加藤周一の発言 (憲法調査会)

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○参考人(加藤周一君) 男女平等に関しては、第二次大戦後に起こった社会的変化の中で非常に大きなものだと思いますね。それは方角が非常にはっきり出ていると思います。参政権だけをとってももう非常にはっきりした方角が出ているんで、だから問題は、それを日本社会でもってどれだけ実現していくかということだと思いますね。
 ドイツの憲法に関しては、日本とドイツとの違いの一つは、ドイツはヨーロッパの一部、ヨーロッパの中に組み込まれているんですね。日本はどこにも組み込まれていないわけですよ。それが非常に大きな違いだと。
 だから、例えば、ドイツの国軍の、ユーゴスラビアでドイツ軍を使うか使わないかというような問題でも、それをヨーロッパの枠の中で言っているわけですね、ドイツ側は。ところが、日本の場合にはそういうことがないですから、どこにも組み込まれていないわけで、安保条約があるだけでしょう。だから、もし第九条を変えて、それでもっとはっきりとした軍備、再軍備の方角へ進んでいくとすれば、それは安保条約の枠の中でそうなるのか独立なのかということが出てくると思いますね。どちらの場合にも、安保条約の枠の中で日本がもっと軍備を増進させることにアジアの国は大抵懐疑的だと思いますね。なぜ懐疑的かということは明らかだと思いますけれども。
 それから、独立して、米国から独立して日本が軍備するということになればもっと反応が強いと思いますよ。どうして強いかというと、それは軍備を増強する前にやることをやっていないから。ということは、つまり信頼関係を築いていないからだと思いますね。戦後のドイツ、政治というよりも社会全体だと思うけれども、戦後のドイツ社会と日本との違いの一つは過去に対する態度の違いでしょうね。だから、その周囲の国との関係が違うわけで。
 ということで、だから日本の場合はおっしゃるように、九条を変えるともっと自由に軍備ができる、それから軍隊を使うことができるようになる。そうすると、そのときそれを一体安保の枠の中でするのかしないのか、どっちにしても反応は非常に強い。今はつまりそういうことをするための準備ができていないと思います、私は。それはドイツとの違いですよ。
 だから、日本の場合には手を触れるのは非常に危険だと思いますね。外交的にはまずい手なんだろうと思うんですね。プラスがなくてマイナスだけが多くなると。

発言情報

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発言者: 加藤周一

speaker_id: 18418

日付: 2000-11-27

院: 参議院

会議名: 憲法調査会