寺澤有の発言 (地方行政委員会)
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○寺澤参考人 ジャーナリストの寺澤です。
先ほど林参考人の方から、警察がもう全体的に組織的に腐っている、腐敗しているのであれば外部監察制度もやむを得ないのではないかというお話があったように思います。私もこの御意見には全く賛成でして、これから私、きょうは、警察の問題はたくさんありますけれども、一点に絞ってお話しさせていただきます。
これは、警察を取り締まる警察がもはや必要だという話です。これはもう、外部監察などという手ぬるいものではなくて、強制捜査権を持った、警察を取り締まる警察をつくるしかない、そういうことでお話しさせていただきます。
まず、私はジャーナリストですから、警察のことを十一年間取材してきまして、いろいろな警察の実態を見てきました。事実として、警察がどのようなことを行ってきたかということを私は十一年間見てきました。
それで、ことしの四月に私が週刊宝石という週刊誌に取り上げた、まず、千葉県警船橋東署の留置場の中で、女性の拘留されている人に対して強姦をしていた。しかも、それが行われたのは一九九五年十月の話なんですね。要するに、五年前の話なんです。五年前に船橋東署の中で、留置場で警察官が制服を着て強姦した事件を五年間隠していたわけです。それを私が、その女性が刑務所から出てきて、やはりこれは絶対に許せない犯罪であるということで私の方に訴えてきて、私の方も、その女性の話だけで信じて書くことはできませんから、二カ月余り、ほかの週刊宝石の記者の方たちの御協力をいただいて調べた結果、この女性の証言は間違いないということで、全部では五週になりますけれども、連載したわけです。
それで、先に言いますと、この問題は、その当該警察官、当時強姦した警察官ですけれども、その巡査長はそのときに諭旨免職、まあ諭旨免職といいますけれども単なる辞職です。辞職させられて、その後警察の方から警備会社、天下り先を世話されましてそこに就職していたのですけれども、結局、現在、先週判決がありましたけれども、特別公務員暴行陵虐という罪で二年六月の実刑判決を言い渡されることになった。
それで私は、この問題は何が問題かということで言いますと、まず、留置場の中で女性が強姦されるという事件なんですが、これは表ざたになっただけでも実は結構あるわけですね。例えば、昨年も北海道警の函館西署でそういう同じ事件がありました。この事件のときも、最初警察は強姦したという事実を隠していました。それで、こういう留置場の中で女性を強姦するような事件が頻発しているというのは、これはもはや警察の組織的な腐敗を意味しているもの以外の何物でもない。しかも、北海道であったり、あと過去には静岡県の三島署でもありましたけれども、あちこちで同じようなことが起きている。これはもう警察庁の責任でしかないのではないかというふうに思われるわけです。
それで、その五年前の話にさかのぼりますけれども、一九九五年の、先ほど十月と言いましたけれども、十一月二十六日なのですが、その強姦事件が船橋東署の留置場の中でありました。要するに、巡査長がその女性、当時は二十代でしたけれども、女性を強姦してしまって、それで、その女性が翌日別の取り調べの警察官に、昨日そのようなことがあったというようなことを申し出て、捜査が開始されたわけです。特別公務員暴行陵虐ということで捜査が開始されて、当初、私が今からお話しすることは、私の取材だけではなく、その公判の中で事実として認定されていることですので言いますけれども、千葉県警が、そういった強姦があったのではないかということで捜査を始めたわけです。
それで、特別公務員暴行陵虐ということで、最初、その強姦した巡査長は、相手も同意していた、和姦だと言っていたわけです。留置場の中で和姦も何もないわけですけれども、そういうようなことを言っていた。しかし、何回か取り調べをして、なおかつその被害者の女性の方にも事情聴取、事情聴取というか、警察官が話を聞くということですけれども、調書とかとっていないようですから。それを行っていて、どうもこれは強姦した、それで本人も、巡査長も強姦したということを認めた。これはもう特別公務員暴行陵虐という犯罪で、刑法犯で立件する材料が十分にそろったわけです、五年前に。
それで、その後、千葉県警がどうしたかというと、千葉県警は、このような重大な不祥事ですから、まず当然発表はしません。そのようなことがありましたなんということは発表はしません。まず箝口令をしいて、絶対にそれは漏れないようにしました。それで、その処分を自分のところだけで決められるかというと、今の警察の組織上、自分の千葉県警だけでこういう重大な不祥事の処分を決められませんね。当然、警察庁にお伺いを立てたわけです。それで、このような重大な不祥事ですから、それが表ざたになったときの反響というのはかなり大きいわけです。そこで、警察庁の方で、これをどうするのだという会議が開かれたわけですよ。
