松田時彦の発言 (経済・産業委員会)

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○参考人(松田時彦君) 松田でございます。
 地層処分の安全問題を考える場合には、当然ですけれども地震の影響も考慮に入れなきゃならないわけです。私は、今日まで四十年ほど大学におりまして、その間、活断層から地震がどう起こるかということを調べてまいりましたので、きょうは直接な問題よりもそれを判断するときの地震とか断層についてのお話を主にしようと思っております。
 もう御存じのように、地震の原因というのは、岩盤の中にあります断層と呼ばれる弱面、弱い面に沿って急にその両側の岩盤がずれ動く、そのときの振動を感じたとき我々が地震と言っているわけです。大きな地震はそれが地下で非常に大規模に起こった場合であります。もちろん小さい場合もあります。
 お手元の資料に、ちょっと用意してまいりましたけれども、一枚目の左の方にちょっと模型みたいな絵がありますけれども、岩盤の中に大きな切れ目が入っています、震源断層ですが。これが非常に大きく大規模に地下で動きますと、地表まで届くことがございます。その岩盤のずれが地表までずらすということを地表で見ることができるわけであります。
 その地表の断層、今まで日本でもその図の右側にありますようにたくさんの例を持っておりますが、その現地を見ますと、行ってみますと、そのときにずれた、数メートルずれますけれども、その何倍も、何十メートル、何百メートル、何千メートルもそこにあったものがずれているんですね、前からあったものが。ということは、今回起こったその地震と同じことが過去にも繰り返し繰り返し起こったと考えざるを得ないわけです。過去に繰り返し起こったものはまた起こるだろう、突然きょうから将来に向かって気が変わってしまうということはないだろうということから、そういう断層はまだ生きているということで活断層と呼んで、将来のことを考えるときに考慮しているわけであります。
 その断層をよく調べてみますと、そういうものと地表の地震断層は、地表地震断層と言っていますけれども、共通した特徴があります。一つは、今言いましたように、繰り返し活動した証拠を持っているということ。それからもう一つは、今やっぱり申しましたけれども、小さな地震ではそういうことが地表まで届かない、岩盤のずれが地表まで届かない。だから、我々が活断層と言っているものは、地表で認識しているものは大地震の場合だけなんです。だから、小さい地震は私のような調査では漏れてしまいますが、逆に言うと、一番知りたい大地震だけが地表にちゃんと残して見えるようになっていてくれる、そういういい点もあるわけであります。
 とにかく、活断層というのは、その場所で大地震、具体的に言いますとマグニチュード七程度かそれ以上のが起こった場所の証拠であります。もう地震というのは何か揺れて終わって消えてしまうように思うかもしれませんけれども、そこに残っているわけです。ですから、それから過去のことを知り、将来のことを考えることができるというわけです。
 それで、それでは大地震を起こす活断層の分布がどういうふうになっているかというのがこの二ページ目、一枚目の右のページのところに主な活断層の分布があります。たくさんあるようでもあります。これは少しまとめてありますので、本当に主なものだけであります。
 次のページに、地域ごとに地質学的な特徴をもとに日本列島を分けてみますとこういうような分け方ができますが、その分けた地域ごとに断層の多いところを黒っぽく塗ってあります、活断層の多いところですね。それから、ほとんどないところもありまして、そういうところは白く塗ってあります。太平洋沿岸です。内陸では、近畿、中部、九州に非常に大きな地震の化石である、それで将来起こすかもしれない種である活断層の多いところ。少ないところがこんなぐあいです。日本じゅうどこへ行っても同じだなんということではありません。
 今申しましたように、断層の多いところは当然地震が多いはずですが、それではというので、最近百年間のいわゆる直下型地震、浅くて被害をつくるような、それでマグニチュード五以上、被害地震になるような、そういう地震の数をとったものがその右側に並べてあります。比較してごらんになるように、やっぱり活断層の多いところでそういう被害地震もたくさん起こっております。共通して太平洋の沿岸、北海道も東北地方も西南日本でも太平洋側の地域では直下型の地震も断層も非常に少ない、そういうことがあります。
