鹿野道彦の発言 (憲法調査会)
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○鹿野委員 もう一点、先生のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
先ほどからの、官主導から政治主導へという切りかえをしていかなきゃならない。そこで問題になるのは現行憲法の六十五条ではないか、こういうふうに思うんです。「行政権は、内閣に属する。」こういうふうなことがうたわれておるわけでありますけれども、この六十五条によって、戦前の、天皇なり内閣なり、あるいは基本的に行政そのものが一体なんだ、そういうふうなことで国の運営をしてきた、その解釈がそのまま戦後においても残ってきてしまっておる。
本来、内閣は執政機関であって、あくまでも官僚機構と別に考えなきゃならない。ところが、今申し上げたような戦前の考え方がそのまま移行しているものですから、内閣も行政も一緒なんだ、こういうふうな、先ほど先生の触れられた慣例、慣習になってしまっておる。ですから、行政権というものが実にあいまいになってしまっている。
そして、内閣と行政が一体であるという考え方が、一方において議会とそこは別なんだという、いつの間にか分離する考え方が、そこで線引きされてしまっておる。それが官僚の行政の中立性なんだ、こんなふうにとられてしまっておる。そこに日本の国の基本的な、議院内閣制の根本的問題があるんではないか。こんな認識を持っておりまして、この行政権というものの六十五条の条項について、内閣と行政機構との関係、そして国会と内閣との関係、こういうものを明確にしていく必要がある。
すなわち、あくまでも国の運営というものは、議院内閣制であるわけですから、政治いわゆる内閣のもとに官僚機構というものがあるんだ、こういうふうな位置づけをしっかりと踏まえて国を運営していかなければならないんではないか、こんなふうに考えるわけです。
今申し上げたような日本の国の実質的な政府運営なものですから、例えば、現実の社会においても行政指導、通達行政がまかり通っておったわけですね。だから、よく外国人が、日本の政治はだれがどこで意思決定するのかわからない国だと。これはわからないわけですよ。各省庁の大臣すらどうなっているのかわからない。もう局長あたりもわからない形で、課長くらいのところが通達を出してやっておる。MOF担の問題が大蔵省の改革のときに大変問題になりましたけれども、日本の国はまともな民主主義の国なのか、こういうふうなことにもなるわけです。
そういうことからしますと、まさに来世紀、先生の言われる官主導から政治主導へというふうなことは、私は、基本的に、日本の国を真の民主主義の国の体制、社会にしていかなきゃならない、こういうふうな認識を持っておりまして、先生のお考えをお聞かせいただきたいと思います。