国民福祉委員会

2000-11-14 参議院 全82発言

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会議録情報#0
平成十二年十一月十四日(火曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月十日
    辞任         補欠選任   
     櫻井  充君     小宮山洋子君
 十一月十三日
    辞任         補欠選任   
     井上 美代君     八田ひろ子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         中島 眞人君
    理 事
                亀谷 博昭君
                田浦  直君
                柳田  稔君
                沢 たまき君
                小池  晃君
    委 員
                入澤  肇君
                大島 慶久君
                武見 敬三君
                南野知惠子君
                今井  澄君
                小宮山洋子君
                堀  利和君
                松崎 俊久君
                山本  保君
                八田ひろ子君
                清水 澄子君
                堂本 暁子君
                西川きよし君
   国務大臣
       厚生大臣     津島 雄二君
   政務次官
       厚生政務次官   福島  豊君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大貫 延朗君
   政府参考人
       厚生省健康政策
       局長       伊藤 雅治君
       厚生省保険局長  近藤純五郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○医療法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)

    ─────────────
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中島眞人#1
○委員長(中島眞人君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十日、櫻井充君が委員を辞任され、その補欠として小宮山洋子君が選任されました。
 また、昨十三日、井上美代君が委員を辞任され、その補欠として八田ひろ子君が選任されました。
    ─────────────
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中島眞人#2
○委員長(中島眞人君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 健康保険法等の一部を改正する法律案及び医療法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に厚生省健康政策局長伊藤雅治君及び厚生省保険局長近藤純五郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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中島眞人#3
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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中島眞人#4
○委員長(中島眞人君) 次に、健康保険法等の一部を改正する法律案及び医療法等の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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今井澄#5
○今井澄君 民主党・新緑風会の今井澄でございます。
 本日、六十分いただきまして、もう質問をすることがたくさんあるんですけれども、まず総論的なことからお願いをしたいと思います。
 この間、抜本改革ということが随分言われております。さきの九日の委員会でも、入澤委員を初め多くの先生方、委員の皆さんから抜本改革とは何ぞやというふうなことについての御質疑があったと思いますし、私どもも今回の健保法、医療法については、もちろん前進の面があることは認めつつも、抜本改革がないままにこそく的に自己負担をふやしたり、こそく的に何かを変えたりする、むしろ抜本改革の障害になるんじゃないかということで実は反対の態度を現在のところ持っているわけであります。もちろん、これはお答えいかん、あるいは修正いかんでは、私どもも何もかたくなに反対するというつもりはないんです。
 そこで、抜本改革とは何ぞや、その目的は何か、例えば具体的な内容は何かということについて整理をして、大臣の御見解をお述べいただきたいと思います。
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津島雄二#6
○国務大臣(津島雄二君) 我が国では、国民皆保険制度によりまして、国民にひとしく良質な医療を提供するという考え方に立っております。しかしながら、急速な高齢化の進展などによりまして医療費がだんだんとふえてくる、その一方で経済が低迷をいたしまして医療保険財政が極めて厳しい状況になっておりますことは、委員も御承知のとおりでございます。
 こうした中で、良質な医療を確保するとともに、必要な方に必要な医療が適切に提供されるようにするということが課題でございます。この課題にこたえるためには、二十一世紀の高齢化が非常に進んだ社会におきましても、国民皆保険制度をとりつつも、それが持続可能な制度としてしっかりと維持されることが必要でございます。
 そのための当面の問題点としては、高齢者がふえる中で高齢者医療制度をどのようにして改革していくか、特に老人医療費の伸びを適切な水準にとどめるとともに、高齢者と若い方との間の負担のバランスを図ること、それから保険者間の負担のあり方についても適正化を図ること、そしてさらには公費が必要な場合に安定財源を確保して制度の維持を図っていくこと、特に高齢化の急速な進展の中において制度を維持するためには一層の公費の投入が必要ではないかということについてどう考えるか、こういう課題がございます。
 抜本改革というのは、こういう課題全体に対してしっかりした答えを出すというふうに私は受けとめております。
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今井澄#7
○今井澄君 もちろん、抜本改革ということはいろいろ長い歴史を持っていろんな観点から言われてきたわけでありますが、私どもが今抜本改革ということを問題にしている、例えば今度の法改正もその抜本改革の方向に沿うものか否かということが議論になるわけです。その点では、一九九七年の健保法等の改正をめぐって、そのころに与党協というのがあって、実は私どもも政策的な部分協議ということで与党協にもその春の段階では参加したこともあるんですけれども、最終段階では一緒にできないということで、これは自民党、社民党、さきがけの皆さんでやられたわけですが、やっぱりあそこからスタートした抜本改革論議というのが今の抜本改革を論ずる場合の大事なことだと思うんです。
