松田岩夫の発言 (決算委員会)
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○松田岩夫君 おおむね私も理解をいたしますが、きょうはそのことを御質問する時間はないようでございますので後刻にいたします。
今の御答弁の中で、外国人の受け入れあるいは外国人の就労、こういった点については、私はもう少し世界、人類のために日本の国が果たすべき役割として、日本の経済の成長力の維持ばかりではなく、我々が持てる知恵を世界すべての方々に、とりわけ経済の発展に悩む多くの方々に分かち合うべきだ、その一番いい方法は国内においてオン・ザ・ジョブ・トレーニングをしてあげることだ、そういう考え方のもとにもっともっと外国の方々を迎え入れる新しい体制をつくるべきだという考え方の持ち主でありますが、そのことはきょうはちょっとこっちへ置いておきます。しかし、今言った思いからすると、今、労働大臣のおっしゃった最後の部分は大いに議論させていただきたい、こう思っておりますが、きょうはちょっとそのことをこっちへ置いておきまして、今おっしゃった中で特に女性の就労問題、きょうはこのことについて議論を少しさせていただきたいと思います。
今後の労働力の中で、労働力と言ってはいけませんが、従来経済用語はそう言うわけですので、経済学ではこれを労働力と言うわけですので労働力と申し上げるわけでありますが、労働力の供給の中で女性の就労というのは一つの大きな要素だと。おっしゃるとおりであり、私もそう思います。
さて、女性の就労が出生率をさらに低下させるなどといったようなことになってはまことによくありません。実はここに、電通総研がことし三月にまとめた研究レポート、「二十一世紀の家族政策の研究」というのがあります。その中で上村泰裕さんという方が「家族政策の大転換は可能か?」という論文を書いておられまして、私自身極めて興味深く読ませていただきましたので、ちょっと少し長くなるんですが、引用させていただきます。
家族政策の代表的な研究者であるゴーティエという方の各国の家族政策の類型を活用して、この上村さんは先進諸国の家族政策を次のような四つの類型に分けておられます。
第一が伝統家族・非介入モデル。伝統的な家族、つまり夫が稼ぎ妻が家を守るというタイプの家族を社会のモデルといたしますが、出生促進のための政府の介入は消極的で公的育児支援が小さい国。実は、上村さんは日本をこの類型に入れておられるわけであります。
第二が伝統家族・出生促進モデル。伝統的な家族、つまり今言いました夫が稼ぎ妻が家を守るというタイプの家族を社会のモデルといたしますが、出生促進のための政府の介入が積極的で公的育児支援が大きい国。ドイツがその典型。特に長期の育児休業といったものを中心にドイツが一つのこのグループの典型だろうと。
第三のグループが平等家族・非介入モデル。伝統家族ではなく男女平等家族を社会のモデルとするが、出生促進のための政府の介入は消極的で公的育児支援が小さい国。アメリカがその典型。
第四が平等家族・出生促進モデル。男女平等家族を社会のモデルとし、出生促進のための政府の介入が積極的で公的育児支援が大きい国。保育サービスとか育児休業とか、そういったことで非常に充実したスウェーデンがその典型。
そこで、我が国は今、この第一の類型、上村さんはここに日本を入れておられるわけでありますが、伝統家族・非介入モデルからの転換を求められている。なぜなら、このモデルのままでは出生率の低下がとめられないからであると。それでは、どのモデルに移ればよいのか。
第二のドイツ型の伝統家族・出生促進モデルへの移行は答えにならない。この選択を主張する人がいるかもしれないが、出生率を回復するための政策としてはこの選択は有効ではない。高学歴化した女性を育児だけに専念させようとしても、仕事を続けようとする女性の出産抑制を招き、ますます出生率低下に拍車をかけるだけである。現在では、ドイツ、イタリア、スペインなど女性労働力率が低い国ほど出生率も低い。一九六〇年代と現在とでは、女性労働力率と出生率の相関関係のプラス、マイナスが逆になっている。つまり、昔は女性が働きに出れば出生率が下がったが、今は働きに出る方が出生率が高いというふうに変わったことに注目すべきであると。
次に、第三のアメリカ型の平等家族・非介入モデルへの移行、これも答えにならないと。アメリカがこのモデルでうまくいっているのは二つの特殊条件がある。移民と低賃金だと。アメリカには低賃金の、例えば育児支援のサービス市場があるので、公的サービスがなくとも就業と育児の両立が可能である。アメリカでは低賃金労働を移民が担っている。そして、移民を受け入れているので出生率を気にする必要はそれほどない。我が国が近い将来これらの条件を備えるようになるとは考えにくい。したがって、このモデルはとり得ないと。
結局、日本は最後の第四の平等家族・出生促進モデルに進む道しかない。高学歴化した女性の就業と育児とを両立させるにはこのモデルしかないと。そのためには、言うまでもなく育児休業、保育サービスあるいは児童手当、上村さんは余り多くのものに拡散しないでこの三つの政策を重点的に拡充すべきだとおっしゃっているわけでありますが、しかし我が国には平等家族の伝統がない。果たしてこの大転換が可能だろうか。非常な困難を伴うが、やり遂げる以外ないと、こういうことを述べておられる論文であります。
ちょっと長い引用になりましたが、私はお読みして非常に理解を進めることができたし、また私の考えにぴたりだな、方向として、と思いましたものですから、長い引用になりましたが御紹介させていただきました。
どうでしょうか。この上村さんの今の引用をお聞きになって、両大臣からこれはそれぞれ御所見を承れたらと存じます。