私は、その会議に出席した人物に直接話を聞くことができまして、本人はすごく話すのを嫌がっていましたけれども、長い間説得して話を聞いたわけです。要するに、千葉県警、当時の本部長の遠藤豊孝という人は、これはとにかくあくまでも内々に済ませたい、要するに、巡査長はやめてもらう、だけれども懲戒免職にすればそれは表ざたになる可能性があるから、懲戒免職にはしない、天下り先も世話して口どめするというようなことを警察庁に、これでよろしいかということで、当時の警務部長の福島克臣という人間もいますけれども、それですとか、当時の監察官室長香取良俊というような人間を警察庁に派遣して、どうだろうかということをお伺いを立てて、会議をやったわけです。
そこで、当時の警察庁長官、トップは国松孝次という人でしたけれども、国松孝次氏やナンバーツーである次長、この人は後で警察庁長官になりますが、関口祐弘さんという人、それとナンバースリーは菅沼清高さんという人でしたけれども、この人たちは、ではそれでいい、内々に済ませなさい、要するに、留置場の中で起こった強姦事件は刑事事件として立件しなくていいというふうに決断したわけです。
そこで、若干の救いではありますけれども、その会議の中で、それはおかしいのではないか、こんな留置場の中で警察官が制服を着て強姦した事件を刑事処分にしないだとか懲戒免職にしないだとか、そんなのは警察のやることではないという意見もごく一部から出たそうですけれども、そんなものは、上から三番目までがこれでやるのだと言っているわけですから通らないわけですよ、警察のような組織では。
となった場合に、ではどうするのか。これで内部監察ということで、一部だけがおかしいんだということでできるのかというと、これはできないわけですね。これは、警察を取り締まるような警察をつくるしかないということです。
それで、この問題は、もう一つ、林参考人のお話の中で私は非常に賛成したい部分がありまして、それは何かというと、そういった不正な行為を働いた警察官に対しては厳しく処分するべきだというお話がありました。内部監察をやりながら、もしもそういった不正を働いた警察官が見つかった場合は、厳しく処分するべきだというお話がありました。これは全く私は賛成です。
しかし、このときの千葉県警の事件でどうなったかというと、当時の遠藤豊孝という本部長も、そのときの福島克臣という警務部長、ナンバーツーですけれども、この二人はキャリアです。この二人は何の処分も受けていません。それで、私がことしになってこういった五年前の事件を暴き出して報道して、それでその強姦した警察官が先日実刑判決を受けましたけれども、そうなっても一切、いまだに何の処分も受けていません。
それで、この行為というのは、以前、昨年の神奈川県警の渡辺泉郎元本部長が覚せい剤を使用していた警部補の事件を握りつぶした事件と全く同じで、犯人隠避などの犯罪に当たるわけですね。時効にはなってしまいましたけれども、五年前ですから。要するに、時効にさえなれば犯罪行為をしている本部長、警務部長に対して何にも処分がないわけです。
それで、私はそのことももちろん警察庁に取材したわけです。警察庁は、一警察署の事件で一々本部長の処分はないとかいうことを言うわけですけれども、これは本部長みずからが指示して犯人隠避を行っていたのは明らかな事件なわけですから、それは先日の千葉地裁で、その強姦した警察官に実刑判決が出ましたけれども、その中でも警察の捜査はおかしいということは指摘されているわけですね。だって、五年前にもう既に立件できるものを隠ぺいして、今ごろになって、これだけ世間で問題化したら、今気がついたみたいなことでやっているわけですから。ですから、いずれにしても、警察の中で厳しい処分ですとかそういったものは出ない。
それで、その遠藤豊孝という本部長は先日まで、八月までですけれども、警察大学の校長をやっていました。それで、警察大学の校長を最後に、推定で六千万円を超えるという退職金をもらってやめました。要するに、この人は、もしもこの事件が今じゃなくて、犯人隠避の時効にならない、例えば一九九七年でもいいですけれども、九八年でもいいですけれども、そのときに発覚していたら、刑事責任は問われるし、当然懲戒免職にもなるだろうしというような犯罪を行った本部長でありながら、時効だというだけで何の処分も受けずに、六千万円を超える退職金をほいと受け取ってやめちゃう。
しかも、この問題で私が強調したいのは、この遠藤豊孝という人も警察大学の校長でした。その前の、神奈川県警の覚せい剤の警察官のもみ消し事件の渡辺泉郎という人も警察大学の校長でやめているわけですね。要するに、そういった組織的な隠ぺい工作を指揮してきた人間が、全国の警察官を教育するところの最高責任者なわけですよ。そうすれば、どんな警察官が末端までできるかということは明らかなわけですね。ですから、私はこれは、警察を取り締まる警察が必要だということを思います。