 今、大臣の言われた高齢者医療制度、簡単に言うと高齢者の保険制度をどうするか、それから高齢者の医療費そのものをどうするか、またその全体を支えるのに公費財源を入れなきゃならないという踏み込んだお考え、私も賛成ですが、それをどう確保するか、それが当面の大きな課題ではあるにしても、やっぱりもう一度一九九七年以来の経過を振り返ってみることが非常に大事だと思うんです。
 その辺、この間、抜本改革に向けての取り組みとか、どういう経緯であったかということをひとつ厚生省の方からお答えいただければと思います。
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近藤純五郎#8
○政府参考人(近藤純五郎君) 抜本改革でございますが、今回問題になっている抜本改革と申しますのは、先生御指摘のように、平成九年の健保法の改正のときにそういう議論が出てきたわけでございまして、平成九年八月に当時の連立与党の医療保険制度改革協議会、いわゆる与党協が取りまとめられました「二十一世紀の国民医療」、この中で「抜本改革」という言葉が使われたわけでございます。
 この「二十一世紀の国民医療」の中で取り上げられた四本柱と申しますのが、診療報酬体系、薬価制度、高齢者医療制度、それから医療提供体制とあったわけでございまして、この四つの柱につきまして、私ども厚生省といたしましては、医療保険福祉審議会を初めといたしました関係審議会に御諮問を申し上げまして検討をお願いしてきたわけでございます。当然のことながら、相互の関連性等も意識しつつ検討をしてきたわけでございます。
 それで、まず診療報酬の関係でございますけれども、これも医療保険福祉審議会でまず議論をしていただきまして、その後、これを受けて中医協で決めていただいたわけでございますけれども、医療機関の機能分担と連携の促進でございますとか医療技術の適正評価、それから出来高と包括のベストミックス、こういった観点から体系的な見直しを行ったわけでございまして、本年四月の改定におきまして入院基本料を創設いたしました。それから、大病院から診療所に患者の紹介を行った場合についての評価の拡充でございますとか慢性期の入院医療におきます包括払いの推進とか、小児医療、救急医療の充実を図ったところでございます。
 それから、薬価制度につきましては、与党協の関係では、いわゆる日本型参照価格制度が提案されたわけでございまして、これにつきまして審議会でも御議論いただいたわけでございますが、特にこの参照価格を上回る部分につきまして患者の負担増を求める、こういう中身であったわけでございます。これについて強い反対がございまして、意見の集約を見るに至らなくて白紙の状態になったわけでございますが、その後、審議会におきましてさらに検討を進めまして、本年四月の薬価改定におきまして、薬価差の縮小を図る、こういう観点から、価格ルールの見直しでございますとか価格の決定手続の透明化、こういったものの制度化を図っているところでございます。
 まだ残っております先発品と後発品の薬価ルールのあり方、これが参照価格制度の意図しているところとほぼ同じ目的を持つものでございますけれども、先発と後発品の薬価ルールのあり方などは十四年度に向けまして検討する、こういう段取りになっているわけでございます。
 それから、高齢者の医療制度の見直しにつきましては、審議会の中で各委員からさまざまな考え方が示されまして、四つの考え方に集約されたわけでございます。残念ながら一つに集約できなかったわけでございますが、審議会の中で大方の御意見でございました定率一割負担制の導入につきましては今回の改正法案によって提案させていただいているわけでございます。
 それから、医療提供体制の関係でございますが、これにつきましては主として医療審議会で御検討いただいたわけでございますが、高齢化の進展に伴う疾病構造の変化などを踏まえまして、良質な医療を効率的に提供する体制をつくると。このために、患者の病態にふさわしい医療の提供をするという観点から、病床区分の見直しなどを行うということで今回の医療法等の改正法案を御提案している、こういう次第でございます。
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今井澄#9
○今井澄君 そうしますと、簡単にまとめますと、一九九七年以来四つの課題について抜本改革を進めてきたと。薬価制度の問題については、当時薬価差というのが非常に大きな問題になっていたけれども、それは診療報酬改定、薬価ルールの改定によってほぼ出口は見えてきたと。残っているのは先発品、後発品。後発品をもっとよく使ってもらうような仕組みをつくるということだけれども、もうほぼいいと。それから、第一の診療報酬については、出来高と包括については順次進んできて、ことしの四月改定でもほぼ方向が見えたと。それから、医療提供体制についても今出ている法律で病床区分の見直しがあるから基本的な方向は出てきていると。
 つまり、抜本改革であと残ったのは高齢者医療制度だけだと、こういう認識ですか、大臣。
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津島雄二#10
○国務大臣(津島雄二君) 多少のニュアンスの違いはございますけれども、私も大体委員と似たような感じは持っております。
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今井澄#11
○今井澄君 いや、私はそこが問題だと思うんですよ。そういう抜本改革のとらえ方をするから一向に先が見えてこないと思うんです。
 私はずっと長い間医療現場におりました。それで一医師もやり、それから病院長として病院の経営のこともやりました。それから、国保の診療報酬審査委員として月に一回は今度は診療報酬を削る側の仕事もやったわけです。そしてその後、国会議員になって八年余りがたつわけで、いろんな立場を見てきましたが、八〇年代からいわゆる医療費抑制策、あるいは医療費適正化策というか、そういうものが始まったんですよね、具体的に。一時は医療費亡国論まで飛び出したわけです。
 だから、私は医療現場の感覚も、それも医者だけじゃなくて看護婦さんとか、いろんな感覚もわかっているつもりですし、また国会議員となれば国家財政の問題、今非常に大変なこんな借金を抱えたその立場も、両方実感したつもりでおります。
 それから、患者さんの立場は余り実は私は経験していないんですが、余り病気をしないんですが、ただ、きのう久々に胃カメラ検査をやりまして今ものどが痛いと。この程度のことはどうということはないんですけれども、家族が患者になって病院にかかったとき、どこどこの院長ですとか医者ですとかと言えば早く診てくれることがありますけれども、私はそういうことをしないでじっと外来で三時間待っていたりしたこともあるので若干はわかりますけれども、患者の立場がわかるかどうか自信がありません。
