山田善二郎の発言 (地方行政・警察委員会)
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○参考人(山田善二郎君) 私ども日本国民救援会は、天皇制警察のもと、治安維持法その他国民の自由と人権を抑圧するさまざまな法規と特高警察によって加えられた弾圧犠牲者及びその家族を救援することを目的に結成され、今日まで七十二年の歴史を有しております。
戦後は、アメリカ軍の占領下にあった時代に引き起こされた三鷹事件や松川事件また菅生事件その他多くの弾圧事件や、死刑判決が確定した後ようやく無罪となった免田、財田川、松山、島田その他多くの冤罪事件の犠牲者の救援運動を行っております。
また、御存じの日本共産党、現在参議院議員をしております緒方靖夫氏宅の警察による電話盗聴を初め、警察の不法、犯罪的行為により被害を受けた方々が責任追及と被害の救済を求めて提起した裁判を支援しております。
警察の犯罪は、電話盗聴、不法監禁スパイ強要事件、少年暴行事件、果ては長野県警本部現職警備警察官の泥棒事件などなど、枚挙にいとまがございません。国民の生命、財産を守るべき責務を有している警察がその立場を悪用して引き起こす人権侵害は、人権侵害の中で最たるものであり、民主社会に絶対あってはならない深刻な問題であると思います。しかしながら、警察のこれらの事件に対する対応、処置は不誠実の一語に尽きるのであります。
私どもは、警察が真に国民のための警察に立ち返ることを願って、去る七月に開催した全国大会において、警察制度の民主的改革を求めて、警備公安警察の廃止、財政を含めた警察情報の公開、警察オンブズマン制度の創設、独立した事務局を持つ公選制の公安委員会による指導と監督権限の強化、国会及び都道府県議会の中に調査弾劾機関を設置すること、キャリアシステムを廃止し、警察官の団結権、団体交渉権の保障、以上の六つの提言を採択しました。
この決定に基づきまして、総理大臣への要請署名運動を展開し、また市民のための警察の実現を願う広範な市民団体と提携して世論に訴えているところです。
きょう、このように委員会にお招きいただきまして、幾つかの問題についてお述べさせていただく機会をいただきましたことをここに感謝申し上げる次第でございます。
申し上げたい第一は、自浄能力が欠如し、裁判の判決さえ無視する警察の体質の問題でございます。
先ほど申し上げた警察による電話盗聴事件の被害者である緒方靖夫氏とその家族が提起した責任追及裁判について、東京地方裁判所が警察の組織的犯行だとの判決を宣告したその前日、神奈川県警本部の幹部は、国も県も全面否定したのに何も話せるわけがないじゃないか、それが組織というものだ、晴れていたって気象庁が雨だと言えば雨なんだ、そして、何年かたってその日は雨だったということが真実になるんだと語っておりました。法治国家において法を厳守すべき責務にある警察が、このように裁判所の判決さえ無視してはばからない言辞を吐いているのであります。
次いで高等裁判所は、憲法上保障されている重要な人権である通信の秘密を初め、プライバシーの権利、政治活動の自由などが警察官によって電話の盗聴という違法行為によって侵害されたものである点は極めて重大であると言わなければならないと、厳しく警察の犯罪行為を弾劾したのであります。
通常の社会人であるならば、このような判決が出たならば何よりも先に被害者に対して三顧の礼を尽くすべきでしょう。しかし、警察当局はいまだに被害者に謝罪の意思さえ表明しておりません。それどころか、この犯行に関与したと思われる警察官の幹部が長野県警本部長、鹿児島県警本部長、警察大学の校長等々に栄転しているのが現実でございます。
その神奈川県警が、今度は、県警本部長が警察官が引き起こした犯罪のもみ消しのために陣頭指揮をとっていたという事件が発覚したのであります。裁判所の判決さえも無視することを公言し、自浄の意思を持ち合わせていない今日の警察の転落のさまとその行き着く落ちつき先を劇的に明らかにしたものではないでしょうか。
裁判の結果さえ無視する警察の体質を示す事例として、一九七八年、福岡高等裁判所で言い渡した直方スパイ調査事件、及び九六年、同じ福岡高裁が言い渡した芦屋派出所不法監禁スパイ強要事件国賠請求事件の裁判について御紹介いたします。
さきのスパイ調査事件は、福岡県警の現職警察官が、ある労働組合の幹部をしていた日本共産党の党員を金銭で籠絡してスパイとして活動させていたことが発覚、共産党が数名の幹部による調査委員会を設けてその人物を調査したことを福岡県警が不法監禁だとして弾圧した事件であります。この事件について、福岡高等裁判所の判決は次のように述べております。
いまだ公安を害する事態や犯罪が具体的に発生するおそれのない日常活動においてまで、ある個人、団体に対し継続的、組織的、秘密裏に情報収集活動を実施することは、その手段、方法のいかんを問わず、その個人、団体にとっては不断の監視と探索のもとに置かれ、いわれのない無形の圧力を受けることになり、その個人、団体が共有する憲法上の権利及び自由を不当に侵害し、かつ脅かすことになる。警察の情報活動が適法であると言えるためには、その行為の動機、目的が警察法第二条一項の責務規定に含まれる正当なものであり、その必要性が具体的、客観的に認められる場合でなければならない。いやしくも法律上権限を有する国家機関である以上、右の活動に従事する警察官は社会的、倫理的に非難されるような手段、方法によることは許されない。日本共産党が党規約にのっとって調査委員会を設置しそのスパイ容疑を追及しようとしたこと自体は、同党の結社の自由及び党員の思想、良心の自由を擁護するため、かつ組織防衛上当然の権利の行使である。本件警備情報収集活動は、その手段、方法において社会的、倫理的に非難されるに値する不当なものであり、違法なものと言わざるを得ないと、厳しく警察の不法行為を弾劾しています。
