坂本多旦の発言 (農林水産委員会)
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○坂本(多)参考人 ただいま委員長より御紹介いただきました坂本でございます。私は、社団法人日本農業法人協会の会長として、また、農業生産法人を設立して三十年間運営してまいりました経験を踏まえ、今回の農地法の一部を改正する法律案に賛成の立場から意見を述べさせていただきます。
まず、農業経営の法人化について私の意見を申し上げます。
私ども農業者が真に自立し、みずからの判断で行動できる農業の仕組みをつくることが、今後の地域農業活性化を図る上で最も重要な目標であると考えます。この新しい農業の仕組みの一つとして、次の観点から農業経営の法人化を推進する必要があると考えます。
一つに、組織やルールを重んじる個性豊かな若者や女性がふえております。彼らが期待する自己の確立と身分保障のためにも、法律やルールで設立、運営される農業法人が、農業をやりたいという若者を受け入れる受け皿として有効な仕組みであること。
二つに、農業界にも国際化、市場経済化が進みまして、家族経営という規模単位だけでこれに対抗していくことには限界があること。
三つに、これからの農業は生産だけではなく、加工、販売、交流等の事業展開が不可欠でございまして、農業外との交渉、提携のためには法人の仕組みが有効であること。
四つに、農業経営の継承において、農地と経営を一体として継承することが重要であり、そのためには法人が有効な仕組みであること。
五つに、農家の農業への思いに格差が生じまして、経営農業と兼業農業に農業が分化したことへ対応するために、法人は有効な仕組みであること。
六つに、消費者や都市住民など農業以外の国民に法人化は農業理解が期待できることなど、今後、農村活動に大きな役割を果たすと考えられます。
したがって、この農地法の一部改正案は、私ども農業生産法人経営者にとって法人運営の核をなすまことに重要な見直しであると同時に、二十一世紀の農業、農村の発展にかかわる重要な改正であると思います。
私ども農業法人協会でも、みずからの課題でもございますから、議論を重ね、農業生産法人検討会に対してたびたび意見を述べてまいりました。この改正案は、私ども法人経営活動の方向とその考え方が反映されたものであり、この改正案が今国会で可決成立することを強く期待しているところであります。
そこで、農業生産法人の要件の改正についてであります。
現在の農業生産法人の四つの要件が定められましたのは、平成五年であります。今回の改正は、急速に変化する農村と農業経営環境の変化を踏まえた改正の内容であると考えております。この制度は、私ども農業生産法人にとって経営の成否を決めます重要な制度でありますから、以下四点について意見を申し上げます。
第一点は、構成員要件の改正についてであります。
この改正により、消費者など農業に関心を持って安定的に連携いただける方々が構成員として出資し、農業に参加することは、食料自給率の向上や農業の国民理解につながると考えております。また、耕種法人と畜産法人の連携による持続的な資源循環型農業の確立が可能となることからも、構成員要件の改正に賛成であります。
第二点目は、事業要件の改正についてであります。
これからの農業、農村活動を、農業生産だけではなく、二次、三次産業の分野も含めて、消費者が求める多様な期待、すなわち、安全で安定した顔の見える農産物の供給、多面的機能を生かした国土保全や命への体験、体感、いやしの場などとしてその期待にこたえる必要があると思います。また、安定した法人経営で、地域社会の期待にこたえるためにも経営の多角化、複合化を図り、総所得の拡大と雇用の拡大を図る必要があります。したがって、この改正案である加工、販売を含め、農業分野の売り上げが過半数というのは適切な水準だと考えます。
以上のことから、事業要件の改正案に賛成であります。
第三点目は、役員要件の改正についてであります。
家族だけではなく、農業者が集まり、しかも、パートや従業員も含めて農業経営を営み、農業経営の複合化や加工、販売等、経営の多角化を図るには、企画管理労働は欠かせません。この企画管理労働こそ法の人となり得る基本的な作業であると思います。しかし、農作業にかかわる役員がゼロではいかがかと思いますが、提案されている内容は適切だと考えます。したがって、役員要件の改正案に賛成であります。
第四点目は、法人形態要件の改正についてであります。
農業生産法人の経営形態に株式会社を追加することについても、株式の譲渡制限があり、農業者が四分の三という構成員要件、農業分野の売り上げが過半以上という事業要件、さらに、役員要件を満たす株式会社ということでありますから、現実的には、現在の農業生産法人が雇用や融資など信用力を高めるために、株式会社を活用する経営形態であろうかと考えられます。
また、これは私の私見でありますけれども、今後早急に解決しなくてはならない集落営農等、地域農業経営体を設立するとき、不在地主化が進むという新たな問題を抱えるこれからは、現場で農業経営に常時従事する者の権利確保を図るシステムがなければ、地域経営体に担い手の確保はできないのではないでしょうか。したがって、改正案に賛成であります。
次に、農業生産法人の要件適合性を担保するための措置についてであります。
法律とルールに基づいて設立、運営するのが法人、すなわち法の人であり、それを守ることは当然の義務であると思います。これまで農業法人は、地域農業において極めて少数派であるがゆえに、地域農業のあり方や方向性を検討する場に出席する機会が非常に少なかったのではないでしょうか。これを機会に地域農業のあり方を議論する場への参画ができるようになることを大いに期待したいと考え、この要件適合性を担保するための改正措置に賛成であります。
以上、社団法人日本農業法人協会の代表として、また、農業生産法人経営三十年の現場での体験から、私見を含めて、意見を述べさせていただきました。
どうもありがとうございました。(拍手)