中西績介の発言 (本会議)
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○中西績介君 私は、社会民主党・市民連合を代表し、ただいま議題となっています森内閣不信任決議案に対し、賛成の立場から討論を行います。(拍手)
討論に入る前に、国権の最高機関でのさきの松浪君の行為は、国会始まって以来かつてない恥ずべき暴挙であり、与党代表の討論の中でも全く反省の言葉もなく、数さえあれば何でもできるという与党の体質をそのままあらわしたものであり、政権担当の資格を問われていると認識をすべきであります。
さらにまた、各種世論調査でも明らかなとおり、主権者たる国民は、森内閣に対しはっきりと不信任を突きつけているということであります。
先週来繰り広げられてきた自民党の内部抗争は、派閥の領袖による旧態依然の密室談合政治が相も変わらず続いていることを白日のもとにさらけ出しました。自民党の中にも勇気ある諸君がいるとの情報もありましたが、あっけなくついえたようであります。長く広いドラマの第一幕とは、単に新たなる茶番劇の始まりにすぎなかったのでしょうか。自民党政治がとうとう変わるかもしれないという国民の期待は、大山鳴動加藤一匹で無残にも打ち砕かれたのであります。
国民がノーを突きつけている森総理を自民党が守ろうとすればするほど、国民から政治が遠ざかっていくのであります。国政は主権者たる国民の厳粛な信託によるものである以上、民心が政権から完全に離れた場合、内閣を総辞職するか、総選挙を通じ政権の選択を国民の意思によって決定するという日本国憲法の大原則が忠実に実行されなくてはなりません。
さて、賛成の第一の理由は、森内閣が国民不在で政権維持と利益誘導のみを追い求める内閣だからであります。
本年四月、小渕前総理の急病を受けた森内閣の誕生は、自民党の相も変わらぬ密室、談合による政権交代劇によるものでした。そのような中でも森内閣の支持率が地に落ちた今よりも幾分高かったのは、志半ばで倒れられた小渕前総理の遺志を森総理が少しでも引き継いでくれるのではないかという国民の淡い期待だったのであります。
しかし、森内閣は、前政権そのものの数の横暴に頼る強引な体質だけを引き継ぎながら、高齢者切り捨ての年金改悪の強行、むだ遣い、存在感なしと言われる沖縄サミット、さらには、一九四六年一月一日の昭和天皇の人間宣言を明確に否定する、日本は天皇を中心とした神の国であるという見当違いな発言など、立て続けに国民の期待を裏切ったのであります。
特に、教育勅語には時代を超えて普遍的哲学があるなどとして、上からの管理統制の教育を推し進めようとする森総理の教育観は、時代錯誤そのものであり、日本国憲法下における内閣総理大臣として、甚だ不適格なのであります。
社民党を初めとする野党が神の国発言を厳しく批判し、第百四十七国会において内閣不信任案を提出したにもかかわらず、与党は討論も採決も拒否し、民意を握りつぶして、解散の挙に出たのであります。
与党がみずからを利するために、党利党略で比例定数を二十削減して選挙に臨んだことからすれば、その結果は大敗北でした。自民党だけで三十四、連立三党全体では六十五議席も減らしたにもかかわらず、森総理は、与党全体で安定多数を得た、国民に信任されたのだと開き直り、政権の座に居座ったのであります。なぜ与党が大幅に議席を減らしたのかという教訓が全く生かされないまま発足した第二次森内閣は、性懲りもなく数の横暴を容認し、民意と議会制民主主義を真っ向から否定しました。
総選挙以来、中尾元建設大臣の受託収賄罪容疑による逮捕、久世前金融再生委員長の大型やみ献金問題、KSDの前理事長の背任事件で明るみに出た自民党への巨額な脱法献金と幽霊党員問題、右翼団体などとの関係が疑われて辞任した中川秀直官房長官の疑惑など、自民党の骨の髄にまでしみ込んだ金権体質、腐敗の構造は、これでもか、これでもかと明るみに出てまいりました。