 しかし、総体的に見ると、八〇年代から、もっと振り返れば老人医療費が無料になった昭和四十八年、一九七三年、そしてオイルショックがあって日本経済が低成長になって、十年後に老人医療費が有料化になってというあたりの時代からもう締めつけというのはあるわけですけれども、特に八〇年代以降、医療費がふえ過ぎて困る、医療にむだがあるから何とかしなきゃならないということでずっと二十年間続いてきた。この中で、医療現場に働く人間としては、何しろじわじわ締めつけられる、真綿で首を絞められるような経験を二十年間してきて、もういいかげんにしてくれとうんざりしているんですよ。そういう中で、医療現場の人々はやる気を失ったり士気阻喪したり、そういう中で医療事故も起こっているという面もあるんです。
 患者さんにしてもそうですよ。ああ、無料化になってよかったと思ったら有料化になって、その後どんどん自己負担がふえるでしょう。後でまた具体的な数字を質問いたしますが、厚生省の数字でもヨーロッパに比べて日本は自己負担の比率が極めて高いという現実まで来ている。この先どれだけ自己負担がふえるかわからないと。今度の改正案もそうでしょう。
 それで、患者さんの不満というのは、最近大分情報公開もされるようになってきましたけれども、それでもまだまだ医療に対する不満は強い。少子化というのに小児救急がもう崩壊状態にあるというふうなことも言われていて不安は強い。医療事故は起こる。一方、お金を預かっている側も、これは国もそうですけれども、健保連にしてもどこにしても非常に不満が強い。みんなが本当にやりきれない気持ちでこの二十年間過ごしてきているんです。
 だからこそ将来のビジョンを示して、現実に改革というのは難しいと思いますよ。大変難しい。だから一歩一歩やるしかない。やはりソフトランディングというのをねらうのが、政治としてもあるいは利害が違ったりするあらゆる立場の人を考えた場合もソフトランディングがいいと思う。だけれども、五年先、十年先にはどうなるのか、あるいは高齢化の人口のピークが来るときにどうなるのか、このビジョンを示すことが実は抜本改革だと私は思っているんです。
 ですから、民主党ではそういう視点から、昨年、抜本改革の中間報告をまとめました。その中でも、やっぱり高齢者の医療制度、老人保健制度をどうするかということは結論が出ないままに四論併記ぐらいに終わりましたけれども、全体のビジョンは出したつもりでおります。
 私どもが考えるのは、四つの課題でやってきたことが何も全部いけないとは言いません。当面の緊急の課題の薬価差をなくすこととか診療報酬、そういうことで分けたこと自身には問題はないんですけれども、やっぱり基本的な戦略的視点を欠いた取り組みだったと思うんです。
 私たちは、戦略的な視点というのはこういうことだと思うんです。一つは、今の医療のあり方、病院や診療所、あるいは患者のかかり方も含めて、あるいは薬の出し方とか情報公開の問題を含めて医療のあり方がどうなのかということを、戦後五十年たって、日本の制度は大変いい制度だと言われるけれども見直すべきではないか。端的に言うと、大病院から中小病院、診療所まである、診療所には有償と無償とあるという、国民にとってわかりにくいですよ。かつて五十年前にそういうふうにやった医療提供体制というものも非常に今の時代に合わなくなってきた。
 しかも、これは松崎委員がこの前本会議でも申し上げましたとおり、この三十年間、世界の各国は病院というものの改革をどんどん進めてきた。その結果は、病院の数は減った、平均在院日数も減った、そのかわり病院での患者さん一人当たりの看護婦さんを初め職員数は非常にふえてきちっとした医療ができるようになってきた。ところが、日本はこの三十年間何にもそれが変わってないんですね、広く浅く。東北大学の濃沼先生に言わせれば、農業ではありませんが、日本は粗放医療をやっている、先進国は粗放医療から集約医療に変わってきていると。こういうことだって見直さないといけないですね。そういう医療提供体制というのはどうあるべきなのか。
 つい最近、ある新聞にいい町医者が欲しいと書いてありました。各国では家庭医制度という妊婦から子供からお年寄りまで一通り診られるそういう制度もそろっているわけです。日本は、医者は専門医として育つわけです。例えば、内科といったって心臓の専門医、それが開業してから呼吸器の病気、風邪も診たりあるいはおなかの病気も診たり、内科、小児科と掲げて子供も診たり、そして老人も診れば整形外科も診たりと。そして、頑張るお医者さんは本当にオールラウンドのいい医者に育っていくけれども、そうでない医者は自分の昔の専門だけにこだわって、大して勉強もせずに誤診をしたりして手おくれにしてしまう医者もいるわけです。そうすると、医者の教育制度だって見直さなきゃならない。
 したがって、医療提供体制がまずどうあるべきか、二十一世紀にはどうあるべきかを見直すべきなんじゃないか。それを見直すと、おのずと診療報酬制度、どういうふうにして医療費を払ったらいいかというのがわかってくると思うんです。これは常識だと思うんですね。
 例えば、私は病院に長年勤めていたからわかりますけれども、病院というのは出来高払というのは似合わないんですよ。病院というところはチーム医療なんです。どうやって患者さんを苦痛なく速やかにコストをかけずに治すか、このチーム医療なんです。これは包括払いがいいわけです。しかも、今病気になってお医者さんにかかる八割の方は定型的な医療を受けているんです。その人によって特別な医療を受けているなんて思ったら実は大間違いです。もちろん、そうとばかりは言えませんが、話の内容は違うし、お薬の内容も多少違うけれども、高血圧だったらこうだとか胃がんの手術だったらこうなんだとか、胃がんの手術なんてもう百年も前から決まっているんですから、やり方は基本的に。こんなのは治して幾らになった方が病院にはふさわしいんです。
 腕のいい医者を雇って非常に効率的にやる病院はもうかるんですよ。腕の悪い医者でもたもたやっている病院は損をするんです。そうすると、自然に病院の中でいい病院、悪い病院、淘汰されてくるんです。家庭医もそうです。家庭医だってその人の健康管理から何から請け負うようになれば一人当たり幾らという基本でいいと思うんです。
 だけれども、もちろん包括だけで済むものじゃありません。人によって違うから出来高も必要でしょう。あるいは専門医というのは、場合によってはまさに専門である特定の患者さんだけ扱うから、その人たちは出来高でいいかもしれない。おのずとわかるんです。これを出来高と包括払いのベストミックスなんて、聞こえはいいですけれども、これは何にも言っていないに等しいんですよ。こんなことじゃ抜本改革できないんですね。
 薬価制度だってそうですよ。薬価差がなくなればいいというんじゃなくて、いいお薬がメーカーの言い値じゃなくて安く買えるようになればいいわけです。
 したがって、四つの課題と言われたけれども、医療提供体制、診療報酬制度、薬価制度というこの一連の医療の中身をどうするかということ。それともう一つは老人保健制度。老人医療制度と言われるように、それをファイナンスする、どうやってお金を集めて支払うかという保険制度、この二つの軸で考えるべきだと。そうじゃないと抜本改革はできない。
 ところが、今、大臣の御認識も、厚生省当局の御認識もお聞きしますと、問題なのは保険制度があと若干の問題が残っているけれども、医療提供体制も診療報酬も薬価制度もほぼ抜本改革についてはめどがついたと。私は、こういう認識では国民も医療の現場で働く人たちも全く救われない、そのことを申し上げておきたいと思います。
