地方行政委員会

2000-10-31 衆議院 全316発言

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会議録情報#0
平成十二年十月三十一日(火曜日)
    午前九時十一分開議
 出席委員
   委員長 増田 敏男君
  理事 栗原 博久君 理事 田野瀬良太郎君
   理事 滝   実君 理事 山本 公一君
   理事 中沢 健次君 理事 松崎 公昭君
   理事 若松 謙維君 理事 菅原喜重郎君
      荒井 広幸君    梶山 弘志君
      河野 太郎君    園田 博之君
      竹下  亘君    橘 康太郎君
      谷田 武彦君    中谷  元君
      菱田 嘉明君    松島みどり君
      宮腰 光寛君    山本 有二君
      河村たかし君    桑原  豊君
      玄葉光一郎君    中川 正春君
      松原  仁君    高木 陽介君
      桝屋 敬悟君    丸谷 佳織君
      黄川田 徹君    穀田 恵二君
      春名 直章君    重野 安正君
    …………………………………
   議員           桑原  豊君
   議員           松崎 公昭君
   国務大臣
   (国家公安委員会委員長) 西田  司君
   自治政務次官       中谷  元君
   自治政務次官       荒井 広幸君
   会計検査院事務総局第一局
   長            増田 裕夫君
   政府参考人
   (警察庁長官)      田中 節夫君
   政府参考人
   (警察庁長官官房長)   石川 重明君
   政府参考人
   (警察庁生活安全局長)  黒澤 正和君
   政府参考人
   (警察庁刑事局長)    五十嵐忠行君
   参考人
   (学習院大学法学部教授) 高木  光君
   参考人
   (東京女子大学教授)   林  道義君
   参考人
   (日本弁護士連合会刑事法
   制委員会委員長)     岩村 智文君
   参考人
   (ジャーナリスト)    寺澤  有君
   地方行政委員会専門員   蓼沼 朗寿君
    —————————————
委員の異動
十月三十一日
 辞任         補欠選任
  小西  哲君     梶山 弘志君
  桝屋 敬悟君     丸谷 佳織君
同日
 辞任         補欠選任
  梶山 弘志君     竹下  亘君
  丸谷 佳織君     高木 陽介君
同日
 辞任         補欠選任
  竹下  亘君     小西  哲君
  高木 陽介君     桝屋 敬悟君
    —————————————
本日の会議に付した案件
 会計検査院当局者出頭要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 警察法の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)
 警察法の一部を改正する法律案(桑原豊君外四名提出、衆法第四号)

    午前九時十一分開議
     ————◇—————
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増田敏男#1
○増田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、警察法の一部を改正する法律案及び桑原豊君外四名提出、警察法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 本日は、両案審査のため、参考人として、学習院大学法学部教授高木光君、東京女子大学教授林道義君、日本弁護士連合会刑事法制委員会委員長岩村智文君、ジャーナリスト寺澤有君、以上四名の方々の御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ当委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと思います。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、各参考人の方々からそれぞれ十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、念のため参考人の方々に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願いを申し上げます。また、参考人は委員に対し質疑をすることはできないことになっておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 それでは、高木参考人、お願いをいたします。
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高木光#2
○高木参考人 高木でございます。
 今回、警察法の一部を改正する法律案について意見を申し述べる機会を与えられましたことを光栄に存じます。私は、法律学の立場から、政府案及び民主党案に対する考え方を述べさせていただきます。
 まず、結論から先に申しますと、私は今回の政府案に賛成する者でありまして、速やかに法律として成立すること、その前提としまして、本委員会で政府案が可決すべきものとされることを願うものであります。
 なお、この点は、法律学を専門とする者の中でも意見の分かれ得るところであると思われます。と申しますのは、今回の法改正は、警察刷新会議の緊急提言を受けてなされるものでありまして、政策的な当否が問題となります。政策的な問題となりますと、純粋の理論的問題以上に、専門分野によって、あるいは学者個人の思想傾向によって意見が分かれるのがむしろ当然と考えられるからであります。
 法律学の分野も専門分化が進んでおりまして、基本的なものとしてまず、憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法の六つがございます。このうち憲法は国の最高法規ということで別格といたしまして、残りの五つがなぜ基本的かと申しますと、二つの理由がございます。
 一つは、これらの分野については法典が存在する。法典といいますのは、ある分野の基本的なルールを定めた単一の法律でございます。例えば、民法という分野ですと、民法という名前の法律がありまして、千余りの条文に、相手が約束を守らない場合に契約をなかったことにできるかどうか、他人の名誉を侵害した場合には損害賠償をしなければならないかなどの基本的なルールが書いてあります。また、刑法という分野ですと、刑法という名前の法律があり、三百弱の条文に、どのような場合に人は犯罪者として刑事責任を問われるのか、どのような犯罪がどの程度の罪になるのかというようなことが書いてございます。
 二つ目の理由は、これら五つの分野が大昔からある。例えば、世界史で近代国家として先陣を切ったのはフランスでありますが、一七八九年に革命をなし遂げたとされております。フランスでは、十九世紀の前半に既に五つの分野の法典化が進みまして、基本五法典と呼ばれたそうであります。我が国でも明治時代に、先進国に学びまして、例えば民法典を明治二十九年、一八九六年につくったのであります。
 私の専門としております行政法は、残念ながら、以上の六つには含まれておりません。その理由は、第一に、行政法という名前の法典がないこと、第二に、行政法の歴史がやや浅いということであります。
 御案内のとおり、現代国家におきましては、行政機関の活動の当否が経済や国民生活に決定的な影響を与えるのでありまして、九〇年代には規制緩和、行政手続法や情報公開法の制定、中央省庁再編、地方分権などが注目を集めたところであります。このような時代には、司法による行政のチェック機能が特に重要でありまして、そのための理論を提供する行政法という分野の重要性を我々は各方面で主張しているところであります。
 ただ、現在進行中の法科大学院、いわゆる日本版ロースクール構想の中で、文部省主導で準備されているカリキュラム案では、この点は必ずしも十分に認識されていないようでありまして、我々行政法学者は不満を持っております。近く、我々行政法学者の有志は、行政法を法科大学院のカリキュラムで必修にすべきであるという提言を「自治研究」という雑誌に掲載する予定でございますが、委員の先生方には、この場をかりまして、御理解、御助力をお願いしたいと存じます。
 さて、行政法は、憲法を具体化する法と言われておりまして、三権の一つである行政権の行使を適正、妥当なものにするための法的ルールを扱う科目であります。警察も行政組織の一部でありますから、警察の権限を適正、妥当なものにするための法的ルールも行政法学の守備範囲に入ります。現在、我が国には約千七百本の法律が生きていると言われておりますが、そのうち少なくとも千本の法律は、さまざまな行政機関の組織や活動に関するルールを定めております。今回、改正が問題になっております警察法という名前の法律は、そのうちの一本ということになりますが、これら無数の行政法規を素材にして、憲法で論じられている民主主義あるいは基本的人権の尊重という大所高所の議論を具体化するのが行政法学者の任務とされております。