しかし、森内閣及び森内閣の与党は、国民の声、野党の要求に背を向けるばかりでした。国民の求める政治改革をみずからに都合のよい選挙制度の改革に矮小化するため、衆議院に続き参議院の選挙制度までも改悪し、かつて自社さ連立政権時代に社民党が提唱したあっせん利得罪処罰法についても、抜け穴だらけの与党案を押し通すありさまであります。
今や、国民の政治不信は極限にまで達しています。森内閣に対し、即時退陣せよという国民世論の高まりは、まさに天の声、地の叫びと言わなければなりません。
賛成の理由の第二は、国民と国会への公約違反であります。
森内閣総理大臣は、本年四月の就任に際し、安心して夢を持って暮らせる国家、心の豊かな美しい国家、世界から信頼される国家の実現を目指す日本新生に取り組み、日本新生プランを政策の基本に据え、大胆かつ的確にその実現を図るとこの本会議場で大見えを切ったところであります。しかし、残念なことに、現在に至るまでそのいずれもが、形すらも全く見えず、マイナスの方向に進んでおることを指摘しなくてはなりません。
すなわち、森総理は、安心して夢を持って暮らせる国家を提唱しながら、セーフティーネットの構築を放棄し、年金における給付削減、介護保険制度の歪曲、選挙のために先送りした高齢者いじめの健康保険法改正など、社会保障制度を政権維持の道具、手段におとしめ、国民から遠ざけたのであります。国民の消費が一向に回復しない一大要因は、将来に対する不安からであります。さらに、四月の就任以来、森内閣という最大の将来不安によって、日経平均株価は何と六千円も落ち込んだのであります。
また、森内閣は、子供たちに借金ばかりを残しながらも、子供たちに説明できないような政治腐敗、金権体質を改めようとしていません。このような内閣には、心の豊かな美しい国家を語る資格も、ましてや教育改革を語る資格もないと言わざるを得ません。
さらに、森総理は、ブレア英国首相に対し、朝鮮民主主義人民共和国に第三国発見方式を提案したと得々と語り、世界から失笑を買い、日本外交の権威を失墜させたのであります。このような森総理に、世界から信頼される国家の実現は不可能であることは明々白々であります。
第三の理由は、国権の最高機関である国会に対する森総理の際立った無責任ぶりが看過できないからであります。
国会活性化の目玉として導入された国家基本政策委員会、すなわち党首討論は、国民の期待に大きく背くものになってしまいました。総理に就任して半年余の月日がたったにもかかわらず、この間、党首討論はわずか三回しか行われていません。森総理は、さまざまな条件をつけて何とか党首討論を回避し、与党の護送船団というぬるま湯からとうとう出てくることはなかったのであります。国会の活性化とは正反対に、議会制民主主義が今まさに瀕死の状態を迎えている象徴と言えましょう。
また、総理大臣として最も重要な責務である国会への出席も激減しています。森総理は国会をサボタージュしているとの国民からの批判は、まことに当を得たものと言わざるを得ません。
今国会は、二十世紀最後の国会であります。来るべき二十一世紀は、希望の世紀にしなければなりません。二十一世紀の日本には、談合や利益誘導のための政治家や政党は不要であります。
密室談合で生まれた森内閣には、そもそも大義などありません。旧態依然たる自民党政治、森内閣を今世紀中に終わらせることこそが大義であり、正義なのであります。こうした変革を求める国民の声を、数の力や強権政治では押しとどめることはできません。
歴史の転換点に立ち、世紀末の混迷から希望の新世紀に踏み出そうという勇気こそが、今こそ、このときに求められているのであります。自民党、公明党、保守党の諸君にも、主権在民、議会制民主主義の擁護発展のために、本決議案に賛同されることを強く求めるものであります。この期に及んで迷い変節した諸君には、必ずや歴史の冷徹なる審判が下るでありましょう。
大道を見失わず、歴史の歯車を大きく進めようとするその勇気を持つ者こそが憲政史上に名をとどめ、二十一世紀の政治を担うことになるでしょう。
本院並びに我が国の国会の良識を示すときであります。
圧倒的多数の諸君の賛成をもって本案が可決されることを強く要望して、森内閣の不信任決議案に対する私の賛成討論を終わります。(拍手)