山口泰の発言 (財政・金融委員会)
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○参考人(山口泰君) 物価の安定ということをどういうふうに定義したらいいのだろうか、あるいはまたそれを数字であらわすということが可能かどうかということにつきましてかなり政策委員会の中で時間をかけて議論をいたしまして、先般、それについての一つの結論をレポートの形で公表させていただきました。
物価の安定ということを概念的に定義いたしますと、それはインフレでもデフレでもない状態でございますけれども、企業あるいは家計が、将来の物価の変動ということを余り心配することなく、企業の業務について計画を立てたり、あるいは生活の設計をしたりすることが可能な状態ではなかろうかというふうに考えました。
ただ、それを、幾つかの国がやっておりますように、例えば消費者物価が年何%程度上がる、範囲内にとどまるというような数字であらわすことが可能かどうかということになりますと、これは現在の日本においてはかなり難しいことだという結論に到達いたしました。
その理由は幾つかございますけれども、一つには、物価指数そのものにつきまして、必ずしも真の物価を正確にあらわしているとは言い切れない部分があるんじゃないかというようなことが問題として指摘されました。またもう一つには、現在は、日本経済は御案内のとおりさまざまな構造調整の圧力をくぐり抜けているところでございまして、例えば先ほども申し上げましたITとかあるいは流通革命によりましてコストが大幅に下がってくるというような場合には、物価が若干下がりましても企業の収益は確保されるというような組み合わせも十分可能ではないかというふうに考えました。そういうことをいろいろ考え合わせますと、物価の安定を厳密な数字であらわすということはなかなか難しいというふうに考えたわけでございます。
それを前提にいたしますと、今度はインフレーションターゲティングの話でございますけれども、物価安定を数字できちんと表現するということが難しい以上、適正な物価上昇率というのを目指しまして金融政策を専らそのために運営するということは、現状においては適当ではないというふうに考えた次第でございます。