 しかし、行政法学者も人間でありますから、行政法規の細かい条文をすべて検討する余裕はございません。ある者は都市計画法や建築基準法などの建設省関係の法律、ある者は薬事法や食品衛生法という厚生省関係の法律を得意とするように、おのずから分業がなされるようになっております。私自身は、この数年、警察庁所管の法律に関心を持ちまして、少しずつ理論的研究を進めてまいりました。教育面では、学生を主たる読者とする「法学教室」という雑誌がございますが、九八年四月から二年間、二十四回の連載をいたしまして、道路交通法ですとか風営法を素材にいたしまして、行政法の考え方をわかりやすく書いたつもりでございます。
 ところで、警察の組織や活動に関するルールを扱う行政法の一分野を理論上の警察法と呼びますけれども、この分野は実は古典的な分野に属します。古典的と申しますのは、明治の時代の教科書には重要な位置づけをされていたということでございます。現在はどうかと申しますと、残念ながら、社会保障法あるいは環境法などの現代的な分野が注目を集めている反面といたしまして、影が薄くなっていると言わざるを得ません。また、私の見るところ、全国で三百人程度の行政法学者のうち、警察の分野に特に関心を持って研究をしているのは十名程度にとどまるのが現状でございます。私自身は、この十名程度のうちの一人であると自負しているのでありますが、長年にわたって警察の分野を研究してこられた他の先生方からは、まだまだ修行が足りないということで御批判を受けることもあろうかと思われます。また、警察のあり方に関しましては、行政法学者が発言権を独占するということではございませんで、憲法学者あるいは刑事訴訟法学者からもそれぞれの見方が示されることが予想されます。
 それでは、いささか前置きが長くなりましたが、以下、今回の法案につきまして、法律学の立場から私なりの評価を申し述べたいと思います。
 政府案、民主党案で取り上げられている主要なポイントについて、順次、理論的な観点、それから警察刷新会議の緊急提言を具体化する改革立法のあり方という観点の両面からコメントいたします。
 問題となりますのは、第一に公安委員会の事務局、第二に公安委員会委員の任期、第三に監察に関する公安委員会からの個別の指示、第四に苦情処理、第五に情報公開、以上の五点であろうかと思われます。概略的に申しますと、理論的な観点からは、政府案、民主党案ともに特に難点はなく、一方、改革立法のあり方という観点からは、政府案の方がより望ましいというのが私の評価であります。
 第一、公安委員会の独自の事務局に関しまして、政府案は触れておりませんが、民主党案は独自の事務局を設けるものとしております。
 理論的観点からしますと、独自の事務局を設けるか否かは政策的な便宜の問題でありまして、理論上どちらかでなければならないということはございません。現行の体制でもよいし、独自の事務局を設けることが許されないわけでもないということになります。
 他方、改革立法のあり方という観点からは、警察刷新会議の警察刷新に関する緊急提言に沿った形の政府案が政策的により穏当であると思われます。緊急提言は、市民の代表として警察活動をチェックするという公安委員会の制度趣旨を前提とした上で、公安委員会の活性化を提言しているのでありまして、公正取引委員会のように独自の事務局を抱え、みずから規制権限を行使する合議制の行政機関と同様の機能を果たすということを期待しているわけではありません。したがって、他の方法によって公安委員会の活性化が期待できるのであれば、当面は、組織を複雑にし、それなりのコストをかけるという方法は見送るのが穏当であると思われるのであります。
 この点に関連して申しますと、民主党案は、公安委員会みずからが監察を行うということを提言しております。これは、一つの考え方ではありますけれども、緊急提言の考え方、その枠からはやや外れるものであるというふうに私は考えます。
 第二点、公安委員会委員の任期制限でありますけれども、政府案は、国家公安委員会の委員の再任を一回、都道府県公安委員会及び方面公安委員会の委員の再任を二回に限定しております。これに対して民主党案は、国家公安委員会の委員の再任を一回に限定するだけではなく、任期を三年に短縮し、都道府県公安委員会及び方面公安委員会の委員の再任は一回に限定するという案になっております。
 まず、理論的な観点でございますが、公安委員会は合議制の行政機関でありまして、職権行使の独立性、そしてそれを裏打ちするものとして委員の身分保障が不可欠な要素とされております。今回の改革は、このような基本的な部分に変更を加えるものではありませんので、任期の短縮、再任の制限のいずれも理論上は問題なく許されることになります。
 他方、改革立法のあり方という観点からは、同じく緊急提言の別紙二で「公安委員の任期を制限して、公安委員会と警察との間の緊張関係を担保する。」とされたのを受けたものであることがポイントであるというふうに私は考えます。これは、かなり長期にわたって委員を務める場合の弊害を想定したものと思われるのでありまして、逆に、委員が機械的に交代する仕組みというのも適任者の確保を難しくするおそれがあります。また、公安委員会の審議機能を充実させるためには、委員が警察実務について理解を深めることが必要でありますので、そのためには、年数を経ることにも意味があります。そこで、在任期間が長くなること自体が問題であるとは言えないというふうに考えます。
 したがいまして、政府案の、国家公安委員会については五年二期で最長十年、都道府県、方面公安委員会につきましては三年三期で九年を上限とする案が比較的穏当なものであると評価するわけでございます。
 第三点でございますが、監察に関する公安委員会からの個別の指示等について、政府案は特に条文を設けるということにしておるのに対しまして、民主党案はそのような規定を置いておりません。
 まず、理論的な観点から見ますと、警察法五条二項そして三十八条三項の「管理」の意味について、必ずしも明確でなかったということが前提になります。緊急提言の別紙三を見ますと、次のように整理されております。国家公安委員会による警察庁の管理は、警察行政の運営がその大綱方針に則して行われるよう警察庁に対して事前事後の監督を行うことを一般原則とするが、警察事務の執行が法令に違反し、あるいは国家公安委員会の定める大綱方針に則していない疑いが生じた場合には、その是正または再発防止のため、具体的事態に応じ、個別的または具体的にとるべき措置を指示することも管理の意味内容に含まれると言っております。
 この考え方、監察に対して管理の意味内容に含まれるという考え方をとりますと、今回の条文、監察に関して公安委員会から個別的指示をなし得るという政府案の条文は、理論上の確認的規定ということになります、これは一つの考え方ですけれども。確認的規定であるというふうに考えますと、その意味はどういうことかと申しますと、そのような条文がなくても公安委員会は個別的指示をすることができる、そしてそのような権限は既に警察法五条二項あるいは三十八条三項によって与えられているということが考えられるというわけであります。もしそう考えるのであれば、民主党案のように規定を置かなくても、理論上は特に不都合はないということになるわけでございます。
 ただ、改革立法のあり方という観点からしますと、政府案のように、監察に関して明確な規定を置くことがより望ましいというふうに私は考えます。従来、今申しましたように、警察法の五条二項、三十八条三項の「管理」の意味は必ずしも明確ではなかったのでありまして、いかなる場合にも個別的指示はできないというような消極的な考えに陥るおそれがあったことからいたしますと、緊急提言に従って明確な規定を置くことにも積極的な意味があるというふうに思われるわけであります。
 第四点でありますが、苦情処理につきまして、政府案は、文書による苦情申し出制度を創設し、書面による苦情に対しては回答義務を定めております。また民主党案は、さらに苦情処理委員会という制度をつくることを提言しております。
 理論的な観点から見ますと、この苦情処理と申しますのは、実は法律によって規律することが難しい領域であることが指摘できます。と申しますのは、苦情処理といいますのは、その性質上、かた苦しい制度抜きに行われるところに妙味があるからでございます。したがって、行政上の不服申し立て、これは行政不服審査法という名前の法律があるんですけれども、行政上の不服申し立てという制度にどの程度近いものにするかは、政策的な判断によるほかないというふうに言えます。