ところが、その同じ福岡県警の警備公安警察が八四年十一月の深夜、帰宅中の民青同盟員であった青年をいわれのない道交法違反の容疑を口実にして派出所に同行し、長時間にわたって二階の一室に監禁して、彼にスパイとなるよう強要した事件が発覚したのであります。
川上という青年が提起した国家賠償請求訴訟を審理した福岡高裁は、警備警察官が交通違反を口実に派出所の一室に入れて出入り口を立ちふさいで退出できないようにし、彼の手を押さえて電話をかけさせず、窓をあけて大声で助けてくれと叫んだら実力で引き戻して押し込むなどして執拗にスパイとなるよう強要したとの事実を認定し、こうした行為が違法であることは明らかであると厳しく批判しております。
川上氏のこの事件は、公安調査局の調査官が身分を隠して川上氏に接近したその場を警備警察官がカメラで隠し撮りをし、その上でさきの方法で彼を監禁してその写真を示して、おまえは公安調査庁のスパイだ、今度はおれたちの手先になれと強要した極めて卑劣な事件であります。警察は、裁判所の判決など全く眼中に置かず、違法行為を繰り返している集団以外の何物でもないという事実はここにも示されているものと思います。
第二の問題として、私は警察から独立した監察機関の確立が必要であると考えます。
神奈川県警による犯罪もみ消し事件とほとんど同じころ、新潟県警による雪見酒事件が発覚し、その後相次いで、警察官の怠慢により善良な市民が殺害された事件や捜査情報横流し、警察官犯罪のもみ消しなどなどが明らかにされています。心ある国民は、警察は最高幹部の多くが警察官としての自覚や罪の意識、違法行為への反省心などを失っており、それが今日の救いがたい事態に追い込んでしまったのではないかと憂慮しております。
神奈川県警本部長が一連の警察犯罪、不祥事を隠ぺいし温存する役割を果たしたという事実は、警察の反社会的行為の是正を警察に求めることは今や不可能であることを示しているのではないでしょうか。警察内部による監察、調査では自浄作用は機能していないことが明らかになった以上、警察から独立した監察機関を設立することこそが市民のための警察を実現する上で必要不可欠であると考えます。
警察犯罪や不祥事が絶えてやまないもう一つの原因は、警察の極端な秘密主義によるものと思います。
警察の機関誌と言われる日刊警察に紹介された不祥事対策についての島根県警の昇任試験問題は、警察は秘密主義と犯罪隠ぺいの教育を制度化していることを示すものでした。昨今のマスコミをにぎわせている警察による一連の犯罪行為、不祥事件は警察全般にわたって事件隠しを組織的に、また日常的に行ってきた、そのためにたまり過ぎたうみが今あふれ出ているのではないかと考えます。
第三に、私は警察情報を公開し、あるべき警察の姿を国民の目の前に明らかにすることが大事だと思います。
本年度の警察白書には、国民の警察に対する信頼度が大きく低下していることが示されています。一連の不祥事などだけではなく、警察の閉鎖的で秘密的な体質に対する国民の批判と不満のあらわれだと言うべきでしょう。緒方氏宅電話盗聴事件その他多くの裁判に出廷した警察官は、クロをシロと言いくるめたり、知らぬ存ぜぬを繰り返したり、捜査上の秘密、言いたくないなどと証言して真実発見に非協力の態度を貫き続けています。
警察予算の執行状況や組織、とりわけ警備警察の配備状況、教育や人事など警察の実態は国民の前に明らかにされておりません。このような警察の秘密主義が警察の腐敗を生み出す要因の一つになっているのであろうと思います。
そこで、国民の信頼を回復するためには、警察の組織と活動を国民の前に明らかにすることが重要であると思います。そのためには情報公開は不可欠であり、これによってこそ国民から疎んぜられている警察が国民に親しまれる警察に戻る第一歩となるものと確信します。情報公開の対象機関に警察を加え、個別の事件の捜査情報を除いて警察の組織、実態、予算の執行状況などの情報を公開するべきであると思います。
第四は、警備公安警察偏重の警察制度を改めることであります。
秘密主義が警察に蔓延する最大の理由は、国民の生命、財産を守る刑事警察よりも警備公安警察偏重であると多くの識者は指摘しています。緒方宅電話盗聴事件では、警備公安警察の中には公安四係という秘密警察中の秘密警察までも存在していることが明らかになりました。
憲法、警察法、刑法などを無視して、革新政党や労働組合、民主的市民団体などを敵視してスパイ、盗聴などの犯罪的行為を重ねている警備公安警察は廃止し、国民の安全のための警察に改めていくことこそ肝要であると考えます。
第五に、警察から独立した公安委員会を求めます。
本来、警察を管理すべき公安委員会は、これまで全くと言っていいほど機能しておりません。公安委員会は警察に推薦された人のみによって構成されており、また警察法第五条には国家公安委員会は警察庁を管理すると規定されておりますが、しかし実務を担当する部屋もなく、現職警察官が事務局となって実務を行っている状況です。公安委員会は警察に管理されているのではないかと言われてもいたし方ありません。
そこで、公安委員会の選任方法を抜本的に改めて国民の前にガラス張りにすること、そして警察から独立した事務局体制を確立し、警察監察の権限を強化することが必要であると考えます。
警察制度の民主的改革は、我が国の日本の民主主義の将来にかかわる極めて重要な問題であります。それだけに、我が国の日本の警察制度が抜本的に改善されることを強く願って私の陳述を終わりたいと思います。
ありがとうございました。