大沢真理の発言 (国民福祉委員会)

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○参考人(大沢真理君) まず、なぜ少子化対策をとる必要があるかということを考えてみたいんですけれども、これは言うまでもなく、少子化していきますと高齢者比率というのは予想よりもさらに高まると。今まで厚生省の人口の将来予測というのが外れてきたのは、出生率が予想以上に低くなってきたことに原因があるわけでございます。
 それで、それに対する対策ですけれども、急にたくさん産んだのではより困るわけでございます。つまり、少子高齢化して何が困るかというと、一番困る制度は年金制度。ほかにもいろいろございますが、年金制度の財政が破綻するというのが一番見えやすいことでございます。これについて言えば、生まれた子供というのは最低二十五年間ぐらいは税金も社会保険料も納めませんので、今いきなり産んでも年金財政の破綻という問題は全く回避できないわけですから、産めばいいということではない。
 しかしながら、これ以上出生率が低下をすると、高齢化の問題というのが一応二〇五〇年ぐらいで、二〇一五年ぐらいにまず、山登りでいえばちょっと肩に上るというんでしょうか、やや高齢化のスピードが落ちまして、その後に次の山が来て、五〇年ぐらいから安定をした人口構成になるというふうに今推計がされておりますけれども、これ以上出生率が下がると、さらに次の山、三番目の山、四番目の山が来てしまうということで、これではとても日本の経済社会は耐えられないということから少子化対策を考える必要があるということなのだと思います。
 他方で、今はマクロで申しましたけれども、ミクロで言うとすれば、夫婦に対するアンケート等で、子供は何人欲しいかというアンケートに対して、実際産んでいる子供の数というのは一人以上差がある。つまり、三人欲しいと言っていながら平均で二人しか産んでいない、都市部ではさらに少なくなっているという状況ですから、産みたい、産める条件もそこそこある人がしかし産んでいないと。これはやはり問題なのではないだろうか。
 産んで育てたいという人がそう思ったときに産めるという社会でなければそれは福祉が保障されている社会とは言えない、幸せが保障されている社会とは言えないというところでこの少子化の問題というのはございますので、そういうふうに考えていったときに、今の日本の社会福祉の中で、どうしてこの児童手当制度がずっと後回しにされてきてしまったかということなんですけれども、やはり日本では子供は親の私物、私のものであるというような考え方が強かったことが一つあるのではないか。
 それから、企業が支給しております賃金が生活給的で、御指摘のように扶養手当ですとか家族手当という中に子供の分も含まれていたことから、社会保障でやる必要がどこまであるのかという議論もあったのだと思いますけれども、これも国際比較を客観的にやってみますと、日本で払われております企業の家族手当というのはそんなに実質価値の高いものではないというのがわかってまいります。
 そういう中で、さらにもう一点言うとすれば総合的に考えてこなかった。つまり、年金、医療といったことの今後の問題を解決する上で、世代間の連帯というような理念を強固にしておく必要があったわけなんですけれども、そこのところを総合的に考えてこないで、年金は年金、医療は医療で考えるというような考え方をしてきた結果、児童手当、子育て支援については後手後手に回ってしまったのではなかろうかと思っておりますけれども、それは今後は改められなければならないだろうと考えます。
 以上です。

発言情報

speech_id: 114714333X02020000516_016

発言者: 大沢真理

speaker_id: 31015

日付: 2000-05-16

院: 参議院

会議名: 国民福祉委員会