久世公堯の発言 (憲法調査会)
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○久世公堯君 自由民主党・保守党でございます。
日本国憲法の制定以来五十数年、我が国の社会経済環境は内外ともに大きく変化をいたしました。国際的には、冷戦構造の終結による国際情勢の変化、それに伴いまして我が国の国際社会における役割、使命はますます大きくなってきております。国内的には、産業構造や国民生活が変化をし、国民の価値観も大きく変革をいたしております。
社会経済的環境の変化によって憲法と実態との乖離は極めて大きくなっております。このような変化に対応するために今日まで憲法の最大限の拡大解釈をいたしてまいりましたが、しかし限界でございます。憲法の見直し、憲法改正論がほうはいとして起こり、今衆議院、参議院には憲法調査会が設置されている次第でございます。
私は、そこで、国際的、国内的危機管理と憲法という視点から、お二方に御質問をしたいと思います。
ここ十数年来、国際的、国内的に人心を震駭するような事件が多発をいたしております。北朝鮮ミサイル発射事件等朝鮮半島に係る安全保障問題、あるいは阪神・淡路大震災、サリン事件等、我が国の安全神話が崩れかかってきております。予測できない多様な危機が発生し、今また有珠山の噴火を憂慮するところです。国家や国民の安全を脅かす多様な危機にいかに対応するか、国民的に大きな関心事となっております。
そこで、まずプール氏に御質問いたしたいと思いますが、プール氏は、先ほど、憲法全体を改正しようとすれば手に負えない、憲法改正は必要が生じた場合にのみ個々の問題について改正を検討すべきであると、こう御指摘になりました。そして、その例として憲法九条を御指摘になりました。プール氏は、憲法九条につきましては、防衛と国際平和維持活動だけに役割を限定された軍隊の規定を明確にすべきであるという御意見でございました。
御指摘のとおり、私どもは、一九五四年の自衛隊法を初めとして、PKO法やあるいは日米ガイドラインによる周辺事態法によりまして、防衛面における危機管理体制を整備しております。さらに、現在、有事法制についても検討中です。日米安全保障体制のもとに半世紀、この五十四年の間、憲法九条を最大限に拡大解釈して対応してまいりました。今後、国際情勢の変化に適切に対応し、我が国の安全確保に万全を期するためには、解釈の対応だけでは限界でございます。
ただいま御指摘ありましたように、防衛や国際平和維持活動に関する限り、そのネックとなる点、例えば集団的自衛権や国連の集団安全保障等について、拡大解釈ではなく国民合意のもとで九条をきっちりと改正をすべきであると思いますが、この点について御所見を承りたいと思います。たしか、一九九七年、先ほどお話にありました、来日をされましたときには、九条を改正すべきであるということを明言されたことを記憶をいたしております。
危機管理、特に国内的な危機管理と行政権の対応について実はエスマン氏に質問を予定しておりましたが、エスマン氏は来日されません。もしプール氏に御回答願えればありがたいと思います。
危機は多岐多様にわたり、本来的に予測不可能であり、かつその生起に対して万全の即応体制が必要でございます。憲法には、非常時の規定として五十四条の参議院の緊急集会があるだけで、行政上の特別の規定はございません。加えて、行政権の主体は合議制の内閣であって、総理大臣の権限は弱うございます。危機管理体制の万全を期する上で、非常時における危機管理体制の整備は憲法見直しの重要事項であると思いますが、これについてのプール氏の見解を承りたいと思います。
最後に、ゴードン氏に対して質問を申し上げたいと思います。
ゴードン氏は、女性の権利、女性の福祉について憲法制定当時にさまざまの提案をされたことを先ほど承りました。我が国におきましても、昨年、一九九九年に男女共同参画社会基本法が制定されまして、女性の立場は一段とまた高くなってきております。さらなる前進でございます。
基本的人権の確立や実現はもちろん重要でございますが、他方、危機等におきましては、公共の福祉、安全確保のために事態によっては個人の権利が大きく制約されることも想定されます。天災を初めとして内外にわたる危機に備えるため、国家と国民、公への義務と個人の自由との関係をどのように考えられるか。国民の生命、財産はもちろん、国民の暮らしや社会を守るという公共の福祉による人権の制約についてのお考えを承りたいと思います。
この点に関連いたしまして、先ほどお話がありましたように、憲法の起草当時、「家庭は、人類社会の基礎である」という条文を憲法に入れるべきだということを主張されたということでございますが、今、我が国の社会の現状においてこの必要性は非常にございます。それを痛感するだけに、この点について現在どうであるかということを承りたいと思います。
以上でございます。