それと、あともう一つ、警視庁の個人情報漏えい事件というものがありまして、最近報道で処分が出ましたから、警視総監以下二十九人が処分されたという報道がありましたから、御記憶の方も多いかと思いますけれども、それを週刊プレイボーイという週刊誌で八月から何回かこれも連載して取り上げていったわけです。私はきょう本当は、この事件の、具体的にこういった情報が警察の方から警察OBが経営する興信所へ流されている、そこのどこがどう具体的に組織的な腐敗の問題なのかということを証拠として示しながら御説明したかったのですけれども、何やらそれを配ることはならないということなので、ちょっと話を変えさせていただきます。
一九九六年に私が月刊誌に、警視庁赤坂署防犯課の裏金事件というのを書きました。これはどういうことかといいますと、警察、まあ検察もそうですけれども、事件の参考人としてお話を聞かせてくださいということでだれかを呼んだ場合には、旅費、日当を払うのですね。きょう私たちも参考人ですから、こうやって来て、旅費、日当が支払われるわけですけれども、警察の場合ですと、こういったオープンな場でお話をしているわけではないですから、いつだれを呼んだというような記録は残っていても、なかなか、それを本当に呼んだかというのはわからないわけです。
私、一九九六年に月刊誌に書いたのですが、一九九三年の警視庁赤坂署防犯課の一月から十月までの参考人呼び出し簿というものを手に入れたのです。要するに、一九九三年一月から十月まで、五十四人の参考人を呼びました。この人たちからいろいろ貴重なお話を聞かせていただいて、事件捜査に役立つお話を聞かせていただいて、それで調書をとったりして、旅費と日当を払った。日当は一万円ですね。旅費はそれぞれ、どこから来るかによって違いますけれども。そういったことが記録されている書類を手に入れたわけですね、これも内部告発ですけれども。
そういったものを手に入れて、その五十四人に一万円だとか、交通費も入れれば一万数千円払われている、では、これは本当に払われたのかということで、その五十四人について調べたところ、そのうち四十四人というのは全然架空の人物なんですね。四十四人はいないのです。要するに、そういった住所にそういった名前の人もいない、住民票もない、除票もないですから過去に住んだこともないというような結果になりました。
それと、あと、実際に呼ばれた人が七人いらっしゃいました。それで、七人も、日当を支払ったことになっているのですが、その七人に取材したところ、だれ一人日当なんかもらっていないというわけです。要するに、呼んでもいない参考人を呼んだとか、実際呼んだ参考人であるけれども、日当を払ったというようなことにして、要するにそのお金を自分たちが着服していたわけですね、税金を。
こういうようなことをやったということで、私、記事に書いたところ、私の友人でもありまして東京都民の今井亮一さんという方が、東京都監査委員会に監査請求しました。これはおかしい、これは空出張ですとかそういったもの、要するに空の支出だ、実際には警察幹部が公金を横領して着服したものであるという監査請求をしたところ、当時の東京都監査委員は何というふうな判断を下したかというと、これは却下するというわけです、この監査請求は。門前払い。では何で門前払いかというと、要するに、この参考人呼び出し簿に出ている人たちのことを調べると、その方たちのプライバシーを侵害するとかいうわけですよ。要するに、プライバシーを侵害するから調べられません、個人の名前、住所等が記載されているものを調べることはできないというわけです。
それで、私きょう、本当はここの委員会でそういった警視庁から流出した情報の具体的な物証となるものを配付資料としてお配りする予定でしたけれども、それができないということですから、ちょっとそれに基づいてお話しすることができなくなってしまったわけですけれども、いずれにしても、監査委員ですとか、あとはこちらにいらっしゃる議員の方たちとか、本当だったら警察をチェックすべき人たちが、そういったチェックする機会がありながら、それをなかなかやらないんじゃないかというふうなことも感じていますし、それは先ほどの監査委員の例でいいますと、その後、実際住民訴訟が起きまして、警視庁側は全面的にそれを認諾ということで、不正に支出された費用だということで翌年返還しましたけれども、いずれにしても、外部監察ということも必要なのですけれども、監査委員ですとか、あるいはこの国会の方でももう少し、警察のそういった組織的な腐敗を追及する機会がなかなかないわけですから、そういった機会があったときは、ぜひそれを何とか生かしてやっていただきたい。それがやはり国民の期待にこたえることではないかというふうに思います。
では、終わります。(拍手)