江崎玲於奈の発言 (文教委員会)

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○江崎参考人 ただいま御紹介にあずかりました江崎玲於奈でございます。
 本日は、教育改革国民会議につきまして、去る九月二十二日に公表されました中間報告、皆さんのお手に渡っておると思いますが、それを中心に御説明申し上げたいと存じます。
 これはちょっと余談なんでございますが、昨日、ことしノーベル賞をおもらいになった白川英樹さんがつくばに来ていただきまして、いろいろなことを話す機会がございました。
 そこでの話で、かいつまんで申しますと、やはり先生、サイエンスの先生が非常に大事だと。自分が化学、ケミストリーをやったということは、ケミストリーの先生が非常にかわいがってくれて、化学というものに興味を持たせてくれたということが彼の一生を左右したということでございます。
 結論的に申しますと、中学、高校にはそういうサイエンスのすぐれた先生が少ないのじゃないかということも一つの結論でございまして、今後化学の振興にそういうことが非常に重要だということを申し上げておきたいと思います。
 さて、教育改革国民会議の方に戻りますと、これは二十六人の委員で構成されておりまして、去る三月、前総理の小渕総理大臣のもとに発足したわけでございます。実は、ことしの三月の初めにブッチホンがかかってまいりまして、小渕さんから、なってくれと。私は、最初この大任をやや逡巡したんでございますが、私の今日あるのも日本の教育のおかげでございまして、最終的にはお受けした次第でございます。小渕さんのお話ですと、二十一世紀に活躍するような創造的な人材が日本にどうしても必要なんだと。私もそれについては全く一致した次第で、お受けしたという経過がございます。
 もちろん、現在の日本の問題は、そういう創造的な人材を今後どんどんつくらなくてはいけないという問題と、もう一つは、日本の教育界には病理のような問題がございます。少年犯罪の多発、学級崩壊、いじめ、不登校、その他教育環境の荒廃というものがございまして、学校、地域、家庭がどう対処すべきかということが重要課題になっております。
 さて、私たちはこういう点を踏まえまして我が国の教育について議論を行ってまいりました。本日、お手元にお配りしております「教育改革国民会議中間報告 教育を変える十七の提案」は、教育改革国民会議発足以来、三十九回に及ぶ会議での議論をまとめたものでございます。
 この中間報告をまとめるに当たりましては、国民の皆さんに読んでいただける骨太でわかりやすいものを目指す観点から、理念や抽象論を展開するより、具体的で建設的な提案を行っております。また、幼児、小中高から大学、大学院を通じての教育全般を論議の対象とした一方で、教育のあらゆる分野の課題を扱うというよりも、焦点を絞って論議を行ってきたところでございます。
 各分科会ごとの具体的な説明につきましては、分科会審議の取りまとめに当たっていただいた分科会主査の方々から説明していただくことになっておりますが、私からは、中間報告の基本的な視点について、かいつまんで説明したいと存じます。
 まず初めは、六ページ及び七ページの「人間性豊かな日本人を育成する」ということについてでございます。
 今日の子供たちの状況を考えますと、私は、しつけとか道徳など家でするべき教育が日本では欠けていることが大きな問題ではないかと思っております。子供の教育を考えると、まず最初に、親自身がしつけがなっていないという指摘も少なくありません。親たちに対する何らかのカウンセリングが必要ですし、また、家庭でしつけられていない子供を指導するには、先生の質も高めていかなければならない、こう思っている次第でございます。
 そのほかにも、学校での道徳教育の充実や、小中高校で奉仕活動を行うこと、問題を起こす子供への教育をあいまいにしないこと、有害情報等から子供たちを守ることが大変大事であると考えております。
 次に、八ページ、九ページ、「一人ひとりの才能を伸ばし、創造性に富む日本人を育成する」ことについてでございます。
 教育というものは、各人が持って生まれた潜在能力を最大限に発揮させるのが教育でございます。現在の分子生物学では、ヒトゲノムの解読が盛んに行われておりまして、皆さん御存じのように、医療ということにつきましては、そういう遺伝的な原因によるもの、それから環境によるものなどが割にはっきりしておりまして、カスタムメード、個人に合った医療というものが考えられております。ちょうどそれと同じように、我々人間の能力、持って生まれた素質、タレントは、各個人が固有のものを持っております。それは、皆さんそれぞれ持って生まれた遺伝情報の中に書き込まれておるわけでございますから、そういう個性を伸ばすということが必要です。
 それから、もう一つ申し上げたいことは、世の中が変わっておる。ITというようなことをよく言われます。これは、今までのようにルーチンな仕事があった、ルーチンというのは言われたとおりすればいい仕事ですが、そういう時代から、多くの仕事は常に考えながら取り組まなければならなくなって、皆さん、ここにおられる議員さんは、昔から自分で考えて仕事をなさらなくてはならないのだと思いますが、多くの世の中の仕事が、やはり成果が重視され、各人に的確な判断と創造的な工夫、創造的な手段が要請される、そういう仕事が多くなった。そういう時代に生きる人を育てなくてはいけないということが我々の使命でございます。ですから、一人一人に合った教育ということです。
