平野貞夫の発言 (憲法調査会)
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○平野貞夫君 自由党の平野貞夫と申します。
私は、過去四十年の間に政治関係の文書で二つ感動して読んだ本がございます。昭和四十年代に内田先生のお書きになった「戦後日本の保守政治」という本でございます。それから、五十年代の初めでございましたか、加藤先生がお書きになった「日本文学史序説 上」。私は、これは文学史の本でしたが、これは政治思想、日本の政治文化の本としてとらえまして、大変刺激を受け、啓発を受けました。日本の政治学会が文学史で日本文化が解明されるということを非常に不思議に思ったんですが、この本に啓発された記憶がございます。きょうは、お二人の先生に御質問できるのを非常に、私は神の恵みだと思っております。
そこで、加藤先生にまずお尋ねしますが、確かに、憲法九条先取り論でございます。それから日本国憲法の文化を代表するものだと思います。それから先生がおっしゃった、憲法を現実に合わせるな、憲法に現実を合わせろ、この「を」と「に」の使い方、非常に難しいんですが、それもそのとおりだと思います。それから、これからはやはり武力を使う問題解決はやめるべきだと。その機能が低下しているということもよくわかります。しかし、この九条の問題は実は憲法を現実に合わせる問題でなくて、憲法をつくった帝国議会の最後の国会で問題になっていることだと思います。
と申しますのは、御承知の南原東大総長が貴族院の国会で、第九条を高く評価した上で、吉田総理に、しかし日本が国連に入るときに問題になるんではないかと。日本は大東亜戦争の責任、過ち、これを反省するのが当然だと、それからいえば、国連に入るときにはその反省、責任を踏まえて、国連をなるべく機能できるように整備することに日本が一番努力すべきじゃないか。そして、その上で国連に警察機能といいますか、国連常設軍と言ってもいいと思いますが、こういうものができた場合には率先してそれに加わって、積極的に世界の平和の維持、あるいは困った人の助け、人道的な活動に大いに参加すべきでないかということを、南原東大総長はそのころ吉田首相に尋ねました。それで、国連に参入したときに憲法を改正するのかあるいはこの憲法で対応するのかということを詰めておりますが、吉田首相は何も言わずに、金森憲法大臣も答弁し切れないままの問題になっております。したがいまして、私は、この問題は現在の問題じゃなくて憲法制定のときからの問題だと思っております。
自由党は普通の国論とか憲法改正あるいは新しい憲法をつくるということに非常に積極的でございますので、とかく誤解されやすいんですが、私どもはこの南原先生の九条整備論を今主張しているわけでございます。決して普通の国じゃございません。
確かに国連の機能に限界はございます。しかし、国連しかないと思います。国連をよくしていくしかないと思います。先生おっしゃったように、アメリカだって国連に対する評価も違いますし各国いろいろ違いますが、そういう私たちは憲法九条を変えようというのではございません。より九条の精神を整備しようという意見でございますが、このことについて御意見賜れば大変ありがたいと思います。