森嶌昭夫の発言 (経済・産業委員会)

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○参考人(森嶌昭夫君) 御紹介いただきました森嶌でございます。本日は、参議院の経済・産業委員会の参考人としてお呼びいただきまして、大変光栄に存じております。
 それでは、早速意見を申し述べさせていただきます。
 申し上げるまでもないことですけれども、我が国は、一九六三年に原子力の発電を開始いたしまして、自来三十数年にわたって原子力発電を続けておりまして、現在、原子炉、原子力発電は五十一基に上っておりますが、現在、日本の発電量の約三八%が原子力発電によるものであります。
 こうした原子力発電の結果、ガラス固化体という、これはここで御説明している時間はございませんけれども、要するに再処理をした後ガラス固化体というものにいたしまして現在約一万二千本ぐらいがもう既に貯蔵されております。まだガラス固化体になっておりませんで、発電所等において冷却をしている、あるいは再処理のプロセスにあるというところでございまして、二〇三〇年までにはガラス固化体にしまして七万本ぐらいの高レベル放射性廃棄物が、ここで言う特定放射性廃棄物が出てくるであろうというふうに推測されているわけでございます。
 それではその処理をどうするかという点につきましては、我が国では、今回初めて法律が出た状況でございまして、全く現在までのところ深層地下の研究も含めて非常に立ちおくれておりまして、他の原子力発電の国に比べまして二十年から三十年おくれているというふうに言われているわけであります。
 しかしながら、他方で、御承知のような動燃の事故とかさまざまな事故があり、さらには昨年ジェー・シー・オーの事故などもございまして、国民の間には原子力に対する不信感、不安感というのが非常に高まっているところであります。
 現在、科学技術庁、科学技術庁というよりもむしろ原子力委員会で原子力の長期計画についての見直しなども行っているところでありますが、そこで最大の問題は、どのようにして国民の不安、不信を解消しつつ現在の原子力発電というものを、将来拡大するのか維持するのか縮小するのかはともかくとして、現実の問題として原子力発電がこれだけ重要な役割を占めているわけでございますので、どのようにして国民に対する理解を求めるかということが最大の関心事であります。
 この特定放射性廃棄物の処分につきましても、原子力委員会におきまして平成七年の九月に高レベル放射性廃棄物処分懇談会という、元学術会議会長の近藤次郎先生を座長といたしまして、私が座長代理を務めさせていただきましたが、そのさまざまな方々から成るグループによって、パブリック・アクセプタンスと申しましょうか、どのようにして国民に受け入れられるような形で最終処分の仕組みをつくっていくかという議論をいたしまして、途中で国民の意見を聞きましたりあるいはインターネットなどによって意見を徴するというようなことをした上で、平成十年の五月に基本的な考え方についての報告書を出しております。
 この報告書につきましては、先生方のお手元にあります参議院の調査室が御用意になりました参考資料の五十一ページ以下にございますので、詳細はそれをお読みいただきたいというふうに思います。
 そこでの議論の中心といいましょうか、どういうことをしなければならないかということについて、まず、これは非常に、これはと申しますのは、処分のプロセスというのは非常に長い期間かかることになります。そして、現在発電をしている原子力の使用済み燃料の処理でございますので、世代間の公平ということを考えますと、現時点で資金を積み立てていく、資金を確保するという必要がございます。
 それから、それと並んでこの処分を行う実施主体、これは高度に科学的、技術的なものでもありますので、その意味では技術的にもすぐれたものを持っていなければなりませんし、非常に長丁場の事業でございますので、実施主体の永続性という、長く続くということも考えなければなりません。その意味で、高い技術と透明性を持ってそして長続きをするという、そういう実施主体を設立する必要があるということでございます。
 そして、その最終処分の業務の遂行に当たりましては、まず第一に、安全の確保ということが最大の一つの条件でございます。そしてさらに、先ほど申しました国民の不安、不信ということにも配慮いたしますと、その業務の遂行に当たっては情報公開などの透明性を確保するということも非常に重要なことになります。
 そして、これらと並んで、やはり最終処分場を設置するに当たって、やはり地元にとってみますと場合によってはそれは迷惑施設と同じように考えられる可能性があるわけでありまして、立地地域との共生、これも単に金を配るということではなくて、その地域の自発性によって最終処分場という事業とその地域との共生を図っていくという、それをどのようにしてやっていくべきかということでございます。
 さらには、その処分地の選定に当たりまして、そのプロセスにおいて地元の意見が十分に組み入れられていく、透明なプロセスで選定をしていく必要があるということでございまして、以上のような事柄につきまして報告書は、どのように考えるべきか、どのようにすべきかということについて述べております。
 この報告書に基づきまして、さらに資源エネルギー庁において細部を検討いたしまして今回の法律案ができているのだというふうに思いますけれども、そこで、この法律案について申し上げます。
 まず、実施主体でございますが、ここでは原子力発電環境整備機構という名前になっておりまして、第五章三十四条以下に規定をされておりますが、この機構は通産大臣の厳しい監督のもとにありまして、さまざまなプロセスにおいて通産大臣の認可、許可等を必要としております。その意味で、国がこの事業に対して大きな責任を持っているということでございます。
