今井澄の発言 (国民福祉委員会)
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○今井澄君 厚生大臣、お言葉ですけれども、大臣も先ほどおっしゃられたように、政務次官をおやりになったのが八一年、昭和五十六年に政務次官をやられて、その後、六十三年には衆議院の社会労働委員長をやられて、平成二年に厚生大臣をやられている。その前後、自民党の中でもずっとこの医療、福祉、社会保障関係をやってこられた。
もう厚生大臣御存じだと思いますけれども、今の例えば家庭医制度にしたらどういうマイナスがあるかとかなんとかというのは、もうこれ十年も二十年も前から議論されていることなんです。何もきょう私が言っていることじゃないんですよ。こんなことはもう語り尽くされていることじゃないですか。
包括払いがいいか出来高払いがいいかということも、これももう古い課題なんですよ。だから私は、前回の、一九九七年に患者自己負担増抜本改革は二〇〇〇年までにやりますと言った後の一九九八年の予算委員会でも、この国民福祉委員会でも、当時小泉厚生大臣でした。総理大臣はたしか橋本龍太郎さんだったと思います。この分野は専門の皆さんです。私はお二人に対しても、ほぼ議論は出尽くしている、あと問題は選択ではないだろうかと申し上げたんです。当時の厚生大臣はおっしゃるとおりだと。もはや、どれを選択するかだということなんです。
ところが、その選択でごちゃごちゃごちゃごちゃ、例えば出来高払いと包括払いがいい例ですよ。このメリットとデメリットは何かといったら、もう厚生省の比較対照表は十年も二十年も前に出ているじゃないですか。簡単に言えば、どっちが得かで争っているだけですよ。それは診療は出来高の方がやっただけ請求できるから、あるいは必要のないこともできるから、もっと言えば、患者さんだって出来高の方がいいわけですよ。風邪で行って、ついでに貧血と肝臓の検査をしてもらってきたって、病名を肝臓病の疑いと書けばそれが全部保険で見てもらえるんだから、いいですよ。まさに医者と患者が結託して出来高払いでふやしてきている面だってあるでしょう。お薬だって、飲まない薬だってもらってくる患者さんいるじゃないですか。医者だって薬を出すとその分だけ収入がある。まさに、だからという問題があるわけですよ。どっちをとるかという問題なんですよ。
先ほど厚生大臣が言われたのは、抜本改革は何かといったら、高齢者医療制度をどうするかという問題だ、また高齢者の医療費をどうやって減らすかという問題だ、またその高齢者の医療費を見るために安定した公費財源の確保をどうするか、こういう主な三つの点を挙げて言われたわけです。まさに、これは財源論なんですよ。国民あるいは医療機関の側も医療の現場で働く医者も看護婦ももう嫌気が差しているのは、財源論はわかったと、だけれども財源論だけ言うんだったら公共事業を減らして持ってくればいいじゃないかと。私はその方が正論だと思いますよ。だって、日本の医療費は、GDP対比、国民所得比でも、今OECD諸国の中でびりから三分の一のところでしょう。だったら、もっと医療費をふやしたっていいと思いますよ。そっちの方が正論になるわけです。だから、財政論だけじゃだめなんですよ。だからこそ私は中身の問題も申し上げた。
そこで、大臣が老人医療費のことを言われたから、きょうお配りした資料、これはあっちでもこっちでも何年も前から配っているのでもう嫌気が差している方もいるかもしれませんが、これは一九九八年度の一人当たり老人医療費の都道府県別比率。一番左の棒グラフは全国平均ですけれども、これをお配りしているんですが、真ん中よりちょっと左に長野県というのがあります。隣りに山梨県があります。もうちょっと左の方に行くと山形県があります。山梨県は委員長の御出身の県であります。山形県は、かつてこの委員会で議論をともにした阿部議員の出身地でもあります。こういうところは低いんですよね。
今のは冗談としても、長野県は医療費が一番低いから、じゃ医者にかかれなくて不幸な目に遭っているか。そんなことはないですよね。平均寿命は全国一と言ってもいいです。男は第一位、女は第四位。ことしの国勢調査でどう出ますか。それでみんな結構幸せに暮らしているわけですよ。つい最近、私の後任の院長が「がんばらない」という本を出して、NHKの朝の番組にも出ました。心の通う医療をやる点でも私どもは誇りに思っております。予防活動でも誇りに思っているわけです。長野県並みの医療費にすることができるんですよ、同じ日本人だったら。
