林崎良英の発言 (憲法調査会)
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○林崎参考人 最初の御質問でございますが、日本が今後この領域でどのようにして勝っていくかということですけれども、ライフサイエンスの、このゲノム科学をやっていて非常におもしろかった点というのは、最初はこういうゲノムという有限のものがありまして、それをどこの国が何%とるかというような、そんな話に終始しておったんですけれども、ふと気づいてみますと、これは囲碁ゲームと同じで、囲碁は盤上のどれだけとるかという話ですが、ふと気づくとその盤上は自分が見ていた盤上じゃなくて、それより広い、例えばこの部屋ぐらいの盤があった。シークエンスということだけ見ていると確かにそこだけなんですけれども、まだまだ広いところがあります。それをまた、特にアメリカなんですけれども、非常に速い勢いで新しい領域を食っていっているというところがあります。
ですから、私が思うに、産業をつくるにしても、科学分野を開拓するにしても、新しい領域といいますか、領域丸ごと初めて着手できるような分野をつくるというのが、これは非常に重要なポイントです。それが一つ。
もう一つは、例えばある限られたものを日本がやったりアメリカがやったりする。cDNAをとってみたり、ゲノムをとってみたり、たんぱくをとってみたりするようなケースなんですけれども、そういうようなケースは、全部とろうと欲張るとだめだと思います。ある一部、自分たちが非常にフォーカスする領域をつくって、担当を分けると言うのもおかしいですが、全部をとるというのはやはり非現実的である、フォーカスするべきであるというふうに考えます。
それからもう一つは、そういうことを実際ある領域で勝とうと思いますと、やはりベースになるのは技術でございます。そういった意味で、技術というのは、具体的に科学を追求するよりも一世代前の段階で先に技術を開発してから、それがその後での応用というところで利用されるわけでございますから、一世代先、二世代先の技術開発をやはり早急に着手すべきである、ポストゲノムではなくて、ポストポストゲノムぐらいのものを考えるべきであるというふうに思います。それが何かというのは、おのおのの領域によって違うと思います。
それからもう一つは、人材の確保ということを御質問されたと思いますけれども、やはり人材の層の厚さの差がこういう領域の差に反映しているのは明白でございます。
残念ながら、いかに一気に投資しても、人だけは、研究者を育てようと思ってやるには、大学院を卒業していただくために修士は二年かかりますし、ドクターコースは三年か四年かかります。そればかりはさすがに早くならない。それは仕方がございませんので、その場合は、ちょっと長期的な感覚で、先ほど大学のカリキュラムの話もしましたけれども、中期的にそういうものを手当てしていく方法と、それから日本の国の中にそういう領域で働く若い人たちを教育するといいますか、トレーニングするようなシステムは、やはり十年先以上を見据えてスタートしなきゃいかぬというふうに考えます。