾問題を処理しなければいけないということをもう明確にこれも言っているわけでありますから、そういう点では、もう一つは今申し上げたような、つまり国際関係の枠組みの変化あるいは国際関係そのものの理解の変化という点から考えて、台湾問題は既に国際問題になってきているというふうに私は考えております。