 そういう点から、中間報告では、少人数教育の推進、習熟度別学習、大学入学年齢制限の撤廃など、一律主義を捨てて個性を伸ばす、個人の能力を最大限に発揮するような教育、ですから、言いますと、学習指導要領というようなものを決めてしまって、皆さんそれに倣いなさい、そういうある種の平等主義教育じゃなしに、能力に合った教育をしようというのが我々の提案でございます。
 そういう点を考えますと、今までのように記憶力を重視したような大学入試を改めてそれを多様化する、大学生にしっかり勉強するシステムを導入する、職業観、勤労観をはぐくむ教育を推進することが求められているわけでございます。
 次に、十ページ、十一ページに移りまして、「新しい時代に新しい学校づくりを」についてでございます。
 私は、今の教育の現状を考えた場合、学校や教師や親や地域からの信頼にこたえる必要があると考えております。このような観点から、中間報告では、新しい時代の新しい学校づくりを提案しております。
 例えば、個々の教師の努力や意欲を認め、よい点は伸ばし、効果が上がるように評価と結果のフィードバックを行うことが大切です。また、学校や教育委員会に組織マネジメントの発想を取り入れること、多様な教育機会を提供すること、新しいタイプの学校の設置を推進することが大切ではないかと考えております。
 次に、十二ページの上段の「教育施策の総合的推進のための教育振興基本計画を」についてでございます。
 私は、教育改革を着実に進めるため、目指すべき教育の全体像を示した基本的な計画、すなわち教育振興基本計画が必要であると考えております。
 具体的に教育改革を行うには、当然お金がかかります。アメリカなどに比べますと、もっと公的資金を教育に投じていただかなければならない。これも統計でございますが、GDP当たりを考えますと、欧米に比べまして、ある計算をしますと七兆円くらい教育に投資していただく、そうしますと、欧米が初等、中等、高等教育に投じているお金とほとんどコンパラブルになるということを申し上げたい。
 高等教育というものをよくするには、国立大学もそうですが、私立大学もサポートすることが必要だと思います。もちろん、税金をつぎ込む以上、厳格な評価を実施することが必要です。評価を重視し、評価しながらよくしていくという観点から、教育振興基本計画、教育環境の着実な改善を図ることが不可欠でございます。
 私は科学技術基本計画にも参画をしておりますが、ああいうふうに、科学技術基本法ができ、科学技術基本計画というものによって日本のサイエンスが発展したということ、それと同じように、教育につきましても教育振興基本計画が必要じゃないかと思います。
 次に、十二ページ下段の「教育基本法の見直しについて国民的議論を」について申し上げます。
 まず初めに申し上げますと、私たちは、教育基本法を変えなくてはいけないという意識で出発したのではありません。また、反対に、変えてはいけないという固定観念も持っておりません。教育基本法は、よくできた法律ですが、制定から五十三年たっており、見直しについては国民的議論が必要だと思います。
 私は、二つの文化を認めなくてはならない、こういうふうに思っております。二つの文化というのは、一つは、古きよきものにあこがれ、それにとらわれる文化でございます。私は京都で小中高を育ちましたが、京都千二百年の伝統、そういうふうな伝統文化、これは歴史志向で、地域、京都とか日本とかそういうことでございます。
 しかし、もう一つの文化、これは大変重要なものでございます。それは、新しい進化を求め、変革をやまない文化でございます。それは、いろいろなところでそういうものがございますが、それを最も象徴するものはサイエンス、科学の文化です。これは未来志向でございます。ここに非常に創造性があるということを申し上げておきたい。
 ですから、教育基本法についても、この双方から論議していただかなくてはならないということを考えております。
 教育というのは非常に多面性を持っておるものでございまして、いろいろな意見があり、それぞれの意見にメリットがあるように私は思います。ですから、日本全体でダイナミックに教育をディスカッションしていく、日本全体の問題として、すべての人間が改革に参加するということが必要ではないかと思います。
 このため、十月から十一月にかけて、全国四カ所で一日教育改革国民会議を実施しておりまして、国民の皆さんからの意見をいただいているところでございます。国民の皆さんの意見をまとめながら、十一月十四日から全体会議の論議を再開し、十二月中に最終的な報告をまとめたいと考えております。文教委員の皆様からちょうだいする貴重な御意見を十分踏まえながら、最終報告に向けて真摯に審議を行ってまいりたいと考えております。
 本日は、どうかよろしくお願いしたいと思います。(拍手)

発言情報

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発言者: 江崎玲於奈

speaker_id: 18805

日付: 2000-11-17

院: 衆議院

会議名: 文教委員会