 ところで、内容のことをさらに少し議論したいわけなんですが、その前に、抜本改革についてもいろんなことが言われているんですね。衆議院での委員会の御答弁、それから参議院の本会議の御答弁、それから厚生省の文書などをいろいろ見ますと、どうもことし、二〇〇〇年、平成十二年までに抜本改革をやる予定だったと。ところが、私どもは全然できていないというふうに考えるわけですが、先ほどの御答弁だと三つの課題についてはそこそこ今できつつあるという御認識のようです。その違いは置くとして、あと残ったのは老人保健制度だと。これは平成十四年というふうに言われているんですが、これは平成十四年度なのか、平成十四年なのか。恐らく年度だと思いますね。そうすると、二〇〇二年の四月一日からは新しい制度にしますと言っているのか、二〇〇一年の一月に始まるだろう通常国会にその制度改革の法律案を出しますと、どっちなのか、そのことについてちょっとお答えいただきたい。
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津島雄二#12
○国務大臣(津島雄二君) そのことにお答えする前に、私の答弁について若干短絡的な総括をされましたので申し上げます。
 私は、残された大きい問題に高齢者医療制度があるとは申し上げました。そして、これは手つかずであるということを申し上げました。しかし決して、それさえ解決すれば全部あとはいくんだと、抜本改革はそれに尽きるんだとは申し上げておりません。
 委員がいろいろおっしゃいましたように、医療の提供体制そのもののあり方から問題は残っておる、そこから入っていかなければ、この高齢者医療の問題についても、あるいは持続可能な日本の医療制度あるいは医療保険制度も構築できないと。全く同感でございます。委員がいろいろ言われたことの大体八割は私は賛成だなと思っております。
 私も、一九八一年、厚生政務次官をいたしましたときに、いわゆる老人保健制度を国会に提案いたしまして、答弁にも立ちました。自来、ずっとこの問題にはかかわってきておりますから、委員のおっしゃったことの大部分については同じ考え方、同じ問題点の意識を持っております。
 ただ、申し上げたいのは、例えば、先ほど委員が、医療の適正化を図るために病院においては病床を積極的に活用して、そしてだらだら置いておくよりもきちっといい医療をしてどんどん患者さんには来ていただく、その方が医療機関の能率もよくなるし収支もよくなると。私もそのとおりであると思っております。しかし、これに対しまして、恐らくきょうこの委員会で別の御意見が出てくると思いますよ。とにかく医療の給付を抑える、これを抑制すること自体が医療の後退だと、こういうお考えもございます。今のままでやっていって何が悪いのか、もっと使ったらどうだと、こういうお考えの方もあるとおり、これは要するに医療の専門家ばかりでなくて国民全体が今、委員のおっしゃったようなことについて本当に議論をして正しい認識を持っていただかなければならない。
 かかりつけ医とそれから病院の関係についても、それは私どもアメリカの例をよくよく見ておりますけれども、これも行き過ぎますと、委員御承知のとおり、アメリカではマイナス面も出ております。
 そういう全体のバランスのとれた議論をやって結論を出したいと、こういうことを今お願いをしているわけであります。
 そして、それじゃ平成十四年に抜本改革をやるという真意は何かという御質問にお答えをいたしますと、まず十四年ということ、これは年にいたしましても仮に年度にいたしましても、もう一年ちょっとしかないわけであります。十四年度の予算編成となりますと来年の夏から始まるわけであります。ということは、平成十四年度の抜本改革というのは、今可能な最も短い期間にこれをやろうという非常に厳しい私どもの姿勢であるということを御理解いただきたい。
 その上で、それじゃ十四年は年度でいくのか何をやるのかということにつきましては、これは中身次第でございまして、我々の希望から申し上げますと、全体についてきちっと答えを出したい、それを目指してやっていきたい、こういうことでございます。
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今井澄#13
○今井澄君 厚生大臣、お言葉ですけれども、大臣も先ほどおっしゃられたように、政務次官をおやりになったのが八一年、昭和五十六年に政務次官をやられて、その後、六十三年には衆議院の社会労働委員長をやられて、平成二年に厚生大臣をやられている。その前後、自民党の中でもずっとこの医療、福祉、社会保障関係をやってこられた。
 もう厚生大臣御存じだと思いますけれども、今の例えば家庭医制度にしたらどういうマイナスがあるかとかなんとかというのは、もうこれ十年も二十年も前から議論されていることなんです。何もきょう私が言っていることじゃないんですよ。こんなことはもう語り尽くされていることじゃないですか。
 包括払いがいいか出来高払いがいいかということも、これももう古い課題なんですよ。だから私は、前回の、一九九七年に患者自己負担増抜本改革は二〇〇〇年までにやりますと言った後の一九九八年の予算委員会でも、この国民福祉委員会でも、当時小泉厚生大臣でした。総理大臣はたしか橋本龍太郎さんだったと思います。この分野は専門の皆さんです。私はお二人に対しても、ほぼ議論は出尽くしている、あと問題は選択ではないだろうかと申し上げたんです。当時の厚生大臣はおっしゃるとおりだと。もはや、どれを選択するかだということなんです。
 ところが、その選択でごちゃごちゃごちゃごちゃ、例えば出来高払いと包括払いがいい例ですよ。このメリットとデメリットは何かといったら、もう厚生省の比較対照表は十年も二十年も前に出ているじゃないですか。簡単に言えば、どっちが得かで争っているだけですよ。それは診療は出来高の方がやっただけ請求できるから、あるいは必要のないこともできるから、もっと言えば、患者さんだって出来高の方がいいわけですよ。風邪で行って、ついでに貧血と肝臓の検査をしてもらってきたって、病名を肝臓病の疑いと書けばそれが全部保険で見てもらえるんだから、いいですよ。まさに医者と患者が結託して出来高払いでふやしてきている面だってあるでしょう。お薬だって、飲まない薬だってもらってくる患者さんいるじゃないですか。医者だって薬を出すとその分だけ収入がある。まさに、だからという問題があるわけですよ。どっちをとるかという問題なんですよ。
 先ほど厚生大臣が言われたのは、抜本改革は何かといったら、高齢者医療制度をどうするかという問題だ、また高齢者の医療費をどうやって減らすかという問題だ、またその高齢者の医療費を見るために安定した公費財源の確保をどうするか、こういう主な三つの点を挙げて言われたわけです。まさに、これは財源論なんですよ。国民あるいは医療機関の側も医療の現場で働く医者も看護婦ももう嫌気が差しているのは、財源論はわかったと、だけれども財源論だけ言うんだったら公共事業を減らして持ってくればいいじゃないかと。私はその方が正論だと思いますよ。だって、日本の医療費は、GDP対比、国民所得比でも、今OECD諸国の中でびりから三分の一のところでしょう。だったら、もっと医療費をふやしたっていいと思いますよ。そっちの方が正論になるわけです。だから、財政論だけじゃだめなんですよ。だからこそ私は中身の問題も申し上げた。
 そこで、大臣が老人医療費のことを言われたから、きょうお配りした資料、これはあっちでもこっちでも何年も前から配っているのでもう嫌気が差している方もいるかもしれませんが、これは一九九八年度の一人当たり老人医療費の都道府県別比率。一番左の棒グラフは全国平均ですけれども、これをお配りしているんですが、真ん中よりちょっと左に長野県というのがあります。隣りに山梨県があります。もうちょっと左の方に行くと山形県があります。山梨県は委員長の御出身の県であります。山形県は、かつてこの委員会で議論をともにした阿部議員の出身地でもあります。こういうところは低いんですよね。