もちろん、それだけとは言えない。例えば、長崎県にある風土病が多いとか、いろんなことがあります。名前を挙げちゃって申しわけないんですけれども、ある土地にはある病気が多いとかいうこともいろいろありますから単純には言えないけれども、私は長野県並みの老人一人当たりの医療費でやって日本人は幸せに暮らせると思っているんです、お年寄りが。長野県並みにやれば、老人医療費はあっという間に一年間で一兆数千億浮くわけです。これはもう火を見るよりも明らかです。
一方で、一番これ高いのが北海道ですね。ところが、去年の例でこれ逆転して福岡が一位になったということなんですね。福岡や北海道あるいは高知、そういうところが高いのはもう一枚の方にあります。これは平成六年度で、私もちょっとデータを更新するのを忘れていまして、きのう慌てて厚生省から平成十年度の分はいただいたんですが、基本的に変わってないんです。これは老人医療費ではありませんが、入院の医療費、北海道や福岡は入院医療費が多いわけです、高知県も。老人医療費が高いというところは入院医療費が多い。入院医療費の高さとそこにある人口十万人当たりのベッド数の多さとは関係する。病院が多ければ多いほどその土地の人は幸せのように思うかもしれないけれども、私は長野県の人が不幸せだと思いません。そんなに不満を言っていると思いません。何かおかしいんです。
それからもう一つ、外来の方は申し上げませんが、京都、大阪が非常に高いですよね。これは外来の薬が高いんです。同じ高血圧だとか風邪で比較しても、千葉とか東京周辺と大阪、京都じゃ薬代が物すごい違う。大阪の風邪と千葉の風邪がどう違うのか。これは非常に不思議な話ですけれども、同じ日本人でありながら。
要するに、むだがあることは事実だから、医療費のむだをなくす、医療費の財源対策や財政政策をやることは私も大事だと思うんですよ、これから高齢化が進みますので。だったら大臣、緊急に手をつけなければならないのは、老人の薬剤費の負担をどうするとか一割負担にするとかなんとかというそんなこちょこちょして、今度だってそうでしょう、老人の定額負担から定率一割負担にする、上限を設ける、それでこれから増収できる分は千二百二十億だというんでしょう、厚生省の試算では。長野県の医療費並みにすれば一挙にその一けた上の一兆数千億老人医療費が節約できるわけですよ。そうしたら手をつけるべきことは何か。大胆に申し上げましょう。不必要な病床数を減らすことじゃないですか。
実は、けさ見てきたある医療情報関係誌ですけれども、きのう都内で日本医業経営コンサルタント協会の月例の研修会が開かれたそうです。そこで、日本医科大学の岩崎榮常務理事、これは長崎で離島医療をやっておられて、厚生省に入られてやられた地域医療、そういうものの専門家でいらっしゃるわけですね。それから東北大学の濃沼教授、この方から私は個人的にもまた民主党としてもお話を伺いました。要するに、急性期病床を六十万床ぐらいにしたらどうかと。日本の病床を今の半分ぐらいにしたらどうかということがもう提案されているんですよ。
私は、今度の医療法改正だってそうだと思うんですよ。いや、差し当たってはすぐ減らすわけにいかないでしょう。それは病院に勤めている職員もいる。病院の経営者もいる。そこに入院している患者さんに出ていけと言ったって、出ていけないことがある。だけれども、例えば十年後にあるいは五年後に半分に減らしますよと。職員は倍にすれば失業はないわけです。平均在院日数を半分にすれば患者さんもいいし、医療費も助かるわけです。
じゃ、あと残った半分の病院をどうするのか。それは悪いけれども介護施設に変わってもらうしかないわけです。介護施設に変わっていただくなら介護施設でやっていただけるわけです。ただ、病院という看板じゃなきゃ嫌だ、老人ホームじゃ嫌だと、こういうわがままは許されないし、病院という看板がついているから、実は介護施設なのに入ったら点滴はやられるわ、検査はやられるわ、これじゃ患者もたまったものじゃないですよ。私はこういう方向を出すことが抜本改革じゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうかね。
ちょっと済みません。老人医療の慢性疾患についての治療マニュアルをつくろうと厚生省は来年度予算で研究費を要求しておられますか。何かそのことに対して、どうもある業界団体がブレーキをかけているといううわさも聞くんですが、そういうことはありますか。私は、治療マニュアル、必要だと思うんですよ。お年寄りには一人一人違いはありますけれども、大体決まっているんです。