 そこで、改革立法のあり方という観点から見ますと、政府案の程度にとどめるのが穏当であるというふうに私は評価いたします。回答が義務づけられるということ自体、従来の制度あるいは他の分野と比較いたしますと積極的な意味が認められるのでありまして、当面はこのような制度でどの程度利用されるのか、どこまで成果を上げるのかを見守る必要があるというふうに考えます。
 第五点、情報公開につきましてですが、政府案は特に触れないということでございますが、民主党案は、訓示規定を置くべきものというふうにしております。
 理論的な観点から見ますと、政府の国民に対する説明責任は警察についても妥当するところであります。ただ、昨年、第百四十五回通常国会で成立した行政機関の保有する情報の公開に関する法律、いわゆる情報公開法は、国家公安委員会及び警察庁を実施機関に含めております。また、都道府県レベルでも、国の情報公開法を受けて、情報公開条例を改正し、公安委員会及び警察本部長を実施機関とすることになっております。したがいまして、理論上は、警察法自体にわざわざ情報公開に関する規定を置くことは必要でない、ただ、置くことが許されないかとなりますと、それは妨げられないということになるわけでございます。
 他方、改革立法のあり方という観点からしますと、政府案のように、警察の情報公開も一般的なルールである国の情報公開法、都道府県の情報公開条例にゆだねるのが穏当であると評価いたします。さきの個別的指示の場合と異なりまして、明確な書かれたルールが存在することになるからであります。
 以上、五点にわたって、政府案と民主党案を比較しながら私なりの評価を申し述べました。結論的には、総じて政府案を妥当とするものとなりましたけれども、民主党案に特に難点があるという趣旨ではございません。一連の警察不祥事を受けて、国民の信頼を取り戻すべく何らかの改革が必要であるという認識は、各方面で一致しているところと思われます。本委員会で十分な審議がなされ、立場や意見の相違を超えて、改革への一歩が速やかに踏み出されることを願いまして、意見陳述を終わらせていただきます。拍手
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増田敏男#3
○増田委員長 次に、林参考人にお願いをいたします。
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林道義#4
○林参考人 林でございます。
 私は、政府案を基本的に支持する立場から、警察改革を考える際の基本的発想のあり方について意見を述べさせていただきます。
 警察の活動の質をよくするための方策として、根本的に異なる二つの発想があると思います。一つは内部倫理を高めるという発想、いま一つは外部からの監視を強めるという発想であります。前者は内部の士気を高め、使命感を強め、それによって警察活動の質を高める働きをするという意味で、プラスを多くしようという発想であり、後者は悪いことをさせない、すなわちマイナスを少なくしようという発想であります。
 どちらの方法によって改革をするのがよいかは、現在の警察がどの程度悪くなっているのかという評価によって分かれると思います。全体が腐敗していると評価すれば、これは外部監察を強化して、いわゆる外科手術をする以外に方法はないということになります。しかし、一部が腐っているだけで、多くの警察官たちは腐敗を断ち切り組織を立て直そうという熱意を持っているのだと評価すれば、内部の自浄能力に期待した方が実効性があるということになります。
 私は、どちらとも断定するだけの警察に対する知識もなければ、資格もありません。しかし、常識で考えて、全部が腐っているとは到底考えることができないと思われます。もし全部が腐っていたら、現在のような日本の治安は保たれていない。我々まだ安心して市民生活を行っているわけですから、それに日本の犯罪の検挙率もまだまだ世界に有数のものがありまして、我々日常接している警察官の方々も、大部分の方はまじめに一生懸命やっておられるというふうに私は認識しております。
 したがいまして、本日の私の意見は、警察の一部だけがおかしくなっているという前提でお話ししたいと思います。
 一般論として考えましても、一つの組織の目的達成度というものは、各成員の主体的姿勢あるいは心構えによって大きく左右されます。平たく言えば、警察官の一人一人のやる気があるかないかで、国民の必要に対してどれだけ真剣に取り組むかが違ってまいります。この点を考えれば、警察改革は、警察官一人一人のやる気をできるだけ引き出せるように警察の内部をつくり変えていくという視点が優先されなければならないと思います。
 すなわち、警察官一人一人の職業倫理や使命感を高めるように作用するような教育方法や制度改革を実現することが最も肝要と思われます。
 内部倫理を低くする原因としましては、内部の不公平感による不満のうっせき、それによるサボタージュ、あるいはチームワークの質の低下などが考えられます。これらによって一人一人のやる気は極度に低下するものです。これに対する対策としては、例えば功績を上げた者への優遇策、昇進の公平、現場の仕事への高い評価などがその一例として挙げられます。
 次に、内部の質を高めるという点で特に重要なのが、リーダーシップの涵養という問題であります。
 警察や軍隊においては上意下達が原則ですから、上の地位にある者ほど、人物識見、的確な判断力、公明正大な指導力、部下の能力のあり方を見抜いて適材適所に使う能力等、いわゆるリーダーシップが要求されます。まず大切なのが、真にリーダーシップを持った者を幹部に登用するメカニズムを確立することであります。次に、登用された幹部候補生に有効な教育を施さなければなりません。その場合に、そもそもリーダーとは何か、いかなる資質を必要としているかについて、自覚を高めるような教育が求められます。
 この点は、政府案においても、人事や教育の重要性が指摘されていますが、人事の公正や教育の適正を増す方策をさらに具体化し徹底するように、警察内部の努力が必要だと思われます。
 以上、要するに現場の警察官の士気と倫理を高める方策を優先して考えるべきと思います。
 次に、不祥事をなくすために外部からの監視を強めるという方法の是非について考えてみたいと思います。
 この外部監察という考え方は、内部倫理を高める作用をしないばかりか、かえって内部倫理を低める作用をする場合さえあると考えられます。といいますのは、外部監察は内部倫理が比較的低い場合にこそ必要になりますが、内部倫理が低い場合には外部監察に対して不祥事を隠すように作用し、自浄作用をかえって働かなくさせる作用をしがちです。
 いたずらに監視を強めるという発想で締めつけるというやり方では、その対象となる者は業務に対して消極的になってしまいがちです。つまり、プラスをふやすという精神ではなく、失点をなくせばよいという精神になりがちです。この方法では、正義感のある者や初めからやる気のある者は、かえってやる気をなくすおそれがあります。
 そもそも、外部の素人が監視するという原理そのものに無理がありますが、それをあえて有効にしようと思えば、内部をひっかき回してしまい、使命感を持ったやる気のある者の活動を妨害するおそれが出てきます。しょせんは、マイナスを少なくしようという発想に問題があると思われます。
 組織についての一般論をまたここで言いますと、組織の内部においては、やる気も能力もあるという人間は俗に二、三割と言われております。警察官の場合はその割合が五割なのかそれ以上なのかわかりませんが、その何割かの人々が実質的な警察の質の向上を担っています。この割合をふやすということはもとより重要ですが、この人々が仕事をやりやすいように、またこの人々の足を引っ張ることのないように配慮することが大切と思います。
 すなわち、いたずらに監視の原則を強めることは、こうした一番優秀な人たちの足を引っ張る懸念があります。また、もちろん指摘されているように、隠密の捜査活動などの場合に対しては、活動に支障を来すおそれも考えられます。
 もちろん、内部に不心得者や犯罪を犯す者がいてもかばってもらえるとか、あるいは罪が発覚しても軽い罰で済むということであれば、これもまた内部の倫理や士気に重大な悪影響を与えます。内部でのなれ合いは絶対になくさなければなりません。
 しかし、最近の不祥事の発覚の様子を見ていますと、今の時代は、内部でなれ合いをして隠すということが非常に難しくなって、ほとんど不可能になってきていると思われます。警察官の中には正義感の強い人の割合が多いと私には思われますので、内部告発もなされると思われます。したがって、今以上に監視の目を光らせるという発想は、それほど必要とは思われません。
 それよりも大切なことは、一たん不祥事を起こした者に対しては、厳正な処罰をもって当たるという原則が大切であると思います。警察官に限らず、政治家や公務員等の公務に当たる者は、一般国民よりも厳しい罰則を定めるべきであると考えます。
 以上、内部倫理を高める方式と外部監視を強める方式とを比較考量いたしました。どちらがよいかを決める基準は、警察が全体として腐っていると判断するか、一部がおかしくなっているだけだと判断するかにあります。全体が腐っていると判断すれば、外部監察しか手はありません。しかし、一部が腐っているだけだとしたら、内部からの自浄能力に期待する方がベターだということになります。
