徳山明の発言 (経済・産業委員会)
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○参考人(徳山明君) ただいま御紹介をいただきました徳山でございます。
私は、現在、原子力委員会のバックエンド対策専門部会の委員を務めておりまして、そのまた前身の放射性廃棄物対策専門部会というのがありまして、その委員等もやってまいりまして、当法案の主題でありますところの高レベル放射性廃棄物の地層処分、この法案の名前では特定廃棄物の最終処分となっておりますが、そういう問題に約二十年携わってまいりました。
この間、IAEAの会議がありまして、セーフティー・スタンダーズというのをつくっておりますが、そのセーフティー・プリンシプルズ・アンド・テクニカル・クライテリア・フォー・ジ・アンダーグラウンド・ディスポーザル・オブ・ハイレベル・ラジオアクティブ・ウエースト、これは国際的なスタンダードとしてつくっておりますが、その策定にも参画いたしております。
私の専門は、地質学でも基礎的な部分でありますところの地質の営力論というようなことあるいは構造地質を専門としておりますが、そういうような極めて基礎的な学問分野の成果というものがこのたびのこの地層処分という事業の中でいわば中心的な役割を果たすということでありまして、それがまた次の世紀の人類の安全に貢献するということができるということは、大変に私どもとしては、いわば希有な例ではありますけれども、ある意味では非常に気持ちの高揚と緊張を感じているわけでございます。
本日、このような機会を与えていただきました委員長を初め本委員会の委員の方々に、そういう意味で厚く御礼を申し上げます。
もう一つ、本題に入る前に、本法案では、私どもとしては唐突に、さっき言いましたが、特定放射性廃棄物だとか最終処分という用語が使われているのでありますけれども、二十年来使用されてきた高レベル放射性廃棄物とか地層処分という言葉は全く使われずに一方的にそういう言葉にかわってしまっているという点にどうも何となく戸惑いを覚えます。
私どものいろいろな学問の分野というものは、それぞれ昔からずっとやってきたところの成果とかそういうものをきちんと尊重するという原則がありますものですから、そういうものを踏襲するというのが常識でございます。したがって、今後いろんな意味で、これまでずっと地層処分であるとか高レベル放射性廃棄物と言っていたものが何かこういう法律用語でこんなふうになってしまいますと、何かある意味では混乱が生じることはないのかなという懸念を感ずるということを申し添えさせていただきます。
さて、したがって、私の用意しました資料も、一ページ目のところには「最終処分(地層処分)」とやっておりますし、その下にあります図示したものは「高レベル放射性廃棄物」、「地層処分」と書いておりますので、その癖が出てしまいますことをあらかじめお許しいただきたいと思います。
その最終処分あるいは地層処分ということの原則は、つまり地質媒体の中に埋めるという原則は、これは地質恒常性といういわば地質的にいえば非常に大きな原理ですけれども、そういうものにのっとっているわけであります。
それはどういうことかといいますと、ここにありますように地下深部の地層というものは非常にずっとその中の条件、物理的な条件とか化学的な条件というのは非常に安定なもので、長期間にわたって永続的に恒常性が保たれるということが大原則になっております。したがって、ここにもありますように、例えば日本のいろんなところでいえば数百万年でありますとか一千万年ぐらい前のそのままの状態で、地下水の状態もそのままに残っているというわけであります。
それからもう一つ、地層そのものの成り立ちといいますか岩石、これは珪酸塩鉱物というものからできているわけで、この珪酸塩鉱物そのものが非常に安定な変化しにくいものでありますから、したがってそれ自体非常に物理的にも化学的にも安全なものでありまして、金属化合物、例えば普通の鉱床なんかでいいますと、黄鉄鉱みたいなものがありますと、こういうものは地表の条件であればすぐに溶けてしまったり酸化するわけですけれども、地下の中にありますと、日本でも二億年とか三億年、あるいは例えばキースラーガーというふうにいうんですけれども、ドイツのランメルスベルクなんというところでは三億年、四億年という前の状態がそのままぴしっと保存されている。
ですから、そういう意味で、特にこの高レベル放射性廃棄物、いわゆるハイレベルウエーストというものは金属のオーバーパックというものにくるんだ状態、金属の塊みたいなものでありまして、そういうものはしたがってそれを地層の中に埋めておけば非常に長期にわたり十分安全に隔離することができる、これが一つの原則でございます。
そこで、しかし、それじゃどこでもいいかというと、それに対していろいろな、これはどうしてもここは避けておこうというような条件がございまして、それがここに書いてあります、特に大きいのが「地殻変動の要因」かなというふうに思うわけです。
日本では、火山の活動とか地震の活動、活断層と申しますけれども、これは後ほど松田先生からのお話があると思いますが、そういうような活動が非常に活発であるということから、そういうところに埋めておいて大丈夫だろうかというような心配、懸念があるわけであります。そこで、そういうものの性質をきちんと調べて、そういう危ないところ、ここは避けようというところをきちんと調べていさえすれば、そこでなければ、つまりそういう条件を排除していけば残ったところは平気であると、こういうのが基本的な考え方でございます。
