杉浦正健の発言 (法務委員会)
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○衆議院議員(杉浦正健君) 原則逆送制度につきましては、自民党内の議論におきましても三党協議の中におきましても最も議論が集中したところでございます。
最終的にこの案に落ちついたわけでありますが、もう皆さんも御案内のとおり、故意の行為によって人を死亡させるという行為は、自分の犯罪意図を実現するために何物にもかえがたい人命を奪うという点で、極めて反社会性、反倫理性の高い許しがたい行為であることは申すまでもございません。このような重大な罪を犯した場合には少年であっても刑事処分の対象となるという原則を明示することが少年の規範意識を育て、健全な成長を図る上で重要なことであると考えたわけであります。
したがって、罪を犯すとき十六歳以上の少年が故意の犯罪行為によって被害者を死亡させた場合には原則として検察官送致決定、いわゆる逆送する制度を導入することとした次第であります。もっとも、ケースによっては、犯行後の動機及び態様、犯行の情況、少年の性格、行状及び環境等の事情を家庭裁判所がきめ細かく検討し、保護処分が適当と考えられる場合には逆送せずに保護手続を選択することもできるようにただし書きで相なっております。
刑事処分と申しますか、逆送されて起訴された場合におきましても、これは少年法五十五条に規定しておりますが、「裁判所は、事実審理の結果、少年の被告人を保護処分に付するのが相当であると認めるときは、決定をもつて、事件を家庭裁判所に移送しなければならない。」ということがございまして、審理を尽くした結果、保護処分で家裁へ戻るという措置も講じられておるところでございますので、少年の保護に遺漏はないものと考えております。
このようなことを我々が導入した背景といたしましては、一つには現在の少年法でも刑事処分相当の場合は逆送できる、しなければならないとなっておるわけですが、現実に逆送されている例が極めて少ないという、これは家庭裁判所五十年の運用の結果がございます。
例えば殺人事件一つをとりましても、大体ここのところの逆送率は二〇%から三〇%という程度であります。凶悪犯罪と言われておりますのは、殺人、強盗、強姦、その致死傷を含みますが、凶悪犯罪をとってみますと逆送率が五%程度、これは事実でありますが、あるわけでございます。いかにも家裁の逆送率が低いのではないかという認識が一つはあるわけであります。
もう一つは、被害者の方々に対する配慮の問題がございます。これは後ほどまた御質問もあるところと存じますが、被害者の会ができて私どもも陳情を受けましたが、その被害者の会でやり場のない不満を持たれておられる方々のほとんどがかけがえのないお子様方を死に至らしめられた方々であります。その方々が一番言われることは、家裁の審理に参加できない、傍聴もできなければ内容も教えてもらえない、何をやられておるのかわからない、記録も見せてもらえない、事情聴取も、法文上はできるようになっておりますが、ほとんどと言っていいぐらい行われない、被害者の気持ちを受け入れてくれる場所がないという現実がございました。
公開の法廷になりますれば、検察官は訴追いたします。傍聴はできます。場合によれば証人に立って被害感情を述べることもできるでありましょう。そして、刑事記録も一定の範囲内で法律で定めるところにより閲覧できるわけでございまして、公開法廷に持ち出されることによって被害者の方々の被害感情の大部分が、お子さんを死に至らしめられた場合には全部が治癒するとは申しませんが、今持っておられる御不満が解消するというような背景もあったことは申し添えさせていただいてよろしいかと思います。