 私の個人的判断を申し上げると、警察改革の本筋を内部の倫理と質を高める方向で進めるべきと考えます。外部監察の方法は、現時点では、かえって混乱をもたらしこそすれ、実効性は少ないものと思われます。
 以上であります。拍手
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増田敏男#5
○増田委員長 次に、岩村参考人にお願いをいたします。
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岩村智文#6
○岩村参考人 警察法改正に当たっての意見を述べさせていただきます。
 まず初めに、手続的問題についてです。
 警察は、個人の権利と自由を保護し、公共の安全と秩序を維持するための組織です。したがって、その警察を改革する問題は、まさに国民的課題と言わなければなりません。それは、国家公安委員長のもとに置かれた私的な機関にすぎない警察刷新会議だけで議論され、結論が出されるべきものではありません。国会なり政府のもとに警察問題を議論する組織を設置し、そこで審議されるべきものと考えております。
 また、警察で頻発する不祥事の問題点を探り、解決の道を示す作業は、警察のあり方そのものを問う作業なのですから、その取り組み方も全国民的なものにしなければなりません。現在精力的に進められている司法制度改革審議会に並ぶ取り組みにすべきではないでしょうか。
 さらに、警察刷新会議での議論には、キャリアの声はこの会議を進めた警察庁の人によって反映しているのでしょうが、ノンキャリア、特に巡査とか巡査部長などといった第一線で働く警察官の声が聞こえてきていません。こうしたことで真の改革案がつくれるでしょうか、大いに疑問があります。
 次に、警察改革の視点について申し上げます。
 まず、警察の改革を論じるに当たっては、警察法第一条「目的」を厳格に解し、個人の生命、身体及び財産の保護、犯罪の予防、鎮圧、捜査、被疑者の逮捕を第一義的な責務として、できる限りその範囲に活動を限るべきです。警察活動は何といっても権力的な作用を持ったものですから、市民生活の場面では、何にでも顔を出し、積極的に前面に出るということは好ましくありません。警察がかかわれる市民生活の範囲も限定されるべきと考えております。
 警察改革の議論を進めるに当たっては、警察の組織、権限、活動実態などの正確な分析から進めることが必要です。なぜなら、一連の不祥事というより腐敗現象と呼ぶべき事件が次々に発覚しているということは、一部のたまたまの現象と言うことはできず、警察の構造的な問題と考えることが物事の法則にかなっているからです。不祥事が警察の構造的なところに問題があるとなれば、警察の現状を正確に把握することが出発点にならざるを得ません。この点の解明のためにも、大がかりな調査、検討が必要となります。
 次に、警察の改革の方向について申し上げます。
 警察改革の方向の第一は、警察の民主的コントロールです。とりわけ、監視・チェックシステムの構築です。今回の不祥事で、警察自身にはみずからを的確に監視、チェックするシステムも力量もないことが示されました。市民が参加する外部監察制度が必要です。警察刷新会議は、警察の組織や業務に精通している者が当たらなければ実効ある監察とはなり得ないとの意見のようですが、この間の事実がこの言い分の誤りを示しています。
 公安委員会の機能化、活性化も必要です。警察法によれば、公安委員会は警察を管理することになっています。管理という言葉の本来の意味は、これは法律用語辞典を引用するのですが、当該機関に対する主任の大臣の指揮監督権が、内部部局に対する場合と大差ないくらい立ち入って行われ得ることを示したもので、監督とか所轄という言葉よりも当該機関の独立性が弱く、指揮監督権が上局に強くあるというもののようです。公安委員会と警察の関係を、この管理の本来の意味に立ち返って見直すべきと考えます。その上で、警察を真に管理するために、公安委員会の選任方法、組織のあり方、例えば事務局の設置とか、運営、例えば会議の公開を原則とするとか議事録を公開するとか、そういうことをして、こういった公安委員会の中身を抜本的に見直すことが必要でしょう。
 我が国の警察機構は、自治体警察が基本と言われています。しかし、実態はそうなっていません。この機会にぜひとも都道府県公安委員会を充実させ、活性化することが強く求められています。地方分権一括法によって都道府県警察事務が自治事務になることとあわせて、都道府県公安委員会を実質的に強化し、機能化して、自治体警察の方向に転換を図っていくべきと考えます。
 第三には、警察情報の開示の問題です。情報が国民に開示されるということは、国民がその機関を監視できるということにつながります。警察の不祥事の根源の一つが警察の秘密体質にあると言っても過言ではありません。警察刷新会議では、情報公開問題で一定の議論が行われました。この中で、会計支出文書の開示が取り上げられ、旅費と会議費については原則公開の方向が打ち出されています。しかし、それに限らず、経理面の情報開示が強く求められます。経理の民主制なくして組織の民主制はあり得ないからです。
 警察改革で欠かせないことは、警察人事の民主化です。とりわけ、都道府県警察の幹部にキャリアが就任するのは問題です。この改善のためには、都道府県公安委員会に都道府県警察の人事権を与えるといったことも考えられます。人事の点では、キャリアの特別待遇の改善が必要です。昇任試験制度も、捜査活動の現場などで実力を発揮している者が昇進できるといったものに改善していくべきでしょう。あわせて、巡査、巡査部長といった第一線で働く警察官の権利の確立と待遇の改善が行われるべきでしょう。
 警察は、近年、生活安全警察、地域社会の安全と平穏を掲げて地域の中心になろうとしています。しかし、さきに述べたとおり、警察消極の原則は守られなければなりません。現在、行政改革あるいは地方自治体の赤字のために、地域住民に密接にかかわる生活関連行政が縮小されてきています。地域社会の安全と平穏のためには、この状態を逆転し、警察以外の行政機関、福祉機関ですとか教育機関などの充実を図って、住民の民力を豊かにして、警察が補充的立場に徹せられるようにすべきではないでしょうか。地方行政委員会の方々には、ぜひこういった点の検討もお願いしたいと思っています。
 継続した検討の点について最後に申し上げたいと思います。
 警察改革は、今回の改正の検討で終わりにしないでいただきたいと思います。警察の組織、運用、活動などの実態を把握するための継続した活動を国会としてもしてほしいものです。
 現在、警察はいろいろな場面に登場し、奮闘していることは間違いありません。しかし、繰り返すようですが、すべてを警察が取り仕切ってよいのかということを考え直す時期に来ているのではないでしょうか。警察権限の見直しです。交通免許の登録などは運輸省が行うとか、他の行政機関への権限の分散化も考えられるべきことです。警備・公安中心の警察から刑事警察への転換を実現することも必要でしょう。本来の警察活動に徹する警察に脱皮してほしいと思います。
 これらの警察のあり方、権限配分、それに伴った人員配置などの検討を欠いたままでの警察権限の拡大や人員増には、にわかには賛成できません。
 さまざまな角度からの審議を期待しまして、私の意見表明を終わります。ありがとうございました。拍手
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増田敏男#7
○増田委員長 次に、寺澤参考人にお願いをいたします。
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寺澤有#8
○寺澤参考人 ジャーナリストの寺澤です。
 先ほど林参考人の方から、警察がもう全体的に組織的に腐っている、腐敗しているのであれば外部監察制度もやむを得ないのではないかというお話があったように思います。私もこの御意見には全く賛成でして、これから私、きょうは、警察の問題はたくさんありますけれども、一点に絞ってお話しさせていただきます。
 これは、警察を取り締まる警察がもはや必要だという話です。これはもう、外部監察などという手ぬるいものではなくて、強制捜査権を持った、警察を取り締まる警察をつくるしかない、そういうことでお話しさせていただきます。
 まず、私はジャーナリストですから、警察のことを十一年間取材してきまして、いろいろな警察の実態を見てきました。事実として、警察がどのようなことを行ってきたかということを私は十一年間見てきました。
