岡村千尋の発言 (憲法調査会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○参考人(岡村千尋君) 私は、今までの方と若干違う視点からの発言になるかと思いますが、憲法十四条の法のもとの平等という条文について、女性の暮らしの観点から発言します。
 まず、憲法の歴史を振り返ってみますと、明治憲法においては女性は男性に従える者として扱われていました。私は、卒業論文で、戦前の女性の大学教育について調査研究することを通じて、戦前、憲法で女性の基本的人権が認められていなかった中で、女性が大学で学んだり社会に進出していくには血のにじむような努力や苦労が必要だったこと、そのような苦労や努力を重ねて時代を開拓していった女性がいたことがわかりました。世界的な男女平等の流れを背景にしたそれらの女性の功績が憲法第十四条の制定に大きな役割を果たしたと言えます。
 そのような歴史を顧みれば、憲法十四条に支えられた現在の女性の活躍は目覚ましいものがあります。高等教育への進学率、就業率も年々上昇しています。その意味で、私たち女性にとって憲法十四条がかけがえのないものであることは確かです。
 しかし、女性の暮らしは戦前とは比べものにならないほど平等で自由なものになったとはいえ、決して十分なものとは言えません。労働の現場においても男女差別はなくなっていません。募集、採用に始まり、昇進昇格差別、賃金差別などさまざまな形での女性への不当な差別が依然残っています。政治、行政への女性の参加率が大変低いことも御承知のとおりと思います。育児や介護に対する社会的なサポートが不十分な状況の中で、労働における女性の差別が合理化されていると思います。世界一の働き者と言われる日本でたくさんの人が家事、育児に十分に参加するゆとりもないほど働いている、そういう事実も見逃せません。大学においては、学問を盾に女性の性をもてあそぶようなアカデミックハラスメントが起きています。社会全体を見ても、セクシュアルハラスメントやレイプなど性暴力の被害が後を絶ちません。
 このように、憲法に反して女性の人権を侵害するような行為や風潮が社会全体に根強く存在していることは事実です。憲法には、男性、女性、既婚者、未婚者を問わず、一人一人を個人としてその人権を尊重することが明記されています。
 二十一世紀に向けて、男性の力も女性の力も十分に発揮できる、そういう日本をつくっていくためには、今あるような憲法と現実のギャップを直視し、改善し、私たちの暮らしの中に憲法を実現していかなければならないと思います。そのためには、政治、行政、労働、教育など、多方面にわたって意識の啓発と同時に、女性だけでなく、男性も人間として当たり前に望むようなライフスタイルを確立していけるような、そういう社会環境の整備が急がれていると思います。そして、このような憲法調査会などの場、その他の場での社会全体での議論が必要だと思います。
 以上で発言を終わります。

発言情報

speech_id: 114714184X00520000405_019

発言者: 岡村千尋

speaker_id: 32687

日付: 2000-04-05

院: 参議院

会議名: 憲法調査会