 今のは冗談としても、長野県は医療費が一番低いから、じゃ医者にかかれなくて不幸な目に遭っているか。そんなことはないですよね。平均寿命は全国一と言ってもいいです。男は第一位、女は第四位。ことしの国勢調査でどう出ますか。それでみんな結構幸せに暮らしているわけですよ。つい最近、私の後任の院長が「がんばらない」という本を出して、NHKの朝の番組にも出ました。心の通う医療をやる点でも私どもは誇りに思っております。予防活動でも誇りに思っているわけです。長野県並みの医療費にすることができるんですよ、同じ日本人だったら。
 もちろん、それだけとは言えない。例えば、長崎県にある風土病が多いとか、いろんなことがあります。名前を挙げちゃって申しわけないんですけれども、ある土地にはある病気が多いとかいうこともいろいろありますから単純には言えないけれども、私は長野県並みの老人一人当たりの医療費でやって日本人は幸せに暮らせると思っているんです、お年寄りが。長野県並みにやれば、老人医療費はあっという間に一年間で一兆数千億浮くわけです。これはもう火を見るよりも明らかです。
 一方で、一番これ高いのが北海道ですね。ところが、去年の例でこれ逆転して福岡が一位になったということなんですね。福岡や北海道あるいは高知、そういうところが高いのはもう一枚の方にあります。これは平成六年度で、私もちょっとデータを更新するのを忘れていまして、きのう慌てて厚生省から平成十年度の分はいただいたんですが、基本的に変わってないんです。これは老人医療費ではありませんが、入院の医療費、北海道や福岡は入院医療費が多いわけです、高知県も。老人医療費が高いというところは入院医療費が多い。入院医療費の高さとそこにある人口十万人当たりのベッド数の多さとは関係する。病院が多ければ多いほどその土地の人は幸せのように思うかもしれないけれども、私は長野県の人が不幸せだと思いません。そんなに不満を言っていると思いません。何かおかしいんです。
 それからもう一つ、外来の方は申し上げませんが、京都、大阪が非常に高いですよね。これは外来の薬が高いんです。同じ高血圧だとか風邪で比較しても、千葉とか東京周辺と大阪、京都じゃ薬代が物すごい違う。大阪の風邪と千葉の風邪がどう違うのか。これは非常に不思議な話ですけれども、同じ日本人でありながら。
 要するに、むだがあることは事実だから、医療費のむだをなくす、医療費の財源対策や財政政策をやることは私も大事だと思うんですよ、これから高齢化が進みますので。だったら大臣、緊急に手をつけなければならないのは、老人の薬剤費の負担をどうするとか一割負担にするとかなんとかというそんなこちょこちょして、今度だってそうでしょう、老人の定額負担から定率一割負担にする、上限を設ける、それでこれから増収できる分は千二百二十億だというんでしょう、厚生省の試算では。長野県の医療費並みにすれば一挙にその一けた上の一兆数千億老人医療費が節約できるわけですよ。そうしたら手をつけるべきことは何か。大胆に申し上げましょう。不必要な病床数を減らすことじゃないですか。
 実は、けさ見てきたある医療情報関係誌ですけれども、きのう都内で日本医業経営コンサルタント協会の月例の研修会が開かれたそうです。そこで、日本医科大学の岩崎榮常務理事、これは長崎で離島医療をやっておられて、厚生省に入られてやられた地域医療、そういうものの専門家でいらっしゃるわけですね。それから東北大学の濃沼教授、この方から私は個人的にもまた民主党としてもお話を伺いました。要するに、急性期病床を六十万床ぐらいにしたらどうかと。日本の病床を今の半分ぐらいにしたらどうかということがもう提案されているんですよ。
 私は、今度の医療法改正だってそうだと思うんですよ。いや、差し当たってはすぐ減らすわけにいかないでしょう。それは病院に勤めている職員もいる。病院の経営者もいる。そこに入院している患者さんに出ていけと言ったって、出ていけないことがある。だけれども、例えば十年後にあるいは五年後に半分に減らしますよと。職員は倍にすれば失業はないわけです。平均在院日数を半分にすれば患者さんもいいし、医療費も助かるわけです。
 じゃ、あと残った半分の病院をどうするのか。それは悪いけれども介護施設に変わってもらうしかないわけです。介護施設に変わっていただくなら介護施設でやっていただけるわけです。ただ、病院という看板じゃなきゃ嫌だ、老人ホームじゃ嫌だと、こういうわがままは許されないし、病院という看板がついているから、実は介護施設なのに入ったら点滴はやられるわ、検査はやられるわ、これじゃ患者もたまったものじゃないですよ。私はこういう方向を出すことが抜本改革じゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうかね。
 ちょっと済みません。老人医療の慢性疾患についての治療マニュアルをつくろうと厚生省は来年度予算で研究費を要求しておられますか。何かそのことに対して、どうもある業界団体がブレーキをかけているといううわさも聞くんですが、そういうことはありますか。私は、治療マニュアル、必要だと思うんですよ。お年寄りには一人一人違いはありますけれども、大体決まっているんです。
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伊藤雅治#14
○政府参考人(伊藤雅治君) 国民の間に非常に頻度の高い重要な疾患につきまして、厚生省としましては医療技術の標準化といいますか、そういうことを検討する検討会を設置いたしまして、そしてそれらの疾患につきまして医学文献を評価の上、診療のガイドラインをつくるという検討結果をいただいているわけでございます。その検討結果を受けまして、私どもといたしましては学会がそういう標準的なガイドラインをつくるということに対しまして、厚生省として補助金で支援をしている、こういうことを今やっているところでございます。
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今井澄#15
○今井澄君 じゃ、厚生大臣、改めてお聞きしますけれども、こういう財政問題を考えるのは大事です。保険制度も大事ですけれども、老人医療に今問題があるとすれば、一つは老人の病床を減らすこと、社会的入院をなくすこと。それからもう一つは老人の定型的な病気については全面的に包括性を基本にしてやる、それでマニュアルはつくると。こういう方向を、今すぐできるかどうかは別として、示すことが抜本改革じゃないですか。
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津島雄二#16
○国務大臣(津島雄二君) 委員も今すぐできることではないとおっしゃいましたけれども、そのような議論はこれまでもずっとやってまいりましたし、それから先般、総理に報告書を出された有識者会議でもその問題点には全部触れておられるわけであります。
 委員の御指摘は、一つ一つについて反論する必要はないくらい私の胸に落ちるところもありますよ。何で日本で人口当たりの病床がこんなに多いのか、その結果として一床当たりの医療従事者の数が少ないという結果になっている、そういうことが適切な医療のサービス体制としていいかどうかという議論は我々もやってきて、そして今度御提案申し上げております医療法における療養型病床群というものを分けるというのはその考え方に沿ったものでございます。委員がまさに今すぐやるにはいろいろあるだろうと言われるとおり、やっぱり関係者の間で本当にきちっとした認識が統一をされなきゃならない。