 それで、ことしの四月に私が週刊宝石という週刊誌に取り上げた、まず、千葉県警船橋東署の留置場の中で、女性の拘留されている人に対して強姦をしていた。しかも、それが行われたのは一九九五年十月の話なんですね。要するに、五年前の話なんです。五年前に船橋東署の中で、留置場で警察官が制服を着て強姦した事件を五年間隠していたわけです。それを私が、その女性が刑務所から出てきて、やはりこれは絶対に許せない犯罪であるということで私の方に訴えてきて、私の方も、その女性の話だけで信じて書くことはできませんから、二カ月余り、ほかの週刊宝石の記者の方たちの御協力をいただいて調べた結果、この女性の証言は間違いないということで、全部では五週になりますけれども、連載したわけです。
 それで、先に言いますと、この問題は、その当該警察官、当時強姦した警察官ですけれども、その巡査長はそのときに諭旨免職、まあ諭旨免職といいますけれども単なる辞職です。辞職させられて、その後警察の方から警備会社、天下り先を世話されましてそこに就職していたのですけれども、結局、現在、先週判決がありましたけれども、特別公務員暴行陵虐という罪で二年六月の実刑判決を言い渡されることになった。
 それで私は、この問題は何が問題かということで言いますと、まず、留置場の中で女性が強姦されるという事件なんですが、これは表ざたになっただけでも実は結構あるわけですね。例えば、昨年も北海道警の函館西署でそういう同じ事件がありました。この事件のときも、最初警察は強姦したという事実を隠していました。それで、こういう留置場の中で女性を強姦するような事件が頻発しているというのは、これはもはや警察の組織的な腐敗を意味しているもの以外の何物でもない。しかも、北海道であったり、あと過去には静岡県の三島署でもありましたけれども、あちこちで同じようなことが起きている。これはもう警察庁の責任でしかないのではないかというふうに思われるわけです。
 それで、その五年前の話にさかのぼりますけれども、一九九五年の、先ほど十月と言いましたけれども、十一月二十六日なのですが、その強姦事件が船橋東署の留置場の中でありました。要するに、巡査長がその女性、当時は二十代でしたけれども、女性を強姦してしまって、それで、その女性が翌日別の取り調べの警察官に、昨日そのようなことがあったというようなことを申し出て、捜査が開始されたわけです。特別公務員暴行陵虐ということで捜査が開始されて、当初、私が今からお話しすることは、私の取材だけではなく、その公判の中で事実として認定されていることですので言いますけれども、千葉県警が、そういった強姦があったのではないかということで捜査を始めたわけです。
 それで、特別公務員暴行陵虐ということで、最初、その強姦した巡査長は、相手も同意していた、和姦だと言っていたわけです。留置場の中で和姦も何もないわけですけれども、そういうようなことを言っていた。しかし、何回か取り調べをして、なおかつその被害者の女性の方にも事情聴取、事情聴取というか、警察官が話を聞くということですけれども、調書とかとっていないようですから。それを行っていて、どうもこれは強姦した、それで本人も、巡査長も強姦したということを認めた。これはもう特別公務員暴行陵虐という犯罪で、刑法犯で立件する材料が十分にそろったわけです、五年前に。
 それで、その後、千葉県警がどうしたかというと、千葉県警は、このような重大な不祥事ですから、まず当然発表はしません。そのようなことがありましたなんということは発表はしません。まず箝口令をしいて、絶対にそれは漏れないようにしました。それで、その処分を自分のところだけで決められるかというと、今の警察の組織上、自分の千葉県警だけでこういう重大な不祥事の処分を決められませんね。当然、警察庁にお伺いを立てたわけです。それで、このような重大な不祥事ですから、それが表ざたになったときの反響というのはかなり大きいわけです。そこで、警察庁の方で、これをどうするのだという会議が開かれたわけですよ。
 私は、その会議に出席した人物に直接話を聞くことができまして、本人はすごく話すのを嫌がっていましたけれども、長い間説得して話を聞いたわけです。要するに、千葉県警、当時の本部長の遠藤豊孝という人は、これはとにかくあくまでも内々に済ませたい、要するに、巡査長はやめてもらう、だけれども懲戒免職にすればそれは表ざたになる可能性があるから、懲戒免職にはしない、天下り先も世話して口どめするというようなことを警察庁に、これでよろしいかということで、当時の警務部長の福島克臣という人間もいますけれども、それですとか、当時の監察官室長香取良俊というような人間を警察庁に派遣して、どうだろうかということをお伺いを立てて、会議をやったわけです。
 そこで、当時の警察庁長官、トップは国松孝次という人でしたけれども、国松孝次氏やナンバーツーである次長、この人は後で警察庁長官になりますが、関口祐弘さんという人、それとナンバースリーは菅沼清高さんという人でしたけれども、この人たちは、ではそれでいい、内々に済ませなさい、要するに、留置場の中で起こった強姦事件は刑事事件として立件しなくていいというふうに決断したわけです。
 そこで、若干の救いではありますけれども、その会議の中で、それはおかしいのではないか、こんな留置場の中で警察官が制服を着て強姦した事件を刑事処分にしないだとか懲戒免職にしないだとか、そんなのは警察のやることではないという意見もごく一部から出たそうですけれども、そんなものは、上から三番目までがこれでやるのだと言っているわけですから通らないわけですよ、警察のような組織では。
 となった場合に、ではどうするのか。これで内部監察ということで、一部だけがおかしいんだということでできるのかというと、これはできないわけですね。これは、警察を取り締まるような警察をつくるしかないということです。
 それで、この問題は、もう一つ、林参考人のお話の中で私は非常に賛成したい部分がありまして、それは何かというと、そういった不正な行為を働いた警察官に対しては厳しく処分するべきだというお話がありました。内部監察をやりながら、もしもそういった不正を働いた警察官が見つかった場合は、厳しく処分するべきだというお話がありました。これは全く私は賛成です。
 しかし、このときの千葉県警の事件でどうなったかというと、当時の遠藤豊孝という本部長も、そのときの福島克臣という警務部長、ナンバーツーですけれども、この二人はキャリアです。この二人は何の処分も受けていません。それで、私がことしになってこういった五年前の事件を暴き出して報道して、それでその強姦した警察官が先日実刑判決を受けましたけれども、そうなっても一切、いまだに何の処分も受けていません。
 それで、この行為というのは、以前、昨年の神奈川県警の渡辺泉郎元本部長が覚せい剤を使用していた警部補の事件を握りつぶした事件と全く同じで、犯人隠避などの犯罪に当たるわけですね。時効にはなってしまいましたけれども、五年前ですから。要するに、時効にさえなれば犯罪行為をしている本部長、警務部長に対して何にも処分がないわけです。
 それで、私はそのことももちろん警察庁に取材したわけです。警察庁は、一警察署の事件で一々本部長の処分はないとかいうことを言うわけですけれども、これは本部長みずからが指示して犯人隠避を行っていたのは明らかな事件なわけですから、それは先日の千葉地裁で、その強姦した警察官に実刑判決が出ましたけれども、その中でも警察の捜査はおかしいということは指摘されているわけですね。だって、五年前にもう既に立件できるものを隠ぺいして、今ごろになって、これだけ世間で問題化したら、今気がついたみたいなことでやっているわけですから。ですから、いずれにしても、警察の中で厳しい処分ですとかそういったものは出ない。
 それで、その遠藤豊孝という本部長は先日まで、八月までですけれども、警察大学の校長をやっていました。それで、警察大学の校長を最後に、推定で六千万円を超えるという退職金をもらってやめました。要するに、この人は、もしもこの事件が今じゃなくて、犯人隠避の時効にならない、例えば一九九七年でもいいですけれども、九八年でもいいですけれども、そのときに発覚していたら、刑事責任は問われるし、当然懲戒免職にもなるだろうしというような犯罪を行った本部長でありながら、時効だというだけで何の処分も受けずに、六千万円を超える退職金をほいと受け取ってやめちゃう。
 しかも、この問題で私が強調したいのは、この遠藤豊孝という人も警察大学の校長でした。その前の、神奈川県警の覚せい剤の警察官のもみ消し事件の渡辺泉郎という人も警察大学の校長でやめているわけですね。要するに、そういった組織的な隠ぺい工作を指揮してきた人間が、全国の警察官を教育するところの最高責任者なわけですよ。そうすれば、どんな警察官が末端までできるかということは明らかなわけですね。ですから、私はこれは、警察を取り締まる警察が必要だということを思います。
 それと、あともう一つ、警視庁の個人情報漏えい事件というものがありまして、最近報道で処分が出ましたから、警視総監以下二十九人が処分されたという報道がありましたから、御記憶の方も多いかと思いますけれども、それを週刊プレイボーイという週刊誌で八月から何回かこれも連載して取り上げていったわけです。私はきょう本当は、この事件の、具体的にこういった情報が警察の方から警察OBが経営する興信所へ流されている、そこのどこがどう具体的に組織的な腐敗の問題なのかということを証拠として示しながら御説明したかったのですけれども、何やらそれを配ることはならないということなので、ちょっと話を変えさせていただきます。
