西山登紀子の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○西山登紀子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました消費者契約法案について、経済企画庁長官に質問いたします。
 我が国の消費者をめぐるトラブルは多発しております。国民生活センターに寄せられた九八年の苦情・相談件数は約六十三万件で、八〇年当時の三・二倍に増加し、その九三%が消費者契約のトラブルで占められています。しかも、消費生活センターに相談するのはトラブルに遭った人の二%程度と言われており、実際の被害はもっと膨大です。これは、従来の政府の消費者行政ではもはや対応できなくなっていることを示しています。
 こうしたもとで、日本共産党は、事業者と消費者の間で情報や交渉力などで歴然とした格差があることを踏まえ、消費者の利益を守り、安心して消費生活が営めるルールを確立することは、今日、重要な課題になっていると考えます。
 同時に、そのことは、リストラ、下請いじめなど大企業の身勝手な活動から、労働者の生活と権利、中小企業を守るルールの確立とともに、日本経済の民主的発展にとって不可欠な課題であります。
 以下、このような立場から本法案の内容についてお尋ねいたします。
 まず第一に、事業者の情報提供義務についてです。
 本法案は、目的に、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ、消費者の利益の擁護を図るとしています。ところが、事業者には単なる努力規定だけで、情報提供義務が明記されておりません。消費者と事業者の間に格差を認めているのですから、事業者にその情報提供を義務とするのは当然ではありませんか。
 情報提供の大切さは、四月からスタートした介護保険の場合を例にとればはっきりします。
 今まで行政サービスで行われていた介護サービスの一つ一つに事業者との契約が必要になってきます。介護を受ける側に親切でわかりやすい説明と契約どおりのサービスの提供が行われないと、お年寄りもその家族も安心して事業者を選ぶことができません。もしトラブルが発生したとき、御本人はもとより、お年寄りを抱えた家族がその紛争を解決するための裁判を起こすのは大変です。また、契約を取り消し、別の事業者に依頼できるまで待っている余裕もありません。
 このように、消費者が契約するには情報の提供は重要なことであり、それを裏切らない事業者になってこそ、健全な取引ルールと言えるのではないでしょうか。
 フランス、ドイツ、イギリス、米国等においては、それぞれの国の事情に違いはありますが、法律で事業者の情報提供義務が消費者契約ルールとして確立しています。日本の事業者にもこうした情報提供に対する責任を明確にするべきではありませんか。世界のこのような流れがあるのに、なぜ本法案では義務としなかったのでしょうか。明快な答弁を求めます。
 さらに、法案が、事業者の情報提供義務は免除する一方で、消費者には提供された情報を理解せよとしていることは本末転倒ではありませんか。消費者の理解の努力を求めるこのような規定は削除すべきと考えます。答弁を求めます。
 第二に、消費者が契約を取り消すことができる場合についてです。
 本法案では、事業者が消費者に対して事実と違うことを告げた場合、またこの絵は必ず値が上がりますなど将来に対する断定的な判断をした場合、また消費者に不利益な事実を提供しなかった場合の三つの場合について契約を取り消すことができると決めています。
 しかし、問題は、その対象を商品・サービスの内容と契約条件に限定していることです。なぜ限定する必要があるのでしょうか。これでは、例えば事業者が水道水を検査し、お宅の水道水は発がん性があるとうそをついて浄水器を売りつけたケースなどは対象となりません。
 このように、消費者が契約を決める決定的な要因となった事柄であっても、それが商品の内容や取引条件でない場合は取り消しの対象とならないのは問題です。こうした点も含め、取り消しの要件は実際の消費者契約の実態に合った広いものにすべきと考えます。答弁を求めます。
 さらに問題は、政府案では、不利益なことを告げなかった場合の取り消しは故意に限定していることです。故意かどうか消費者が立証することは困難であり、この規定は削除するべきです。
 また、事業者に禁止される不当な勧誘行為が、帰ってほしいと言ったのに帰らない不退去と、帰らせてほしいと意思表示したのに帰らせてくれない監禁の二つに限定されているのも問題です。どうして消費者を戸惑わせるその他の行為は含まれないのでしょうか。これでは、目的を隠して接近し親しくなって商品を買わせる恋人商法や、職場に長電話をかけて困らせるなどの行為は対象とならないではありませんか。
 第三に、無効となる契約の条項についてお尋ねいたします。
 本法案は、契約書の中に事業者の損害賠償責任の免除、不当な違約金や超過利息を求める条項が含まれる場合にはその条項が無効になることを定めています。加えて、それ以外にも、消費者の利益を一方的に害する条項を広く取り消しの対象にしています。これは、消費者団体、弁護士の皆さんが強く期待していたもので、積極的な規定と言えます。
 しかし、相談員の方からは、どういう条項がそれに該当するのかすぐにわかるよう法律に列挙してほしいとの強い要望が上がっています。日弁連が提案しているように、ブラックリストとグレーリストとして示すべきではありませんか。
 第四に取り消しの時効についてです。
 契約の取り消し権が行使できるのは、不当な勧誘を受けたと気づいたときから六カ月となっています。日弁連の最新の一一〇番調査からも、相談に来たときには既に六カ月を超え、一年以上が多いというのが実情です。取引の安定性を考慮したとしても、せめて三年とすることが妥当と考えます。答弁を求めます。
 第五に、消費者団体による約款の差しとめ請求についてお尋ねいたします。
 無効となることを判断された不当な契約条項が、別の地域や、また別の事業者によって使用されていたのでは消費者被害の広がりをとめることはできません。消費者の権利擁護のために日夜奮闘されている消費者団体に不当約款に差しとめ請求権を認めることは、この法の目的からも必要と考えます。大臣のお考えを伺います。
 最後に、消費者契約法が実効性を持つためには、国民生活センター、消費生活センターを初め、裁判外紛争処理機関の体制強化が必要であります。
 悪質な事業者に対抗するには個人では限界があります。いつでも相談できる窓口が近くにあることは、消費者の利益を守る上で大変重要です。しかし、地域の相談員は臨時や期間採用の待遇が多く、相談窓口も毎日開設している行政はわずかです。ボランティアで日曜電話相談などを開設して消費者の相談を受けているのが実態です。このような状態を改善し、政府として責任の持てる体制を確保することが重要と考えます。大臣の見解を求めます。
 我が党は、消費者の皆さんの期待にこたえ、消費者の権利の確立という立場から、消費者契約法がただいま提起したことを含む実効性のある法律となるよう、他会派の皆さんとも共同して取り組むことを述べて、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣堺屋太一君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 114715254X01820000419_013

発言者: 西山登紀子

speaker_id: 7729

日付: 2000-04-19

院: 参議院

会議名: 本会議