それで、地震とか活断層の活動というようなものは、後ほど松田先生からもお話があると思いますが、長い間にわたって非常に限られた範囲でずっと起こっておりますから、そういうところを避ければ今後ともそういうことはない。
火山・火成活動というものも、この地質学上では第四紀という百万年とかそのくらいの間はほとんど動いていない。その火山活動というものはどういうようにして起こるだろうという考え方があるわけで、その考え方からしますと、今後例えばこの地層処分というので言っておりますところの十万年であるとかそのくらいの間というものは十分火山の影響のないところというものを探すことができる、そういうことが述べられているわけでございます。
それからもう一つは、地層の中にいろいろな意味で、例えば地震が起こったりすると揺れたりとかあるいは力がかかったりということがありますが、これは要するに変形作用と申しまして、金属のものがぎゅっと曲がってそれが壊れる、壊れなければいいわけでありますから、壊れるという条件とそれから周りの岩石がどういうふうにして壊れるかということの条件をあわせて考えますと、例えば断層のあるところから、周りに破砕帯というものがありますけれども、破砕帯というものを避けてやりさえすればこの辺の条件は十分に満足できるというようなことが考えられるわけであります。そういう意味で、日本の中でも十分にそういう安全な場所を確保することができるということが私どもの結論でございます。
そういうものは、これは先ほどから森嶌参考人が申されておりましたが、日本は非常にこういうことでおくれをとっているじゃないかということを皆さんおっしゃいますけれども、しかしながら国際的にも、国際プロジェクトというものにこの二十年間ずっと参加しておりまして、実際にスイスでありますとかスウェーデンとかそういうところで研究もしておりまして、したがってそのレベルというものが決して私は外国よりおくれているというふうには思っておりません。特に日本の特別な事情というものがありますから、そういうことに関してはかなり詳しくわかっているというふうに考えております。
そこで、そういうオーバーパックと申しますか、そういうものに埋めたものがどのくらい変形というものに耐えるか、こういう条件がきちんと化学的、物理的にわかっておれば、それに対して耐えられるような条件。ですから、例えば一番考えなきゃいけないのは、地下水というものの流れを通して放射性核種というのが漏れてくるんじゃないかということを考えるわけですが、それに対しては地下水の性質というものが普通に考えているような酸性または中性ではなくて、もっとアルカリ性のところであるとかそういう溶けにくい条件であるとか、あるいは日本の場合には、今まで私どもは数百メートル下と言っているんですが、それは地下水の流れの下ということを考えているわけです。今度これもまた唐突に三百メートルという数字が出ておりますけれども、三百メートル以下と言っていますから数百メートルは当然入るわけですからそれは構わないわけですけれども、そういうような地質的な条件というものをずっと考えていきますと、地層処分というものは十分可能だということが言えるわけです。
その放射性核種というものは、どういうふうにして流れて地下水を伝わってずっと来て、それで仮に地表まで出てくると。その場合に非常に重要なのが時間間隔でありますから、その時間間隔というものは、これはこの移動の速度というものの関数になりますから、つまり距離が長ければ時間はうんとかかる。ですから、仮に漏れてずっと来たとしても、地表へ出たときには既に放射能の影響というものはなくなるというぐらいの時間がかかるという計算をするわけです。
そういうわけで、今度はそのいわゆる安全性というものを考えるときには、実際に我々が見ている地層あるいは岩石というものをいろいろな条件を入れてシミュレーションして、それでその結果、今言いましたような例えば断層ができた、その割れ目をどういうふうに地下水が流れて通るだろうかとか、そういうようないろんな意味の計算をして、その結果いわゆる安全の基準と申しますか、そういうものをこれから考えるんですけれども、長時間の間十分に確保できる、そういう見通しが立ったということでございます。
地質、この場合に要するにいわゆるいろんな条件がありますけれども、周りの岩盤の性質ということが一番大きな条件で、その中に今度はもう一つさっき言いました高レベル放射性廃棄物の媒体を包むところのオーバーパックとか、さらにまたその周りにあります粘土層の部分とかそういうものを含めて、これは人工バリアと申しますけれども、この地層処分のシステムというものはいわゆるオーバーオールセーフティー、多重安全性というものの概念で成り立っておりまして、もともとの地質媒体という安定性のあるというものにさらに人工的にきちんとしたものを考えてそこに埋めておこう、こういうものが地層処分あるいはここに言います最終処分というものの基本的な考え方でございます。
とりあえず以上です。発言する機会をどうもありがとうございました。