 一九九六年に私が月刊誌に、警視庁赤坂署防犯課の裏金事件というのを書きました。これはどういうことかといいますと、警察、まあ検察もそうですけれども、事件の参考人としてお話を聞かせてくださいということでだれかを呼んだ場合には、旅費、日当を払うのですね。きょう私たちも参考人ですから、こうやって来て、旅費、日当が支払われるわけですけれども、警察の場合ですと、こういったオープンな場でお話をしているわけではないですから、いつだれを呼んだというような記録は残っていても、なかなか、それを本当に呼んだかというのはわからないわけです。
 私、一九九六年に月刊誌に書いたのですが、一九九三年の警視庁赤坂署防犯課の一月から十月までの参考人呼び出し簿というものを手に入れたのです。要するに、一九九三年一月から十月まで、五十四人の参考人を呼びました。この人たちからいろいろ貴重なお話を聞かせていただいて、事件捜査に役立つお話を聞かせていただいて、それで調書をとったりして、旅費と日当を払った。日当は一万円ですね。旅費はそれぞれ、どこから来るかによって違いますけれども。そういったことが記録されている書類を手に入れたわけですね、これも内部告発ですけれども。
 そういったものを手に入れて、その五十四人に一万円だとか、交通費も入れれば一万数千円払われている、では、これは本当に払われたのかということで、その五十四人について調べたところ、そのうち四十四人というのは全然架空の人物なんですね。四十四人はいないのです。要するに、そういった住所にそういった名前の人もいない、住民票もない、除票もないですから過去に住んだこともないというような結果になりました。
 それと、あと、実際に呼ばれた人が七人いらっしゃいました。それで、七人も、日当を支払ったことになっているのですが、その七人に取材したところ、だれ一人日当なんかもらっていないというわけです。要するに、呼んでもいない参考人を呼んだとか、実際呼んだ参考人であるけれども、日当を払ったというようなことにして、要するにそのお金を自分たちが着服していたわけですね、税金を。
 こういうようなことをやったということで、私、記事に書いたところ、私の友人でもありまして東京都民の今井亮一さんという方が、東京都監査委員会に監査請求しました。これはおかしい、これは空出張ですとかそういったもの、要するに空の支出だ、実際には警察幹部が公金を横領して着服したものであるという監査請求をしたところ、当時の東京都監査委員は何というふうな判断を下したかというと、これは却下するというわけです、この監査請求は。門前払い。では何で門前払いかというと、要するに、この参考人呼び出し簿に出ている人たちのことを調べると、その方たちのプライバシーを侵害するとかいうわけですよ。要するに、プライバシーを侵害するから調べられません、個人の名前、住所等が記載されているものを調べることはできないというわけです。
 それで、私きょう、本当はここの委員会でそういった警視庁から流出した情報の具体的な物証となるものを配付資料としてお配りする予定でしたけれども、それができないということですから、ちょっとそれに基づいてお話しすることができなくなってしまったわけですけれども、いずれにしても、監査委員ですとか、あとはこちらにいらっしゃる議員の方たちとか、本当だったら警察をチェックすべき人たちが、そういったチェックする機会がありながら、それをなかなかやらないんじゃないかというふうなことも感じていますし、それは先ほどの監査委員の例でいいますと、その後、実際住民訴訟が起きまして、警視庁側は全面的にそれを認諾ということで、不正に支出された費用だということで翌年返還しましたけれども、いずれにしても、外部監察ということも必要なのですけれども、監査委員ですとか、あるいはこの国会の方でももう少し、警察のそういった組織的な腐敗を追及する機会がなかなかないわけですから、そういった機会があったときは、ぜひそれを何とか生かしてやっていただきたい。それがやはり国民の期待にこたえることではないかというふうに思います。
 では、終わります。拍手
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増田敏男#9
○増田委員長 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
    —————————————
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増田敏男#10
○増田委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菱田嘉明君。
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菱田嘉明#11
○菱田委員 自由民主党の菱田嘉明でございます。
 参考人の先生方には、大変御多用の中、当委員会に御出席をいただきまして、また、ただいまそれぞれの先生方から貴重な御意見を聞かせていただいたところでございまして、まことにありがとうございます。私に与えられました質問の時間は二十分、こういうことでございますので、早速質問に入りたいと思います。
 昨年来の警察をめぐる一連の不祥事によりまして、国民の警察に対する信頼は大きく失墜をいたしました。申し上げるまでもなく、警察は、国家の存在と社会の発展の基盤であります治安の維持に当たる機関でございます。それだけに、今回、警察がこれほど国民の批判を受けるに至った原因がどこにあるのか、そしてまた、それを防ぐ対策は何か、このことを早急に究明して思い切った警察の改革を断行しなければならない、これは当然のことでございます。
 ことし三月に、公安委員会の求めによりまして警察刷新会議が設けられました。お聞きをいたしますと、十一回に及ぶ会議を重ねたその結果を、去る七月の十三日に、警察刷新に関する緊急提言、こういう形で公安委員会に提出をされておられます。警察としても、この緊急提言を重く受けとめる、提言に沿って警察が当面取り組むべき施策を警察改革要綱として取りまとめる、警察法の一部改正を行う中でこの実現に全力を尽くしていく、こういう意向を示されたところでございます。
 刷新会議の六名の委員、顧問の先生方が、まさにその英知を集めて取りまとめられました今回の緊急提言であります。その意図するところを十分に理解する中で、これに沿って早急に警察改革を実現して、一日も早く警察が国民の信頼を取り戻すことを、私どもといたしましても切に願うものでございます。
 今回の緊急提言及びこれを受けての警察の改革施策には、法律改正が必要なものだけにとどまらずに、予算措置を講じたり、あるいは運用の改善によるものもあるわけでございますけれども、この中で、私として重要と考えるもの何点かについて質問をさせていただきたいと思います。
 なお、ただいま参考人の先生方からそれぞれ意見陳述がございましたので、重複する部分もあろうかと思いますけれども、より具体的なお考えをお聞かせいただく、こういうことでお許しを願いたいと思います。
 まず、冒頭の御意見の中にも種々述べられておりましたけれども、今回の一連の不祥事では、警察職員の使命感あるいは倫理意識の低下が問題として指摘をされております。警察の組織においては、人こそが最大の資源であります。それだけに、一人一人の資質の向上が求められております。これは、参考人の先生方の御意見のとおりでございます。その中で特に、警察職員は、国民の生命、身体、財産の保護、こういう大変重要な任務を持っておるものでございますけれども、こうした観点から、今後、警察職員の教育はいかにあるべきか、また、どのような点に重きを置いて教育がなされるべきか、お尋ねをいたしたいと思います。
 先ほど林参考人は、警察の活動の質を高めるためには内部の自浄能力を高める方が好ましい、こういう御意見でございましたけれども、倫理観あるいは使命感を高めるためにはどのようにすればよいのか、もう一度この点を林参考人にお伺いいたします。
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林道義#12
○林参考人 私は、基本的には内部倫理を高めるというのが大切だということを先ほど申しました。この根拠としましては、警察がすべて腐っているわけではないと申し上げましたけれども、ほかの参考人からは反論を受けまして、構造的に腐っているという言い方をなさった方もいますけれども、構造的という言葉はちょっとあいまいで意味がよくわからないのでございますが、私が認識しているところでは、警察の中にも、このような事態を深く嘆き、そして憤っている、こういう方たちが非常に多いというふうに私は感触を持っております。