 それから、それでは活断層の過去を調べた結果わかった地震の起こり方の大事な性質は、先ほどの一ページの右側に表にしてありますけれども、特に大事なことは、活断層は、言葉は活と書いてあるけれども、ふだんは全く異状を示しません。トンネルを掘って地下鉄を通しても何の異状もありませんが、動くときには動く。要するに、間欠的に起こす。しかも間欠的の間隔がほぼ一定している。周期的、周期性を持っている、その断層に関して。自分は千年間隔で動きますとか、五千年間隔ですとかという個性を持って周期的に動いております。具体的には、過去の起こり方から見ますと、それは非常に活発な断層でも千年に一度ぐらいです。本当にまれなことではありますが、そういう性質であります。
 したがって、予測をするとなりますと、今のような性質に基づいて予測がある程度可能であるわけです。
 特に、阪神・淡路のあの大地震のときに、そういう知識に基づいて専門家の間ではある程度予測をしていたわけです。あの場所でマグニチュード七ぐらいのものが、ただし数百年以内、来年かもしれないけれども数百年先かもしれないけれども、ほかの活断層に比べたらもう十分の一ぐらいにコンデンスした狭い期間に起こる可能性があるということを考えておりました。
 そういうことを政府が知りまして、本当に政府はそれに対応をいたしまして、地震調査研究推進本部を新たに強化してつくられて、それで本当に政府が専門家の予測を直接国民に発表するようになっております。
 その例が二ページ目の右のページにあります三つの断層について、この三つの断層はいずれもマグニチュード八程度のものがどこどこで今後、現在以後数百年以内に、来年かもしれないが数百年先かもしれないその期間に起こる可能性が高いという、そういう予測を政府がしているという、世界でも類のない本当に先進的なことをしてくださっているすばらしい日本だと私は思っております。
 そういうように思いますけれども、活断層を知れば将来の地震の場所がわかる、その分布の状態も今この程度はわかっている、規模も大きな地震の跡であるということでわかっている。時期は、残念ながら数百年に一度であるから、それ以上の細かい予測はできない。
 最後に、二枚目の左上に「問題点」とありますけれども、問題点というか今後わからせたいことは、今言いましたように、数百年という範囲で確実なことを申しておりますけれども、確実なことを数百年でなくて数十年にしたい。
 二番目は、地表で見つかる活断層はマグニチュード七程度の大地震の跡でして、それよりも小さな地震でも影響を与えるわけですから、我々の世界に。つまり、マグニチュード六とか五については地表に跡を残さないわけですから、地表を歩いている我々の観察では漏れております。ただし、そのすぐ下にある日本列島の地図で地震が多いところというのは、これはマグニチュード七じゃなくて、七も数少ない七を含んでいますけれども、マグニチュード五とか六の数を含めておりますので個々には言えませんけれども、やっぱり活断層があるところではマグニチュード五とか六というような大地震とか中地震が起こっている、起こる場所であるというふうに見ていただいてよろしいんです。
 それから三番目は、これが一番私が心配していることですけれども、岩盤中に、日本のような岩盤中には普通にたくさんの割れ目や小さな断層があります。よその国に行くと本当に割れ目、傷一つない岩盤が続いていますけれども、日本ではどうしても小さな割れ目や断層があります。それも実は動いた跡ですし、どうしても、いい場所だと思ってもその中にそういう割れ目が出てきますので、それがどの程度動くのか、いつ動くのか、動いたとしたらどのくらいの量動くのかということを知りたい。今までの感じでは動いたとしても数センチ程度であろうと思っておりますが、数メートルというとさっきの本当の活断層ですけれども、その程度に思っていますが、予測が困難である、必ずぶつかる小断層についての研究が十分ではない、そういうふうに思っています。
 以上でございます。

発言情報

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発言者: 松田時彦

speaker_id: 9406

日付: 2000-05-25

院: 参議院

会議名: 経済・産業委員会