 そういう意味で、私は最近は大変に望ましい傾向が出てきたと思っております。例えば、専門団体の方におきましても、老人医療費がこれまでのようなペースでふえていくということは決していいことではない、これからの医療費の増加のペースというのはもっと低くて十分いい医療は提供できるということを初めて公式におっしゃるようになってきた。
 ですから、これまでの議論は遅い遅いとおっしゃいますけれども、そういう皆さん方の意見の一致が出てくることを我々は期待しながら議論をしてきたわけでありまして、今後ともそういう努力を重ねて、やるべきことはきちっとやっていくこと、それが大事だと思っているところであります。
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今井澄#17
○今井澄君 これは繰り返しになりますけれども、大臣、先ほども申し上げましたように、私は単に遅いと言っているんじゃなくて、例えば小泉厚生大臣のときに、議論は確かに出尽くしている、あとは決断の時だと言われたということもあるんです。厚生大臣を前にもやられているわけですし、しばらく離れておられたかもしれないけれども、やっぱりこの間やってこなかったことが問題なんですよ。
 それともう一つは、例えば、今回こういうふうに病床を分けるにしても、病院というものは基本的には急性期の病気を診るものです、慢性期というのはむしろ生活のお世話ですからこれは病院ではありませんというぐらいまで言い切っちゃって、五年後や十年後にはこうしますよ、だから皆さん、今病院をやっておられる方はどっちの道を選ぶのか今から準備をしてくださいということもやらなきゃだめなんですよ。そうじゃないと、医療現場ではどう考えるかといったら、二百床あるうちの半分を急性期にして半分を慢性期にしてとか、半分一般にして半分療養型にすると経営はよくなるか悪くなるかとか、その間の配置基準をどうするかとか、看護婦は急性期の方は若いのがやって、こっちの方には年寄りのベテランをやってと。現場の職員になってみればますますわからないですよ、うちの病院どうなるのと。毎回毎回医療費の締めつけだとか、それ経営合理化だ、ばんそうこうを張るのもセンチを短くしろとか、そんなことを言われながら、そうじゃなくて五年後、十年後の姿をはっきり見せて、さあ、そこに向けてうちはどうするかということを病院の経営者にも職員にも議論してもらう。それがある意味で言ったら行政の責任だと思うんですよ。私は、そういう意味で物すごい中途半端だと、今度の医療法改正は。
 職員の配置基準だってそうですよ。よし、日本は将来は欧米並みに一対一には行きます、五年後にはそこへ持っていきます、だから看護婦を集められないような病院は病院をやめてくださいというぐらいのことをはっきり言って、そうすると病院としてはやっぱり看護婦を集める。もちろん地域によって集まらないところもあるから、それは別に考えなければなりません。今、看護婦が足りなくて困っているのは東京、大阪の中小病院でしょう。看護婦の絶対数が足りないわけじゃないんですよ。看護婦が魅力を持って来てくれない病院ですよ。そういう病院を生き残らせるんですか、はっきり言って。
 そういうこともはっきりさせて、五年後には一対一にしますと。だから、そっちの道を選ぶのか、看護婦を集める自信がなければ、あるいはお世話の方をやりたかったら病院の看板を外して介護施設になってください、介護保険もできたんですから。それをはっきり言わないから病院の現場の経営者も悩むし、職員なんかますますわけがわからず悩む。患者さんにとってだって、どこへ行ってみたらいいかわからない。そのことを私は繰り返し申し上げているんですよ。健康政策局長、どうお思いですか。
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伊藤雅治#18
○政府参考人(伊藤雅治君) 今回の医療提供体制の見直しに関しまして、医療審議会におきまして病床区分についてはいろいろ御議論いただいたところでございます。当初、急性期病床、慢性期病床というはっきりした形で区分したらどうか、そういう議論もあったわけでございますが、いろいろ患者さんの状態が変化をするということも踏まえて、今回のような一般病床、療養病床という区分になったわけでございます。
 そこで、これらの、特に一般病床の看護婦の配置基準を引き上げることに伴いまして、今後我が国の医療提供体制の中で、病床数が多くて、そして百床当たりの医療従事者が薄く、そして平均在院日数が長いという根本的な我が国の医療の提供体制の構造問題にどのように対応していくかというその点の議論は、結局は中小病院というものを今後医療提供体制の中でどのように位置づけていくかという問題が、やはり現実的なコンセンサスに至らないという問題があるわけでございます。
 特に、この中小病院の今後のあり方につきましては、医療審議会におきましても、また社会保障制度審議会におきましても、今後引き続き我が国の医療提供体制の中における役割を検討していくべきだという御提言をいただいておりまして、私どもといたしましては、我が国の医療提供体制の最も根本的な構造問題については今回の医療法改正だけで決着を図るということは困難でございますが、今回の一般病床、療養病床という形に区分をいたしまして、法律の施行後二年半後にはすべての病院がそのどちらかを選択しなくてはいけない。そして、引き続きこの構造的な問題についてどう対応していくかということにつきましては、中小病院のあり方も含めて、引き続き取り組んでいくべき課題だという認識でございます。
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今井澄#19
○今井澄君 私は、やっぱりそういう中小病院がどうのという、こういう古い意識でいるからいけないんだと思うんですよ。
 つい最近、東京医科歯科大学の伏見助教授が調査研究を発表したという記事があるんですが、今一人当たりの点数でぐっと伸びているのは百床以下の病院だと、専門病院だと。脳外科だとか循環器だとか。これは局長も御存じだと思うんです。むしろ、今本当に医療らしい医療をやる、助かる患者を助ける医療というのは、ある意味でそういうところがやってきているんです。もちろん大病院もやっていますけれども、本当に腕のあるお医者さんが自分の仲間を集め、やる気のある看護婦を集め、そういうところは看護婦の配置も多いですよ、小さな病院でも。私も実は田舎の病院でやった経験があるんですけれども、私のいた病院は自治体病院では本当に一番多いぐらいの、病床百床当たり三百人の職員を抱えながら経営も黒字でやってきたんです。それで、どんな高度医療にも手を出してやってきました。
 私は、やっぱりやる気とそこに集まったスタッフの熱意だと思うんです、本当にいい医療を提供できるのは。病床の規模じゃないんですよ。日本の厚生行政は規模で見るから間違ってきているんですよ、これまで。大病院が何をやってきましたか。この間、事故を起こしているのは何ですか。いい医者をつくっているのはどこですか。大病院じゃないですよ。本当に苦労してやっている現場の病院ですよ、これは開業医さんも含めて。こういう厚生行政は転換する必要があるわけです。
 たまたま今中小病院の皆さんが困っているけれども、例えば今度看護婦の三対一に一番反対したのは東京と大阪の中小病院でしょう。そういうところが、言っちゃ悪いけれども、本当にいい医療を一生懸命やるという気概でやっていますか。そうじゃないでしょう。戦後は熱心にやってこられたかもしれない。しかし、サクセスストーリーの上に病院までつくった、後はまあというふうな病院じゃないですか。そういう病院はやっぱり退場いただくぐらいの決意がなきゃだめなんで、規模じゃないと思うんです。私はそこのところもちょっと認識を変えてもらいたいと思うんです。