 警察改革というのは、もちろん私の言ったことが誤解を受けているかもしれませんが、外部からの監視というようなものをすべてなくせということではありませんので、制度としてつくるのはどうかということでございまして、このような会議であろうが何であろうがすべて外部からの意見でありまして、そういうものはもちろん必要だと思います。ただ、内部にいてこの事態を憤っておる人たちも大勢いる、そして倫理観の高い人がいるということ、この人を中核にしなければ、つまり内部からの改革なしには本当の改革はあり得ないという基本的考え方でございます。
 そういう立場に立ったときに、今御質問のありましたように、この内部の倫理を高めるための登用試験とか人事、あるいは教育のあり方というのは非常に重要になってくるだろうと思います。この教育ということを考えますときに、一つには、内部の警察官、警察官全員はもちろんのこと、特に指導的な立場にある方たちに正しいエリート意識を持たせるということ、これが非常に肝要かと思います。このことによりまして、正しいリーダーシップというものも涵養されるであろうし、また、そこに焦点を置いた教育ということが非常に重要であろうと思います。
 もう一点を申し上げますと、警察官の教育においては、もちろん専門的な知識や訓練が必要なことは言うまでもありませんけれども、今までは、ややもすると一般教養的なものが十分に行われていたかという疑問がございます。この一般教養といいますのは、世間の常識といいますか、あるいは国民の生活の感覚といいますか、そういうこととも関係しますので、見識といいますか、つまり人物識見を高めるような教育をもう少し充実する必要がある。
 今までももちろん、それはなされていたと思います。例えば、哲学や倫理学の先生を呼んで講義を聞くとか、心理学の先生を呼んで講義を聞くということがあったかもしれないけれども、ややもするとそれは、大学で行われているような抽象的な講義に堕する嫌いがなきにしもあらずで、下手をすると、聞いている警察官の方たちが居眠りしてしまうようなこともある。これでは、実効ある教育はできておらないと思います。そういう点についても、国民の生活、つまり実際の生活あるいは警察官の実務と関連の深いような形で教養教育というものも考え直さなければいけない、このように考えている次第でございます。
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菱田嘉明#13
○菱田委員 どうもありがとうございました。
 先生の御意見としては、よい意味でのエリート意識を持たせる教育の実施、そしてまた国民の生活に沿った一般教養を高めることが重要である、こういう御意見ではなかろうかというふうに思います。
 ところで、どのような組織であっても、組織は最終的には人によって動かされるものでございまして、組織には必ずリーダーが必要ということになるわけでございます。その組織の中でも、より大きな権限を有する者、つまり組織の幹部には、正確な知識と判断力、指導能力、旺盛な責任感、つまり卓越したリーダーシップを身につけることが求められるわけでございます。
 そこで、いかにしてリーダーをつくっていくべきか、特に警察のキャリアのあり方、そしてその教育について御意見をお伺いいたしたいと思います。これも林参考人にお願いいたします。
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林道義#14
○林参考人 人間の教育というのは難しいことでありまして、一たんでき上がったものをつくり直すというのは大変なことでございます。そういう意味では、教育の前に、本当は登用試験を非常に工夫し厳正に行わなければならないのでありまして、リーダーにふさわしい人物を選ぶということがまず肝要かと思います。
 もちろん、今までも警察においては、指導者にふさわしい適格者を選ぶような工夫はなさっていると思うのですけれども、単なるペーパーテストではなくて面接を重視しているという方針のようですけれども、面接というものがこれはまた大変難しいことでありまして、私などもよく入学試験などで面接をやりますけれども、そんな何十分かで人物の底の底まで見抜くなどということは非常に難しいことであります。
 しかし、それを抜きにしてはやはり人物をテストするということはできませんので、面接のあり方等の工夫もいろいろなさって、例えば、現実の場面を設定して、具体的にこういう場面であなたはどのように判断し、行動するのかというようなことまで問うとか、そういったいろいろな工夫が必要だろうと思います。
 それから、教育においてさらにお尋ねがありましたが、教育のことをもう少し具体的に申しますと、リーダーの教育というのは抽象的な心構えにどうも偏りがちですけれども、もう少し具体的にシミュレーションの教育、航空機の操縦などでもシミュレーションで訓練を行いますけれども、今はイメージトレーニングということの重大さは大変認識されておりまして、具体的なシミュレーションを与えて、その中でリーダーとしてどのように行動すべきかというような、そういった手法も取り入れていくのが望ましいのではないかと私は考えております。
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菱田嘉明#15
○菱田委員 どうもありがとうございました。
 それでは次に、組織のあり方について一点お伺いをいたします。
 今警察組織に求められております重要な柱の一つは、管理機能の充実とその活性化、また国民の目線に合わせて透明性をできるだけ高くする、こういうことだと思っております。その一つとして、監察制度があるわけでございます。これは意見の分かれるところでございまして、先ほどは、この点については特に寺澤参考人が、具体的な事例を挙げて外部監察を導入すべきだ、こういう御意見でございましたけれども、この点につきまして、高木参考人はどのようにお考えになっておるのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
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高木光#16
○高木参考人 御質問にありましたように、外部監察を導入すべきかどうかということ自体は、非常に難しい、哲学的な問題を含んでおります。私が申し上げましたのは、現在の公安委員会の仕組みを維持するという前提のもとでどういう制度設計が穏当であるかということでございますので、一般論としましては、私も林参考人と同じように、どうにもならないときには外科的な処方が必要であるが、当面はまず内部的なものでやってみるということではないかというふうに考えております。
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菱田嘉明#17
○菱田委員 どうもありがとうございました。
 それでは、時間の関係もございますので、最後になろうかと思いますけれども、もう一点お伺いをいたします。
 今回の一連の不祥事で、公安委員会が形骸化をしておるのではないか、こういう強い批判が出されたわけでございます。これを受けて、刷新会議の提言でも、公安委員会の機能強化とそして活性化がうたわれておりますし、今回の政府提出法案の中には、公安委員会は監察について必要があると認めるときには警察に対して個別的、具体的にこれを指示できる、この規定が盛り込まれたわけでございます。
 公安委員会は警察関係行政機関のトップにある、このように思いますけれども、これとは別に警察庁という組織があるわけでございます。公安委員会と警察、この両者の関係は本来どのようなものなのか。この点につきましては、先ほども岩村参考人の方からそのお考えをお聞きいたしましたので、この際、警察法の専門家でもあられますもう一人の参考人、高木参考人にも、両者のあるべき姿あるいは好ましい関係についてお伺いをしておきたいと思います。お願いをいたします。
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高木光#18
○高木参考人 公安委員会の位置づけにつきましては、公安委員会制度自体が歴史的な経緯で成り立ってきたものでございまして、もともとある意味では矛盾を含んだ、素人の代表である公安委員会が専門家集団である警察庁なり都道府県警察を管理する。管理の言葉の意味としては、もともとはその細部にわたるものも含むわけですけれども、警察に関しては、性質上大綱的なものにとどめるのが望ましい、そういうやや矛盾を含んだ仕組みでございますので、そこからいたしますと、公安委員会制度を維持することを前提にした場合には、いわゆる緊張関係というのですか、お互いにそれぞれの特徴を生かしながら、両者相まって適切な運営がなされるようにしていく、そういういわば難しい運用が要求される制度であるというふうに考えております。
    〔委員長退席、栗原委員長代理着席〕
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菱田嘉明#19
○菱田委員 どうもありがとうございました。
