篠崎次男の発言 (国民福祉委員会)
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○参考人(篠崎次男君) なかなか数字で言いにくいというか、あらわしにくい問題なんですけれども、高齢者の問題というのは細々したまず生活実態に注目すべきではないかなと思います。
例えば、介護保険料を一号被保険者が徴収されるというときに、自治体に質問や抗議の電話が殺到したと言われておりますが、その七割程度が高齢女性からのものだったというふうに言われております。そういう点から見ても、今、井上先生が言われた高齢女性の多くは低所得者ではないかという指摘はやはり当たっているのではないかなと思います。
それから、老人クラブなんかでよく話を聞くんですが、昔は年金がなかったけれども、低い年金でもあるだけいいではないかと言われますが、私は、低額の年金をもらっているがゆえに複雑な生活を強いられているということが高齢者の現実ではないかなと思います。
大体、子供と一緒に住まっている高齢者も、自分の身の回りに起こる現金出費は自分の支給される年金の範囲内というふうに決めている人が物すごく多いように思います。ですから、二万程度の年金から国保の保険料を払い、場合によっては自分の電話代を払い、それで医療費の一部負担を払い、さらにこの上に介護保険料が上乗せされてくる。そこで余ったら初めて老人クラブへつき合いに出かけるというような形で、多くの女性高齢者は経済的な閉じこもりが始まりつつあるんじゃないかなと思います。ですから、負担増をやりますと、この辺からやっぱり問題が起こってくるように思います。
さて、厚生大臣が言われている抜本改悪でどう負担がふえるのかということですが、具体的な額を挙げて申し上げるということは、厚生省の方も情報を提供してくれておりませんので言えないわけですが、率直に申し上げまして、一九八三年から始まった二十一世紀へ向けての日本の医療の改革の基本路線というのは、すべて医療費の増加をどう抑えるか、医療費対策として積み上げられてきたというふうに思います。したがって、医療費を削減するということは、医療を薄くするか、あるいは医療の利用者の負担を重くするかということにしかならないわけであります。
差し当たって考えられることは、七十歳以上の老人が一つにまとめられて医療保険に加入させられる、介護保険と同じように一定の保険料が徴収されると。そして、論議の経過を見ていますと、定率で最高では三割ぐらいのことを予測した老人医療保険が過去においては検討されていた。それがやはり復活してくるのではないかなと思います。
さらに、定額診療報酬制度を大幅に導入するという形で、一般薬を社会保険から除外する案ですとか、あるいは病気に定価をつけて医療機関に請け負わせる案ですとか、こういう標準医療を超えた医療については自己負担などということもかつてはいろいろ議論されておりました。
そういう点で、冒頭の私の陳述の中でも申し上げたんですが、抜本改正抜本改正と言われて、この先どのくらい負担増になるのかということについては、はかり知れないものが押し寄せてくるのではないか、そういうふうに感じております。
それから、有識者会議の提言ですけれども、私はいつも腑に落ちないのは、世代間の格差があって若者が不満を持っている、不満を持っているということを強調されますが、具体的な事例でそのことが示されてはいないように思います。本当に若者自体が年寄りをそんなに疎ましく思っているのかどうか、この辺は一つ問題だろうと思います。
それから、ここで描かれる高齢者像というのは一般的な高齢者像です。具体的に見ていきますと、先ほど申し上げましたように、六〇%もの人々が世帯収入年収百六十万で生活をしているとか、かなり厳しい現実があります。七、八%前後の高額所得者が入ってくると貯金残高が二千四百万円になる、こういう実態です。ですから、やっぱり高齢者を具体的に見て、それで具体的な実生活に即した福祉なり社会保障なりの提供が私は必要ではないかなと思います。
それから、若者の方が負担が大きいと言いますが、これも負担の額だけを横並びで比較するだけであって、収入対比で負担の比率がどうかということを検討していかないと高齢者の実質がつかめないのではないかな、そんなふうに思っております。
それから、住宅の資産ですけれども、例えば、厚生省の資料でも毎年一四、五%の高齢世帯の年収が百万を割っております。それでほとんどが生活保護を受けておりません。二人暮らしでしたら必ず生活保護基準よりも低い収入であります。これを妨げているのが、現在自分の家に住んでいる、持ち家が資産として計上されてくるから、実質的にはそこを離れると生活ができないから住んでいる。それを売り尽くさない限り生活保護が受けられない。したがって、生活保護基準以下の日常生活を強要されているという高齢者が現にたくさんいるという、そういうことを前提として考えるならば、今高齢世帯の収入の中で家賃収入というのはほとんどありませんから、自分たちが必要な生活の場としての家屋を持っているにすぎません。これを資産の扱いにするということについてはやはり間違いではないかな、そんなふうにも思っております。
以上です。