 同時に、厚生大臣が先ほどちょっと言われたことで私ひっかかったことがあるんですが、関係団体、専門団体の御意見をということなんですが、そしてその中でもだんだん意見が出て、老人医療費を減らそうということに合意ができつつあるということをおっしゃいました。私は違うと思うんです。
 それは多分、恐らく、グランドデザインというのをある医療関係団体が出されましたよね。それが、厚生省は医療費全体が今後四%伸びるというのに対して、いや、〇・五%に抑えられるという案が出ているわけです。だから、老人医療費を適正化しようということについては医療関係団体を含めて当事者も同じだという意味で先ほど言われたかもしれませんけれども、私は非常に問題だと思うんです。その団体が出した案は、小さな病院は除いて、老人病院、大病院を中心にマルメにしちゃおうよということなんですね。老人の入院医療費をマルメにしてぐっと抑え込めば成長率は〇・五%以下に抑えられるよと。だけれども、外来の方のお薬なんかについてはそうは言っていないわけですよ。
 今、老人医療費が伸びているのは実は入院医療費じゃなくて、外来医療費の伸びの方が高くなっているそうです。老人医療費の伸びの九割は外来医療費だと。ここは大臣、気をつけなければいけませんよ。大きな病院は国公立病院が多いですよね。そこに入院している老人の医療費はぐっと抑えましょうと。だけれども、一般の診療所に来る老人については枠をはめないでやっていきましょうと。そんなことになるとまた老人医療費ふえますね。この辺は十分御注意をいただきたいと思います。
 さて、その点なんですけれども、先ほどから大臣は関係者のということを言っておりますけれども、これは例えば銀行がそうですけれども、銀行もある意味では護送船団方式をやめて淘汰していく、場合によっては国有化もしていくということでこの間金融危機を乗り切ってきたと思うんです。これは中小の、地方の信用金庫や何かも含めて、全部現場の意見が一致してやったんですか。それとも、国難に当たって政治の主導でやったんですか。大臣、いかがでしょうか。
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津島雄二#20
○国務大臣(津島雄二君) 私が長くかかわってきたもう一つの分野についての御質問でございますが、日本の金融システムを生まれ変わらせる話は、これはマーケット、市場に迫られてやむを得ずやらざるを得なかったという面が大きいわけであります。端的に申しますと、あのときの金融再生法は与野党が一緒になって、野党案を十二分に土台に採用させていただいて実現をした。私自身直接かかわりましたけれども、そういう状態であったと。したがいまして、これを施行していくに当たって中小金融機関をどうするかという話はずっと一年も二年も後まで尾を引いて、やっと来年度から通常の適用になるということでございます。
 恐らく、委員の御質問は、物事を進めていく場合にあちらこちら気配りばかりしていたのでは何にもできないよと、その点は私は賛成でございます。日本の医療制度あるいは医療保険制度の将来をどうするかという問題についても、もう待ったなしのところに来ているという認識は私も委員と共有をいたしております。
 ただ、言わせていただきますと、委員の側から、しっかりしたビジョンを出さない、出さないとおっしゃっているけれども、読みようによっては私たちは十分に出しているつもりなのでございます。それはちゃんと読んでもらえるかどうかであります。それに加えまして、先ほど参考人から御答弁をいたしましたように、現実にいろいろなタイプの病院が毎日毎日患者さんを診ているわけです。それなりに地域の医療の需要にこたえているわけでございますから、そういう意味では一刀両断にやるわけにはいかない。しかし、そういう状況の中で、委員の言われているような将来への道筋というのは私どもはほとんど明らかにされつつあるというふうに受けとめておるわけであります。
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今井澄#21
○今井澄君 いや、もうこれは水かけ論ですけれども、読みようによって読めるんじゃだめなんですよ。それは、結局ある業界団体に遠慮をして、その人たちを怒らせないように怒らせないように、本音はこうなんだけれどもということで、ごまかしごまかし来ているわけじゃないですか。今度のカルテの開示の問題だって法律で決めるべきなんですよ。だけれども、じゃ、すぐあしたから開示しろと言って開示できるかといったらできないですよ、出すものがないんですから、見せるべきものがなければ。人に見せられるカルテをまず書いてもらうとか環境整備が必要です。そんなことはわかり切っているんですよ。だけれども、まさにだからこそやる必要があると思うんです。
 金融の問題との違いは、金融の問題、もちろん人の命に金融もかかわる問題でありますけれども、急につぶしても何とかなるわけです。ところが、病院の場合は、急につぶすと、そこに人がいるわけですから、入っている人が。これはどうにもならないですよね。だからこそ、金融の場合のように追い込まれて追い込まれて、最後やむを得ず与野党合意で、政策新人類、大臣は大分だまくらかしたり洗脳されたというふうに認識をしておられるようですが、それはともかく、やっぱり政策新人類と言われる人たちを中心に与野党を超えて政治主導でやったわけです。
 医療の場合は今パニックに来ていない。だけれども、パニックが来たら困るんです、診てもらっている患者さんが。それこそ阪神大震災のときの患者さんが困ったように困るわけですから、そういうために今はソフトランディングをねらって、だからこそ将来の姿を出しておかないと、読みようによっては読めるじゃみんな都合のいいようにばっかり解釈して、都合のいいようにばっかり読むわけですから。
 私は、その医療関係団体の執行部の皆さんを個人的には信頼しています。大変だと思っているんです。その人たちもある意味では言いたいことがあるんだと思うんですけれども、現場のお医者さんたちや何かがまだまだ大丈夫だと思うから、なまじ物わかりのいいことを言うと妥協をしたと言って下から責められるから困る、そういう立場にあると私は思っています。これはどの団体でもそうです。どの団体でも大体そういうことです。だから、私はそこをはっきり出すべきだということを主張しているわけです。
 もう時間がなくなってきちゃいましたが、もう一点だけお尋ねしたいと思っていますけれども、一つは老人医療制度。
 今は、老人、七十歳以上だけを一まとめにして、そこにみんなでお金を出し合って、そこからお金を支払っているわけですね。この老人医療がどんどんふえている。その原因は、老人医療でむだが行われているということが一方であるんですが、このお金の出し入れを監視する人がいないわけです。そこが問題になって、何しろこの制度はやめたいと、お金を出している拠出側も困るということなんですが、私はこれにかわるものとして四つの案が出ていることはよく承知しているんです。その中で、今の制度の焼き直しのような独立方式、老人を六十五歳であれ七十歳であれ七十五歳であれ一くくりにして、老人については特別な立場だし、特別な医療があるからという一くくりにする制度は、今までと同じ根本的な欠点を持つものですからこれはやめた方がいいと思うんですけれども、どうですか。大臣のお考えを伺いたい。
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津島雄二#22