 さらに、永続性の点につきましては、現時点でなかなか見えにくいということもあるのかと思いますけれども、七十一条で、この機構が解散するのは「別に法律で定める。」というようなことで、この法律からは送っておりますけれども、どのようにして永続性を維持するかということは重要なことでありますし、一部の業務ができなくなるあるいは業務ができなくなったというような場合に、その業務をどのようにしてだれが引き継ぐかということにつきましても、七十四条に「別に法律で定める。」ということでございます。その意味では、いろいろ将来のことにもわたって、差異もあるものですから多分この法律には盛り込まなかったのだろうと思いますけれども、一応、別に法律の定めによるという形で永続性ということに配慮していると思います。
 それから、資金でございますけれども、これは十一条以下に、原子炉の設置者から拠出金という形で毎年機構ごとに資金を徴収して、それを指定法人に預けて、そして事業を行う際にそこから引き出すという仕組みをとっております。
 以上、実施主体と資金につきましてはまさにこの法律の目玉でございまして、その意味では、先ほど申しました原子力委員会の懇談会がぜひやってくれということにつきましては法律の中に盛り込まれているというふうに思います。
 それでは、業務の運営についてでございますが、安全性につきましては、恐らくこれも技術的な理由だろうと思いますが、二十条において「別に法律で定めるところによる。」ということになっております。望むらくは、こういう実施主体やその選定プロセスなどを規定している法律において、同時に少なくとも安全性の骨格についてはあった方がよかったのではないかという気がしないではありませんけれども、これは単に先に譲ったり、省令とか政令に譲っているわけでありませんで、「法律で定める」ということでございますので、私の希望としては、ぜひ早急に技術的な問題を詰めて、安全性に関する法律をつくっていただきたい。そうでなければ、今回出ております法律案が画竜点睛を欠くということになるというふうに思っております。
 業務につきましてですけれども、業務につきましては、三条によって通産大臣が基本方針を定めるということになっておりまして、全体にどのようにして業務を行うかということでありますが、それには、三条の中には二項の三号で、選定に係る関係住民の理解を求めるということが、法律としてはやや異例ではありますけれども、恐らく懇談会の意向の上に立ってこういう規定があるのだろうと思いますが、同時に六号において国民の理解を求めるというふうになっております。
 人によっては、アメリカのように、こういう理解を求める求め方について詳細に法律の中に書き込むべきだという御意見もありますが、これはこの法律だけでなくて、これはむしろ先生方にお願いをしたいんですけれども、日本の法律というのは余り細かいことを書き込むという伝統はございませんで、現在でも内閣法制局に持っていくと、以前に比べればかなり詳細な規定が載るようになりましたけれども、アメリカのような規定を置くわけにはいかないと。結局は政省令に譲るということでございますので、一〇〇%満足したということではございませんけれども、関係住民の理解を得るとかあるいは国民の理解を得るように、そういう措置を基本方針の中に規定するというふうな規定が法律の中にあるということをもって、私は、ぜひ先生方からも御注意いただきたいし、それから政府においてもこれを、なぜこういう規定があるかということを十分お考えの上で進めていただきたいと思っております。
 それから、さらに基本方針に基づいて最終処分計画というものをつくります。先ほど申し忘れましたが、基本方針もこの最終処分計画もこれを公表するという形で透明性に配慮していると思います。
 そして、最終処分計画においては、都道府県とか市町村などの首長の意見を聞かなければならないということになっておりまして、この点でも地元といいましょうか、国が一方的に押しつけるという考え方ではないように思います。
 さらに、選定のプロセスにおいて具体的にはこれは機構が実施計画というものを五条でつくりまして、これに基づいて行うことになるわけですけれども、その運営方針の基本として六十条がございまして、ここにこれも今までの日本の法律としてはやや異例な書き方ではありますけれども、六十条で、「適切な情報の公開により業務の運営における透明性を確保するとともに、概要調査地区等及び最終処分施設の周辺の地域の住民等の理解と協力を得るよう努めなければならない。」ということになっております。
 これも日本の法律がまだ至らないところでありますけれども、権利義務関係というのは余りはっきりしませんけれども、少なくとも現在の水準の日本のこうしたたぐいの法律としては極めて、極めてと申しますか一歩も二歩も進めたものというふうに私は評価していますが、これでは足らないという御意見もあることは確かであります。
 そのようにして、住民の参加とかあるいは共生についての規定はここには置かれておりませんけれども、恐らく先ほど申しました地元等の理解を求めるための措置と、そういうところでこれは反映されていくのだろうというふうに私は希望しております。
 時間が参りましたので、現時点ではこういうことで意見を述べさせていただきましたが、総じて申しますと、私は、日本の現在の法律体系から見ますと、懇談会が申し上げたことを最大限盛っていただいたものというふうに思いますけれども、恐らくこれから五年、十年たちますとこういう条文では国民は納得しないことになるのではないかと思いますけれども、私は、現時点におきましてはこの法律をぜひお通しいただきたい。そういたしますと、実施主体と資金というのは少なくとも現時点で確立されるということになるかと思います。
 どうもありがとうございました。

発言情報

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発言者: 森嶌昭夫

speaker_id: 32628

日付: 2000-05-25

院: 参議院

会議名: 経済・産業委員会