 各先生方から大変貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございます。各先生方におかれましては、これからも国民が安全で安心して暮らしていけるように、それぞれの分野で一層御活躍をされますことを祈念申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
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栗原博久#20
○栗原委員長代理 次に、松崎公昭君。
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松崎公昭#21
○松崎委員 民主党の松崎公昭でございます。各先生方、大変きょうはありがとうございました。
 まさに国民注視の中で今警察法が検討されているわけでありまして、刷新会議の短時間における提言というのには、確かにあの中にもありましたように、限界があることはあると思います。しかし、短い時間の中では今の制度をベースにしながらそれなりの改革はされたのかなという一定の評価は私たちはしているわけであります。
 さて、特に日弁連の岩村先生にお聞きをいたしますが、刷新会議の提言そのものは、日弁連の見解も含めまして、本当に今の状況をしっかりとらえている、そして提言に反映されていると思われますでしょうか。
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岩村智文#22
○岩村参考人 大変難しい御質問で、日弁連としてこの問題を正式に議論したことはございませんので、私個人の見解になると思いますが、刷新会議の中ではかなり真剣に議論したということは事実であると思います。さまざまな角度から議論をしましたし、いろいろ、聞き及ぶところによると、かなり熱烈なといいますか、厳しい議論も委員の間で交わされたということも聞いていますので、真剣な議論をされたとは思いますが、いかんせん時間が短いということで、まさに緊急提言だという意味でとらえておくことは必要だと思います。
 ただ、私が言いたいことは、警察問題というのは、今回はまさにとば口であって、ここから始まるのだという意識を持っていただきたいということなんですね。ですから、もっと大きなものを見据えながら議員の先生方にはぜひ議論をしていただきたい、今後も継続していただきたいというのが私の考えでございます。
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松崎公昭#23
○松崎委員 もちろんこれを機会になんですが、とりあえず私どもが一番気になったのは、戦後の最初の警察法、マッカーサーの影響もありまして、あの当時は憲法を含めまして異常な状態という見方もできますが、非常に自治体警察というもの、中央集権体制から地方へ分散するという前文まで入った最初の警察法だったわけですね。その後、五四年に改正されまして、現在の中央集権体制ができてしまったわけであります。そして、さまざまな、トップにいられる方々も含めまして、大きな問題が今日ずっとあらわれている。
 そこで、私ども、警察法の根本的な改革は、これからも含めてかもしれませんけれども、分権型というものをしっかりと実現していかなければならない。先ほど先生もおっしゃった、自治体警察云々というお話もございましたけれども、その辺の、今後の中央集権体制から分権体制の中での警察のあり方、そういう問題は先生はどのようにお考えでしょうか。
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岩村智文#24
○岩村参考人 先ほども申し上げましたけれども、都道府県公安委員会をどう機能化するか、充実化するかというのが一つのかぎだと思っております。それと、地方分権一括法で、都道府県警察事務が国からの委託された事務ということでなくて自治体の事務というふうになりますので、その辺で、都道府県議会が条例をどのように運用していくかというのも一つ大きな要素になるのではないか。そういった方向をこれから着実につくり上げていきながら地方分権の方向へ進めていく、警察を自治体警察の方向へ進める、これが大事だというふうに考えております。
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松崎公昭#25
○松崎委員 そこで、今、この委員会でも何度か議題になっておりますけれども、宮城県の知事さんと本部長との、これは情報公開という一つの大きなテーマ、今回の警察刷新会議でも情報公開ということは言われています。また、民主党案では法案の中に一応書き込んでおります。
 そういう中で、宮城県の知事の考え方、国の情報公開法の中に、来年から始まりますが、五条の四に、実施機関ということに入っておりますが、なかなかこれが、中央集権体制といいましょうか、今の公安委員会、国からも、一次的な裁量権をしっかりと確保せよというような指示も出ておりまして、その現場で、宮城県の知事は、そんなに裁量権を与える必要はないんだ、既に条例の中に書き込まれているものだけでも、いわゆる捜査上の秘密でありますとかそういったものは十分担保されるということで、かなり分権の視点あるいは情報公開という視点から、国の考え方、あるいはその出先機関であります本部長さんとの大変な、現在進行形の形ではございますけれども、この問題に関しましては、岩村参考人はどのように解釈されますでしょうか。
    〔栗原委員長代理退席、委員長着席〕
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岩村智文#26
○岩村参考人 情報公開法が制定されるときに、日弁連としてもこの一次裁量権の問題はかなり問題にしまして、やはり実質上情報公開の意味をなくすのではないかという危惧を抱いた点であります。したがいまして、今宮城県で、具体的な条例の中で宮城県知事があのような方向に踏み出したというのは、極めて勇気のある、英断だというふうに考えております。
 以上です。
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松崎公昭#27
○松崎委員 民主党も、宮城の知事の考え方をぜひ支持をして頑張っていただきたい、そんなふうに思っているわけであります。
 さて、日弁連では、警察全体の経理問題、先ほど寺澤参考人からも赤坂署の問題で具体的な事例を出されました。また、今までも何度もいろいろな報道で経理の不正、これは一般論で言いますと、警察だけじゃありません、行政全般にも大きく大きく、地方も含めて言えるわけでありますけれども、我々は、特に警察の場合にはそういうことがあってはいけないというふうに考え、いわゆる一般の国民は、警察に対して権限も与えておりますけれども、同時に、公明正大にやっていただくのが警察だろうという暗黙の国民の了解もあるわけですね。
 そういう中で、先ほどの寺澤参考人の赤坂署の問題は、具体的な問題として本当に残念に思うわけでありますけれども、日弁連も今までの警察問題の中で経理の不正問題を指摘しておりますけれども、これは具体的にどのような方法で少しでも減らす方向に行けるかどうか、その辺のことはどんなふうにお考えでしょうか。
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岩村智文#28
○岩村参考人 この辺は、どういうふうにすべきかというのは私も名案がございませんで、今回刷新会議でも出ましたが、食糧費の問題ですとか会議費の問題とか、そういうものも公開せよというふうになっておりますけれども、そういったあたりから少しずつ警察の経理面というものを明らかにしていく。
 少なくとも、国民から二重帳簿ではないかとか、裏金が使われているのではないかというような疑いをかけられているということ自体が不幸なことですから、その点については、警察側がそういうことがないということを逆に自分たちで積極的に示すぐらいの工夫がないと、本当の意味の経理面での問題性というのは国民の中からは払拭できないというふうに考えておりますので、私どもとしては、情報公開の条例等あるいは法律を使いながらその辺を具体的に提起していき、それに警察ももっと積極的にこたえていく、こういうような形で解決していきたいというふうに考えております。
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松崎公昭#29
○松崎委員 そこで、今回の警察法の改正案、いろいろ今のお話もありましたけれども、私どもに言わせれば、刷新会議も短時間で頑張ったんですけれども、その刷新会議の提言をもかなり骨抜きにしてきたというふうに私は思っておりますが、これは寺澤さんからもお聞きしたいんですけれども、今回の改正案に関する評価というものを、もう一度岩村さんとお二人にお願いしたいと思います。
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