○国務大臣(津島雄二君) 老人保健制度をどうするかということは、先ほど参考人から御答弁いたしましたように、ここ二、三年間ずっと議論をし、四つの方式を出し、いろいろ議論したけれども集約できなかったということでございます。
 できなかったということは、例えば今の独立保険方式あるいは突き抜け方式、どれをとりましても今の段階では乗り越えられない難しい障害があるということであろうと思います。
 この間の有識者会議でも議論をしていただいたんですけれども、全体としての印象はこのままではいかぬけれども、しかしどちらの制度に、例えば突き抜けなら突き抜け、あるいは独立の制度なら独立の制度に割り切ってやるよりも、むしろベストミックスを考えた方がいいという御意見の方が多かったと私は考えております。
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今井澄#23
○今井澄君 もう時間が来たから終わりますけれども、私が申し上げているのは、今私が非常に憂慮するのは、例えば突き抜け方式を強く主張していた支払い者側も今ずるずるっと独立方式の方に寄りつつあるんですね。要するに、公費負担がふえれば今までの負担が減るからいいじゃないかというところで手を打とうとしている。私は、この動きは絶対危険だと思うんです。まさに抜本改革に反するものだと思うんです。だから、これまでの独立した老人の医療制度が根本的に欠陥を持っていたとするならば、少なくともその方式だけはとるべきではないということを申し上げて、御答弁はもう結構ですので、これで私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
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小池晃#24
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 健康保険法及び医療法改正案は国民生活に深くかかわる法案であります。衆議院では厚生委員会で強行採決という暴挙が行われたわけでありますけれども、本院では徹底した審議を行うということをまず私は求めたいというふうに思います。
 その上で、きょうは健康保険法の問題に絞って質疑をさせていただきたいというふうに思っています。
 健康保険法の問題、この法案の最大の問題は高齢者に対する定率負担の導入であるということは論をまたないわけでありまして、まず最初にこれによって大変な負担増になるケースがある、このことを指摘したいと思います。
 私は、実際の病院のカルテ等から引き出してきた実例でお尋ねしたいんですが、四例挙げたいと思います。
 一例は、気管支ぜんそくと脳梗塞で診療所から月一回の往診を受けている患者さん。点数が今まで診療所で千百三十一点、薬局で千五百一点だと。今までの自己負担でいうと診療所で定額の五百三十円であります。これが改悪後は二千六百三十円と五倍になるわけです。
 二例目ですが、糖尿病と高血圧で月一回通院中の患者さん。インシュリンの自己注射を自分で自宅で注射をされている。二百床以上の病院にかかっている。こういう患者さんの場合、今まで病院の点数が二千五百八十点、薬局の点数が三千三百二十四点だと。この方の場合、今までの自己負担は定額の五百三十円だけだったわけですが、改悪後は負担の上限に達しますので五千円ということで九・四倍になります。
 入院のケース。胆石で腹腔鏡下の胆摘術を受けた。七日間入院したと。総点数が五万五千七百七十五点であります。食事代を除いて今までの自己負担は八千四百円。これが改悪後は三万七千二百円で四・四倍になります。
 四例目、これは大腸ポリープ、内視鏡的切除する場合。三日間入院をして総点数は一万五千百四十四点。食事代を除いて今までの自己負担は三千六百円であります。改悪後は一万五千百四十円で四・二倍。
 こういう負担増になるケースが出るということは事実としてお認めになりますね。
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近藤純五郎#25
○政府参考人(近藤純五郎君) 御指摘のケースでございますが、その前提などにつきまして詳細な検証が必要だと思いますけれども、お示しされたような患者負担額になるものと考えております。
 ただ、個々のケースで見ますれば、先生が御指摘のケースはすべてふえるケースであったわけでございますけれども、負担の方式を一日当たりの定額制から定率制に改めるということでございますので、高い医療費がかかっていた患者さんにつきましては現行制度に比べまして負担が増加することがあるわけでございますが、低い医療費であった方につきましては定率制になることによりまして負担が現行制度より低くなるケースがあるということでございます。
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小池晃#26
○小池晃君 低くなるケースが事実としてあることはあるでしょうけれども、例えば定額にしても、五百三十円の定額が八百円になるわけですから、これは一般的に言えばふえていくということは間違いないわけです。
 それから、上限の問題を、衆議院の議論でも盛んに上限を設けたんだというふうにおっしゃっております。入院の上限でありますけれども、これは入院の負担の上限が一万五千円になる場合、いわゆる住民税非課税で老齢福祉年金受給者、こういう方は全国で何人程度いらっしゃって、高齢者全体の何%に当たるのか、お示しいただきたい。
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近藤純五郎#27
○政府参考人(近藤純五郎君) 市町村民税が非課税の世帯で老齢福祉年金の受給者になられる方でございますが、実績として把握はいたしておりませんけれども、国民生活基礎調査の結果などから推計いたしますと、現在約十万人程度ではないかと推計しておりまして、これは老人医療受給対象者の〇・七%に相当いたします。
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小池晃#28
○小池晃君 高齢者の約〇・七%しかこの一万五千円というのは適用にならないと、本当にごくわずかなんです。
 それから、さらにその次の段階。住民税非課税世帯で二万四千六百円という上限ですけれども、これもあくまで一カ月の上限ですから、定率制になる以上は、先ほど示した実例でも、これは低減されても現状より負担はふえるわけです。理屈の上から言えば、二十日間以内の入院であれば、今まで二十日間の入院というのは定額で二万四千円ですから、二十日間以内の入院であれば今までよりも負担増になる、大幅な負担増になるケースが出てくるということは間違いないと思うんですが、いかがでしょうか。
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近藤純五郎#29
○政府参考人(近藤純五郎君) 入院につきましては、低所得者の方につきまして月額の上限額を引き下げているわけでございますが、一般に一日当たりの医療費は一万二千円を超えるケースが多いわけでございまして、御指摘のような短期間の入院という場合には負担がふえるというケースがあろうかとも思うわけでございますが、入院が長期にわたる、こういう場合につきましては負担減になるのが一般的でございます。
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